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和泉守兼定@土方歳三資料館 [あ行]

兼さんにまみえるために!
日野の土方歳三資料館に!
行ってきましたよ! 11/18日に。

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(クリックすると拡大します。)

新選組や、その鬼の副長・土方歳三、
沖田総司、斎藤一あたりは、まぁなんていうか、誰もが通る道ではないかと思われ。
私も例外ではないのであった。

新選組発祥の武州に住んでいるのに。
司馬遼太郎の『燃えよ剣』を読むと、前半なんて土地勘があるというのに……
土方歳三資料館に行ったことがないなんて。
と、かねてより、ずうっと行きたいと思っていたのだ。

しかし土方歳三の子孫のかたが自宅を改造して、
不定期にオープンしている、小さな資料館です。
GWの時期に開くと、いつも激混みであるという情報で、腰が引けていた。

土方さんはいつでも何かしらのメディア作品に登場していて、いつも人気キャラだし、
ゆえに土方歳三資料館の開催日は混雑を極めるとの話で、
それは土方歳三の愛刀、和泉守兼定が刀剣乱舞で一躍、脚光を浴びる前からなのです。

刀剣乱舞で和泉守兼定が広く知れ渡るようになってからはもう、
長蛇の列が半端ないともっぱらの噂……。
これはもう数年は無理だなと諦めていたのですが、
今年の秋は、刀剣ファンの意識は多くが京都に向いている。
『銀魂』も連載が今年の夏に終わっている。

まあゴールデンカムイは絶賛連載中だし、ほかにもあのゲームやこのゲーム……とありますが、
以前よりは、ましだよきっと! 狙い目かも!
と赴いて、果たして、大正解であった。

JR中央線の立川駅から南口に出て、
多摩モノレール立川南駅から、3駅目です。
多摩モノレールに乗るのは初めてで、多摩川を越えるときに若干テンションが上がる。

荷物が多かったので、万願寺の駅でコインロッカーを使いました。
立川駅では、どこのコインロッカーも全滅で、鍵が一つも残っていなかった。
万願寺駅のコインロッカーは、数は少ないけれど、ほとんどがあいていたので助かった。
(土方歳三資料館にコインロッカーはありません。)

なお私が一番最初に新選組という存在を知ったのは、
年末時代劇の『白虎隊』で、
土方歳三を近藤正臣、
近藤勇を夏八木勲、
沖田総司を中川勝彦(しょこたんの夭折したお父さん)が演じていた作品。
当時、私は小学生だった。

次は映画の『御法度』で、これは私世代はみんな好きだったですよね?
沖田を演じた武田真治が、めっぽう良かったのが記憶に残っています。
ご存知、司馬遼太郎の『新選組血風録』に収録されている短編数編をベースに、
大島渚監督が撮った映画ですが、
沖田の何が良かったって、司馬遼太郎の沖田がそのまま映画に出てるよお……という。

からッと無邪気で、隊士みんなに好かれていて、
病で臥せりがちでも、腐らず、明るく、
なにより太刀筋と勘が良い。
という沖田のまんまだった、あれは。

私がそう感じただけではなく、エヴァの庵野監督が、
NHKのトップランナーの収録で、武田真治に直接そう言っていましたものね。
「いやあ、沖田、すごく良かったじゃないですか、御法度の!」

「いえいえ、あれは大島監督がお弁当くれるっていうから、行ったら
(ちょい役だと思っていたら)、思いのほか……」
と、武田真治が笑いながら謙遜して答えていた、
その一連のやりとりはオンエアではすべてカットされていた。

その新選組血風録の作中で、沖田総司が菊一文字を使うので、
刀剣乱舞をプレイし始めるまで、私は沖田が菊一文字を所持していたと信じ切っていた。
ごめんよ加州清光、おかげで初期刀にしそこねた。

『銀魂』でも沖田は菊一文字RXを使っていますし、
司馬遼太郎の作品は、歴史物の教科書的な立ち位置にあるから、
後発の作品が司馬遼太郎をお手本に、作中のネタをどんどん使うんですよね。

司馬遼太郎の作品内で、近藤勇が贋作の虎徹を使いますが、
一説によると実は本物で、薩長の歴史改竄、近藤へのネガティヴキャンペーンにより、
「贋作だった説」にされたという見解もあるとかですもんね。

そんな司馬遼太郎作、土方歳三を主人公にした『燃えよ剣』では、
土方歳三は名刀である和泉守兼定を、
ある種、闇ルート的な方法で破格で手に入れ、それをずっと使います。

