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観光バスと駅遠マンションの現状ベストなビジネスマッチングを突如提案する [か行]

NHK日曜深夜にやっているアニメ、『映像研には手を出すな』を、
「勉強になるなー(棒)」と比較的冷淡な目線で見ている。
見ることがやめられないのは、時々──わかる、それ現実社会の真実──と頷きたくなる切れのあるツッコミが、メインキャラの口からまれに飛び出すからである。
映像やアニメづくりの過程、ロボットへの思い入れや音作り、そういうネタより、私にとってはメインキャラ(というか作者?)が社会をどういう視点でとらえているか、いきなり垣間見える台詞に出くわすのが新鮮で楽しみなのだ。
(5話、6話、8話のエピソードは面白かった……)

今のところ一番グッと来たセリフは、第6話。
自作アニメ映像にSEをほどこす高スペックPCを、3万2000円という暴力的な低価格で情報技能研究部から買いとる話をつけてきた映像研。プロデューサー的役まわりの金森部員の手腕なのだが、
「(情報技能研究部の)彼らいわく、新しいPCを組むために、高スペックPCだろうが処分しつづけたいらしいです」
「マンション建てたいゼネコンみたいじゃな」

マンション建てたいゼネコンみたい……なにそれ……超わかる。
浅草さんのこのツッコミ、素晴らしい……。
そもそも『映像研には手を出すな』初回、べつにこれを見なくてもいいか……と流していたとき、
──あの人はどこぞの財閥のお嬢様だという噂ですよとかいうセリフに対して、
「財閥はGHQに解体されたろ」
浅草みどりが真顔でツッコミを入れた、その瞬間わたしは視聴継続を決めた。

新型コロナ流行で、トイレットペーパーが不足気味で、国内にトイレットペーパーは充分に在庫があるにもかかわらず市場ではからっぽという状態が続き、
「買い占めじゃないんだ、ちょうど買おうと思ってた頃合いで、今ほんとうに緊急に必要なんだ」
という被害者が当然出た。
そんな彼らに対して、「災害大国ニッポンなんだしトイレットペーパーくらいストックしとけよ常識だろ」論者がけっこう居たのを、私は目撃した(現実社会でもネット上でも)。

トイレットペーパーは置き場にスペースを食う。使わない人は皆無であろう生活必需品。
一個一個その都度買うより、大きいおまとめパッケージのほうが、お買い得度が高いアイテム。
購入個数や購入のタイミングは個人や家庭によるし、居住区域によってもおそらく異なる。
「タワーマンションに住んでいて、一階がコンビニだから、夜中でも安全にトイレットペーパーを購入できるんですよ」とかいう一定層はめずらしくもなく存在するし、そんな彼らはトイレットペーパーが切れるぎりぎりになってから不足分だけ買い足すのが常識で、むしろまとめてストックしておくなんて都会のスペースは高いんだから、コストパフォーマンスとして無駄が多い……という道理が通るのだ。

そんな「都会的な」考え方を猛烈バックアップしているのが、大手ゼネコンおよびその開発者(デヴェロッパー)である。災害続きで自治体やら政府やらが「日用品のストックを!日用品のストックを!」
そう、しつこく啓蒙しているお膝元で、大手ゼネコン&デヴェロッパーは、駅から近い狭小高層物件──物置や押し入れどころか、クローゼットすらない部屋を圧倒的割高価格で馬鹿みたいにつくりまくって、提供するようになっている。

(参考までに)
『東京の新築マンションがどんどん狭くなる事情 3LDKでも50㎡台、収納や書斎が部屋外の物件も』
https://toyokeizai.net/articles/-/335115
2020/03/09の記事

そんなゼネコン&デヴェロッパーが全面的におすすめするのが、遠隔地トランクルーム(有料)の利用であり、あるいは断捨離およびミニマリズム的生活。スリムとかスマートとかいうキーワードでウサギ小屋を提供する。
ほんと血道をあげているよね。

新型コロナ流行前であったが──「2020年オリンピックを機に、昨今異様に高騰化している都内新築マンションも価格が軒並み下がってくると聞いたことがあるんです……」
不動産関係の人と話す機会があって、そう水を向けたところ、
彼らはゼネコンと運命共同体でもあるし(元をただせば同じグループ内の住人だよね)、
「いえ! 駅から近い便利なエリアは今まで以上に価格が高騰します。逆に少しでも不便な立地はふるいにかけられ、仮に一等地といわれる田園調布であろうとも、駅から距離があれば急激に価格が下落する。二極化がよりいっそう顕著に加速するはず。良い地域はますます競争が過熱するので、買いたい人は今が絶好のチャンスです」
ちょっとググれば東洋経済あたりでもそういう記事にガンガン出くわしたから、
(まあそうなんでしょ……?)

