SSブログ

レオニド:楽天Koboでも配信開始『コンチェルト・ダスト』新装版 [ニュース]

往年の少女漫画『キャンディ・キャンディ』にエレノア・ベーカーという女優が出てきます。
読んだのがはるか大昔なので記憶を頼りに書いているが、
ググって一応確認したところ間違いなさそうである。
テリュース(通称テリィ)の母親でアメリカ出身の女優。
テリィはたしか女優顔の自分の顔を憂いており、グレ気味なんじゃなかったか?

以前にもこのブログでチラと書いたが、私はアーチー推しで、
アーチーはアニーとお似合いのカップルになるところも好ましかったし、
最終巻、バグパイプを一人で吹くシーンなんて、
アーチの良さが出ているという点に関して言うなら一人勝ちだった。
ほかには早々に退場してしまうアンソニーが良かったので、
……みんなテリィが大好きみたいだけど、一体何がそんなに良いんだろうか……? 
と。

そんな反応を示すと親きょうだいは決まって、
《そう感じるのはお前が幼いからである。ガキにテリィの魅力はわからない》
と一笑に付し、
事実、私は幼女でようやく文字が読めるようになったガキだった。

中学になってから、いや高校になってからも、
キャンディ・キャンディの話題が出ると、多種多様な友人が少なからず
《テリィが人気あるのは当たり前じゃん!》という反応で、
大人になったときに、さて自分はどう感じるかと。
既に相当前になるが、一度読み直してみたことがある。

ヒロインであるキャンディがテリィに惹かれたのは知ってるし、
無論そういう意味ではわからなくないのだが、
やはり私自身はアーチーが好きなのに変わりはなかった。
大人になって読んでみると、あの憎たらしく面倒くさいニールの愚かしさがけっこう味わい深かった。

で、テリィに関しては、ああいうタイプが当時の流行りだったから大人気を博したんであって、
今読んだら果たしてみんな本当にテリィが好きなのかなぁ?
……と疑問に思えた。や、好きなんだろうけども。

エリート校の寄宿舎で、ちょっと着くずしたのがさまになっている素行が悪い不良タイプ、
母親似の女顔の美男子で、その母親のことがコンプレックスで内実はとても頭が良くて……
というキャラクターであるならば、
私は断然、萩尾望都の『トーマの心臓』のオスカー・ライザーが群を抜いて好きなので。
意外に世話焼きで、過去の辛酸と懐の深さとが比例しており、人の痛みを熟知している。

しかしそんなオスカーの母親の名前は憶えていないのに、
テリィの母親が、エレノア・ベーカーという名前であることまで覚えている。
というのも映画『サウンド・オヴ・ミュージック』にて、
トラップ大佐とつきあっている美女・男爵夫人を演じた、
エレノア・パーカーという銀幕女優がいたからです。エリノア・パーカーと記されたりもする。

中1のときだったか、この映画をビデオで見て、
(……はッ! この名前どこかで知ってるぞ! あ! テリィのお母さんの名前に酷似!)
と強烈に記憶に焼きついた。
華やかなアメリカの人気女優という経歴も、
実在のエレノア・パーカーと漫画のエレノア・ベーカーには共通項が多いので、
勝手な想像だけれども、原作者の水木杏子さんが
ハリウッド女優エレノア・パーカーを、
テリィの母親エレノア・ベーカーのモデルにしたんじゃないのかなあ、と私は思いこんでいる。

──さて、先日電子化した『コンチェルト・ダスト』にL・Kというイニシャルでちらりと登場する謎の医者、
『黒十字サナトリウム』でレオニド・コルガンとして登場する男と果たして同一人物か……?
と、おぼしき彼につきまして、
「レオニード・コーガンという実在のヴァイオリニストをモデルにしてる?」
と聞かれた。
私は甚だ困惑した。

そもそも黒十字のレオニドはヴァイオリンを弾かないですし。

「え……知らない。誰なの」
「モデルほどではなくとも、インスパイアされたと言う意味で」
「いや、そのヴァイオリニスト、私は初耳です」

レオニドとは、ウクライナをはじめロシア語圏で珍しくないファーストネームである。
(だから実在ヴァイオリニストのLeonid Koganについて掘り下げてみても、
今後のコンチェルト・ダストの展開が見えてくることはない。)

「弦楽器を習ってるのに知らないの!?」
「あ……ごめ……勉強不足で……でも私が習っているのはチェロだから……。ヴァイオリンはチェロの親戚だけど知らないことはいっぱいある。そもそもチェロについてまだまだあなたのこと私いっぱい知りたいのという段階なので……」