本当のところは松平容保が第十一代兼定を、京都守護職の折にお抱え刀工として雇い、
この第十一代兼定=二代目以来の「和泉守」兼定が鍛刀したのが、
土方歳三の愛刀「和泉守兼定」で、
会津藩主・松平容保が歳三に下賜したものであったそうです。
今回、資料館に行って、知りました。

資料館の手前に新選組饅頭だかが出店で売りに出ていて、
そこがごったがえしていたので、一瞬、長蛇の列かと慌てましたが、
資料館には待つことも、列に並ぶこともなく、すんなり入れたのでした。
刀剣乱舞の審神者と見られる人はチラホラ、
あとは往年の歴史ファン、新選組ファン、土方ファン、といった年齢層の高い面々。

入館料500円で、靴を脱いで、下駄箱において上がります。

肝心の刀剣、和泉守兼定は、とにかく大振り。
長くて、身幅もあり、立派!
刀剣乱舞で当初、太刀組に入れられていたのも頷けます。
一般的な打刀の概念で打刀と言われても、俄かには信じがたい。
時代的に打刀として括られているのですよね、おそらくは。

国宝太刀・大包平よりは小さいけれども、
石切神社の御神刀である平安の大太刀・石切丸よりは、ゆうに大きい。
厚みもあり、したたかに野太く、頑丈そうで、何よりすごく重そうなのが見て取れる!

個人経営の資料館なので、ライティングがスポットライト的に当たってはいないため、
地肌の美しさを堪能する、といった感じの鑑賞はそこまで出来なかったし、
写真撮影も禁止。
それでも刀の前にかがみこんでショーケースにへばりついて見るだけの余裕はあり、
皆、順繰りに、そうやって鑑賞していけます。

和泉守兼定の磨いた地肌が鏡のようになって、私の顔が映ったときには、
一瞬、すごく不思議な気分に囚われました。
この刀剣に、土方歳三は己の姿を映してみたことが幾度となく有っただろう。
架空の人物のように思えていた土方さんが、
和泉守兼定という刀剣を通じて、
地続きで、私までつながって感じられてくるみたいな、奇妙な実感があった。

刃文は一見して、白くモクモクッと雲居に漂う感じです。
専門用語的にいうと、おそらくモクモクっと感じる部分は、
「……三本杉の頭が比較的揃う高低差のない互(ぐ)の目……」(土方歳三資料館のパンフより抜粋)
であったり、
雲居に漂う感じは、
「小沸出来で匂口冴える」(同パンフより抜粋)
に、あたるのではなかろうかな。

箱館にて、土方歳三が市村鉄之助に託して、
日野の生家まで届けられた当時は、刃こぼれが凄かったようです。
綺麗に研いであるので、いまは刃こぼれは見られません。
刀剣以上に、ある種、目を引くのが、その和泉守兼定の拵(こしら)え。

鮫皮の柄に、柄巻は「幅の狭い黒糸の小菱巻」
このグリップ部分がよれて擦り切れていて、土方歳三の手汗とか握力とかの名残が、
当時そのままに、まざまざと目に見えるのだ。

刀剣乱舞的に見るならば、随所に兼さんの衣装に反映されている、
鞘の色、鞘尻の形、ポイントの鳳凰など……
本当に和泉守兼定……一色です!

土方歳三資料館にある名刀、和泉守兼定は、
土方歳三とは切っても切れない刀で、
代々、数々の武人や貴人に受け継がれてきた名剣・名刀と異なり、
唯一無二、土方歳三ひとりの刀! 
……なのでした。

個人的に私は、土方歳三は京都で新選組副長として御用改めをしていた時代よりも、
戊辰戦争で敗戦色が濃厚になって、
甲府城で戦うあたりから、どんどん好きになる。
もろ司馬遼太郎の『燃えよ剣』の影響です。
なにしろ猛スピードで進化していく疾走感が物凄く、
大政奉還後、北へ北へと、やがて箱館に着いて、アボルダージュの海戦のところで超滾る。
その箱館時代に共に戦った榎本武揚が、
のちに土方歳三について語った台詞、
『入室伹清風』という書額も展示されていました。
おおお……。

また資料内で興味深かったのが、
「碧血碑」(へきけつひ・へっけつひ)という言葉。
かの有名な乙女ゲー『薄桜鬼*』で、
『薄桜鬼 碧血録』というヴァージョンが有るらしいことは知っていた。
数年前に、ある仕事関係の人が、
「薄桜鬼、へっけつろくって……サブタイトルがダサすぎる……」
といったような事を口にしていたからである。