大手ゼネコンさんは市場のニーズに応えているだけ。市場の希望をかなえたいだけ──。
そういうスタンスを取るが、より効率的に金儲けするためにマンションは利潤効率が高いから無節操に建てるんですよね? 高騰化させるための理由付けに忙しい。さもなくば「ゼネコンの仕事が無くなると日本の経済が破綻するんですよ」と(……だからオリンピックの次にはカジノ施設……)。
日本全国津々浦々、橋やトンネルがどんどん老朽化しているのが問題になっていて、津波対策等もあり、大掛かりな大事業は実は山積しているはずなんだが……。

私の中でゼネコン全般に対する猜疑心が抜けないのは、時には劣悪な土地に盛り土して、土着の地名をキラキラしいのに改名して、新興住宅街として住居を建てて、集中豪雨でみんな流れて死者が何十人と出ても「天災だから」で逃げ切ったり、レオパレスをはじめ耐震強度を偽装しているのはさほど珍しくもないのか、なにしろ偽装屋連中が業界からその後、締め出しを食うことは全くない。何食わぬ顔で今まで通りに居つづけられる業界だからです。そりゃ胡散臭く感じるのもやむないでしょ……。
無論ピンからキリまであるはずだが。

たとえば私の住んでいるマンションでもね……管理会社の評判は悪くなく、大規模修繕など経てきて、これまで大きなトラブルもないが、各戸設置されている消火器の交換が、おざなり。
10年前に住民側が、利用期限から1年が過ぎてもなんの連絡もないので催促した。
ただちに消火器の全戸交換のお知らせがまわって、新品に入れ替えられた。
古い消火器は下手すると爆発したり、いざという時にちゃんと使えなかったりする。簡単にそこらに廃棄できる代物でもないので、きちんと回収・交換をしておかないといけない。その交換はマンション住民が毎月支払う管理費積立金から支払われた。問題ない。

で、10年後にまた今回。使用期限からさらに一年過ぎた時点で、住民側が業を煮やして催促。
またすみやかに全戸交換となった。言えば交換してくれる。言わなければいつまでもやらない。
積立金が足りないわけでもない。

私はアレルギー用のエピペン(緊急時用アドレナリン注射)を処方されている。エピペンは購入したときにサイトに登録すると、期限が切れる前にリマインダーが届く。葉書でも、メールでもくる。かかりつけ薬局からもリマインドがあったんだっけかな。

かかりつけ医いわく、
「エピペンは処方されているにもかかわらず、最も使われない薬ナンバーワン。万一のためだからそれでいい。使わないでいられるのが一番理想。でも万全の状態で必ず持っていなくてはならない。それこそが緊急時用」
本当にその通りなんです。

消火器も同様。使わないのが普通、使わないのが理想。
かといって、なくてはダメだし期限が切れていてもダメ。いざという時、万全の状態で使えなくては。
それこそ管理会社が管理して、住人側にリマインドしてくれていい案件だと思う。

ゼネコン側が住民の安全第一とか利便性第一とか、市場のニーズにこたえたいとか、新しく洗練されたライフスタイルを提案したいとかいうのは一種の詭弁で、そんな彼らのいち推しする「理想の最先端な暮らしぶり」が、今の現実社会で事実、不可避となっているストックを拒んでいる。
ゼネコンがなければ我々は物理的に生活できていないほどに、ゼネコンの影響力は多大でもあるので、国家の推進する方針との矛盾が。結局現状その矛盾が私たちの生活をおびやかし、人によってはトイレットペーパーのストックがない。

以前は「駅が近いと便利になるなら、駅を作っちゃおう」とか、「新しいバスの停留所を作って、路線バスにきてもらおう」とか、そういう展開が一般的だったらしいんですが。今は電車もバスも経済的な効率重視で、縮小路線が加速気味。

さまざまな理由から「車離れ」で自家用車保有率は下がっているし、おまけに廃線等で交通の便がいつ悪くなるかもしれぬ。高齢者は車の運転も危険となれば、なるべく駅に近い都心部に住んでおきたい……という脅迫感もそりゃ煽られて当然です。

で、今回わたしは思いついたのだ。聞いて。
(……いや読んで)!

