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本丸博に行ってきた@池袋サンシャインシティ [は行]

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先週ですが、本丸博に行ってきました。

とりあえず刀剣男士の跪坐を、通常と極版とそろえて、
軽装と5周年記念の集合絵もいれた画集としてね、
(イラストレーターさんの非公式5周年祝画もできれば込みで)出してください。
……というか出るよね?
出ないわけないよね?
そう、ぼやきながら掛け軸絵を見ていました。

印刷がとてもきれいで、目の色とかまでじっくりゆっくり確かめたいのが本音なのだが、
圧倒的に小柄な女性客が多い中、
わりとのっぽで、ことによったらそれだけで威圧感も少なからず有るんじゃなかろうかという自分が、
絵の前を長く塞ぐわけにもゆかぬ。

小柄な女性がカメラを構えて張りついていてもうるさく感じないけど、
私は、さらっと流し見する程度にとどめるように心がけねば、と。
画集……画集がほしいよ……
念仏のように友人に零して終始、やり過ごした気がする。

誘導係の人が「慌てずにお進みください、推しは逃げません」
と呼び掛けて、小さな笑いを誘っていたけど、
私は特定の推しを目指していっているというよりは、むしろ箱推しに近い。
いや……あの……全員が自分の推し目当てに押しかけているとも限らないんです……。
苦笑いを禁じ得なかった。

おそらくは印刷がとてもきれいであるがゆえに、
存在としての影を紙面に定着させられ、封じられた付喪神の姿をズラッと晒している構図にも感じ、
あれ、これどちらかというと痛々しい展示仕様じゃないの……?
あまり気持ちよく見ていられずに、
はやく解き放ってやりたい気持ちがうっすら芽生えて、まじまじと正視する気がおこらなかった。

昔話にあるじゃないですか、夜な夜な掛け軸から出てきて歌う鳥が、
昼には掛け軸に戻っているという噂で、
ためしに掛け軸に矢を射ったら、その晩から二度と出てこなくなった……という。
(そのくらい跪坐の掛け軸の印刷が綺麗だったという事ですけどね……。)

「とある本丸」のジオラマに、バラ園や神社や聖堂があるのが興味深かったです。
付喪神って信仰の対象になりうる以前に、彼ら自身がなんらかの信仰をもちうるんですね。
持ち主の……あるいは作り手の影響も受けつつ。
刀剣男士(付喪神)は自分に託された歴史や物語を、己の人生(刃生)として受け止めつつ、
その存在は現象的なのだな。

刀剣男士の居場所も色アイコンで誰なのか分かるようになっていて面白かった。

欲を言えば、『活撃/刀剣乱舞』『花丸1期』『花丸2期』のジオラマもあわせて展示してあったら、
より内容が充実しただろうかと。

活撃の、社食完備、薬研藤四郎が厩の近くの清水で顔を流したり、
三日月の部屋には御簾があって、やたら豪華で風通しが良さそうだったりする、
そのわりにひょっとしたら大浴場がないのかもしれない謎本丸。
骨喰が薬研に食事を運んだ廊下や、蜻蛉切が寝込んだ一室や、
兼さんが陸奥守に当たり散らした庭先なんかは、
俯瞰でどういう立地になるのか、ミニチュア3次元で把握したかった。

花丸では近くに洞窟があるっぽいし、海も近そう。
作中で本丸替え……刀剣男士の増員にともない引っ越しをするエピソードもある。
そのあたりも踏まえた、引っ越し前・引っ越し後のジオラマがあったら、
個人的には、より各本丸の多様性と可能性を味わえて、楽しめたかな。
ジオラマ周辺の混雑具合も分散しただろうし……。

刀剣はもっといろいろ飾ってあるのかなと思っていたのですが、
三日月宗近の復元(写し)と、蛍丸の影打ちの展示にとどめてあった。

三日月宗近の復元は、噂には聞いていた。
刀の時代でもなく、本物が東博にあるのに、なぜ復元する意味があるんだ、
と、当初私は快く思っていなかったくちである。
が、一見して即座に、「あ、こいつは三日月宗近……その写しだ」
素人にも一発で分かる出来栄えなのがすごかった。
三日月が時代を越えてとがれて、すり減った部分を補完するかたちで、
うぶの三日月宗近(の写し)にお初にお目にかかるのにもかかわらず、
あ、こいつ三日月じゃん……!
煮ても焼いてもこいつは三日月。
パッと見だけで、そう感じさせるあの出来栄えは、何が肝だったんだろう。
(間近で張りついて鑑賞できるタイプの展示ではなかったので、言い当てられない。)

蛍丸の影打ちは正直ピンとこなかった。
影打ちというのは、厳選した最後の一振となる真打ちの、その控え。
いうなれば最終選考落ち・控え選手の立ち位置だから、
一見して心を奪うまでの出来映えとは言い難いのか。
(蛍丸復元プロジェクトには、蛍丸が現在行方不明ななこともあって、
私はものすごく肩入れしていたんです……。)
そういえば蛍丸は刀剣乱舞で当初から初登場時に、
《じゃーん、真打ち登場ってね!》と言うんですから、
いまとなっては本当に意味深に感じられる、感慨深い。

ちなみに、池袋サンシャインシティ。
私が小学生の時はサンシャインが日本で一番高いビルだった時代もあったくらいで、
小学3年の時、親が入院していた新宿界隈の病室からでさえ、
ひときわくっきり浮かび上がってみえる高い建物だった。
華やかで最先端の建物なのだろうという期待と先入観があったし、
サンシャインの水族館と言うと、日本で数少ないマンボウがいた水族館だったかと思うし、
プラネタリウムがあったり、おしゃれスポット代表格的なランドマーク……。

現実の池袋サンシャインシティは、天井がかなり低いんだな……という印象だった。
(もとをただせば巣鴨プリズンの跡地で、東條ら戦犯が死刑執行された現地。
おしゃれ施設として名をはせるより、負の歴史で見せるほうが魅力が深い気がする。)

池袋の街自体が、
「池袋ウェストゲートパーク」「デュラララ」「輪るピングドラム」とかの舞台になるのも納得の、
いわゆる雑多で、ごった煮風味で、なのに新宿とも渋谷とも上野とも違っている。
立川と中野の一部分に似てもいるのだが、ハリボテ感がとても強い。

タバコの吸い殻は道端に結構おちてるし、
通り過ぎる喫煙者が少なくないし、
駅の西武と東武デパートくらいしかまともに行ったことが無かった、
池袋ほぼ初心者の私にとっては、
元気をもらえるというよりは、消耗する街並みでした。