「どう書くんですか?」
と、私。
「碧い血とかいて……」
「字は素敵ですよね?」
「でも響きがさぁ……」
碧血とかって、中二病すぎて痛すぎる、というニュアンスに聞こえたが、
私は適切な反論ができなかった。

今回、土方歳三資料館の展示物で、
碧血という文字を見つけ、
碧血録という言葉は中二病的なサブタイなんかではなく、
箱館戦争の旧幕府側の死者を弔った「碧血碑」にちなんでいたのだな、と初めて知ったし、
もっというと、その碧血碑という言葉は、碧血という故事由来の言葉にあやかっているのだ。
いろいろと発見があった。

土方歳三資料館は、
土方歳三の京都時代の鉄兜や、鎖帷子の具足や、
歳三が詠んだ、豊玉発句集などの展示もあって、
パンフレットも満足のいく内容。

万願寺駅から徒歩で近いですし、
日野には他にも、新選組・最年長の源さんこと井上源三郎資料館とか、
土方歳三のお墓とかもあるので、足を伸ばしても良さそう。
土方歳三資料館のもよりの万願寺駅は、かなり長閑な風景の広がる場所で、
立川駅で乗り換えたときよりも、周辺は確実に肌寒かった。

資料館はこの連休も開いていて、和泉守兼定の展示は25日まで。
刀剣好きのみならず、新撰組好きや幕末好きは、見にいって損はありません。
小規模で地味ですが、ときには通説とは異なる土方歳三の実像に迫っていて、
中身が濃いので、おススメです。

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(いずれの写真もクリックすると拡大します。)
この立て看板の文面だけでも、既に内容が濃い。

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資料館の向かいの道路に、綺麗な水路が流れていました。

*なお薄桜鬼について


小龍景光@東博備忘録 [か行]

刀剣界隈では現在、京博近辺が大層にぎわっている御様子。

さすがに京都に行くのは色々と無理……な私は、
10日ほど前の11/1木曜日に、東京上野の東博に行ってきました。
国宝太刀・小龍景光にまみえるためであります。

近くで恒例の野暮用があったので、
帰りに寄れたら寄るぞ……自分の体調とか天候とかと相談して、
行けたら行くんだぞ……と、精神的にスタンバっていたのだ。
行ってみたら、すんなりと行けて、すんなりと見れ、ラッキーでした。
午後4時半くらいだったかと思いますが、全体的にかなり空いているほうだったかと。

刀剣・小龍景光は、今春に大般若長光が展示されていたブースにありました。

その前に、まず来派の太刀が目についた。
来派といえば国宝の明石国行が刀剣美術館にあって、
(現在は確か京都まで出張してるんですよね)
2016年3月に、私はまだ古い建物だったころの初台にあった刀剣美術館まで見に行った。
その時の印象が、大胆不敵でふてぶてしい印象でした。

うお、これ来派だね! 
と、今回、姿を見てすぐにわかる感じで来派の太刀が展示されていました。
なにが来派っぽい特徴として私に認識されうるのかが、自分でもはっきり言いきれないのだが、
全身の姿と、切っ先のサイズ感と形、その角度だろうか。

粘り強そうな全身の姿に引きかえ、
切っ先が、小口で、きっちり、さっぱりとしている印象。
もっというと、来派の太刀の切っ先に、いつも私は、塩(ナトリウム)の結晶みを感じる。
(刀剣については様式美的な決まった表現法があるし、
あくまで私が受けた印象なので、こういう言い方が果たして適切なのかはわからん。)

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(クリックすると拡大します。)

で、目当ての小龍景光。
こちら国宝です(クリックすると拡大します)。
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『刀剣乱舞』のゲーム上の付喪神としての姿は、相当、華やかで、
スーパー美麗で、スラっと線が細くて、腰もほっそいモデル体型。
夜な夜なダンスパーティとかに呼ばれてそう。
(なお『刀剣乱舞』では、小ではなくて小表記だ。)

そのくせ性格はつかみどころのないスナフキン風。
清廉潔白な主を求めているし、
矢立(筆記具)や羅針盤を持ち歩いているという図録の説明とか、
内番での台詞によると、農作業も厭わないし、実際のところはアウトドア系ですよね。
羅針盤を持ち歩いているのは、まさか無茶苦茶、方向音痴だからとかではないだろう……。

刀に限らず、国宝の品というのは、異様な存在感であったり、
精彩を放ちまくって、周囲からあきらかに浮いているケースが少なくないと思っている。
が、小龍景光は、ぱっと見、派手ではありませんでした。
少なくとも私は、ザ・国宝という印象をすぐに抱きはしなかった。

細身で端正だなという第一印象でした。
刃文も繊細。
どちらかというと、ほっそり華奢な存在感。

来歴が、
──楠木正成が持っていて、その後、農家などにわたりもしたが、
井伊直弼の所有から桜田門外の変を経て、
明治天皇に献上される。そして皇室御物から戦後、東博に──
という、なかなかな波乱万丈振りなので、
その歴史的価値を鑑みての、国宝なのかな……?

