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『チェルノブイリの祈り』無料配信 [た行]

『チェルノブイリの祈り』
https://younganimal.com/episodes/edb92366c448f
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ (原作) 熊谷雄太 (漫画) 今中哲二・後藤一信 (監修)

2話まで無料です。
私は無料の2話分だけ読みました。
内容を大体、知っているはずなのに、2話を続けて読んだだけでガチで泣きました。恐怖とか、悲しみとか、なんかいろいろで。

絵も、地の文とのバランスなども素晴らしいコミカライズ。
ノーベル文学賞受賞作家のノンフィクションを漫画化しており、内容がしっかりしていることは言うまでもないので、情報をシェアします。
だけどこれ……続きを読むのは、本当にきついというか、しんどいね……。

(個人的には同じスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ原作のコミカライズ『戦争は女の顔をしていない』よりも、ずっと秀逸な漫画化だと思います。単純に私が『戦争は女の顔をしていない』のソビエト描写にどうも今一つ感情移入しきれないところが多々あっただけかもしれないですが。)


共通テーマ:コミック

ChatGPTに聞いてみた…… [た行]

私──中里友香作の『カンパニュラの銀翼』について聞いてみた。
次のような(デタラメの)回答を得た。
以下、画像をクリックすると拡大します。

その1)
ChatGPT1.png

続き)
ChatGPT2.png

そのまた続き)
ChatGPT3.png

かすってすらない。
惜しい部分すらない。捏造が甚だしくて怖い。
本当にこれっぽっちも似ている箇所すらないので、言葉上は一見、立派で饒舌でありながら、ツラツラと、からっぽのデタラメを並べたてるのが、かなり異様。
平然と嘘を述べまくる、したたかなサイコパスに見えてきて気持ちが悪い。
こいつはデタラメしか答えられないのか?

『カンパニュラの銀翼』に日本人は出てこないし、異世界ものではないわけだし、もういちいち指摘するのも嫌気がさします。
「回答に必要なだけの情報量が足りません」とか答える、愚直な奴のほうがまだましだ。

アドレスに至っては次から次へと最後までデタラメを別パターンで提示しつづけて、正しいのはこちらでした、と言い張る。
言葉は完璧に通じているのに、話が全く通じない。
たまにこういうタイプの相手にリアルに出くわすと、怖いんですよね。

私の小説が有名ではないからで、致し方ないのかもしれない……
と思いなおし、太宰治の『斜陽』について尋ねてみた。
以下が回答。

その1)
chat GPT斜陽?.png

続き)
chat GPT斜陽?1.png

そのまた続き)
chat GPT斜陽?2.png

後半、私が切れ気味に、苛立ってきているのが分かると思います。
こういう対応をされていると、こちらの性格が悪くなる。
これ、「斜陽ミリしら(斜陽を一ミリも知らない)」という人が見たら、私のほうが100%悪者に見える。しかし相手が人語を操る以上、不正確な回答をここまで重ねられると、不誠実に感じてくるわけで。こっちは血が通った人間なんだ。

太宰の『斜陽』ならばと期待していたのに、まず発表年からして頓珍漢な回答。
一回目の回答は没落貴族、という部分だけが独り歩きして、とんでもない三文小説になってるし……。
二回目の回答に至っては、何一つあっていない。なぜそこで三島由紀夫が出てくる。

どちらも「教師」設定で、太宰の小説で、主人公や語り手が教師だった例はないので、本当に何を根拠に教師という設定を引っ張ってきているのか。夏目漱石ならまだしもよ?

ちなみに太宰治の『斜陽』については、このブログにアップした分だけでなく、あの手この手でトライしてみているのですが、毎回、回答が違っていて、正しかった例が一度もない。

太宰の『斜陽』でこの有様なのだから、回答の信頼度が、著名であるか否かに呼応しているわけでもない。何なの……。

懲りずに太宰の『走れメロス』で試してみた。

chat GPT走れメロス.png

親友のセリヌンティウス(男性)が、メロスの恋人で町一番の美女になっているし、「妹の結婚式」という肝心の部分が抜けているしで、色々とっちらかっている。
が、『カンパニュラの銀翼』や『斜陽』については、何の話をしているのか原型をとどめていなくて、もはや謎……。
それらと比べれば、間違いだらけだけれど、一応こちらは『走れメロス』について話そうとしているのは伝わりました。セリヌンティウスを恋人設定に間違っちゃう感じも分からないではない。
彫刻家セリヌスじゃなくて、そこ、セリヌンティウス……。
この誤情報はちょっと面白かった。

東京のダフ屋が歴史をさかのぼること百三十年前に結成されていたとは [た行]

先日、5月21日ラニバ30th@東京ドームのライヴについて書いたときにも言及したが、電子チケットと本人確認の徹底で、ダフ屋が一掃され、全く姿を見なくなった。

ダフ屋は2017年4月のライヴの時にはまだバリバリに居ました。
→ラニバ25th@東京ドーム4/9
https://blackcrosssanatorium.blog.ss-blog.jp/2017-04-11

……と思っていたら、こんなLivedoor Newsの記事が。

関東の古参“ダフ屋”暴力団が解散へ 電子チケット普及で仕事なくなり、コロナ禍も影響
https://news.livedoor.com/article/detail/22580472/

私はチケットをダフ屋から買ったことはないし、ダフ屋に売ったこともないけれど、
「買っても偽装チケットで座席は無いらしいよ」という噂と、
「本来の価格よりものすごく高い値段なら入手できるらしい」という話、
「重複チケットは安くとも買い取ってもらえる」等々。
ダフ屋にまつわる情報……常識?……はいつだってそこらへんにありました。
ネットがない時代から。

ちょっと前まではそう、チケットぴあと、ローソンチケットと……と複数に申し込まないと入手できないのが常識だった。で、当たるときは概して、複数チケットが当たる。
結局、余った分は使い道もなく、譲渡先もうまく見つけられず、お金も席も無駄にせざるをえないことが珍しくなかった。その分があればグッズ購入等に使えたし、その座席で来たい人も入れたのに……アーティスト的には同じ実入りかもしれないけど、意味が違うではないか……。
昨今はチケットの再分配ができるようになってきたから、本当に便利になったのだ。

ダフ屋の、人を見る目には本当に鋭くて、
──なんで私がこのコンサートに行くってわかるの……!
という、ピンポイントで声をかけてくるあれ、あの人間観察、何をポイントに見極めていたのだろうか。知りたかった。

結局のところ私はチケットを持っており、ライヴ会場を目指しているという部分は見抜かれているけれども、ダフ屋を必要とはしていない、という点では、彼らは外してはいた。
それでもいつも、かなりいい線は行っていた。

「太宰治氏 情死か?」1948年NHKアーカイブス [た行]

42秒の中に情報量がすごい。
思うところがたくさんありすぎる……。
玉川上水がなじみ深いこともあり、味が無くなるほど咀嚼したネタなのに、当時の空気感がかなり生々しくて結構衝撃です。当然のことながら当人の没後に知った作家だから、ああこの日までちゃんと生きてたんだなあと。



音楽が邪魔なんだが、当時としては、こういう劇場的に取り扱われるニュースだったんだなというのも同時にすごく伝わる。まだ遺体が見つかる前だから、切迫感もあります。
太宰と関係があった女性は今ではほぼ全員写真が見られるんだが、山崎富栄さんは、ずば抜けてキリっと垢抜けてて、同性からすると、かなり洗練された美人に映る。
当時の写真って、今ならもっと綺麗に映せたのでは? ……みたいな映りが常なのに。

山崎富栄は新婚10日余で夫が兵隊に取られて亡くなった戦争未亡人で、たしか美容院と美容学校の経営に携わっていたんじゃなかったか。その時にモデルとして日本髪を結って着物を着つけたときの写真が、ニュースで公開されたせいで、芸妓だという印象を世間が受けて、遺族があらぬ中傷にさらされたと何かで読んだことがあります。

なんだかんだ作家仲間が詰めかけて太宰の安否を心配していて、太宰はいじられキャラを率先して演じていたし、みんなそれに乗っかって太宰をいじりまくったけど、愛してたんだよね……太宰は愛されてたんだよな、良しにつけ悪しきにつけ、太宰が好むと好まざるとにかかわらず……と思わずにいられない。
惜しい。

積み円盤が消化できない [た行]

録画した映画がどんどんたまるとか、配信映画のウォッチリストが60を越えて来たな(消化していく予定はない)とか、それらはあまり気にしていない。

が、物理的に購入したDVDを積んでいるだけで、パッケージすら開封していないことに関しては、なんとかしたいと思い続けています。

ものによっては20年近く放置している。
Band of Brothers(バンド・オヴ・ブラザーズ)のDVD BOXなんですけど……。
カナダの空港で買ったんですよ。物凄く見たいと思い続けているのに。
わかってるんです大体の内容は。だからこそ、これは気力満タンな時じゃないと見ていられぬやつ……と思い続けて20年近くです。テレビシリーズだから長いですし。

さすがにBand of BrothersのDVD BOXは極端な例だけれども、物理的にスペースを圧迫させてもかまわないから欲しい気がする……と購入したにもかかわらず、放置しているものがある。
やはり映画館に行ってまで見ようと思わなかった時点で、無駄だったんだろうか。
でも公開のタイミングを逸してただけだし……。
なかには私が子供時代に放映された、大人向けの映画とかもあるし。

単純に、30分を2時間分ではなくて、みっちり2時間を確保する時間配分が不得意なんです。
細切れ時間を使って自動モードでソシャゲをするとか、30分アニメを4本、見るほうが、映画2時間分を融通するよりずっと簡単ですものね。
読書のほうが時間的な融通は断然つけやすいのは、言うに及ばず。

……というわけで、自戒を込めて、物理的な積みDVD&Blu-rayだけでも、ここにリストアップしておこう。
見たら、追記で記録しよう。
感想を書こうなどと出来もしない、滅多にやりもしないことを思わないこと。

(順不同)
レヴェナント
イノセントガーデン
ヒトラー暗殺、13分の誤算
ブルーベルベット
Shape of Water
Crimson Peak
Age of Adaline
The Dressmaker
Cloud Atlas
Homo sapiens

英語表記はAmazon UK等で購入した英語版。
日本語表記は日本語字幕付き。
映画じゃないものを入れたらもっとあるが、ひとまずは映画からだ。

しかし、そんなにたくさん積んでいるわけでもないのに、なぜ見る気にならないのか……。
ある種の作業みたいに「こなしていく」感覚で見たくないからなんです。
きちんと向き合いたいと思っているからなんだ。

物にもよるが、1本見たら、3日くらいはその映画のことを考えて眠りが浅くなるんじゃないかと危惧しているからこそ、容易に見る気が起きないでいます。

又、現時点でなぜかわたしはここ2年くらいずっと、ウィンターズ・ボーン(2010年の映画)を見たいと思っていて、ところが全然、見る機会に恵まれない。
大抵「これは今視聴できません」状態だし、正規品も正常価格で入手できないんです。

あ、今ならU-NEXTで見られる……?

追記


『刀剣 もののふの心』展に行ってきた [た行]

14日木曜、野暮用で都心まで出たついで、六本木のサントリー美術館まで行ってきた。

東京は新型コロナの感染者数もぐんと減ってきていて、今がチャンスと出向いた目的は、
「刀剣 もののふの心」
サントリー美術館は六本木東京ミッドタウンにある。
ここに出向くのは実は私は初めてで。というかいつできたの東京ミッドタウン、知らんぞ。
ググってみたら、防衛庁本庁檜町庁舎跡地の再開発事業として、2007年3月30日に開業。

へー。最近こういうの多いですね。
オフィス街の中にショッピングモールとか企業とかマンションとかホテルとか医療施設、そして美術館などが入っている、ちょっとした国際空港チックな施設。
サントリー美術館は、かつては赤坂見附にあった。

個人的には、サントリー美術館ほどの美術館ならば、複合施設の中にあるより、別個の建物であってくれたほうが好きだ。
この手の複合施設の中に入っていると、広さや構造が初見では非常に把握しにくい。

アクセスは無類、良い。
この施設の存在意義すべてが、アクセスの良さに特化している。
私は本郷三丁目から丸の内線荻窪行きに乗車。
霞ヶ関で日比谷線の中目黒行きに乗り換え、六本木に。
8番出口から直通でサントリー美術館に到着。

本郷三丁目から一度も嫌などぎつい日光に当たらずに(雨ならば傘をさす必要もなく)、ロス時間がない。この手の駅直通の複合施設が、どんどんできるのは分かります。

ミッドタウンの施設内は全体的な空間の使い方、オブジェの質とかが、十年余前にスイスのチューリッヒ国際空港を利用した時を思い出させる雰囲気でした。
昨今、ユニバーサルレベルでどこも割となんか同じ感じなんだね……便利だけど……。

くわえて東京ミッドタウンは、とにかくスケルトン仕様なんですね。
エスカレーターも、ベルトコンベア部分を除いて手すりが全部スケルトン。
手入れが行き届いていて、ガラスが濁っている部分が全くなくぴっかぴか、特殊なガラスなのか反射もほとんどしないから、本当に何もないみたいに見える。

私はミモレ丈スカートの裏地の裾がちょっとめくれたので、エスカレーターに乗っている間、ちょっとかがんで裾のめくれを直した。
視線を感じ、見ると、はるか下の人が振り仰いで「何やってんだ」という目で見ていた。
はるか下からエスカレーターに乗っていて裾を直すのがまる見えなほどスケルトン。
ミニスカートの女子とかだと、大丈夫なんかな……?