音楽を習わなくてはならない決まりが課せられている世界でもなく、
趣味でやっている弦楽器、その中でどの楽器を習うかを決める時点で、
チェロを選んでいるのには、それなりの理由が私の中では明確にあるのだ。
かさばって移動がきついし、楽器自体も弦もいちいちお値段が余計に張るのに、
つましい生活の中でなおチェロをとりわけ好いている理由が。

むろんヴァイオリンも相当好きだが。
立って、あの姿勢で演奏するのがデフォルトというヴァイオリンの仕様が、
頸椎ヘルニアのせいでほぼ常時、首痛いマンの私には骨格的に無理ゲーがすぎるという、
大きい一因もある(しかし、それだけでもないんだ)。

そんなこんなで、初めて知ったLeonid Koganについて軽くググってみることに。
なるほど呆気ないほどすんなりYoutubeでLeonid Koganの音源がわんさか出てきたので、
ひょんなめぐりあわせで、聞いてみています。
指が走り気味の軽快な弾きかたで、どれも練度が高い。

→楽天Koboでも配信開始となりました。
『コンチェルト・ダスト』 新装電子版




共通テーマ:

本丸博に行ってきた@池袋サンシャインシティ [は行]

2020-01-16 14.29.13trimming.jpg

先週ですが、本丸博に行ってきました。

とりあえず刀剣男士の跪坐を、通常と極版とそろえて、
軽装と5周年記念の集合絵もいれた画集としてね、
(イラストレーターさんの非公式5周年祝画もできれば込みで)出してください。
……というか出るよね?
出ないわけないよね?
そう、ぼやきながら掛け軸絵を見ていました。

印刷がとてもきれいで、目の色とかまでじっくりゆっくり確かめたいのが本音なのだが、
圧倒的に小柄な女性客が多い中、
わりとのっぽで、ことによったらそれだけで威圧感も少なからず有るんじゃなかろうかという自分が、
絵の前を長く塞ぐわけにもゆかぬ。

小柄な女性がカメラを構えて張りついていてもうるさく感じないけど、
私は、さらっと流し見する程度にとどめるように心がけねば、と。
画集……画集がほしいよ……
念仏のように友人に零して終始、やり過ごした気がする。

誘導係の人が「慌てずにお進みください、推しは逃げません」
と呼び掛けて、小さな笑いを誘っていたけど、
私は特定の推しを目指していっているというよりは、むしろ箱推しに近い。
いや……あの……全員が自分の推し目当てに押しかけているとも限らないんです……。
苦笑いを禁じ得なかった。

おそらくは印刷がとてもきれいであるがゆえに、
存在としての影を紙面に定着させられ、封じられた付喪神の姿をズラッと晒している構図にも感じ、
あれ、これどちらかというと痛々しい展示仕様じゃないの……?
あまり気持ちよく見ていられずに、
はやく解き放ってやりたい気持ちがうっすら芽生えて、まじまじと正視する気がおこらなかった。

昔話にあるじゃないですか、夜な夜な掛け軸から出てきて歌う鳥が、
昼には掛け軸に戻っているという噂で、
ためしに掛け軸に矢を射ったら、その晩から二度と出てこなくなった……という。
(そのくらい跪坐の掛け軸の印刷が綺麗だったという事ですけどね……。)

「とある本丸」のジオラマに、バラ園や神社や聖堂があるのが興味深かったです。
付喪神って信仰の対象になりうる以前に、彼ら自身がなんらかの信仰をもちうるんですね。
持ち主の……あるいは作り手の影響も受けつつ。
刀剣男士(付喪神)は自分に託された歴史や物語を、己の人生(刃生)として受け止めつつ、
その存在は現象的なのだな。

刀剣男士の居場所も色アイコンで誰なのか分かるようになっていて面白かった。

欲を言えば、『活撃/刀剣乱舞』『花丸1期』『花丸2期』のジオラマもあわせて展示してあったら、
より内容が充実しただろうかと。

活撃の、社食完備、薬研藤四郎が厩の近くの清水で顔を流したり、
三日月の部屋には御簾があって、やたら豪華で風通しが良さそうだったりする、
そのわりにひょっとしたら大浴場がないのかもしれない謎本丸。
骨喰が薬研に食事を運んだ廊下や、蜻蛉切が寝込んだ一室や、
兼さんが陸奥守に当たり散らした庭先なんかは、
俯瞰でどういう立地になるのか、ミニチュア3次元で把握したかった。