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(クリックすると拡大します)

茎と刀身の身幅がほぼ同じに見える。
付喪神としての姿のスラッと背が高くて細身なのも、伊達じゃないんです。
要するに本体が細いのだ。

生で見ると、
この茎寄りの刀身に掘られた小さな倶利伽羅龍が、
龍というよりは、龍の骸骨っぽくみえる。
つうか龍の標本、もっといえば人間の背骨の標本を思わせる。

小さい龍が、小さい三鈷杵(さんこしょ)に留まって絡まっている形をしているのだが、
龍の足もとが、葦に留まっているヨシキリとかの鳥っぽい。

東博HPのこの写真がわかりやすいだろうか。
https://www.tnm.jp/uploads/r_collection/LL_C0012572.jpg

「覗き龍景光」とも呼ばれていると、『刀剣乱舞』のゲーム上で本人が語っていますが、
たしかに龍の彫り物は数あれど、ちょいと趣向が異なるというか、
小さい彫り物だけれども、特徴的でした。
「覗き龍景光」と呼ばれている所以はおそらく、これ、
ハバキを外した状態で展示されていることからも分かるように、
上の写真の来派の太刀のように、本来、金のハバキを装着して使う段になると、
龍がほとんど隠れる。(そもそも龍の下半身は茎部分にさしかかって彫られていますしね。)
それで、さも龍が覗き見ているような格好になるからだと、想像つく。

で、その裏側。
東博の刀剣ブースは、基本的に一面しかまともに見られない。
せまい裏側に身を滑らせて(空いていたし)裏側を見ますと、
梵字が!

『刀剣乱舞』の図録で、
小竜景光の靴底(ミリタリーブーツの裏側)に梵字があるのが載っていて、
芸が細かいな!
と感じ入っていたのだ。

そもそも小竜景光のイラストレーターさんの図録ページ、
内容が濃すぎて、私には嬉しい悲鳴なんですよ。
情報が充実しまくっていて、ありがとう何このページこのアングル最高じゃん、
と、眺めまわしていたのであったが……。

刀身裏側の、刀の茎近くの彫り物を見たとたん、
「あ! これ見たことある! あの靴裏の梵字のネタは、これか!」
と、俄然テンションがあがりました。

もちろん写真に撮ってはみたが、裏でライティングも不十分で、てんで撮れていなかった……。

小龍景光の美しい存在感を実感したのは、
撮った写真を、あとできちんと見たときです。
写真映りが良い。
写真だと実際よりも大振りに見える気がするし。

ぞんざいに2枚ほどしかシャッターを切れなかったのに、
その2枚がこの出来なので、かなり写真映りが良いといえる(当社比)。
長船派は概して皆、刀身の写真映えが良い気が。

東博は、一階の出口近くで、
アイヌのマキリなども展示されていました。
いつもアイヌ文化のところは、なるほどねーへー……と、わりと流して見ていたのだった。
今回、漫画『ゴールデンカムイ』を読むようになって、
展示物がまったく違って目に映るようになった。

ラピュタでムスカが手帳を繰りながら碑文字を指でたどって「読める……読めるぞ……」
というシーンがありますが、あれと同じで、
(マキリが何か、どう使われていたか、今の私になら分かる!)

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(いずれの写真もクリックすると拡大します。)

東博は英語と日本語のキャプションの非対称ぶりが、
どの作品でも、いつもけっこう甚だしいのが目につく。

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(クリックすると拡大します)

英語のキャプションを読まないと、マキリは男女ともが携帯したとか、
その彫り物はおもに男性がこしらえたとかが、わからない……。 

二階では、世界文化遺産になった『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』
の特別展示がありました。
狙って行ったわけではないが、
見ておきたかった展示だったので拾いもの。

信者が隠し持っていた小さいメダイ(メダル)の数々とか、
踏まれてすり減って、ところどころツルツルになっているマリア像の踏み絵など。
大半が長崎奉行所の押収品です。