私は高いところ大好きなお馬鹿さんですが、嫌な感じのめまいを引き起こしそうに、手すりも何もかもスケルトンで、鋭利で無機質な見晴らしが良すぎる造り。落ち着かなかった。
そんなこんなで東京ミッドタウンのガレリア3階サントリー美術館の受付に到着。
午後四時頃だった。

音声ガイド無しを選び、入場料1600円。
今回、音声ガイドを刀剣乱舞の骨喰藤四郎の中の人がやっているので興味はそそられた。
ただやはり自分のペースで展示を見たいのと、現在感染者数が減ってはいるものの、まだ新型コロナの感染に油断できない時勢であって、首から上に直接装着するものをレンタルするのに、抵抗感があった。

さてサントリー美術館に入りまして、展示品の写真撮影は禁止です。
入場口が非常に狭く、けっこう小さい?
……と思った目算が、誤りでした。
間口が狭いからわからなかったが、入ってみると、
……これは結構広い。
荷物を美術館のコインロッカーに預けなかったのは失敗した。

展示内容の中で、私のおもな目当ては、刀剣乱舞とコラボもしている、
・大覚寺の膝丸(別名・薄緑)、
・建勲神社の宗三左文字、
・豊国神社の骨喰藤四郎(委託所蔵元は京博)、
・京博の秋田藤四郎
です。

お初にお目にかかりますなのは、大覚寺の膝丸と、秋田藤四郎です。

私は刀剣乱舞の公式壁掛けカレンダー使っています。
今年の9月と10月は刀剣乱舞の膝丸のキャラと一緒に、膝丸の刀身が大きく載っているんですが、カレンダーの膝丸は箱根神社の膝丸(別名は薄緑丸)。
信仰の対象にもなっている刀剣なので、部外者がとやかく言うことは控えたいですが、正直カレンダーを見たときに、あれ、なんかこうもうちょっと……?

(箱根神社の膝丸/別名:薄緑丸は、一説によると江戸時代後期になってから膝丸と呼ばれるようになった刀とか。源氏の重宝膝丸の言い伝えを受け継ぐアイコンとして、人々に親しまれてきていると。)

では大覚寺の膝丸(別名:薄緑、重要文化財)は果たしてどんなだ。
膝丸は一つのショーケースに単身で島の位置に展示されていた。
裏も見られるスター展示。

単刀直入に言って、とても良かったです。

全体的に刀身が暗い色で、優雅かつ雄壮な腰の反りと伸びやかな姿で、すらっとしており、美しい以上に、身が締まってキリリとした感じで、かっこいい。
いわゆるこれが関西地方で言われる「シュッとしてる」の権化だな。

樋(ひ)が入っている。これが作成時の微妙なミス? 手癖?
樋がスーッと綺麗にくっきり一筋に入りきっていない。
樋の付け根から大きな拳一つぶんくらい、絶妙なカーブをうまくこなせずにハンドルを2~3回ほど切り返したみたいな、一直線の中にも重ね書きで書き足した補筆に似た跡が残っているのです。
優美に弧を描いた一直線になるはずの樋に、ズレかけたのを無理やり力技で軌道修正したみたいな跡が。
他が完璧な姿なので、微かな粗が目を引いた。
この樋の特徴のおかげで、美しいからこそ変哲もなく見えがちな刀剣の、大覚寺・膝丸として、確実に姿かたちを覚えられた。次は名札を見ずともわかるぞ。

宗三左文字とは今回、再会になります。
正直私には、江戸東京博物館・戦国時代展に来ていた時のほうが美しく映った。
信長が今川義元を討ち取った、戦利品としての証が、金象嵌で茎の部分に掘られている。
江戸博の時はその金象嵌が控えめに遠目にきらっと光って、合図されたように近づいてみると宗三左文字、だった。

今回は一つのショーケースに宗三左文字だけが入っており、これ見よがしなほどにライトアップされて、金の象嵌の茎部分がキラキラッに胡散臭いほど反射して光っている。
明らかにキラキラに光るように展示の角度をわざわざ調節して置いてある(と思う)。

刀の地肌をよく確かめたくも、刃の部分もライトアップを直に受けすぎていて反射して、わざとらしくキラキラしすぎで、じっくり眺めるのに不適切……。
キラキラだったので膝丸よりも、ちょっとした人だかりができていた。

https://twitter.com/sun_SMA/status/1440843362161070081/photo/1
こちらサントリー美術館のTwitter写真。
本当にこういう風に恥知らずなほどピッカピカに反射させて、悪趣味に見えた……。
(光らせておけば喜ぶだろうって、刀剣ファンが舐められているのか?)

骨喰藤四郎も特等席の個別展示。
こちらも私は江戸博・大関ヶ原展での時のほうが美しく思えた。
初めて骨喰に相見えた時、他の刀と一緒にずらっと並べられ、べた置きに近い状態で展示されていたと思う。
周囲の刀剣と比して別に大きくもないのに、抜きんでて目を惹いた。別格に綺麗で。
即座に目を奪われて、息を呑むほどだったんですけど、今回は単身ショーケースに入ってライトアップされているスター展示で、比較対象が間近にない。
となると、いささか刀身が脇差ゆえに太刀や打刀より小ぶりだから、やや物足りなく見えざるをえない……。

良かった点は、裏側が見られるところでした。
刀剣乱舞でもよく見える、龍の彫り物があるほうが表で。
裏側には役行者と思われる独特の姿が、表の彫り物と同じサイズくらいに掘られていました。その姿が、ちょっと怪しげでいかにも足利宝剣の名残をとどめる古めかしい意匠に思えた。

秋田藤四郎はやや離れた区画に展示されていた。
単独ショーケースに入ったスター展示の、膝丸──ややあって宗三左文字──骨喰藤四郎と来て、忘れた頃に出くわした。単独ショーケースに短刀が入っており、
「なんだろう、このみすぼらしい小さな刃物」
通り過ぎかけたけれども、いちおう近づいてみたら、秋田藤四郎だった。
本当に小ぶりで、正直に言えば、すごく貧相に見えるのだ。

同じ粟田口吉光の刀、藤四郎と呼ばれる短刀でも、東博にある厚藤四郎など立派なもので、怖いと思えるくらい分厚く勇壮、鎧通しの異名もなるほど然り。
それが秋田藤四郎は一見して同じ吉光の短刀だなんて到底、思いがたい。

吉光の短刀で他には包丁藤四郎を、骨喰藤四郎や蜻蛉切を見に行った江戸博・大関ヶ原展の折に、まだ包丁藤四郎は刀剣乱舞では実装されていなかった時分なので、さらりと見ていて、うろ覚えなものの、本当に包丁大だなと思った記憶がある。
その包丁藤四郎よりも、かなり小振り。

「折紙付き」の折紙なのかな、また仕舞われていた桐の箱なども一緒に展示されていて、大切に保管されてきた秋田藤四郎なのはよく伝わった。

江戸博に出張展示で髭切と並んで展示されたときに見た五虎退も、同じ粟田口の短刀で、あのサイズ感に少し似ているだろうか。
ただ、五虎退は地肌が綺麗で可憐な感じで品があると思ったが、秋田藤四郎は研ぎすぎて、すり減りまくっている。一見して使いこまれた道具の印象。
これが仮に一家の蔵から出てきても、折紙の書付や桐箱がなければ、うっかり処分しちゃいそう。

太刀や打刀など他の刀種と比べて、武士の短刀って、そんなしょっちゅう腹を召すわけでもないだろうし、然うそう使い減りするアイテムでもない気がする。
とすると、実際はわからないが……秋田藤四郎は持ち主に大事にされていて、頻繁に不必要なまでに研がれてきたのかもしれない……のかも?
持ち主が幽閉されて後年は病んでいた逸話も残っているし……。

何でも愛用されているものって一番ボロくなりやすく、端から見るとひょっとしたら一番みすぼらしく使い減りしているものが、えてして持ち主が一番大好きな物ですもんね。

今まで私が見てきた短刀は粟田口吉光に限らずとも、保存状態がたいそう良く、お姫様が輿入れで持参して代々受け継ぐ品なことも多いので、刀文も格別美しく、見栄えがした。
秋田君の使い減りした、か細さには、意表を突かれました。

今回のもののふの心展、刀剣乱舞に出てくる刀剣以外で特筆すべき展示は、
剣(つるぎ)の「無銘・附黒漆宝剣拵」
これが良かった。なかなか、あそこまで美しい存在感の品には巡り合えないです。

膝丸が展示されているショーケースよりもずっと手前、わりと入口近くにあり、正直わたしは剣には興味がないから通り過ぎかけたのに、美の迫力に当てられて素通りできなかった。
柄の部分、持ち手が三鈷杵(さんこしょ)になっていて、剣ですから両刃です。

刃の焼き入れの加減なんだろうか、黒真珠の光沢をうっすら帯びた感じの剣の地肌で、別格の綺麗振り。
国宝だった。やはりか。国宝は議論の余地がなく立派なものが多いですね。

4階から第一展示室で、3階に降りて行く構造です。
3階に豊後国行平の太刀が展示されており(八坂神社の重要文化財)、永青文庫の豊後国行平(国宝)とは違って、ややすり減ってはいるものの、姿・形・佇まいが優雅で白い刃の白刃振りが美しかった。
たぶん私は豊後国行平の刀剣の見目がかなり好きなんだ、と自覚した。

今回、拵えも見事なのが揃っていた。
黒漆拵の硬派なのもあれば、蒔絵の金沃(きんい)に螺鈿で模様が入っていたり。

金沃懸地有職文螺鈿象嵌鞘衛府太刀拵
これが来ていて、とてもきれいでした。
展示リストには有職文衛府太刀拵という作品名で載っているかと。

ゴテゴテと飾りすぎない品がありつつも、充分に華やかで。
なにより螺鈿細工その他もろもろの造りが丁寧で、本当に良い仕事振り。
下げ緒の一部分?に分厚く花の刺繍が入っていて、見るからに宝物です。
間近で見るほどに綺麗で、貼りつくようにガラスケースを覗きこんで鑑賞した。

美しい拵えに重たい刀剣を仕込んで帯刀していた武士は、さぞや優越感があったろうなあ。
むろん武器を持ち歩いているわけだから、自分を律する気持ち、身の引き締まる思いと優越感とが、交錯していただろう。

昨今では士農工商というのは明治以降に作られた概念で、江戸時代に身分制度としての士農工商は無かった(単純に職業の区分けにすぎない)と授業で習うらしい。事実、内職で傘張りをして刀剣を売り払い、見た目だけの竹光を差していた武士とかも、ざらにいたわけだから、そうなんだろう。

それでも常時、刀剣を持ち歩いていた武士は、やはりある種の事実上の特権を意識してはいただろう。人によっては窮していたにせよ、武士は食わねど高楊枝です。志高く自己を律し、鍛錬に励むことを認められている優越感はあっただろうと今回かなり思いました。

お武家って、精神に支障をきたした人間をすぐに座敷牢とかに閉じ込めるのが、本当に良くないと思うんですけど、人斬りや自害の心得を伝授されている上に、常に人斬り包丁を腰に差しているのだ。
「気×××に刃物」という言葉があったとおり、精神錯乱すると危なくて仕方がない取り合わせだから、座敷牢に直行というのも当時の安全対策ではあったのだろう……。

今回の「刀剣 もののふの心」展、たまに異様に状態の悪い刀が、宝剣や重要文化財・国宝の展示物と並んでポツポツと展示されており、そこは薄気味悪かった。
スーパーモデルがオートクチュールを着て、ポーズを付けて写真撮影をする中に、パジャマの傷痍兵が点滴を下げ、血に濡れた包帯を巻いて一緒に混じっていたら。
見ているほうは心配になるでしょう。
なぜ状態が悪く、どんな経緯と意図で一緒に並べたのかの説明が欲しかった。

もののふの心展、私が行ったときはかなり空いており、場所によってはガラガラでした。
最後に6F展望室にある刀剣乱舞のパネルの部分に行ったのですが、行列整理のベルトパーテーションレーンが長々と配置されているのが、
これ……兵(つわもの)どもが夢の跡みたいになってるけど……?

二日後の土曜には、行列でけっこう並ばないと入場ができなかったらしいです。
新型コロナの感染が下火になったとはいえ密は避けたい(そうでなくとも混んでいるのは普通に避けたい)し、時間帯を選べる人は、木曜午後四時頃がおすすめかもしれない。

もののふの心 パネルJPG.jpg

宗三さんと秋田君は極めた姿にしてやってほしかった。
(個人的にこの二振は極めた姿のほうが好きだ。)

寄り道とはいえ、不要不急の外出が久しぶりすぎで、ブログがあまりに長文になって自分でちょっとびっくりしてます。

展開が雑 [た行]

固定電話に女性声のオートで世論調査?の電話がかかってきました。
「あなたは岸田内閣を支持しますか」
支持するは7を、支持しないは9を、わからないは0を押してください。

皆さんのところにも、かかってきたかもしれない。
私は0を押しました。
自民党岸田内閣発足は10月4日で、発足から一週間も経っていない。

この争点と、この争点と、この争点と、この争点について、今後どういう舵取りをしていくのか確かめてからでないと、支持も不支持も決めかねる……現時点では判断材料が少ない。
そう真面目に考え、投げやりなわけでも白紙投票的な意味もなく、0を押した。

当然私は「わからないを押した理由を教えてください」という質問が続くと思っていた。
──今後、支持するか支持しないかを決める判断材料になるのは、次の中のどれですか。
もっとも当てはまるものを3つまで答えてください──
……みたいな展開を期待していたんですよ。

「ありがとうございました、質問は以上です、電話を切ってください」
……ん?
冒頭で「全部で質問は9問です」と言ってなかった?