新型コロナ流行のせいで観光客が激減し、観光バス業界が各地で倒産の危機に瀕している。
駅から近い狭小物件マンションが、日用品ストックもできないほどなのに需要が加速。いっぽう徒歩圏内ではないマンションは市場価値が下落一辺倒という現状。
この問題を同時に解消できまいか。

駅から遠いマンションは広いし、一坪当たりの単価でいうならお買い得なのだ。
駅前の喧騒や交通量から少し離れて空気もきれい。
反面、駅および商業施設等へのアクセスが悪くて、不便。
だったらホテルのようにマンション自体がシャトルバスを手配できないか?

基本的にマンション住民だけが利用できるバス。
運行状況は戸数にもよるだろうが、たとえば1時間に2本、朝7時頃~夜9時頃までとか。
昼間は病院や商業施設もぐるっとまわる路線も作る。

ゼネコン側の懐に効率よく金銭が入る仕組みがないと、ゼネコン系マンション管理会社から、この手の提案を積極的にしてくることはまず絶対ないだろうが。
マンションの積立金って実はけっこうたまっていて、住民組合は使いあぐねて、とりあえず管理会社の言うままに共有設備をむやみやたらと頻繁にアップデートしている部分も少なくない。
だったら……。

既にゼネコン側が新築分譲マンションのシャトルバス提供を売りにしているところもある。
→「シャトルバス - 住友不動産のマンション』
https://www.sumitomo-rd-mansion.jp/shuto/koganeikouen/access03.html

平日は終電まで対応していて、土日は休みのようですね。なるほど。
このサイトを見る限り、シャトルバスのあるマンション住民の声は大好評ではないの!
実際、上記の立地も、駅からの距離だけが最大のネックで、周辺環境はかなり良い。
シャトルバスが無ければ、駅まで自転車圏内といったところ。

こんなふうに大手有名ゼネコン側がシャトルバスのサーヴィスを提供して新規分譲している例もあるのを鑑みれば、シャトルバス誘致は、無謀や的外れではまったくない。充分実現可能なわけだ。
おそらくは住民の積み立てる管理費内でやりくりできる。

中古マンションで駅から若干距離があり、今では市場価格も下落気味なマンションは全国にごまんと存在しているはず。そういう所はマンション住民(管理組合)側から民間のバス会社にシャトルバスの業務を依頼してみてはどうだ……!
住民の利便性も上がり、不動産の市場価値も保てて、ひいては二極化の緩和に繋がらないかな。

管理費を支払っているマンション住民は無料で乗れる定期を使い、場合によっては近隣の住民や来訪者が利用したいときは、一定金額を払ってもらうとか。運営の仕方は色々あるだろう。

倒産が危ぶまれている観光バス会社側も、観光業での見通しがたたないならば、駅から離れたマンションに新規営業をかけてみては。
旅行者の巨大な重たいトランクを毎回バスの横っ腹に積みこむ作業もいらない。
夜間の長時間運転からも解放される。朝と夜とでシフトも組める。観光や路線バスほどハード業務ではなさそう……。

試運転でマンションと駅とをつなぐサーヴィスが定着すれば、観光客の数に左右されずに生き残れる。みんな便利になるしWinWinじゃないか。
これが現状、私が思いつくベストなマッチング。

「生き残りをかける観光バス業界の新たな模索」とかいう番組が放送されたりしてさ、駅から離れたマンション住民の足となる、もと観光バス業界のシャトルバスが取り上げられたりして。
この我慢の時期から転じて、いつしかみんなが少しでも安堵して、不都合を強いられずに暮らせるようにならないかな……。

追記
⋆消火器がずっと消化器と変換ミスになっていた……直しました。


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