キリスト教文化が日本の地で「密教化」して、
最早キリスト教なのか、隠れ蓑にしている仏教なのか、
どちらともつかぬ一種異様な「隠れ」に変貌を遂げていった片鱗を見られた。

歴史がそれを「まがいもの」として断ずることも出来ただろうし、
なにしろ「隠れ」なのだから、展示物に派手さは皆無。
日陰の産物特有の、うすら寒さも伴います。

その日陰ぶりが世界遺産ともなった肝でもあり、醍醐味でもあるわけで。
興味深いエリアだと思うのだが、まるで人目につかないがごとく、
部屋に入ってくる人もほぼないし、誰か来ても素通りで、ガラガラだった……。

日が短くなるこの季節、
5時半ごろに東博を出たら真っ暗でして、
建物にプロジェクションマッピング(?)が。

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音などの演出はなく、ひっそりとライトアップされているといった程度なのが却って趣があった。

無印とゼロ [ま行]

アイススケート・グランプリシリーズ、フィンランド男子フリー、
羽生結弦選手の演技、圧巻でした。
一つ一つの技の完成度がすっごい高いのみならず(ジャンプだけでなく)
その技と技のつなぎが見事に自然。
技はキレッキレなのに、つなぎは信じられない程なめらかなので、
内容が濃くて、競技をジャッジするというより、ただもうう引き込まれて見入る。
贅沢すぎる……。

閑話休題。

さて先日、2018年夏アニメの感想を遅ればせながらアップしたら、
シュタインズ・ゲート(無印)と、
シュタインズ・ゲート ゼロへの熱がじんわり再燃してきてしまいまして。
無印での伏線……と、当時は思ってもなかった部分も含め、
ゼロでのその見事な回収ぶりの確認も兼ねて、動画を漁っていたのだった。
成果をここに置いておこうかと。

まずはシュタインズ・ゲート ゼロのMAD動画。
これ原作ゲームはもちろんのこと無印も入ってますよね?

【MAD】 シュタインズ・ゲート ゼロ

https://www.nicovideo.jp/watch/sm33925410

El Psy Congroo(エル プサイ コングルゥ)
岡部倫太郎もとい鳳凰院凶真が、
アディオス、Break a Leg(好転を)、God Bless You……的なニュアンスで使う言葉なんですが、
私はこれ、ググりましたからね。
エリエリレマサバクタニ的な言葉かと思ったんですよ。
真面目に(ラテン語とか?)と思ったからだよ!
なお、オカリンによる中二病的造語であり、この言葉に特に意味はない

【シュタインズ・ゲート ゼロ】鳳凰院凶真のシーンまとめ

https://www.nicovideo.jp/watch/sm33926543

↑このまとめ動画の冒頭シーンの前、
再起不能状態だった岡部だったが、
地下抵抗組織として戦っていたラボメンの力を借りて、
2036年の戦場から3000回近くもタイムリープを繰り返している。
なにしろ一回でタイムリープできる時間に限りがあるから。

毎回タイムリープの都度に、ラボメンの力を借り、
敵勢力をかわすために走って走って走り続けて、
やっと2011年7月7日に戻ってきたわけで、
その開口一番、盟友ダル君にむかっての台詞が、冒頭のシーンですから。

(これって、走れメロスだ……!)
と、内心で突っ込みを入れたのは私だけではないと思っていたが、
どうやら私だけだったようなので、ここでひっそり言っておく。

『魔法少女まどかマギカ』の鹿目まどかだって、12話で魔法少女になるというのに。
常識人(仮)に成り下がっていたオカリンが、
鳳凰院凶真(狂気のマッドサイエンティスト)のペルソナに変身するのに、
21話もかかったのだ。やんややんやの歓喜の嵐で、すぐメロスどころではなくなった。

ゼロ(2期)が、無印(1期)の伏線をどう膨らまし、どう回収したか、
正直、細かいところは忘れていたので、次の動画で復習しました。

【シュタインズ・ゲート】 鳳凰院凶真のシーンまとめ【ゼロ】

https://www.nicovideo.jp/watch/sm33854400

↑無印(13分28まで)と、ゼロ(13分29~)の鳳凰院凶真。

無印時代は、おかりんの中二病設定とか鳳凰院凶真とか、
心底、鬱陶しいと思って、日常描写は流し見していました。
くっだらないなあと辟易しながら、
「はやく本題をやってくれ」「物語を動かせってば」と思っていたのに、
苛酷で鬱展開が盛りだくさんなゼロのあとで見ると、懐かしいし、微笑ましい。