あー、そーなんだー。これは7番を押した人の中から、
「政策に期待できる」「人柄に好感を持てる」
などの項目があるだけなのでは?
あるいは9番を押した人の項目もあるかもしれない。
「政策に期待できない」「人柄に好感を持てない」とかの……。

これからきちんと支持するかしないか見極めたいと思っている者は、篩にかけて回答権を与えられないシステムなのか……。
それって非常に偏ったデータが世論として反映されませんか。

発足一週間足らずで支持とか不支持とか断言できるのって、関係者とか長年熱心に政治活動とかロビー活動をしてきた人とかでもない限り、むしろ頭からの決めつけ要素が高いではないか。

1クールアニメだって、大体みんな最低3話まで見てから決めるもんだ。
視聴を継続するか切るか。
判断材料に必要な最低限の話数ってのがある。
内閣発足から一週間足らずなんて、まだ予告PVとオープニングを見終わったくらいですよ。
キャスティングがあらかた発表になった時点で、1話のAパートすら途中ではないか……。

むろんタイトルとキャスティングとPVを見ただけで、
「これは見ない。自分向きでは全くないから」
と決められる作品もあるので、それだけで決めるやりかたも否定できない。
でもまだ腹を決めかねるとか、断言しきれない人を、完全スルーって何……。

チェインソーマンじゃなくて「チェンソーマン」 [た行]

「チェンソーマン」のアニメ化が決まって嬉しいな。

なんでこいつ今、突然チェンソーマンの話なんかしだしたんだ、エヴァはどうしたシン・エヴァンゲリオン劇場版:||の映画は。今まで初日に見に行っていただろう、
と思われる方もあるかもしれないが、そこはこれ新型コロナの感染を恐れて見にいけていない。
もっと優先すべきこと、参加したいことを自宅待機で済ませてきているのだ──。
たとえば1月末のHydeのライヴですらAbemaで配信購入&鑑賞した……。

大画面で音も良いデスクトップPCを夏にゲットしたばかりだったから、設備は悪くないはずなのだったが、現地あるいはライヴ・ヴューイングの鑑賞ほどには、やっぱり今一つノリきれない自分がいた。PC画面を前にしていると、知らない曲名とかは即座にググりたくなっちゃって気が散るし、自宅のPC画面に向かっていると、自動的にどっか仕事気分がぬけきらない。仕事部屋の自分の椅子で、電気毛布で足を温めながらだったりすると、気楽な反面どうしたって特別感が失せるのよ……。

「生死にかかわることでないかぎり、Hydeのライヴの時間帯は連絡をしないでください」と身内にも頼んでおいて、実際、視聴に集中できる環境にできたのにもかかわらずだ。
ライヴ会場での一体感や、ライヴ・ヴューイングでの浸り具合とは、やはり差がある。
自宅から視聴できたのはとてもありがたかったし、内容も良かったのに。
多分、リアルライヴ参戦やライヴ・ヴューイングの経験が皆無であれば、ネット配信でも充分満喫できたのだ。おそらくは。

とまあ、そんな感じに、他にもあれやこれやの用事を自宅で済ませているので、エヴァばかり例外にはできない。言ってみれば10年ほど待ってきているので今更ちょっとばかり焦ったところで大して変わらないよ……の境地。

映画鑑賞は感染リスクが極めて低いことは知っているし、映画館では感染対策も万全だろうこともわかってるが、2時間35分の映画となれば、道中もあるし、たぶんトイレに一度くらいは行きたくなる。現時点では、私は飲食とトイレを外出先では極力さけたいと思っているので、足が遠のく。

そんなこんなで昨今は映画鑑賞のかわりに圧倒的に電子書籍でコミックを読む機会が増えている。で、「チェンソーマン」。

小説本はすべて紙で買うが、漫画は「友人や身内にも貸して布教するんだ!」
と思う本以外は、電子媒体で買うようになってきた。保管スペースの問題があるから。
今まで紙で読んでいる作品は、引き続き紙の本にしたほうが絶対いいことは言うに及ばずなのではあるが。
なにしろ「夏目友人帳」や「将国のアルタイル」をためしに電子本で買ってみたら、それまで紙で慣れているので読みにくいこと甚だしく……あんなに大好きだったし今も大好きなのに購買意欲が萎えまくり、完結したら全部まとめて紙で買おう……と購読を保留・いったん中止するまでに至っているので。
「黒執事」も電子本が出たとたん、もうどうでもよくなった。
紙の本と電子本は、ライヴ会場とネット配信くらいの差があるものだ……。

「チェンソーマン」の場合は11巻でひとまず完結だし、電子版で一気読みするのに適度な冊数なので、読みおえたところに早々に、アニメ化決定が報じられた。で、今から楽しみにしているのである。

私の場合、どちらかというと原作至上主義になりがち。
アニメから入って漫画原作を読んだら原作漫画のほうが断然良くて……という原点回帰系・原作強火担にもなりやすい。
アニメが原作ならば、やはり原作アニメを至上としがち。
過剰で緩慢なオリジナルエピソードとか、オリキャラとかって、マジでなんで入れるんですか……?
原作エピソードがざっくり端折られて、内容が改竄されるのも呆気にとられて、悲しいが。

原作漫画よりアニメが良かったよね、とか原作漫画と同じくらいアニメも良かったよね!
……という作品は一つ、二つくらいしかめぐり合っていないのだが、これはアニメが原作通りにやってくれないことが多すぎるせいなので、「チェンソーマン」は原作をきちんと踏襲してやってほしいな。 
だけど原作のままテレビアニメでやれるのかな、これ……深い時間なら大丈夫だよね……?
あとは中の人(声優)のイメージ次第。

アニメから入って原作漫画を読むと、俄然、漫画のほうが面白く感じるケースが多いのは、おそらくアニメでしっかりキャラ付けされた声優のCVで、原作漫画のセリフを脳内再生することにより、白黒漫画に彩りが生まれてくるからだろう。

チェンソーマンの場合、これほどまでにセリフが声優さんの声で脳内再生されてくる作品も珍しいよ、というくらいCVのイメージがクリアであった。
私の脳内で再生されたCVと比して、実際のキャスティングがどうなるのか。現時点ではまだキャスティングが発表されていないので、実際にアニメ化されたとき比較参照するために、今のうちに予想CVをここにちょっと記しておこう。
(敬称略)
===========
デンジ:KENN
早川アキ:石川界人
パワー:小清水亜美

マキマ:伊藤静 or 能登麻美子

姫野先輩:井上麻里奈
レゼ:田村ゆかり
岸辺:藤原啓治
クァンシ:甲斐田裕子
サンタクロース:能登麻美子 or 伊藤静
吉田ヒロフミ:鈴村健一 or 宮野真守
天使の悪魔:上村祐翔
===========

この勝手にキャスティング予想のなかで、とくに岸辺が、読んでいるときに脳内再生余裕なキャラで、藤原啓治さん以外は考えられなかった。
が、藤原啓治さんは昨年4月に55歳で亡くなっており……。
とすると、岸辺は中井和哉さんがいいな……。
となれば、必然的に吉田ヒロフミは鈴村健一さんが良いなぁ。

ちょっとググってみたらアキ君を石川界人さんと言う人は複数、見つけた。
……というか石川界人さん以外の名前が出てこなくないですか……。
パワーちゃんを小清水亜美さんだと言っている人も見つけた。
だよね……!

「チェンソーマン」、特殊でかなりグロテスクな世界観なのにもかかわらず、ものすごくしっくりくる、かなりホームグラウンド的な居心地の良さがあって、懐かしくもある。

これは作者が大好きな映画作品のエッセンスが要所要所にちりばめられていて、それら映画を私も決して嫌いじゃないとか? と思っていたのだが、後半に1997年が舞台だとはっきりする。
……そっかーだからかー、世代ってやつかー。
都会は雑多で薄汚いし、日常生活の家電の中に、スマフォやネット回線や電子キーの影がなく、でも私からすると充分に現代の範疇に映る。
これは団塊の世代の人たちが「Always──3丁目の夕日」をどうやら無条件に身近に感じるらしいのと同じ原理かあー

と気付かされるのであった。

『チェンソーマン』9 巻発売記念スペシャルPV

https://youtu.be/VPB_J6Egi28

こちらはジャンプ公式Youtube。チェンソーマン9巻発売記念PV。
アニメ化もこういうテイストを大事にして作ってくれると、かなり嬉しいよ。


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鳥つながり [た行]

既にたくさん拡散されていて、
別に私がここに貼り付けなくてシェアをしなくとも、鳥好きには届いていそうではある。
短い動画なのだが、何度見ても良い。
ちょっと気がかりなことがあったときでも、
これを見ると、くすっとほころび笑いをしちゃうし、小鳥好きにはたまらん。

おっとっと、おおぉ?
みたいなノリで、相棒っぽい感じなのが一層かわいい…。
温かで柔らかで軽やかなのがチュイッ!ピゅーるりっ!とか鳴きながら、
リズムに乗っかり手元に引っ付いてくるなんて、うらやましい……ほほえましい……。



次の動画は別の意味で胸熱です。


Sparrowhawk attacks jackdaw, then gets mobbed
https://youtu.be/sJBIMwHDjXE

Sparrowhawkというのはハイタカですが、
日本でもおなじみチョウゲンボウ(ハヤブサの仲間)も、
Sparrowhawk(アメリカチョウゲンボウ)と呼ぶ。
アメリカチョウゲンボウはアメリカとカナダに居る。
(ちなみに私はチョウゲンボウをけっこう……いやかなり好きで、
黒目がちな表情や、ホバリングが上から糸で吊られたように正確で綺麗なのが魅力。)

動画は、街並みや路駐の車のナンバープレートからしてイギリスに間違いない。
だからここに写っている猛禽類はチョウゲンボウではなく、
ハイタカでしょう(見た目的にもハイタカだ)。
ようは猛禽類がjackdaw(ニシコクマルガラス)を襲っている。

ニシコクマルガラス(スズメ目カラス科)はカラスの中では最小の部類。サイズはほぼ鳩。
私の小説でも『コンチェルト・ダスト』でちらっと言及されている鳥で、
キラキラと光るものを集めるのが大好きな習性で、有名ですね。
壜の王冠だったりビー玉だったり。
時には家宝の大切なネックレスやブローチ、イヤリングなどの宝石だろうと、
見つけたら巣に持っていく。
カラスの中では多分一番人間に親しまれてもいる。

襲われて力なくバタついているニシコクマルガラス。まずカササギ2羽が助けに入る。
カササギというと「かささぎの渡せる橋におく霜~」のかささぎで、
日本では大変貴重で珍しい。
アメリカでも私が住んでいたところで見かけたことはなかった。
ヨーロッパでは珍しくないらしいこのカササギ(magpie)、カラス科なんですよね。
カラーリングがNikeのスポーツウェアみたいでスタイリッシュ。
サイズは尾長鳥くらいのはず。
ハイタカがニシコクマルガラスを押さえこむのをやめて、
自分に襲い掛かってきたらひとたまりもないサイズ。

カササギはハイタカを時には及び腰になりながらも的確に距離を取って攻撃し、
2羽で連携を組んで対応している。

カラス科は基本的に頭が回ることで有名だけど、本当に連係プレーがすごい。
いざというときの互助関係もすごい。
このカササギ2羽が善戦し、かつまた警戒音で周囲に助けを呼びまくる。
その間もずっと爪をたて嘴で攻撃し、ニシコクマルガラスを寡黙に押さえこむハイタカと、
ニシコクマルガラスが破れた翼を定期的にばたつかせつづけるところが、
生々しく痛々しいです。
これ、動画に写っていないガヤのカラスも「なにしやがんだ!」「てめえ!」「うせろ!」「ニシコクマルがんばれ!」ってな声援を大合唱しているよね。騒々しい。
一羽のニシコクマルガラスを犠牲にして自分らの安全を保つのではなくて、
種類を越えたカラス科総動員でニシコクマルガラスを救う勢い。

そこにぶわっと躍り出てくる大鴉先輩の頼もしさが半端ない。
ハシボソガラスか、あるいはワタリガラス(Raven)か、
見た目はRavenぽくもあるが、鳴き声からしてハシボソガラスかな。
(ハシブトガラスでないのは見て取れる。)
日本での鴉の嫌われ具合は相当なもんだし、
場合によっては私も嫌いになる時が少なからずあるのだが、
この動画の大鴉は本当にヒーローに見えます。

鳥は全員生きてばらばらに解散したとのことで、
レンズをもっと高画質のものと取り替えようとしたら、
決着がついてしまった、との説明がついている。

途中から飛行機のジェットエンジン音が大きくなるので、
「最後には飛行機も参戦してくるかと思ったぞ」
という動画につけられていたコメントには、笑った。

待望の実用化では [た行]

以前、このブログでも「リアルにハガレン・オートメイル」というタイトルで紹介したことがある、そのテクノロジーを使っているのではなかろうか?
だとしたら、ちゃんと実用化されているんだなぁ!



ジョアオ・カルロス・マーティン本人のインスタグラムで、動画を再生される方はこちらから。
https://www.instagram.com/maestrojoaocarlosmartins/?igshid=1gugf1xvcai4s
私はインスタグラムのアカウントを持っていないので、
ご本人のページからは再生できないのだった……。

リアルにハガレン・オートメイル」のブログは2009年7月2日付であった。
当時はロボットアームと呼ばれたりもしていたかと。
テクノロジーが実用化されるまでに10年はかかるのか……。

ちょっと動かせるとかいう、ぎこちないレベルではなく、
実際にピアノを美しく演奏して聞かせるレベルにまで到達している。
見た目も好奇の目を誘うようなロボットめいた感じは大分消えている。

より進歩し、いろんなことに応用して、
眼鏡やコンタクトレンズくらい身近な医療器具として、普及されるべきものですよね。
そうあってくれ。

もしかしたら、これから『鋼の錬金術師(荒川 弘著)』を読む世代の人たちは、
エドの腕を「ありえないができそう、夢のあるオートメイル」
という捉え方ではなく、
「エドのオートメイルって、生体グローブをスチームパンク化したようなやつでしょ?」
みたいな見方になっていくのかもしれないですよね。

『津軽』の乳母のタケさん [た行]


https://youtu.be/pVEiAkuU5_4
越野タケさん未公開映像を披露/五所川原
(東奥日報の関連記事https://www.toonippo.co.jp/articles/-/192657

撮影当時は昭和56年とか。昭和56年いうと太宰が亡くなってから33年ほど。
動画の越野タケさんは、そうすると、この2年後に亡くなっていることになります。
昭和56年当時は、この動画で語られている、太宰の妻の美知子さんは健在です。

昭和56年、私はというと生まれていました。はい。
まだむっちゃ幼少期だし、むろん太宰治を知らなかった。
まだ誰か親しい者、家族の死に直面することもない年代で、
その約3年後に直面してからは、子供ながらに人生観が「使用前・使用後(当社比)」になり、
いつも記憶をさかのぼり、年代を振り返るときには、その節目の年を目安に、
ああ、あれより前か……とか後か……と数える癖がある。

私が無邪気な幼少時代全盛期だったこの頃には、
こういう津軽の世界が、まだ現役で、現実と地続きでちゃんと残っていたんだなあ、と。

動画の津軽弁、キャプションがないと、わたしには聞き取れない。
何度か動画を繰り返して慣れてくると、普通に5割くらいはキャプションを見なくともわかってきます。
東北出身の人にはもっとダイレクトに伝わってくるんだろうなあ。

太宰の小説はモノローグの語り口がフランクで、
当時の他の作家と比して、持ってまわった小難しい言い回しがほとんど無い。
これは太宰が青森出身だから──つまり濃い津軽弁が第一言語、
いわゆる共通語は太宰にとって第二言語にあたるから、
と言われることもありますよね。

太宰は、住んでいた三鷹が空襲に遭って、
家族でまず、妻の実家方面の甲府に疎開する。
そこも焼きだされ、自分の故郷である津軽方面に妻子連れで、ボロボロな状態で疎開する。
太宰は、放蕩息子だったこともありつつ、
盲腸の手術をきっかけにバルビツール中毒になったあとは、
しばらく軟禁状態だったあげくに勘当されて、独身時代に生家からは既に縁を切られている。
だから命からがらの疎開でもなければ、まず故郷に戻れないんですよね。

そういう状態で津軽に疎開した一連の話は、ちょくちょく後期のいろんな短編に出てくるわけで。
そのへんの短編を読んだことがあると、この動画はかなり感慨深いものです。


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童子切安綱@東博忘備録 [た行]

ちょうど一か月前になるのか、
国宝太刀・童子切安綱にまみえんがため東京上野の東博に赴いた。
近くで用事があったので遠回りして寄ってみた。2月7日木曜のことである。

ONLINEゲーム『刀剣乱舞』では、
新刀種「剣(つるぎ)」である白山吉光(はくさんよしみつ)がこのほど実装されましたね。
重傷回復機能というヒーリング力が搭載されていて、
……刀剣乱舞もやればできるんだ! 喜ばしいね!

