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『津軽』の乳母のタケさん [た行]


https://youtu.be/pVEiAkuU5_4
越野タケさん未公開映像を披露/五所川原
(東奥日報の関連記事https://www.toonippo.co.jp/articles/-/192657

撮影当時は昭和56年とか。昭和56年いうと太宰が亡くなってから33年ほど。
動画の越野タケさんは、そうすると、この2年後に亡くなっていることになります。
昭和56年当時は、この動画で語られている、太宰の妻の美知子さんは健在です。

昭和56年、私はというと生まれていました。はい。
まだむっちゃ幼少期だし、むろん太宰治を知らなかった。
まだ誰か親しい者、家族の死に直面することもない年代で、
その約3年後に直面してからは、子供ながらに人生観が「使用前・使用後(当社比)」になり、
いつも記憶をさかのぼり、年代を振り返るときには、その節目の年を目安に、
ああ、あれより前か……とか後か……と数える癖がある。

私が無邪気な幼少時代全盛期だったこの頃には、
こういう津軽の世界が、まだ現役で、現実と地続きでちゃんと残っていたんだなあ、と。

動画の津軽弁、キャプションがないと、わたしには聞き取れない。
何度か動画を繰り返して慣れてくると、普通に5割くらいはキャプションを見なくともわかってきます。
東北出身の人にはもっとダイレクトに伝わってくるんだろうなあ。

太宰の小説はモノローグの語り口がフランクで、
当時の他の作家と比して、持ってまわった小難しい言い回しがほとんど無い。
これは太宰が青森出身だから──つまり濃い津軽弁が第一言語、
いわゆる共通語は太宰にとって第二言語にあたるから、
と言われることもありますよね。

太宰は、住んでいた三鷹が空襲に遭って、
家族でまず、妻の実家方面の甲府に疎開する。
そこも焼きだされ、自分の故郷である津軽方面に妻子連れで、ボロボロな状態で疎開する。
太宰は、放蕩息子だったこともありつつ、
盲腸の手術をきっかけにバルビツール中毒になったあとは、
しばらく軟禁状態だったあげくに勘当されて、独身時代に生家からは既に縁を切られている。
だから命からがらの疎開でもなければ、まず故郷に戻れないんですよね。

そういう状態で津軽に疎開した一連の話は、ちょくちょく後期のいろんな短編に出てくるわけで。
そのへんの短編を読んだことがあると、この動画はかなり感慨深いものです。


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『コンチェルト・ダスト』新装電子版制作中⑤ [黒十字療養所出版部]

「決定版・表紙・コンチェルト・ダスト電子版」*制作者:中里友香

表紙のカタカナ・タイトル部分を改めた。
カタカナのフォントというのは、あまり好ましい感じのが見あたらず、
──Canvaにかかわらず、カタカナフォントに力を入れているフォントって、
そもそもあんまり見ない気が……。

個人的には、アールヌーヴォーっぽいカタカナフォントが欲しい……。
(アールデコっぽいのは辛うじて見あたるのだが……。)
かといい自作フォントを簡単に作れるほどのスキルも、またPCメモリの余裕もない。
──なにしろ先月の、ノートラダム大聖堂部分焼失のニュースをきっかけにして、
期間限定・PC版無料ダウンロード配布となっていた「アサシンクリード ユニティ」も、
私のPCでは、まったくもって容量が足りなかったのだ……。

これまで進捗upしていた電子版『コンチェルト・ダスト』のカタカナタイトルの入れ方は、
自分でこしらえておいて何だが、どこそこ決まってない。なんかダサい……。
フォントに頼れぬならば、なおのこと、レイアウトのデザイン性が命。
一旦寝かせたりしていたのを、ようやくこれで自己満足できる程度には仕上げられたかなと、
少なくとも現時点では感じています。

地味に情報量を増やしているのだが、前よりすっきり見える気もするし、
見ようによっては、ほんの少しだけ夢見がちにキラキラしく、
なんらかの欠片が降るようにカタカナが落下して、タイトルワードをなして映るかと。
多分これで行きます。

縦書きなのだから右から左だろうに、なぜなんだ……
と思われる人もあるかもしれないが、
英字タイトルをはじめ、著者名など、すべて左から右への横書きなので、
単純にそれら文字列をまたいで右書きにすると、視線がごちゃつく。
軽く乗り物酔いみたいになる。
左から右、かつ上から下に読む過程で、おのずとすんなり目に入るレイアウトにしてあります。

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*canvaの透かしが入っている部分は、ダウンロード購入後には消えます。
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『コンチェルト・ダスト』新装電子版制作中④ [黒十字療養所出版部]

章扉「序奏」、「あとがき」も仕上げた。
「目次・白」を、前回アップしてから更に少しだけ手を加えたりもした。

Concertodusteverparts2.png

上の3点はいずれも同じサイズなのに、
こう並べると真ん中が一番小さく見えるという、錯視が起こりますね。

ほぼ決定版『コンチェルト・ダスト』 電子新装版デザイン(スライド)
https://www.canva.com/design/DADYT6VgguA/qRTxxUjOCDFWUqLn8QhLdw/view?presentation

表紙化粧扉 → 目次()→ 章扉(序章一章二章)→ あとがき扉奥付
の順*

奥付の文字部分は、暫定的なものです。

-目次・白
マーブルのレイヤーをうっすらと敷いたのですが、
清潔感を損なわぬ程度に、ひび割れ、あるいは血痕のようにも見えたらなお良い──。
地味にあれやこれやと位置を試したりしました。

-章扉(序奏)
ローマ式の円柱と、石造りの三角破風が象牙色の外壁を晒しながら日光を遮っている。(後略)

……と、作中序盤に登場する屋敷内の霊廟、その外壁の質感に見えるなら、とても良し。
それが無理でも、こういう紙質のペーパーってあるよね、と。リネン混とかのやつ。

-あとがき扉
平面的な構図なので、奥行きや深みが感じられるように、
実はかなりのレイヤーを重ね、明暗や透明度を調節している。
(平面的すぎると飽きが来るので……。)
この章扉はそこはかとなくアールヌーヴォーを目指しています。

絵画や名画ではなく、
パブリックドメインで見つけたステンドグラスの写真を選んだのは、 
あとがきは作品世界とは別次元だからです。
といっても、本の余韻をみすみす壊したくはない。
本の後半にかけてちりばめてあるエッセンスを、なるべくたくさん盛りこんだ。

あとがきは物語とは別次元なのをクリアに表したかったので、題字のフォントも変えました。
本来、題字を違うフォントで見せるというのは、
普遍的ではないらしいが(←以前、ある編集部から、そう指摘されたことがあるのだった)。

海外デザインでは同じ題字を、扉と表紙とで、異なるフォントやパターンで見せるというのは、
別段、珍しくもないんじゃなかったかなあ……。

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