鳳凰院凶真の名ゼリフを集めてみた

https://www.nicovideo.jp/watch/sm15020475

一期シュタインズ・ゲート(無印)時代の鳳凰院凶真とラボメンの日常描写。
なんだろうか、この優しい世界は。
コメント付きで見るとラストが凄い。

11月壁紙カレンダー無料配布 [壁紙カレンダー配布-2018-’19Mar]

朝には肌寒く、でもお天気だとまだまだ日差しも強いし温かい。
日増しに昼間は短くなって、日没になると日中の気温が嘘のように途端に冷えこむ、
一日の中に、四季があるようなこういう季節が、
個人的には一番好きです。

2018年11月、
遅まきながらデスクトップカレンダーを設置しました。
使えそうでしたら、デスクトップ背景にぜひどうぞ。

2018年11月に選んだ絵は、イギリスの挿画家アーサー・ラッカム(1867年-1939年)による、
グリム童話『強盗のおむこさん』の絵。
グリム童話は幼いころから親しんできましたが、
『強盗のおむこさん』の話は、今回わたしは初めて知った。

なにしろ、おばあさんの様相が、白雪姫に毒リンゴを渡す魔女タイプとも異なるし、
意地悪ばあさんには見えないけれども、
単に善良なおばあさんという感じではなく、
やたらと不穏なのが、目を引く、この絵。

のどかな情景に見えても良さそうなのに、
なんだろうこの謎な空気感……。
どんな状況に置かれると、こういう挿絵のようなシーンになるんだろう、
と、原作話を辿り当てたのですが、
読むと、成るほどと納得するしかない。

〇強盗のおむこさん
https://ja.wikipedia.org/wiki/強盗のおむこさん
ウィキペディアのざっくりあらすじ

〇強盗のおむこさん - グリム兄弟 - Grimmstories.com
https://www.grimmstories.com/ja/grimm_dowa/goto_no_o_mukosan
全編ヴァージョンですが、全部読んでも短いです。

ジャックと豆の木と、青ひげを掛け合わせたような話ですが、
ジャックと豆の木のようなファンタジー要素がほぼ皆無といっていい。
青ひげのような、若い女性の好奇心を(不当に)戒める「教訓」も含んではいないので、
童話というより、もはや「クリミナルマインド FBI vs. 異常犯罪」のレベルです。

暗い森に棲んでいる「金持ち」が道案内に灰をまいて、
標的にした粉屋の娘への道しるべにするところ、
その灰が夜には風で消えてしまうことを想定しているところ、
それを見越して……というよりも何より、その「金持ちの求婚者」から不快感をかぎ取った娘が、
ポケットにエンドウ豆をしのばせて、一歩ごとに落としていくところが、
非常にリアル。

 じゃがいもが普及する前のヨーロッパでは、
 貧しい家ではソラ豆、エンドウ豆が主食だったと聞きますしね。
 麦はある意味ぜいたく食材ですから……。

「人食い」なんて、一昔前……いや二昔前の自分だったら
「童話にありがちなダークファンタジーアイテムだこと」
と思ったかもしれないが、
この人食いは、もろカニバリズム、というかコンクリート詰め殺人事件的な異常性犯罪の匂いが、
芬々(ふんぷん)としすぎている。
おそらくは実際に起きた異常事件が、
民話として後世まで伝わったのではなかろうか。
ですから童話というより、民話ですよね。

童話としては刺激が強すぎるので、おそらく子供が読むのにふさわしくないと、
日本では童話として提供されていないのではないか。

著作権が切れたネット画像での拾い物でしたが、
残酷場面を切り取らず、その一歩手前のシーンで、
美しい素朴な絵柄なのに不穏な空気感を掻き立てる。
このアーサー・ラッカムの絵は秀逸ですよね。
アーサー・ラッカムの画集などでこの絵を見かけることは、日本ではまずないかと。
当時のイギリスではこれが童話として、きちんと読まれていたわけなんだなあ。

これを11月に選んだのは、絵の色味が秋を髣髴とさせたからと、
食料の用意をしている、鍋や水甕が見える台所なのが、
『大きな森の小さな家』『大草原の小さな家』などで見られる、
冬ごもり前の食糧貯蔵のイメージと重なったからです。

今回、色味を2種類ずつ作ってみました。
(アーサー・ラッカムの絵自体は同じです。)
お好みのほうを、よろしければどうぞ。

◆ダウンロードの仕方
下記のサムネイル画像をクリックし、原寸大を表示。
右クリックで「デスクトップの背景に設置」で設置完了です。
(あるいは右クリックで「名前をつけて画像を保存」をしてから、壁紙に設定。)