神聖なルックスにひきかえ、口を開けば圧倒的なロボ色の白山吉光。
皆さん大いに面喰らったのでは(……少なくとも当初の私はかなり面喰らった)。
見た目の期待値と、中身とが正反対。きたかこのパターン、刀剣乱舞のお得意技。

一期一振が包容力ある「いちにい」であるところが補強された一面も見られ、とても嬉しい。
白山くん、粟田口で良かったね……。
粟田口一族じゃなかったら浮きまくって、当本丸にすんなり馴染めたかどうか、
ゲーム審神者の私は自信がなかったよ。

実は前々から薄々、感じているのは私だけじゃないだろうけど、
一期一振ってひょっとすると粟田口吉光と名がつくと、途端にものすごく盲目的、
ものすごくザル勘定になるんでは? 
もう粟田口なら誰であろうと何であっても受け入れますぞ、粟田口吉光唯一の太刀である兄として!
という姿勢がもろ見えで、流石のいちにいであった。

この白山吉光がやってくるとわかるまで、
刀剣乱舞・新刀剣実装というニュースに、
「お? ついに童子切安綱くるか。いやいやあるいは石田正宗」
と、ささやかれても居たわけだが、その両方が東博に展示されていたのである。
見に行かなくっちゃ、であった。

童子切安綱──天下五剣であり国宝でもある。
刀剣乱舞では、大包平が回想で名前を出してはっきりと言及するので、実装は確定済み。
今のところは未実装で、どんなルックスと戦闘力とキャラ設定で出てくるのかは全く謎です。

たとえもし「刀剣乱舞」でゲーム審神者をしていなかろうとも、
一介のゆるい刀好きとして、この刀は私は絶対に見ておきたい。
東博にあるからといって、いつ展示の機会が巡ってくるともしれないし、
……季節が夏だったら、私は悠長に出歩けない……。
ゲーム内で実装されてからでは、きっと混むよね……。
本日は体調も気候も好ましくある……と、その日、せっせと足を伸ばしたのだ。

たどりつくまでの通り道、上野の不忍池では、ポールにいちいちカモメが休んでいて、
白い胸羽がふっくりして風にそよがれていて、愛おしい……。
失礼ながら、カメラを向けさせていただいた……。

一瞬、え……! なっ? みたいな感じに、私に反応して、
飛び立とうか、様子見する鳥たちなんですが、すぐに、
あ、この人はただの鳥好きだ……。
あ、この距離感の丁寧な詰めかたは、ただの鳥好き……。

ピリッとしかけた鳥はおのおの居ずまいを元通りにすんなりゆるめ、
居るよね、こういうただの無害な鳥好き人間って……
と、私は生あたたかく流し見されて、近寄るのを黙認されるのであった。
あ、なんか幸せかも……と私は涙ぐんだ。まじめに。

DSC_0701.JPG

雀、鶺鴒(せきれい)や、鵜なども居ました。

東博に着いたのは午後4時半前だったか。
5時には閉まるので、お目当てに直行します。
以前はもっと遅くまでやっていた気がするんだけど……。
(と思ってチェックしてみたら、11月1日が例外的に21時までやっていた。)

お目当ての刀剣に直行する、その刀剣部屋にたどり着くまでの手前に、
見事な鞍が。

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巴模様の螺鈿(らでん)の出来栄え、美しさ、これが平安時代作な事といい、状態の良さといい、
重要文化財なのも納得の風格です。
どんな貴人が使っていたのか。それとも飾り物だったのかなあ。

で、刀剣。
童子切安綱は、かつて三日月宗近が展示されていた、
私が勝手に三日月の指定席と思っている区画に在った(と思う)。
2018年4月には大包平が展示されていた、その隣にあたるかと。

正面に来たとたん息を呑む経験は滅多にないですが
(……たとえば私は三日月宗近には、そこまでときめかなかったのであった、
多分に、裏側展示されていたせいだと思うんだが。)
童子切安綱は存在の傑物感が並大抵でなかった。

三日月宗近(天下五剣)のすらりとした優美さと、
大包平(国宝)の威風堂々振り、
その二物を兼ね備えている、まごうことなき逸品なのが、素人の私から見ても、一目瞭然でした。

堂々と立派でありつつ、美しい。 
白眉。……といってもその存在感においてであって、
色としては白刃というより、鋼の黒が勝っている印象だった。

比較対象が無いので、写真だと良さが映りにくいかもしれないんですが。
大振りな一振りをまるまる映すのですら、困難なので(ファインダーの枠に入りきらない)……。
それにしても今回は写真がうまく撮れていなかった……。
一応載せます。

IMG_20190207_161824.jpg

IMG_20190207_161830.jpg

天下五剣でありつつ、かつまた国宝でもある童子切安綱が、
ゲーム内でどんな刀剣男士として実装されるのか。
ますます楽しみになってきました。

石田正宗は、先日、小龍景光が居たブースに在ったかと。
石田正宗を見るのは二度目です。
2015年春の大関ヶ原展で、
京都から骨喰藤四郎が、両国の江戸東京博物館に出張展示。
同時に、個人所有の蜻蛉切も同じ江戸博にやってきたときだったと思う。
石田正宗も来ていたのだ。
刀剣乱舞に実装されてもいないし、他にも数々の刀剣が展示されていたなか、
それでも石田正宗は鮮明に記憶に残っている。

刀の棟(刃ではなく背中側)に、二か所、大きな切込傷が入っていたからです。
物打ち(切っ先三寸の一番切れるところ)と、腰元(刀の反りが入る部分ですね)の部分。

当時、大関ヶ原展に行ったとき友人と、
「あっぶな~」
「ここで敵の刃を防いだのか、間一髪じゃん」
「しかも二回も! 打ち込まれて!」
と、言い合ったのを覚えている。
江戸博では、二か所の傷がよく見えるように展示されてもいた。

今回、屈みこんで見上げたら、その二か所の傷痕が目印となって目に飛びこんで、
……あ、いつぞやの! 君だな!

DSC_0724.JPG

DSC_0725.JPG

そのほか、加州(清光ではない)や、
来国光の太刀なども。この来派の太刀は茎の生(うぶ)っぷりが超きれいで、目を引いた。

長船派の小太刀があって、地肌は長船特有の華やかさで大層きれいなのだが、
体格のバランスがホビットみたいで異色だった。

南北朝時代の青江の太刀もありました。
現在、丸亀城にある、にっかり青江を、わたしは生で見たことがないけれども、
青江派、ものものしい威圧感があって、ちょっと大陸を思わせる身幅の広い、大振りで。
なめらかに釉薬をかけたみたいな艶感のある刀なんですね。
凄味があった。
にっかり青江も、もとはといえば大太刀だったのを、
時代に合うように大脇差にすりあげられたんだっけ……。

ミュージアムショップに寄りましたら、2018年秋に京都で大々的に催された、
──特別展「京のかたな」匠のわざと雅のこころ──
この図録が平積みで置いてあり、
ラッキー! 

価格で言うと、そこそこのお値段ともいえるけど、
刀剣の百科事典のように使える感じですらあるので、かなりの割安感でした。
当時、行きたかったけど到底行けなかったので、
このたび飛びついて買ったわけですが、図録すなわち写真集ですので、
良い紙を使っていて、見た目以上に重い。
こういう本こそ通販で買いたい。
だが少なくとも私がチェックした限りでは、どこの通販でも入手不可だったのだ。
道中、持って帰るのが重たすぎて、そこは正直かなりこたえた。

(いずれの写真もクリックすると拡大します。)

「伊達家の門」の補足と「白雪桜」からのグラデーション [た行]

ちょっと前に書いた続花丸の感想ブログの補足として。

3月末、小金井公園にてサラッと駆け足で花見をした際に、
ちょうど伊達家の門があって、写真に撮った。
今頃になりましたが貼っておきます。
人が映りこまないように撮るので、あまりきちんと撮れていませんが……。
これは間違いなくアニメ「続刀剣乱舞・花丸」の11話に登場した、
伊達家の門のモデルだわ。

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大正時代に建てられたとはいえ、
大正時代に建てられた建築物がすべて、大正時代的とは限らないですしね。
過去の伊達家の門を踏襲して、復元する感じで建てたものだったのだろうか。

伊達家の門は、いまやすっかり江戸東京たてもの園に組みこまれていて、
伊達家の門のいわゆる外側正面には、鉄の柵が張りめぐらされていた。
写真はいずれも、外側正面側から撮っています。
(このすぐ外側に柵がある。)

あの周辺で地べたに座って、写生会をさせられた当時を思い起こすと、
正直、わりと衝撃な状態ではある。

ついでに小金井公園の白雪桜も載せておこう。
(今更感は否めないが、ブログは周辺のタイムラインを気にせずアップできるのが強み。)

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私の書いた『黒猫ギムナジウム』に白雪桜が出てきます。
白雪桜は完璧に創作だったんですが、違和感なく「ありそう」と思えるよう意識して書いた。
本当に、桜の種類に白雪があるとは、良い線を行っていた……。

黒猫ギムナジウムは明治26年(1893年)から一年間の話なので、
この白雪という種類の桜が、荒川堤で見いだされたよりも、十数年ほど前の話になります。
ただ『黒猫ギムナジウム』に登場する少年少女は、
政府の(というか軍部の……というか鎮守府の)隠密部隊に居るので、
一般に知られるより先んじて、
白雪桜の存在と言い伝え等を継承している者がいても、
けっして無理はない……。

周囲が薄桃色のソメイヨシノが有る中で、
枝ぶりも特徴的で、ひときわ白さが映え、ゾッとする感じで美しかったです。

下は一般的なソメイヨシノ@小金井公園。
実際に見ると白雪桜と相当違って、こちらは中心部からほんのりやさしい薄桃色なのが、
写真でも伝わるかな。

IMG_20180329_155424.jpg

小金井公園にあった桜で一番、紅が強かったのは、
こちら下の写真の小金井薄紅で、一本だけありました。
濃淡が濃くて、
遠目に見ると桜っぽくないが、近くで見てドアップで撮ると色味が映えた。

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いずれの写真もクリックすると拡大します。
All Rights Reserved.

『ダンケルク』の映画体験 [た行]

映画『ダンケルク』見てきたんだが、公開中の映画については無料放送などではないし、
一斉放送ともちがって時差もあるので、
古い映画以外は、映画の内容についてブログに書かないようにしている(今回も書かない)。

単に私個人の映画体験の部分だけについて書いておくと、
私はこのところ映画館で全く映画を見ていなかったので、
刺激の強さが尋常ではありませんで、
軽くシェルショックレベルに疲弊した。

must-see movieであることは確かなのだが、
見るならば体調万全な時にいったほうがよろしいかと。
心底、真面目に、そう感じました。

画面が揺れて酔うとかはありません。むしろ美しい。
血とか内臓とか派手なスプラッタも皆無。
しかし音が、えげつない。音響が。

心身ともに「今日なら余裕でいける」という日に一人で行きましたが、
消耗すること甚だしかった。

だいたい映画を見ると、しかも戦争映画などの場合はとくに、
残酷だろうと苛酷だろうと、泣きはらそうと不条理に歯噛みしようと、
アドレナリンが出るらしく(当社比)
皮肉にも元気まんたんになって映画館を去るというのが、私の常なのだ。
ダンケルクはしかし、そういう私に活力をもたらしてくれる映画では全くなかった。

勇気をもらうとか、悲劇に涙するとか、
怒りに震えるとか、ショックに打ちのめされるとか。
はたまた人間の愚かしさに嘆くとか、
そういう感情に火がともるタイプの映画でなかった。

嘔気と腹痛が波状攻撃で絶え間なく打ち寄せてくるような音響(音楽とも効果音ともつかぬ低音)と、
壮大で圧倒的な絶景(戦争映画にもかかわらず、陶然となるほどの景色)との、
このダブルバインドが、どんどん感情を殺しにくるんで。

クリストファー・ノーラン監督がCGを全く使わず、生映像にこだわって撮影したらしいですが、
おかげで臨場感が異常。
初めて見る光景なのに、なんかわかるこの感じ、
というリアルな追体験を否応なくさせられます。

しょっぱなズキュンという銃声でまず私、ビクッて身を竦めましたから、文字通りに。
そんなリアクションしてるの映画館で私だけでしたが。皆なぜ平気なんだ。猛者なのか。
(ちなみに映画館は、 空いている頃合いを見計らって行ったこともあるが、十人ほどしか居なかった。)