花丸では近くに洞窟があるっぽいし、海も近そう。
作中で本丸替え……刀剣男士の増員にともない引っ越しをするエピソードもある。
そのあたりも踏まえた、引っ越し前・引っ越し後のジオラマがあったら、
個人的には、より各本丸の多様性と可能性を味わえて、楽しめたかな。
ジオラマ周辺の混雑具合も分散しただろうし……。

刀剣はもっといろいろ飾ってあるのかなと思っていたのですが、
三日月宗近の復元(写し)と、蛍丸の影打ちの展示にとどめてあった。

三日月宗近の復元は、噂には聞いていた。
刀の時代でもなく、本物が東博にあるのに、なぜ復元する意味があるんだ、
と、当初私は快く思っていなかったくちである。
が、一見して即座に、「あ、こいつは三日月宗近……その写しだ」
素人にも一発で分かる出来栄えなのがすごかった。
三日月が時代を越えてとがれて、すり減った部分を補完するかたちで、
うぶの三日月宗近(の写し)にお初にお目にかかるのにもかかわらず、
あ、こいつ三日月じゃん……!
煮ても焼いてもこいつは三日月。
パッと見だけで、そう感じさせるあの出来栄えは、何が肝だったんだろう。
(間近で張りついて鑑賞できるタイプの展示ではなかったので、言い当てられない。)

蛍丸の影打ちは正直ピンとこなかった。
影打ちというのは、厳選した最後の一振となる真打ちの、その控え。
いうなれば最終選考落ち・控え選手の立ち位置だから、
一見して心を奪うまでの出来映えとは言い難いのか。
(蛍丸復元プロジェクトには、蛍丸が現在行方不明ななこともあって、
私はものすごく肩入れしていたんです……。)
そういえば蛍丸は刀剣乱舞で当初から初登場時に、
《じゃーん、真打ち登場ってね!》と言うんですから、
いまとなっては本当に意味深に感じられる、感慨深い。

ちなみに、池袋サンシャインシティ。
私が小学生の時はサンシャインが日本で一番高いビルだった時代もあったくらいで、
小学3年の時、親が入院していた新宿界隈の病室からでさえ、
ひときわくっきり浮かび上がってみえる高い建物だった。
華やかで最先端の建物なのだろうという期待と先入観があったし、
サンシャインの水族館と言うと、日本で数少ないマンボウがいた水族館だったかと思うし、
プラネタリウムがあったり、おしゃれスポット代表格的なランドマーク……。

現実の池袋サンシャインシティは、天井がかなり低いんだな……という印象だった。
(もとをただせば巣鴨プリズンの跡地で、東條ら戦犯が死刑執行された現地。
おしゃれ施設として名をはせるより、負の歴史で見せるほうが魅力が深い気がする。)

池袋の街自体が、
「池袋ウェストゲートパーク」「デュラララ」「輪るピングドラム」とかの舞台になるのも納得の、
いわゆる雑多で、ごった煮風味で、なのに新宿とも渋谷とも上野とも違っている。
立川と中野の一部分に似てもいるのだが、ハリボテ感がとても強い。

タバコの吸い殻は道端に結構おちてるし、
通り過ぎる喫煙者が少なくないし、
駅の西武と東武デパートくらいしかまともに行ったことが無かった、
池袋ほぼ初心者の私にとっては、
元気をもらえるというよりは、消耗する街並みでした。

『コンチェルト・ダスト』新装電子版できました(ダウンロード販売開始)  [ニュース]

コンチェルトダスト電子版表紙縮小ver.jpg

『コンチェルト・ダスト』新装電子版
アマゾンKindleと、Boothでダウンロード販売開始です。

・Amazonキンドル商品ページ→https://amzn.to/2N4vc0q
・Booth商品ページ→https://bcsanatoriumpub.booth.pm/items/1759494
(追記:現在Boothでは取り扱っていません。Amazon kindle あるいは楽天Koboでダウンロード購入できます。ハードカバーの初版単行本(早川書房)も入手可能です。)

『コンチェルト・ダスト(早川書房)』ハードカバー単行本を、
電子版に加工するため、ちまちま自主制作してきましたが、ようやくです!
このブログでもデザインの進捗など、一時期たびたびアップしていた。
あれ結局どうなった?……と思われていた方もいらしたのでは。