PCのアスペクト比に準じて、使えそうなほうを選んでください。
PCのデスクトップを右クリックして「画面と解像度」の項目を開くと、わかります。

◆1920px×1080px:PNG(4.2MB)横長ワイド版のデスクトップ向け。
2018 Free Calendar Wallpaper NovGg*
21.png

2018 Free Calendar Wallpaper NovR*
22.png

◆1440px×900px:PNG(2.8MB)こちらは従来PCの画面サイズ。
2018壁紙カレンダーNovGg*
14.png

2018壁紙カレンダーNovR*
2018壁紙カレンダー・無料ダウンロード1440px×900px(3).png

今回も紙版はありません。
*All Rights Reserved.
無断転載や二次配布を禁じます。

もう秋ですが(2018年夏アニメの忘備録) [ま行]

夏アニメの忘備録をざっくり記しておこうと思っていたのに、
気付けば10月が終わっておりまして。
ひとつには、3期からNHKで日曜深夜に放送していた進撃アニメが、
10月のかなり中途半端な時期に、
……え、なにこのエンディング怖い……ここで切るんですか?
次回の#50は2019年4月ですって……?
と、面食らわせてきたせいもあって、いろいろとタイミングを逸したのだった。

2018年夏アニメ(わかってるよ今は秋だよ)で、個人的に大ヒットだったのは、
『シュタインズ・ゲート ゼロ』

もちろん『シュタインズ・ゲート』時代から見ていましたが(再放送ですら何年前だ)、
基本的にこのアニメ、スロースターターなんですよね。
当時も登場人物のオタク描写におけるアクが強すぎて、
これ本当に面白くなるんだろうな……!?
と、何度挫折しかけたか。

それでも原作ゲームの評判が良かったし(私は未プレイ)、
絵が常に必ず、きれいで、作画崩壊とか無縁。
また洋画好きやSF好きからしてみれば、
『ドニー・ダーコ』『バタフライ・エフェクト』『バックトゥーザフューチャー』『ターミネーター』など、
お馴染みタイムパラドックス系のエッセンスが、そこかしこに、こってこてなので、
ホームグラウンドだなこれ……と。

切るに切れずに、惰性で見ているうちに、
あ……今回はかなり良いわ。
あ、これは超いいわ……。

『シュタインズ・ゲート ゼロ』に関しても、前半は(これを見続けるの正直きつい……)
主人公の岡部倫太郎(akaオカリン・鳳凰院凶真)が誤った世界線を選んだ末の鬱展開を、
これでもか、これでもかと、見せられて、
もういいよ……となりかける。

それでも見続けていたのは、
親子描写がやたらと涙を誘うからでした。
親子描写と言っても、常識的にいってみれば無茶な親子描写で、
まずは、ダル君と鈴羽。
その仲良し具合の心温まること。

アスリート系美少女バイト戦士・鈴羽、
その父親にあたるダル君(ハイスペックおデブ系超オタク、成りもでかいが人間としての器もかなりでかい)、
この二人、つまりタイムトラベルしてきた娘・鈴羽と、父ダル君は、傍目には同年代ですからね。
だから表向き、兄妹っぽい振りをしつつ、
内輪ではがっつり親子の会話をしているのが、なんとも微笑ましかった。

ダル君は、未来においては鈴羽の母親となる美女に、現時点ではまだ告白もしていない。
付き合ってもない、どうせキモオタだもん、と僻んでいるのを、
鈴羽が、「父さん、うかうかしてると母さんに愛想つかされちゃうよ」等々、
なにかと背中を押す匙加減が、絶妙におもしろく。
とても優しい間柄なのだった。

あと又、まゆりとかがりの母娘関係。
未来のまゆりが、孤児のかがりを養女にするわけですが、
現在のまゆりと、未来からやって来たかがりは、母娘とはいえ、同年代なわけです。
でも友達関係には決してならずに、かがりはまゆりを「ママ、ママ」と、けなげに慕いまくり、
まゆりママは今はまだ少女なのに、
わけもわからず一生懸命「かがりちゃん」と応えようとする。
血もつながってないし、年齢的にも全然親子じゃないのに、
ちゃんと母娘なのが涙ぐましく凄かった。

記憶喪失な美少女のかがりが、未来のまゆりとの記憶を取り戻して
「まゆりママ……!」と泣くシーンは、
SFじゃないと絶対にできない秀逸な設定で、
目が離せない……。
そうこう思っているうちに、
PTSDの治療と称して、かがりがレスキネン教授に洗脳を受けていた研究所の所在が明らかに。

その施設を、オカリンと萌郁(もえか・ハイスペック眼鏡美女)が発見するシーンはゾクっときた。
壁一面に、おそらくはかがりの血で「ママ助けて助けてママ」といった文句が書きなぐってある。
荒れ果てた隠れ部屋が出てきて、エンディング……となった神回で、
(これは間違いなく神アニメだ、心して見なくては)と、
以降、私は襟を正して見るようになりました。

回を重ねるごとに、怒涛の面白さに加速度的な拍車がかかり、
20話の『盟誓のリナシメント』が決定打。
未来の「ルカ兄さん」の中性的なカッコよさと成長ぶり、
戦闘の末の死に感動したのは、私だけではないはずだ。

おかりんが遅まきながら本領発揮しだしてからはもう、
また今回も神回だったな、ハラショー!
と、胸熱展開の連続で、
長い前半の伏線も、
シュタゲ時代からの伏線すらも、バンバン回収されて、
最終回は最高の大団円でしたね。

何層にもわたる面白さがある話を紡ぐには、
こみいった設定の地盤を確立するまで、
前半、ある程度の時間や容量を食うのは、いってみれば当然なのだよな……。

2018年夏アニメ、
ダークホース的に最高だったのは『天狼 Sirius the Jaeger』
しかしこのアニメを見ている人が身の回りに全然いない。
ネット上をググってみても、圧倒的に少ない感触があった。
AT-XやTOKYO MX、BS11、チューリップテレビ(富山の地方局らしい)でしか
放送していなかったからかと思われる。
私はTOKYO MXかBS11で見ていました。

あとはネットフリックスで見られるので、海外では人気だったのかもしれません。
日本ではこのアニメの存在を知っている人自体が少なかった……。
私自身も当初、全く見るつもりはなかった、それどころか知りませんで。
テレビをつけたとき、たたたま1話をやっていて、途中から見たのだったが、
なにしろアニメーションの良さを目の当たりにしたら、たちまち目を離せなくなったのだ。

『ジョーカーゲーム』と『WOLF'S RAIN』を掛け合わせたような世界観で、
時折、ハガレン味も感じたりしましたが、
全12話でギュッと面白さが凝縮されていた。
この手の舞台と設定は、下手すると目も当てられない使い古したバッタもんぶりが甚だしくなりがち。
そんな駄作をいくつ見てきたか分からないし、いつ切ろうかな、というつもりで見ていたのだったが、
『天狼』はキャラも世界観も設定も、すべてが際どいところでうまく機能していて、
素晴らしく疾走感があって、面白かったです。ほろ苦い最終回も良かった。
兄ミハイルが吸血鬼としてではなく、人間として〇〇〇を迎えるシーンにはしんみり来ました。

兄思いの狩人の弟ユーリィ(主人公)と、
幼かった弟ユーリィをかばって吸血鬼にされた弟思いの兄ミハイル(cv櫻井孝宏)の、
兄弟のいざこざ加減が、ああそうさ、好きだとも!

主人公の性格が(設定ではなくて性格・気性が)、
この手の世界観の作品には珍しいタイプで、
世間擦れしていない朴訥とした青年。
知的で寡黙で控え目で、内に熱さを秘めていて、一途。
戦闘時は野性味あふれて一直線でも、本質的に高潔な魂の持ち主なので、
はっちゃけすぎない感じが、良かったんだと思います。
その主人公をはじめ、主要キャラも敵役も脇役も、キャスティング全般が最高でもあった。

人狼の血を引くことに関しての解釈については、
私の観点とシンクロ率が一致です、
という感じでしたが、
対する吸血鬼については、
(私の信ずるところの吸血鬼とは、種族も宗派も徹底的に異なる……)感が強かったのは否めない。
でも第3話、主人公ユーリィの子供時代の話──兄ミハイルとのドッグヴィルの村での話──で、
完璧に心をわしづかみに持っていかれたので、些細な価値観の違いは仕方がない。
その別宗派ぶりを含めて楽しめた。

なんでこんな面白いオリジナルアニメを、ひっそり放送しているんだ……と感じていましたが、
今後、どこかの放送局で、じわじわとまた再放送したりしないのかなあ。


TVアニメ『天狼 Sirius the Jaeger』狩人編PV-Jaegers Ver.-
https://youtu.be/mAaQS0_9zao


TVアニメ『天狼 Sirius the Jaeger』本PV-Main Trailer-
https://youtu.be/SvUGTXUI9H0


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