昨日ラスベガスで銃乱射事件があったばかり、その報道を見聞きしたばかりで、
頭上から銃声が降ってくると、
胃がすくむ……常に気が抜けない。

天国と地獄の立ち位置が、戦況の風向き、自然状況の潮目の変化で、
あっという間に入れ替わることの連続で、
(精神的な)窒息と過呼吸が交互にくる息苦しさ。
苛酷でした。

以下、忘備録的な小さなネタバレ感想。



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梅雨になる前に [た行]

そういえば5月25日木曜日、江戸博に陸奥守吉行を見に行き、
その足で東博まで足をのばして、鳴狐と獅子王に会いにおもむいたのであった。

江戸博の最寄り駅・両国駅に着き、構内から出たとたんに、人だかりが。
このところ江戸博に行く用事がちょくちょく有った(ぜんぶが刀剣めあて)が、
平日の昼どきに珍しい混み具合。
はて……と思ってふと見たらメイプル超合金が。
「あ、あの赤い人!」
「カズレーザーだ!」

テレビで見たとおりのまんまでした。
国技館の前で番組収録中でした。

しかし私たちの目的はあくまでも陸奥守吉行なので、脇目したのみで龍馬展へ一直線です。

龍馬展は坂本龍馬にまつわることであれば、些末なものでも、かこつけて展示しちゃうよの精神で、
基本的には龍馬をメインに据えつつの、幕末展でした。

坂本龍馬は相当の筆まめだったみたいで、
(或いは、たまたま記録がちゃんと残されているせいもあるかもしらんが)
金銭の無心などの事務的な文面に引き換え、
乙女姉さんに、恋女房のおりょうさんのことなどをツラツラ書き出すと止まらなかったのがあからさま。

又おりょうさんに宛て、遊郭に行ったことがバレて詫びる文面などは、的確かつ端的。
自分にとってはおりょうさんだけが大切な相手なのだと、歌を詠んで伝えていたかと思う。
詫び状なので上から目線でなくあくまでも低姿勢、しかし卑屈ではなく、
おそらく当時の男にして珍しいどころか今に置きかえても、さすが柔軟で人たらし。

さて刀剣の陸奥守吉行は北海道で火災に遭っているんですね
(龍馬の遺品を管理していた遠縁が北海道に移住しているのだった)。
龍馬の遺品関係は、北海道での火災をまぬがれたといった物がかなり多かったです。

というわけで龍馬が近江屋で暗殺された時にも携えていた刀剣、
陸奥守吉行は昭和に入って打ち直されていて、
特徴的な反りのないまっすぐな刀身は再刃された時によるものなんですね。
本当にすっきりとまっすぐ、潔いたたずまいなんだが、
使ったら、すぐにポキッといきそう。

ゲーム内では宗左三文字といい、再刃された刀身はスペックが低め(弱め)なのも珍しくない。
むっちゃん(陸奥守)も御多分にもれずで、
初期刀の面々のうちで我が本丸においては唯一、未カンストです。
実をいうと、私は一回、壊している。

当初はあんまり好きではなく、わりとぞんざいに扱っており……
刀剣の付喪神なのにピストル持ってて、刀剣なんて時代遅れとほざくのが、気に喰わなかったんだ……。
折ってしまったとき破壊ボイスを聞いて、心底すまないと思った。
(ちなみに一緒に行った友人は、陸奥守吉行が初期刀です。)

龍馬が持っていた当初の、再刃される前の本来の刃文が、
今ある刃文の一部に辛うじて、
ごくごくわずかうっすらと透けて見えないこともない。
レントゲンを透かしてみる感じ?

江戸博は、鬼切(髭切)と五虎退を見に行った時、その展示方法、行列の並ばせかたに、
難ありだったんじゃないかと思ったことは以前ここで書いたけれど、
今回は劇的に改善されていました。

陸奥守めあての行列が他の展示物を塞いで展示場全体の邪魔にならないように、
行列用の場所が確保されていた。
平日の昼間だったので、さほど混んではいなかったとはいえ、
私が宗三さんに会いにいった時よりは圧倒的な人数。
坂本龍馬の生涯についてのビデオを鑑賞しながら、座って待てる場所もしつらえられていた。

陸奥守吉行の他にも、幕末の志士らが使った刀剣が、
当時の刃こぼれのままに展示されていたのがかなり異色だった。
危ない感じがリアルに残っているのが、まざまざと見てとれるのは圧巻。

龍馬展、その日は刀剣乱舞とコラボしていて、
陸奥守のパネルと描き下ろしイラストが展示室の出口にありました。

DSC_0156trim.jpg

通りすがりに携帯でサッと撮っただけなので、ぶれてるし斜めってるのはご愛嬌ということで……。
陸奥守吉行が懐に手を入れているのは、龍馬の写真リスペクトだったんですね。
こうしてみるまで、気が付いていなかった、私。

軽く腹ごしらえしてから、東博に。
両国から上野駅で降りず、一つ先の鶯谷駅で下車。
鶯谷は上野の混雑具合とは比較にならない、小さくて静かな駅なんですね。
東博というと、つい上野駅で降りがちだが、
上野駅からよりも鶯谷駅からのほうが、徒歩のアクセスが良かったです。
2分ほど早く着くだけなのだが、日ごろから体力にあまり自信のない身の上としては、
荷物を持って雑踏を搔きわけ、2分を余計に歩くか否かの差は大きい。

逆に、東博までの経路に、ちょっと休憩できるご飯処やコンビニなどは無きに等しい。
情緒ある風情の公園の石塀や、並木やらのたもとを歩いていった。

鳴狐は一階の刀剣展示室にありました。
一見した印象としては、打刀というよりは脇差っぽかった。
むしろすごく上品で繊細なヴァージョンの鉈(なた)といった感じでした。
独特の反りが優雅かつ怪しげ。

■写真はクリックすると拡大します

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DSC_0176small.jpgDSC_0234trim.jpg*
(*~刀剣乱舞公式設定画集『刀剣乱舞賢覧図鑑』より~)

この切っ先の刃文部分にうかがえる、小さな黒い涙型の半円が(ぜひ拡大して見てほしい)、
鳴狐のネクタイ横の衣装に反映されている、謎の涙型の半円にあたる奴か!
(以前この記事を見たのだ→http://tourabumatome.com/archives/32033407.html
この部分は確かに生で刀身を見ると、かなり目立っていた。

獅子王は二階に展示されていました。
獅子王はこれまでも幾度か東博で展示されてきていたのに、いずれも逃していた。
今回やっとです。

平安太刀なので長いですが、細身で華奢。
実用というよりは、装身具用の太刀だったのが分かります。
ゲームの獅子王のキャラを見た当初、
腰の位置が不自然なまでに高く、ウエストがくびれてるなあ、と。
獅子王の太刀じたいが細く、刀身の腰の位置が高くて、はなはだしく反っていたのだった。

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左端にちらっと写っているのは、例の黒漆太刀拵えもカッコいい~
獅子王の鞘の先端です。

DSC_0199trim.jpg

DSC_0202trim.jpgDSC_0236trim.jpg*
(*~刀剣乱舞公式設定画集『刀剣乱舞賢覧図鑑』より~)

ゲームにおける獅子王の背中の腰部分にあるメダル(?)の紋は、
この黒漆太刀拵えにある紋を現わしていたのだった。
(これ画集を携帯で撮って載せてみただけなので、実際の画集だと、もうちょっとくっきり紋も見えます。)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8D%85%E5%AD%90%E7%8E%8B_(%E5%88%80)#/media/File:Antique_Japanese_tachi_tsuka_1.jpg
黒漆太刀拵えの束の部分など、私の写真は見にくいので、こちらも。

黒漆太刀拵えは実際かなりカッコよくて、見るからに保存状態も素晴らしく、
また獅子王のキャラデザの衣装にと反映されているのがわかった。
そういう発見はなんか嬉しい。
イラストレーターのこだわり具合が、伝わってきます。

館内が美術館・博物館としては珍しいほど蒸し暑い。
テラスに出ると、緑と水辺が広がっていて、心地よかったです。
「マイナスイオンだ」
「さわやかだ」
やや曇り空で、湿度が低く、風がすがすがしくて気持ちがいい。

館内を出たあとも、友人と昼さがりの木陰のベンチで、
しばらくペットボトル飲料を飲みながらぼーっとして、
心地よい疲れだった。

ちょっとだけ閑話 [た行]

ラルクのライヴについて続きを書く前に、アニメの忘備録的な。

昨シーズン、面白かったのは断然『ACCA13区監察課』
漫画も面白いが、アニメが漫画の面白さを全く損なわず、
ゆったりとしつつもどこか一点、張りつめている空気感が、だれることなく研ぎ澄まされてました。
あまり多くを語らないが雄弁な登場人物たちが魅力的で、本当に良かった。

今期は、期待していた『神撃のバハムート Virgin Soul』……
あらこれ……一期と基本的に話の筋が全然違うのね……。
一期の、子供の時にファンタジーアニメが大好きだった大人が見てガッツリ楽しい、
大人のためのガチファンタジー、内容もそれなりに大人向けな題材で、
ならず者と金と野望と裏切りが横行する、
小気味良いテンポで進むノリでは、全くないのか……。

脚本家が違うし……大石静はドラマの有名脚本家だけれど、
今回はアニメの台本初挑戦なのでしょうか。
アニメの種類にもよるが、
ドラマとアニメは根本的に見せ場がいろいろ異なる気がする……特にテンポ。
ファンタジーと言っても、こういう、ただキラキラしたファンタジー世界を、
漫然かつ、つぎはぎの展開で見せられたいんじゃないだ私は。

又、今期、期待していた『ベルセルク』2期なのだが、これもう漫画で読んだほうがいいか……。
漫画が名作なのは否応なく伝わってくるのだし。
2期の初回以降、もにょもにょした感触。
以前はマネキンが動いているような3Dアニメであろうと、
圧倒的殺戮(さつりく)と野蛮な世界観、グロでゴアな疾走感に、
3Dアニメ特有の硬さなど気にならなかった。
これが人間ドラマ的な部分にスポットが当たると、
いろいろと違和感が生じてきて、絵のテクスチャーの無理がしんどい。
キャスティングはキャラに合っていると思うので、見続けたいが……。

『進撃の巨人』アニメの2期は、前期に引き続き、安定の絶望感。
ますます嫌な感じの展開になっていくのを、まだかまだかとハラハラしつつ見守ります。

『夏目友人帳 陸』
前シーズンの伍のときに、さすがに五期までくると惰性で続いているだけなのかしら、
作画のクオリティが落ちてます……制作側が力を入れている回と、抜いている回の差が歴然と。
制作側が抜いている回を私自身は漫画で読んで、好きで楽しみにしていたりもしたせいで、
若干がっかり感が否めなかったのですが。
(視聴者の理解力を信じていないような説明や編集が多かったりとか。)
一転して、今回はとても良さそう。嬉しいです。

ラルクのライヴのMCでkenが、
「ライヴがあるとみんなこうして集まってくるやん。けど、ふだんはどこに居んの?」
といった質問を投げかけて、東京ドーム内55000人の観客全員微妙に絶句……
ああはははは……
お茶を濁すようなざわめきが地味に広がりましたが、
「そっか、仕事してんのか」
いや、まあ無論それもあるが、ラルクがライヴしていない、ラルクの曲を聞いてないとき、
ラルク関連のニュースにアンテナを張りつつも、
こちら生きていくためのメンテの合間に、
アニメを視聴したり、刀剣を見に行ったり、その手の計画を練ったりとかしてるんだ……。

刀剣乱舞、あなたは誰推し? [た行]

わたしは箱推しです。

はじめて全刀剣コンプリートしたのですが、
(アルファベット全角小文字で笑う、けしからん刀剣も、鍛刀で初めてすんなりお目見えである)
反面、楽器がまったく集まらないまま(圧倒的な琴不足)近侍曲が半数もゲットできていない、
我が本丸です。

推し動画。その1もあるんですね。一年以上前にupされていて、そちらも面白いです。
【MMD刀剣乱舞】刀剣CM詰めあわせ その2
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30720358


すみずみまでネタがちりばめられていて、エンディングまでみっちり楽しい。
キャスティングが絶妙で、元ネタを知らなくとも、なんかもうとりあえず似合ってる。

こういうMMDのニコニコ動画をシェアしていると、たまに
「あんたが作ったのか」的な問いを投げかけられることがあるが、
残念ながら私にそんな技術はありません。作れたら楽しいだろうなあ。

……ちょっときちんとブログに書くべきことがあるのだが、
書きだすと容易にコルチゾールが激しく乱高下しそうで……一方こういうのは、好いよね。

チェルノブイリの石棺 [た行]

チェルノブイリの石棺補修工事、ようやく形になったとか。

(この作家なんでいきなりこんなこと語りだした、と思った方は、
 これは『黒十字サナトリウム』関連の派生ネタですので、ひとつ。)

2016年11月29日に、新しい姿が公開になったという記事。
http://www.afpbb.com/articles/-/3109574?pid=18516454

当初もっと早くに補強ドームが完成予定だったわけですが、
掛かりますね、歳月。

ウクライナの国立大学であるキエフ大学には、
チェルノブイリの原発事故関連を専門に研究する部門があると、聞いたことがあります。

たぶんキエフ大学のTraining-research center of radiation safetyというのが、
チェルノブイリ原発事故の専門研究部門にあたるのではなかろうか。
ただキエフ大学、英語なのは表層部だけで、リンクを飛ぶと思いっきりキリル文字……。
http://rb.univ.kiev.ua/
Training-research center of radiation safety
(中はがっつりキリル文字で、私には一ミリも理解できない。読めたらかなり興味深そうなのに。)

30年経ったチェルノブイリ原発事故ですら
いまだ全然解決できてはおらず、
研究して対処していかなくてはならない問題が、山積みなのだろう……。
ウクライナは現況、政情不安定な国ですし、
猶更、荷が重そうな、現在進行形の負の遺産です。


特急列車 [た行]

昨日の日曜、大人になってから初めて特急に乗車。

子供の時は特急電車は珍しくなかったのに、
新幹線の台頭にともない、利用エリアの特急の本数自体が激減。
自分で切符を買って電車に乗る年齢になってから、特急利用の機会がなくなった。
(最後に特急に乗ったのって、たぶん私が九歳の時で、身内の納骨の折だった。)

一日一本、出るか出ないか。
猫バスほどはレアじゃないけど……という特急電車を調べておいて、みどりの窓口にて発券。
いざ乗るにあたって、まず改札地点で挙動不審に。

新幹線ホームで乗りこむんだっけ?

やや、特急が発車する7番線って、掲示板に出てないぞ……。
あと3分後には発車なんだが……。

よく普通電車の駅のホームで、
「特急電車を先に通します」というアナウンスとともに特急車両が通過していく姿を、
あああーーーなんか腹立たしい気がする……と、じりじり見送ることは多いのだから、
当然、普通のプラットフォームから出るのが常識だったのに。
理解するのに、しばし戸惑う。

なんだかんだで無事に乗りこみ、発車して、車掌さんが乗車券チェックに巡回するのを、
――だよね! 普通のエリアから発車するから、Suicaだけで入れちゃうしね。
飛び乗ってから車内で特急券を購入する乗客もいるだろうしね、外せないルーティン! 大変だ!
内心いちいち感心しては、小さい驚きをもって迎えるのであった。

車内販売が行き来するのを横目に見ながら、
連れに「これは飛行機の飲料・軽食サービスとはちがって、有料なかんじ?」
と確認して、いささか引かれる。
だって聞くは一時の恥だもの。
相手に恥かかすような質問をやたらと訊きはしませんがね。
新幹線が有料なのは知ってたが、確認だよ確認。
特急の特別感に、脳内やや混乱が続くのだった。

で、子供の時も感じたが、特急は普通の線路をスピードを上げて走るせいか、けっこう揺れが独特。
快速や新幹線よりも、乗り物酔いをしそうな不安感がよぎる1時間であった。


たなばた(七夕) [た行]

七夕なので、
ちょっと『みがかヌかがみ』の話をします。

天女目(なばため)姫
作中「夢浄土」の段に登場する主要人物の一人である、
この天女目という名は、稀少苗字として実在します。

青天目(なばため)氏、
「青女房」の段に登場する主要人物の一人である、
この青天目という名も、稀少苗字として実在します。

昔からある稀少苗字ですよね。
作中で天女目姫と青天目家は関連がある苗字として語られます。

で、皆さんおそらくお気づきの通り、
七夕(たなばた)という単語が、
なばため、
という語と語感的に、かなり類似であるように、
このお話、七夕にまつわる風習がかなり密接に関わってきます。
裏テーマ、裏設定みたいな扱いで、七夕の風習・由来に絡む事象がちらちら垣間見え、
干渉してくる。

表題の『みがかヌかがみ』は、本来の鏡の意味であると同時に、
「夢浄土」の段における不来方と、
「青女房」の段における大正時代、
この二つの世界を隔て、かつまた結び――中核をなしている、とある井戸の隠喩でもある。
この因縁の井戸が絡んで引き起こされる物語世界の経糸(たていと)と横糸を成す題材の一つに、
七夕(たなばた)が有るんです。
(七夕だけじゃないけど)

なので!

今くらいの季節が最もタイムリーな季節柄かなあと思われる。
積読してたり、気になるけどどうしようか……と逡巡しているかたは、
ぜひとも七夕をきっかけに、積極的にお手に取ってみていただけると、
しっくりくるかも、だ!

尚、この『みがかヌかがみ』
牧 眞司氏著の『JUST IN SF(本の雑誌社)』という書評本で、取り上げられております。

牧眞司(敬称略)の個人的見解による、
○冒険○幻想○青春○内宇宙
などのアイコンが『みがかヌかがみ』に当てはまり、中でも
○時間・次元
というアイコンがついているのが、私的にグッときた。

今までも私の著作に関して、
新聞や雑誌を含め、ちら……ほら、と書評をつづってくださる奇特なプロの批評家がいらしたが、
いずれもとても有りがたいの一言に尽きるものの、
……きっと、作者でもなければ本当に些細な部分なのかもしれない、
ちょっとした読み間違い等が散見されるのが常だった。
大筋はあってるのだが。

『カンパニュラの銀翼』のシグモンド・ヴェルティゴのことを「英国貴族」と書かれていたりとか、
(実際はシグモンドは欧州貴族で、英国人であったことはない)
『黒十字サナトリウム』の龍司を「ロシア人との混血」と書かれていたりとか、
(実際は龍司はドイツ人の血が入っていて、ロシア人の血が入っているのは湊だ)
いずれも異なる書評家のかたなのだが、そういった微妙な読み違いなのか書き間違いなのか、
たぶん時間的な制約とかもあって、急いで仕上げているんだろう……
というケアレスミス?も少なくなかった。

批評というのは当然のことながらその性質上、
作者当人の目には一切触れずに書かれ、発表となる。
発表となっても、まず知らされることはない。
なので、たまたま何かの折に私の目に触れて、はじめて、
「お、おや!? これ、違ってるんだけど……」となった時には、間違った情報がすでに出回った後。

ですんで、こんな素敵な書評を書いてもらえた、
そう胸を張って、もろ手を挙げて喜べる書評に残念ながら、あまり出会ったことがなかった。
ま、私の話は情報量が多いんで仕方がないか……。

ところが!
今回の牧氏の批評に関しては、
「すべてにおいて的を射ている!」
読み違いのたぐいは一切なく、
これほど的確な書評に出くわし、私がびっくりしたくらい。
一読しただけでは読み手にスルーされるかもしれないなと思っていたような深い部分まで、
内容を隅々まで、きちんと汲み取ってもらえていて、
素直にとても嬉しかった!
ちゃんと通じている読者がいる。

『みがかヌかがみ』は何しろ発行部数が少ないので、
取り扱い書店もまれでしょうし、
刊行から半年ほどたって、
在庫僅少となっている本屋さんも多いとは思いますが……。

七夕の短冊にうっかり「何か」を願うとよろしくないということも書いてあります。
もちろん小説なんで、どこまでが民俗・風習における史実として妥当で、
どこからが物語の範疇なのかは、
読者の読解力にゆだねられています。

余談


刀剣博物館に行ってきた [た行]

『刃文~一千年の移ろい~』
見てきました。

明石国行が展示されているのは知っていた。
が、我が本丸(『刀剣乱舞』)には居ないし、
出足が鈍っており。

明石国行が展示されていなかったとしても、
刀剣博物館には行きたいと思ってはいたのだが、
二の足を踏んでいたのは、まず場所がややわかりにくい(←方向音痴)。
HPを見ても、土地勘ないし、いまいち良くわからない……。
寒いさなかに木枯らしに吹かれながら道に迷うのは厳しい。

おまけに午後4時までに入館しないと入れない……博物館にしては早いのでは?
午後4時半には閉まる。
金曜だろうと祝日だろうと遅くまでやってないんです。

ですが友人が、
「刀剣博物館は刀剣を見せることに特化していて、
展示方法が最適化されている気がする。
刃文がなにより、くっきりきれいに見えた」
といった内容をしたためていたのを読んで、俄然、好奇心が刺激される。

行かねば! これは!

アクセスですが思っていたほど悪くはありませんでした。
私は初台駅から行きました。
方向音痴の私は悪あがきせずに、交番でお巡りさんに即行、訊きました。
運よく、婦人警官が応対してくれ、
道順の説明は、やはり圧倒的に女性から聞くほうが私には腑に落ちる。
(男性のお巡りさんに道を聞いて、さらに迷ったこと数知れず。)
あっけないほどすんなりたどり着けて、大変助かった。

明石国行の展示は今日までですが、
いつも何かしら刀剣の企画展をやっているので、
これから行く人が、私レベルの方向音痴だった場合として、参考までに道順を記しておきます。

1、初台駅の新国立劇場側の出口に出る。
2、新国立劇場を左側に見つつ、右側の幹線道路および高速道路に沿って、1分くらい歩く。
 すると、目につく一番大きい交差点で山手通りにぶつかる。これをわたる。
3、交差点を吉野家(牛丼チェーン店)方面にわたる。
4、吉野家とライオンズマンションの間にある坂道を下る。
 坂道はかなり急な下り坂で、まるい滑り止め加工がついているタイプの道。
 周囲はちょっとした住宅街。
5、坂道をほとんど下りきったところの電柱に、「刀剣博物館は左側」と表示が出ているので、左折。
 (ポストの手前の電柱。ポストを越えては下り過ぎです。)
6、左折してすぐの電信柱に「刀剣博物館は左側」と表示が出ているので、また左折。
7、なんかちょっとした工事をしていて、ひるみますが、工事現場を横目にしつつ、坂を上る。
(さっきくだってきた下り坂の一本隣の道を、ほんのちょっとだけ逆行して上る形。)
8、工事現場→民家?→刀剣博物館となり、刀剣博物館の白い外観が右手側、すぐ見えてきます。
 文字が書いてあるのですぐわかる。博物館というよりは事務所っぽい感じの建物です。

展示室は2階で、広さは羽田空港ディスカバリーミュージアムの倍くらい?
さして広からず、かといい狭からず。

展示内容は99%刀剣です。鎧甲冑も一揃えあったが、
歴代の刀剣が並んでいて、
ものすごい充実度。

刀剣を見るのに最適化されている、という表現も納得でした。
展示物との距離感が良い。とにかく見やすい位置に配置されている。

照明がおそらくは普通の白熱球?……なので、若干、黄色みがかかって、
たとえば青白い地肌はより明るく、
青黒い刀身の鋼っぽい色味などは、黒々と映る気がしますが、
その分くっきり、刃文との境目が対比でよく見えます。

明石国行は大きくて存在感のある太刀でした。
今まで、刀剣乱舞のキャラクターの印象と、刀身の実物の印象がマッチしている気がしたのって、
私はあんまりないんですが、
(それはそれで面白いからいいんです)

……あ、でも骨喰藤四郎は薄幸そうな、繊細に白々と光る美しさと、
殺傷力の高そうな洗練された感じがキャライメージとブレてないと思ったし、
燭台切光忠も、真っ黒に煤けて金のはばきが残っている外見がそれっぽいと思ったので、
物によります。
でも骨喰藤四郎は薙刀直しの脇差ゆえに、
先端までスッと鋭利な曲線を優美に描いているのが妖しげで魅力なのに、
刀剣乱舞の絵だと、切っ先に角度がついて描かれているのが気になってきたりとか……。
(そんなこといったら現存してない刀剣などは想像で描かれているわけで、
ゲームの範疇だし、問題はない。)

太刀・明石国行の実物は、キャラの明石国行の外見と同一視できる印象を受けました。
(写真撮影不可なので、印象と記憶だけで語ってます。)

刀の手元側、鍔(つば)に近い部分に、
三鈷杵(さんこしょ)の彫刻が小さくほどこされているのが目印。
全体的に黒が勝っている、すらっと大振り、ふてぶてしい存在感を放つ刀剣でした。

刀剣博物館が良かったのは、
特色のわかりやすい配置でもって、刀剣が新旧・刀種ともに、よりどりみどり。
刃文の説明も過不足なくわかりやすく、
並列している英文表記もきちんと過不足ない。
展示物によっては、「これは彫り物を見せるために裏面を出しています」といった記載も的確に明示されている点。
東博の三日月宗近みたいに、しれっと裏面を出して展示されていた気持ち悪さとかが、皆無。

他にも鮫皮でこしらえた柄の装飾品とか、見ていて興味深いものばかり。

個人的にはやはり私は脇差が特に好きなんだなあ……と。

なにしろ太刀は大きいですが、太刀の時代は、馬上の戦いを想定していて、
日本の馬上の騎士は、欧米の馬上の騎士とちがって、盾を持って戦わないから、
長々と大きい刀身の棟の大半は、斬るためというより、盾の役割かと。
そのせいか攻守とも備えた安定感が、若干、面白みに欠けるきらいも。

短刀は純粋に庖丁に似すぎている。

脇差は得物を振り回すのに丁度よさそうな手ごろ感……にしては、
刀身まるごと目の前の相手を確実に斬るために存在している。
守備で耐えしのぐ余地をさほど顧みず、
ただ切っ先に全殺傷力を込めまくっている鋭利な仕立てが、
硝子越しに見ていても危ういし、美しいです。

今回、なにかの試験に出るのか、
説明書きをノートにメモりつつ、
あるいは内容をスマフォの辞書でひいてググり閲覧しつついる方々が多かった。

各刀剣の刀相書きとして添えられている文面が、
古式ゆかしい刀剣カタログに用いられていたであろう、
《重ね厚く、よく詰んで無地風となり鉄色黒味を帯び、尖り刃が連なり三本杉風になり、
小沸つき、匂口締まりごころとなり、僅かに砂流しかかる》(←とある刀剣サイトから抜粋)
みたいな、
(半分くらいはニュアンスで汲み取ってるんだけど、読んでで美しいよね)
特有の言い回しでツラツラと列記されていたのも趣あった。

刀剣博物館は、若干、古ぼけた建物ですが、
展示内容は大いに充実していました。
ちなみにエレベーターはMax3人乗りで、すごく狭い。
ものすごく時間がかかって一フロア分を移動する。
階段を使ったほうが安心かも。
わたしは帰りに乗って、一瞬、不安に憑かれた。


当初は妹のオムライスメッセが予言能力開花の暗示かと思ってた [た行]

あ、Charlotteの1-6話、振り返り上映・一挙放送を、8/15日にやる!
今期のアニメでかなり楽しんで見てる作品です。
もしもまだ知らなくて、見てみようと思った人がいたらぜひ、この機に!

http://live.nicovideo.jp/watch/lv230744111
「Charlotte(シャーロット)」1話~6話上映会

おそらく今が折り返し地点だから、
今後どうなるか、何ともわからないけど、
少なくとも6話まで、わたしはかなり好きである。

6話までの、わりとほのぼの展開のうちに、わずかよぎる不穏なフラグのバランスと、
頻繁に繰り広げられる丁々発止のやりとり? が、小気味よくて。

7話からの、過酷展開必須な感じが、なんとも心の準備を要する……。

ティーポットって鳥のかたち [た行]

あ……羽生選手の世界フィギュア選手権ショート・プラグラム見逃した……。

テレビ画面を前に呆然としかけていたところ、このCMですごい和んだ。

かわいい。
ひたすらに。

小鳥にかぎらず、猫でも、犬でも、うさぎでも……
CMにかわいい系の動物を登場させるのは常套手段ですが、
作り手が正直なところ全然、小鳥好きじゃないんだ、というケースは、鳥好きには看破できます。
えっへん。

好きじゃない人が変に媚びてアピールすると、
昔よくあった、お祭り用にカラーリングされたヒヨコ
(現実にわたしは見たことないが)みたいな雰囲気を全面に醸しだし、厭な気分にさせられる。

これは小鳥が好きな人が作ってるよ、きっと!
着地するときのふわっとよぎる間(ま)とか、首の傾げ具合とか、胸羽の柔らかそうなカーヴとか!
極甘な小鳥であれど、卑屈さをさほど感じない、小鳥の愛嬌をわかってらっしゃる。
(実際の小鳥はもう少し足が大きく踵部分の親指?が長いけど、
そんなことも気にならないくらい、小鳥の可愛さを生かした造形ですよ。
地下足袋はいてるみたいな感じで、これはこれで又かわいいじゃないの。)


AGFブレンディ スティック ティーハート ぼくの好きなフルーツティー 篇
https://youtu.be/fd0aCliBZLg

小鳥のティーポッポというらしい……。
ティーポットとかけてるのか……
ついでに桃も美味そう。
こういう世界観がけっして嫌いではないというのもある。

初めて見たけれど、そこそこ前からあるCMのようです。


デフォルトのセイフティネット [た行]

先週、身内の野暮用で、
戸籍謄本やら、登記簿謄本やら、名寄帳とかを、遠くまで取りに出向いた。

亡くなった身内が百一歳で、なにしろ当時の事情を知っている人間がもうほとんどいない。
電話だと手間取るし、郵送じゃ嵩張るし、いちいち面倒でもう埒が明かない。
わたしが行って状況説明して、一発で的確にもらってくるべし……
と、遣わされたんである。

わたしはオフィスに勤務しているわけではないので、
……ほら、だって働いてないでしょ、時間に融通きくでしょ、という役目に陥りがち。
……土日も日夜も問わずに働いているともいえるんだがな。

たしかに安易に人に頼める案件でもなかったし、
司法書士に頼むと、いたずらに時間を食うばっかなので、
自分らで出来ることは……と、ガタンゴトンと電車を乗り継いだ。

一時間半あまりで、茨城県にある目的地に到着。
茨城県に行くの生まれて初めてです。

不慣れな場所で、不慣れな用事。
101歳で亡くなった身内の本家があった場所ではあり、いまだに所縁(ゆかり)や名残はあれど、
もはや誰も親戚縁者は近隣に住んではいないのです。

「こちらが最も古い明治の戸籍になります。これより前は、江戸になり戸籍が現存していません」

江戸!? 

そんなんばっか。
亡くなった人は大正生まれですが、その生年等を記した戸籍の《戸主》
いまでいう《筆頭者》から辿りあてないと、
生まれと血筋を証明できないので、こういうことになるのです。

「……すみません。この地番(登記簿に記載されている)から、
実際の番地(地図にある住所)を辿るには、どうしたらいいんですか?」

とか尋ねる私。
専用の地図を見せてもらって、概要を把握。

役場から、現地に出向いて、私なりに視察。
地元の詳しい人に挨拶したり……
身内の用事といえども、わたしは初めて知ることばかりで、探偵みたいな気分です。

タクシーに乗って「本町〇〇〇番地をお願いします」と頼んでも、
「ん? あー、旧市名でいうと、どこら?」
統廃合のおかげなのかな、現在の町名よりも、旧市名がいまだに使われている。
行政の御都合もわかるけど、正直、不都合です。
「……ななけん……町」
「しちけん町ね」

超異邦人のわたしは、観光地でもない場所なのに、思いっきり旅人で、
そんな不安要素の高い、短い滞在の間で、出会った知らない人みんなが、丁寧で親切でした。

東京から水戸に引っ越した知人が、
人が親切、みんなが親切!
と、メールをくれたときには、
……東京だって、そこそこみんな親切だし、日本人はデフォルトが丁重だよ?

……と訝しんでいたのですが、本当に親切だった。茨城。

東京の人間も基本は親切ですが、
もっと投げださないで懇切丁寧に、過不足なく手を貸してくれるかんじ。
呑みこみきれない内容を、「はい? つまり……」と聞きかえせるだけの猶予をくれる。

その分、まずコンビニがほとんど見当たらない。
ほとんど店がない(……あるにはあるんだろうけど、店かどうか一見にしては、判別がつかない)。
ファミレスすら見あたらない。
タクシー乗り場がない。
役場前に一台のタクシーも停まっていない。
流しのタクシーを捕まえようとしても、タクシーが通過しない。
タクシー会社に電話しないと来ない。
タクシー会社に電話しても、うち今、出ちゃったんで……よそをあたってください、と。
傍の人に訊いて、大きいタクシー会社を教えてもらって、またかけるのであった。

高層マンションとかもけっこう建っているので、過疎化ではないんだろうけれど、
地方都市というほど栄えてはおらず、
東京郊外ほど店がない。
初めて訪れる者にとっては、ものさびしいの。

まったく見知らぬ土地で、用事を済まさねばならぬ、心細さ。
不安に囚われるのを払拭せんと、気を張りまくる私。
グーグルアースで下見したのが実際すごく役立ちました。

「そんなんでよく未成年時分から単身アメリカに留学したよね」
とか、
「それでどうして思いついたら突然、海外旅行とかも行くんだろうね」
と言われますが、
もっと違う感触です。

携帯が暗くなり、充電が切れて、至急連絡をつけたいのに公衆電話が見つからない……みたいな。
暗くなると続々店が早じまい……道に迷って駅にもどこにも、たどりつけない。
そんな身近で地味な切迫感に似ている。

全国展開しているチェーン店とかが見あたらない、目印のない場所を、
徒歩で、てくてく……。
日本人で、日本にいるのに、知ってる景色も風景もない。
落ちつき場のない、寂寥感なのですよ。

遠方ってほど遠方じゃないけど異邦の土地で、かえすがえすも親切で丁寧な応対をしてもらって、
本当に助かりました。
親切が倍、しみるのであった。

で、逆に――あの状況下で、もしも悪意のある人間に行き当たり、
あやうい目にあったなら、
精神的なショックも凄いし、とことん逃げ場がないなあと。
親切がセイフティネットなんだな……と。

ちなみに、訪れた土地には、
かつては蔵に刀剣がゴロゴロあった、と小耳に挟んでいた。
ひょっとしたら、ほんまもんの、生刀剣を手にできるのでは!
という下心は、あえなく見事に粉砕されたのだった。

蔵なんて、跡形も無いんじゃないか!
どこに蔵があったのよ、まじで? いつの話。

「いや……おまえのお父さんが子供の時に、お祖母さん(私の曽祖母か)に、
《この蔵の刀剣はあなたにやろうね》と言われてたっていうレベル……」

でも、それ……少なくとも戦後でしょ?
戦時中に闇米と両替せざるをえなかった、ってわけでもなく。どこに消えちまったんです、一体。


turn up [た行]

いまだ『カンパニュラの銀翼』を英訳チェック中です。
ふだん、原稿の進行状況を、ブログにアップしない私ですが、
カンパニュラは既に出版されている話だし、
ここでブログを読まれるかたの大半は、内容を既に御存知かと思うので、気軽に語りやすい。

一冊のあれだけの分量の本を、
一人の訳者が、最初から終わりまで訳しているので、
思い込みによる誤訳が散見されるのは致しかたないこと。
私が自分自身ではぜったい英訳しきれない、豊富な語彙と表現力ですし、
大半はほぼ完璧に近い、美しい英訳。
ただ、なかには興味深い誤訳も見つかるわけです。

わかりやすい例だと。

シグモンドが、屋敷のカンパニュラの花を、
夏になったらミュリエルにぜひ見せたい――と思うシーンで、
《釣鐘草(カンパニュラ)の青紫の花が》
と書いている、この《青紫》が、
《green-purple》と訳されていたりします。
Oh...

日本語では《青々とした》などと、かなりのケースで、
青が本当は緑色を指しているので、
青紫→green-purpleと、深読みしたのでしょう。
わかる、わかる。
しかし、green-purple……緑と紫の花びらって、どぎつい。

ラベンダー色(laveder)とか、藤色(mauve)としても良かったんですが、
カンパニュラの花の色を語るのに、ほかの花の色を引き合いに出すのは、どうなのさ……。
それゆえ青紫色と書いたので、
ここはbluish-purpleと直したりするわけです。
(ちなみに欧米人がいうpurpleは、
日本人がイメージしている紫よりも、やや赤紫寄りな気がします。)

また、厳選して書いた言葉を、あっさり訳されていると、
違うそこはNoooo!
……みたいな、私ならではの、こだわり部分も出てきます。

たとえば、シグがミュリエルの右手から、手袋の裾をめくり上げるシーンで。

そもそも、この訳者の癖なのか、欧米人は一体にしてそうなのか……、
右手とか左手とか、
こっちの腕からあっちの腕にシーツの束を持ち替えた、
などと、わたしが手や腕のことについて細かく書いている部分、
わりと端折ってあります。
右手→hand 左手→hand
右腕→arm 左腕→arm みたいな感じ。
まあそこは、へえそうなんだー……で気にしない。

ただ《ミュリエルの右手から、手袋の裾をめくり上げた》
→Sigmund removed the glove from her...(以下略)

これ、ちがうぞ……! 
remove the gloveだと→手袋を片方取りさる。手袋を片方脱がせる。
(gloves じゃなくてthe gloveだから、片方なのはわかる。)

実際は、手袋を完全に取り去ったのではない。
(そう、シグはあの場でけっして呆気なくすっぽり手袋を脱がせる真似に及んではない。)

ミュリエルの右手の手袋の裾をめくりあげて、
そのわずかな手の甲の素肌に、目を伏せて、キスするんだよ。
その時の二人の距離感と関係性を表す大事なとこ!
脱がすこともできるけど、あえて少しめくりあげ、
そのほうがデリケートで、エロい。
色気が増すから。

めくるというと、flipとかが出て来るんですが、
flipというと、ひっくり返す、ぺろん、ペラんとした感触で、なんか違う。

たぶんturn upだな……(袖口を折り返すような感じ)
Sigmund turned up the hem of the glove from her…(以下略)となるかなあ。

一つ懸念材料の英訳に行き当たると、
しっくりくる、赤ペンを入れるだけの適切だろう英単語をたどりあてるまで、
なかなかに頭をひねります。 


立ち位置 [た行]

『黒執事』アニメ、7月から3期やるんだ~♪
(新シリーズと銘打って、3期と呼ばないのは、いかに?)
コミックのサーカス編(⑦⑧巻)をやるのか~。
楽しみだ!

黒執事はサーカス編が一番ダークで黒執事の真骨頂、最高に胸に迫りました、私には。
ラストがやるせなくて、それがまた(誤解を招くが)大好きだった。

するとアニメオリジナルの2期は、サラッと全部、無かったことにして話を進めるわけなんですね。

つか、アニメ1期のラストでは、原作漫画とちがって、主人公のシエルが死にます。
契約通り「あくまでしつじ」のセバスチャンに魂を喰われて終幕という、
それらも全部サラッとなかったことにして、漫画のサーカス編をやるわけなのでしょうね。
アニメオリジナルって、なぜ収集つかないくらい原作から甚だ乖離する場合があるんだろうか……。
パラレルワールドと思って見るしかない。

ところで先日、ハンター×ハンターを視聴していて、
こちらはいい感じに原作通りに進んでいるようで、
ここのところ蟻編が佳境、最高に息づまる展開がずーっと続いて見ごたえたっぷりなのですが、

『カイトが操り人形化されているかと思いきや、
死体をつなぎあわせて操り人形化されていたのであり、
とっくに殺されていて、治すことは不可能。
そう知ってゴンの精神がぶっ毀れ、開眼・覚醒・確変を遂げる』シーンで、
カイトの死に、わたしは進撃のリヴァイ兵長の死を想像して、
いやだああああ、
と、地味にひとしきり心配しました。
同じ作者でもなければ、掲載誌はおろか、出版社もちがうのに何なんですが。

だってありそうです、
リヴァイ兵長が死んで、精神に異常をきたしちゃったエレンが、
今回のゴン同様、更なる高みへ覚醒というか、
泥沼の深みに突入というか、思いだせない父親とのやりとりとあれこれを思いだして開眼するとか、
そういう引き金になる流れ……。

エレンってば、アルミンが喰われそうになって、巨人の口の中にとびこんでいくし(結果、自分はズタボロに死にかけたあげく巨人化の力を得るわけですが)
リヴァイ班が壊滅したとき、巨人化して、女型のアニと一騎打ちするし(結果、負けますが)
ハンネスさんの内臓が丸見えに引きちぎられた時に、座標の力(?)を天啓のように手に入れる。

大事な人がどうにかなると、その分、ひとつ物凄いパワーを手に入れるので、
あの異常な世界を終息に導くには、
リヴァイ兵長の命が引き換えになる気がして、今から兵長の命が危ぶまれてならない。

少年漫画で先輩・兄貴キャラが死なない作品って、本当に少ないです。
NARUTOのイタチもアスマも死んだし、銀魂の松陽先生も死んでるし、
EVAの加持リョウジも死んでるし……グレンラガンはアニキもキタンも言うに及ばず……

いろんな作品の記憶を繰りだして思いだしてみるに、
あ、ハガレンのロイ・マスタング大佐は最後まで生きてたな!

立ち位置的には、リヴァイ兵長は、ロイ・マスタング大佐に近いな、きっと! 

アルミンやミカサが、今ゴンを見守るキルアと同じ立場に置かれないかと、ヒヤヒヤです。



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当サイトはSafari推奨です [た行]

6年程使ったWindows Vista搭載のノートパソコンが、
いかんせん融通がきかなくなってきたので、
駆けこみで年度末にWindows 8.1搭載64bitのノートパソコンに買いかえた。
Windows 8の使い勝手の悪さは、
従来のスタートボタンをフリーソフトでインストールすることによって、ほぼ全面的に解消。
(私はClassic Shellというのをインストールしました。)
これだと、それまでの使い勝手にくわえて、
Windows 8.1の新しい機能も両方活用できて、非常に便利。

あとは新しいノートパソコンのキーボードの微妙な変化に、
ちくちくイライラしつつも、そのうち慣れるだろうと思いながら、せっせとデータを移行。

データの移行は「ファイナルパソコン引っ越し11plus」とソフトをインストールして、
専用のLANケーブルで一挙に移行したら、大半がいっぺんに片付いた。これ、使えます。
そのとき従来の32bitのアプリは使えない可能性があります、と
軒並みアウト宣告がでるものの、十中八九、使えたのだった(自己責任で)。
私は躊躇ったせいで、最初まともにデータが移せなかったので、
再チャレンジしたから結局2度手間にはなった……(笑)

……そんな感じで順応しようとしていたものの、
どうしても我慢できないのがMeiryo UI。
Windows 8以降で採用されている新規フォント。
おまけにWindows 8はフォントの変更を認めないのだ。
(……それまではフォントを変更できたのに。サイズしか変えられなくなっている)
だからなんでもかんでもこの新規フォントで出てくるではないか。

PC上の作業は、私の場合ほとんどワードで、
ワードで好きな書体で打てるし、リボン上ではさほど気にならない。
気に障るのは、ネット。

ああそれが生理的にダメなかんじの字体で読めない。
読むの気持ち悪い……。正直、見るのもいやなくらい。長文を読むのにまったく適してないんだ。
このサイトをIE11で読もうとしたとき、あまりの鬱陶しさに黙ってページを閉じました。

Windows 8.1以降だと自動的にIE11がインストールされていて、
IE11はMeiryo UIのフォントで出てくる。選択肢なし。
おまけにIE11は使い勝手が猛烈に悪くて、いろんなネットの機能が正常に作動しない。
ほとんどのサイトのバランスが崩れているし、へんな具合に太くなったり細くなったりして、
文字サイズも不適切で、その都度、拡大率を変えないとならない。
ちょうどネット黎明期にホームページビルダーで素人が作ったサイトみたい。
だっさいチグハグした行間で出てくる。
「互換表示」で、ある程度解消できるサイトもあるものの、互換表示でもっと崩れる場合も多い。
イライララ……。

Windows 7などからのアップデートによりIE11にした場合は、
簡単にIE9や10にダウングレードできるらしいが、
Windows 8.1の初動でIE11搭載だと、これがどうも容易には、いじれないようだ。
(プログラムをいじったりすると可能らしいが自信がない。)

そんなこんなの試行錯誤で、一進一退しながら無駄な時間と労力を費やし、
IEを既定のネットブラウザにするのを、断念。
……君とはおさらばだ! 
長いつきあいだったけど、ここ最近の自己中すぎる君とは、もうやっていけない!
なんかいきなり予告もなくプチ整形してきたとかって、メイクなら変えられるけど、
整形ってむりだよ。
君のフォント、けっこう気に入ってたのにさ……。

で、FirefoxやGoogle Chromeなどいろいろ逡巡し、
ダウンロード+インストール、アンインストールを繰りかえした挙句、
現時点でこのサイトを閲覧するネットブラウザは、

Safari――こいつが一番、適しております。

SafariというとMacのイメージが強いかもしれませんが、
Windows用もあるので、IE11でこのサイトを読んでいる人はぜひSafariを試してください。
あるいはIE10以下のヴァージョンで見るのが推奨です。

そのつもりで文の長さのバランスと改行の位置などを決めています。


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十日後はタイタニックの沈没日ですね [た行]

現在、小説すばる4月号に掲載中の短編“極東での若き日々”に、
ちらっと出てくるヴァイオリン曲、
尚夜が神蔵夫人に聞かせる「主よ御許(みもと)に近づかん」
って、どんな曲だ?

という人のために。
映画「タイタニック」で出てくる弦楽器の楽団が、いよいよ船が沈むときに弾く曲です。

http://youtu.be/_RcVzevWX4U (映画の短いヴァージョン)
http://youtu.be/mCEfqj9pDAI (長いヴァージョン)

この選曲は映画の中だけの演出かと思いきや、
実際に「船が沈んでいくとき、この曲が流れていた」
と生存者が証言し、当時(1912)ドラマチックに報道されて、すっかり定説になっているんですね。

タイタニック号の沈没は日本でもかなり大きく取り沙汰された事故で、
事故当時、作中の尚夜は生まれた頃にあたりますが、
たびたび語りつがれてきた海難事故でもあるし、
しばしば死の淵を覗いてきた尚夜なので、
この曲がタイタニックが沈没したときに流れていた曲だと、
このとき無自覚に意識しながら弾いたんだろう――
と、思いつつ書きました。

蛇足逸脱:進撃22話 [た行]

場所による放映時間のタイムラグのせいで、まだ未視聴の人もあるでしょうから、
できるかぎり、詳しくはネタバレしないように言うと、
私は、今回『進撃の巨人#22』におけるアニメオリジナルシーン追加に否定的です……。

すごく密度の濃い、過酷な展開が続いていたのに、
まさかの急転直下……いたずらなまでに鬱な展開の挿入。
感情移入したくても、それまでの設定と無理がありすぎて……。
尺の引き伸ばしだとしても、いくらなんでも……。

以下、少々ネタバレで語ります。

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東尋坊にいってきた [た行]

先日、一泊突貫日程で、福井と石川(金沢)に行きました。
小松空港まで飛行機で、東京羽田から1時間。思いのほか近いです。

小松空港から車で小松駅まで十分弱。
(ここから連れと別行動で、連れはいったん永平寺へ。)
わたしは小松駅から、芦原(あわら)温泉駅まで。
一時間にほぼ一本のJR北陸本線・大阪方面に乗りました。乗車約30分。

芦原温泉駅についたら、一時間に一本のバスに乗り、東尋坊まで40分。

東尋坊の一個手前のバス停でおりて、沿岸崖沿いの遊歩道(?)を歩いて東尋坊へ。
快晴です。
40分ちかく歩きました。
真夏の炎天下を! ひとりで! 日傘と麦藁帽の両方装備で! 酔狂! わかってます!

麦藁帽をかぶっていれば日よけに日傘はいらないと思われるだろうが、
蜘蛛の巣とかね、あちこちぶら下がってるし、虫やらなにが降ってくるかわからない。
夏の薄手の服ですから、足長蜂が飛んできたり、イガイガの草にさわられたりしかねない用心に、盾として日傘は結果的に必須でした。
ときどきカニ歩きになる急こう配の遊歩道に、イナゴとか跳ねる。おぉっ……。

『夜9時以降は危険ですので立ち入らないでください』と看板が出ています。
なるほど、街灯なんてまったくないし、
海も日が沈めばまっ暗だろう。夜になったら暗闇の中を立往生。
潮騒をたよりに下手に歩けば海にまっさかさまでしょう。

だいじょうぶポカリスエットを持参してるし。
足首までのパンツをはいてるから変な虫とかに噛まれまい。靴もスニーカーではないが、これなら歩ける。たとえ蛇くらい出てきても、跨げるさ。

荷物が肩掛け鞄で、大きくて少々場違いだけれど。
サングラスも微妙に場違いだから、つるを胸元にひっかけて。
海沿いなので、さほど暑くはなかったです。むしろ心地よかった。
たまにうっすらと潮の空気がたちこめます。とにかく空気が澄んでます。

滝壺とかをわき見しつつ、鬱蒼とした茂みをくぐり、細い道を歩きます。
真夏はアスファルトの上を10分も歩けないヘタレですが、すたすた歩きました。
真っ昼間に、人っ子ひとり出くわさない。
大急ぎで進みました。正直ね、若干こわかった。

海の気配を感じつつも、海が見えない。
ひたすら、足場の踏み固められたちょっとした山道を進み、藪をぬけていくんですけど、
ところどころに東屋の休憩ポイントがあって、救われます。給水してまた進む。
なにしろ初めて来たので、ペース配分がわからない。
日差しにバテる前に、着かなくてはと焦ってました。
で、そんな途中に、ぱーっと海がひらける場所があるんです。
なんという蒼色!

きれー
まるで秘境の絶景ポイントだ……魂を洗われる心地がして、
写真をとりたい!!
だいたい絶景ポイントって観光客がごったがえしているのに、誰もいない。
チャァアンス!

と、周囲を見回すも、必ず看板があるんです。

『いまいちど考え直そう』
『いまならまだ引き返せる』
『思い出せ、親の顔、友の顔』
『まだやりなおせる』

……的な……常套句の数々……え? 

なに……ここ?

美しく息をのむほどきれいだなあと思う場所は、すべて恰好の自殺ポイントらしい。
おちおちカメラを取り出せない。
たしかに下は崖で、海にまっさかさまですが、足元30センチくらいの柵が手前にあり、
越えようとは思わないのだが……。

危機感をあおるのは、写真撮影を控えさせる腹でもあるのかなあと。

写真撮影できれいな景色をとることに夢中になっていると、たしかに墜落しうる場所なんです。
もうちょっと、と欲張りになって深入りすると、人知れず落ちかねない。
吸い込まれるように、海のほうに行きたくなっちゃうんですよ。
ずっと見えなかった綺麗な海が眼前に開けてて、マイナスイオンに誘われる。

それゆえ絶景ポイントには自殺防止看板が、もれなく立っているんじゃなかろうか。
たじろぎますからね。
自殺看板のあるところで、まごまごしながら荷物をほどいて、シャッターを切るのは気が進みません。

反面、ここで万一、人に突き落とされても、突発的な自殺ということで片づけられそう……。

私は今回、携帯で写真を撮っていた(重くなるからカメラを持ってこなかった)。
沿岸沿いの遊歩道(かるく山道)で遭難したら、
携帯で助けを呼ばなくてはならないだろう。

なにしろ誰とも行き会わない。カメラを使って、充電を浪費してる場合でもない。
というわけで道中の写真が一枚もないのだった。

ものめずらしい赤や紫の花とかもチラホラ咲いてて綺麗だったけど……。

たまに行き過ぎる人は、カメラをさげてトレッキングの身支度をととのえている。
でもたしかに『遊歩道』ってあったんですよ……。
人とすれ違うと安心しました。
ところどころで標識がでていて、東尋坊までの道のりを間違えてはいない。
東尋坊タワーは、なかなか近くならないが。
進むしかありません。

カナダのヴィクトリアに数か月滞在していた頃があったんですが、
ちょっと先に見える沿岸部をひとりで散歩して帰ったら、
最初のうちはウキウキと美しい景色に目を奪われるも、
最終的に2時間かかったことを思い出し……漠然と2時間を覚悟する。

友人とドイツに旅行にいったときは、古城ホテルにたどりつくまで裏山をぬけて、
小一時間登山をした……。思えばこういう謎なプチ遠征が多いな、わたし。
次の日、舗装された大通りで徒歩五分で来られたことを知ったんですが……。

そんなこんなで40分でたどり着いた東尋坊は絶景でした。
日本海というと、冬場の鉛色のイメージしか知らなかったけど、
夏の日本海は素晴らしい紺碧なんですね。
今まで、海外をふくめてけっこう海を見てきたけど、いちばんきれいな藍色だった。

おざなりに写真を撮って、
駐車場の案内をしていた、日焼けしきったおばあさんにバス停を尋ねるも、
怪訝そうな顔をされる。
バス停、降りたとこに戻ればいいんでは、なんだいなこの人は、どこから来たのだ、という目線。

「東尋坊まできて東尋坊見ないんで帰るんか?」
「いえ。ひとつ前のバス停からずーっと海沿いの遊歩道を歩いてきたんで、東尋坊はみっちりずっと」
「ほうか。なら、いらねーや」
「そうなんですー」
「そりゃあまあ、ずいぶん大変だったわ」
「そうなんです!」
「そこの商店街をぬけた下にあるから」
「タワーの向こうですか?」
「タワーより手前に商店街があるから、そこをぬけて色々みていったらいいさ」
「ありがとうございます!」

聞いたとおりに進んで無事バス停に着きました。
バス発車時間は30分ほど先だったので、おみやげ屋でぶらぶらして、
物産屋?……にてトイレがあったのでトイレにいき、
こういうところは概して……と、トイレの荒廃ぶりを覚悟して震えあがって入ったら、
思いのほか衛生的で、それまで目にしてきたきれいな景色がきれいなままで保たれ、助かった。

たしか14時18分着・21分発のバスだった。
15分にバス停に向かうと、まさに発車するところでした。
一時間にほぼ一本間隔のバスなので、客はみな待ちかねて乗りこむから、ぎりぎりまで待たないのかも。

ぽかんとしながら日傘を振ったら、停車してドアを開けてくれました。
乗客は私をふくめて3~4人。
多くは自家用車か、レンタカーで来るようです。

バスは運転手のほかに、女性の車掌さんが同乗していて、行き先を確認してくれました。
不慣れなものには、ありがたかった!
私が下りるのはJR北陸本線の芦原温泉駅ですが、
よく似た名前の芦原町駅という停留所が手前にあるのです。
車掌さんがいなければ、間違えて降りていたかもしれません。

滞在地は松任。金沢のちょい手前。
芦原温泉駅から北陸本線・金沢行で1時間弱です。
松任から金沢はアクセスがよくて、簡単にすぐ出られます。

金沢では武家屋敷跡と、
諸江屋という落雁(らくがん)のお店が味から雰囲気までぜんぶツボだったのだが、
数年前に働いていた研究室で、SSさんという年下女性が金沢に一人旅にいったあと、
「中里さん! 辻斬りが出そうなんですよ! 道を曲がると辻斬りが! 中里さん、たぶん絶対好きですよ!」
そう言ってくれたのは、ここ武家屋敷跡のことだな……。

なぜ私が辻斬り的な世界観を好きだと思ったんだろうか。
SSさん、いい勘してたな……。

写真



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