実は年末にはアマゾンキンドル側に作品の登録を済ませ、
一月一日から購入可能になる、という腹積もりでいたのだが、
著作権等にまつわる事務手続きに、少し手間どった。

その間にBoothのほうも用意しました。

現在、新装電子版がダウンロード購入可能なのは、
アマゾンKindle(mobiファイル)と、
Booth(epubファイルとmobiファイルの同梱)です。
半年以内に、楽天koboでも読めるようにしたいです。

表紙絵は、当初このブログで「化粧扉」として進捗披露していたものを、表紙絵としました。
「表紙の予定」と見せていた『ヴァイオリン奏者』を加工したものを、口絵(化粧扉)とした。

なにしろ表紙絵にしようと思っていた『ヴァイオリン奏者』が、
サムネイル画像になると、ひたすら暗い画面にしか見えず、よくわからない。
かといい、これ以上いたずらに明度や彩度を加工するのは避けたかった。
口絵と表紙絵を入れ替えてみたところ、意外にもしっくりきて、
むしろなぜ当初からこうしなかったのだ、自分よ……。

些末なことだが苦労した点を一つ、編集後記的にしたためるとするなら、
特定の行間に使っているセーニョの音符記号、
Music-segno(1).png
こいつがキンドルのリーディングシステムで表示できない点でした。
◆の上に?記号が白抜きで入った状態で出てくる。
要するにエラーマークが。

『コンチェルト・ダスト(早川書房)』ハードカバー単行本においては、
回想シーンが挿入される、その切り替え地点に、セーニョの記号を入れています。
セーニョの記号を使っていた理由は、音楽が題材の一つになっている小説だからと。
又、またセーニョというのがD.S.(ダルセーニョ)と対で使われ、
曲頭ではないところに戻りたいときの標として使われている、繰り返し記号の一種だからです。

作中、セーニョ記号で切り替えている部分は、
主要登場人物がのちのちまで、かえすがえす繰りかえし反芻する内容にあたる。
用途としてこれ以上適切な記号はないと選んで使っていました。

が、Kindleでこの文字コードが反映できない。色々チャレンジしてみたが無理だ。

リーディング用アプリをうたって大々的に展開しているなら、
いかなるたぐいの特殊文字や記号・符号であれ、
文字コードで入力できるものは全て表示できなくて、何の意味があるというのだ……Kindleよ……。

で、次には画像として入力しようと試みた。
(このブログも画像挿入で表示しています。)
が、なにぶん小さい記号一文字。
KindleのMobiスタイルであれ、epubであれ、リフロー形式で文字サイズを変えられるのが利点なのに。
画像はめこみは、文字とそろってちゃんと機能してくれない。

そもそも日本語の使用可能フォント自体が少なすぎるから、
字下げ等で対応している箇所も少なくない……。
(英語フォントは、かなり豊富に取り揃えられているらしい。)
おそらく日本の電子書籍市場でもっとも多いのは漫画。
漫画は画像をはめこんでいるので、フォント対応が必要ない。
リーディングアプリ側がフォント機能と文字コードを充実させようと、取り組んでないんだな(怒)

で、苦肉の策として、†(短剣符・ダガー)を代用しました。
†は、これまでも私は他の作品で常用してきている。
『コンチェルト・ダスト』の同作中でも使っているので、違和感は全くない。
むしろセーニョ記号と比して、一般的になじみもある。

短剣符は、
「もともとローマ・カトリック教会の典礼書において、
聖歌の楽譜の中の小休止を示すのに用いられたのが起源であると言われる」(Wikipedia)
とのことだから、今回の作品の題材と、大きくかけはなれてはいまい……。

……ということで、現時点では折り合いをつけました。

今回、「電子版あとがき」をつけています。
初版刊行からすでに6年が経ち、当時私はつまびらかに解説するべきではない、
わかる人に読み取ってもらえればそれだけでかまわない、
と考えていた箇所に関して、
この「電子版あとがき」で、ところによってはかなり真っ向から掘り下げて、解説しております。
ある程度の冷却期間をおいて、作品について客観的に語ることに、それほど躊躇がなくなった。

このたびe-book化するにあたり、再編集しています。
──やはり単行本ハードカバーの美しい装丁にまさるものはあるまい──
と考えているので、
再編集によって、せめて電子書籍のデメリットを補えるくらいには、
本全体の質が向上するように、内容・デザインの両方において、
作者個人ができる範囲に限られますが、できる限りつとめました。


共通テーマ: