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羽生選手の2021年全日本フィギュアフリー演技とても良かったですね! [は行]

2021全日本フィギュア、男子ショートプログラムを見逃したよ……
と思っていたら、フジテレビがYoutubeに動画をアップしていました。
公式動画。ありがたい。

https://www.youtube.com/watch?v=e0m44q_Vo5Q&t=2s
速報!男子SP 1位 羽生結弦選手ショートプログラム <ノーカット>
【全日本フィギュア選手権2021】

私は羽生選手を特にひいきに応援しているので、羽生君の動画URLを貼りましたが、もちろんほかの選手の動画もあります。

全日本フィギュアスケート選手権
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/japan/movie.html

スケート選手権が民法で放送されると、つい……キャスターの盛り上げかたやMCのコメントが正直うるさすぎてイラっとくる、過不足ない解説の本田選手を見習ってよ!
とか、変なところが気になりがち。選手の演技以外はずっと音を消しておく。
こういう動画はニーズをよく心得ていただいており、助かります。

そりゃまあ、ずらっと選手の演技を連続で見たほうが、出来栄えの良しあし、競技としての力量差とかが比較しやすく無慈悲なくらいわかるというメリットが勿論あるんですが。

今、羽生選手の優勝が決まったばっかりだから、そのうちFS(ロングプログラム)の動画もアップされるでしょう。
四回転アクセル挑戦がどうなるかばかり報道されるきらいがありますが、スケーティングのスピードが終始衰えることもなく、「天と地と」の世界観、プログラムの構成とか、一つの作品として目指しているところの全体の質が、もう比類なく素晴らしかったですよね。
見逃した方はぜひ。

不滅のあなたへ・第三話 [は行]

第一話の良さ、まごうことなき名作の息吹を感じたあの感動はいったん忘れよう。

忘れたふりをして見ていたら、意外にこれが面白かった、第三話。
『もののけ姫』とか、『WOLF'S RAIN(ウルフズ・レイン)』とかそういう類である。

──こんなチートがあるか……こんなチートがあってたまるか……。
第一話のひたすらリアル寄りの描写を突き詰めていた、骨のある、丁寧な世界観の構築はなんだった。ファンタジー要素があっても地に足の着いた、丹念な描写で物語を紡いでくれたあのスタンスはどこにいった……。
良い意味で期待を裏切ってくれる作品は大好きだが、いくら何でもこれはもはや別物が過ぎる。
これは……ひょっとして原作時点で、第一話のあの良さを理解できない愚かな編集部とかが、
「もっと派手さが欲しいんですよねぇ~」
みたいな路線変更を強要したんでは? 
作者にとって不本意なテコ入れが入ったんでしょ? そうでしょ……?

──という勝手な疑念が、頻繁に頭をもたげてはきましたが、それもアニメーションの良さで、しのげました。

白い狼が巨大な化物(熊)に対して、獰猛かつスタイリッシュな戦いを仕掛ける。
あ、私こういうの好き……。
なんとなく目先の良さにつられて、最後まであっという間に見終えていた。
第一話とは正反対、何もかもがこんなにうまく運んでたまるかというほどの御都合主義で、ひとまずは、めでたし・めでたし……。

第一話、一面真っ白な世界でふと見えた道標に気を殺がれた一瞬の隙に、氷の下にあった川へと足を踏み外す。その際に脚に怪我を負い、その傷の出血が止まらなくて……というリアルで過酷な展開だったのが嘘のよう。
ファンタジー要素がファンタジーな展開をするのは全く申し分ない、それどころか楽しみの一つなのだが、そういう部分ではなく、
あの高さの崖から普通の成人女性が落っこちて無傷なんですか? そうですか、へーえ。

ツンドラ地方からタイガ地方に移動してきて、洋ナシっぽい果物が取れるのはわかる。
しかしだ、ドラゴンフルーツめいたものも転がってくる。
ドラゴンフルーツは南国、熱帯雨林の果物……。
ニナンナの村人はどことなくアイヌ民族を彷彿とする衣装を着ていたけれども、同時にアステカ・マヤ・インカ文明の色も濃く、実際かなり薄着で夏場仕様。
特定の民族をモデルにすると色々と誤解を招くかもしれないので、これは意図的に混ぜているのだろうし、このごった煮ちぐはぐ具合はファンタジー設定なので、突き詰めるだけ野暮。
しかしだ、第一話はファンタジーであっても、きちんとリアルを感じられた。

第一話の冒頭時点で、「それ」が意識や感覚を獲得し、体感温度等の快・不快を感知することは言明されている。第二話、第三話と、みんな割と薄着なところに、ツンドラ仕様の身支度では厚着が過ぎるはずなのだ。
相当暑いはずなのに……「それ」が何を感じているのか伝わってこない……何も。

そのあたり、原作漫画を読めばすっきりする設定になっているのかな……。

『刀剣乱舞/活撃』のアニメの時も私は、刀剣男士の出陣先での戦闘時以外の身なりについて、時代に全然溶け込んでいないのに周囲が一切スルーな旨を、終始、気にしていた記憶があるので、単に私が気になるポイントに過ぎないのかもしれない。

思えば『シュタインズ・ゲート』でも、真夏の秋葉原の炎天下を歩いている岡りんも、クリスも、なぜそんなに厚着で居られるんだ……と気になって仕方がなかった。私は夏でも相当の厚着マンだが、その私が見ても……大丈夫なのか、熱中症にならないか?
冷房がキンキンに効きすぎた部屋に居すぎて、体の芯まで冷え切ってんのかな……と、たびたび気になったものだった。


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不滅のあなたへ・第二話 [は行]

この回から宇多田ヒカルの主題歌はエンディングではなく、オープニングとして流れるんですね。

本来ならばいい感じのOPアニメーションなのだろうが、第一話のエンディングの印象があまりにも良かったので、俄然ガチャガチャとうるさく感じるのが正直な印象です。
内容もそう。第二話タイトルが「おとなしくない少女」なのだから、少女がうるさいのは承知の上とはいえ、話の展開がうるさい……。おとなしくない以上に声もうるさい……。

いやその前に一つ良いですか。
そもそもさ、狼の姿の時だって下(しも)は垂れ流してなかったのに、どうして人間の姿を獲得したら「それは人間たらしめるものを何も持っていないためすべて垂れ流し」になるんだよ、おかしいだろ……。
かなりきちんとした服をちゃんと身につけている時点で「人間たらしめるもの」を少なくとも一つは持っている。
(二足歩行も問題なくしているしな……)
大体、飲まず食わずで歩き続けてきているんだから、もよおしもしないはずじゃん……。

あまりにも初回が良かったがために、その感動が冷めやらないところにきて全然違う世界観の空間に連れてこられ、てんで気持ちがついていけない。
第一話はあの少年に感情移入をせずにいられない話の構成で、まんまと感情移入をしていた私は、気持ちのやり場に途方に暮れている感じ。でも慣れていこう……としているところにきて、追い打ちをかけるように新たな風俗(風紀習俗)でまくしたてられる。それが初回とあまりにも隔絶した世界観で。
(え、もう果物に? たどり着けちゃうの……?)
もう「それ」さんよ、とっととなんかの感情やら姿やらを獲得して、はやくこんなところ抜け出そうぜ。次の世界観に連れてってくれよ……
という気分になっている。
だって第二話はけっこうよくある展開で、手塚治虫漫画の時代から何度も見たことあるよこういうの、という風習の寄せ集めだし、語りつくされた定番をわちゃわちゃした味付けにしている。
人体が復元されていく作画とかはすごい。アニメーション的な見せ場はちゃんとあります。

当初、わたしは「それ」を無知で無垢・真っ白な霊魂的なものの具現化だと思っていたし、そういう要素はれっきとしてあるのですが、もうちょっと映画「ターミネーター2」の液体金属型ターミネーターに近い性質なのやもしれない……のか……?

なお、第一話については私は気に入りすぎて、既に何回か見ている。
派手さは無いが、何回見ても全く飽きがこないもんだから、つい。
初見では気付けなかったほどの微妙な人体の動かし方などまで、実に見事で。
怪我を負ってからわずかに足を引きずって歩くようになる独特の重力感とか。
むろんベッドから抜け出て椅子に腰かけるときの、やっとこさ具合や。
人体だけでなく、釣り上げた魚(鮭?)を壁際のロープに引っ掛けるときに、鮭がグんっと下にロープを引っ張る、その質感から伝わる重量感も……。
アニメーションの細部にまで、作り手と登場人物双方の息遣いがこもっていて、いちいち素晴らしいから、飽きもせずに繰り返し見たくなります。あと何回かは確実に見る。

一話がシンプルで真っ直ぐ、真っ向勝負ができるだけの内容と展開だったがゆえに、二話でおそらくはこういう感じを覚えるだろうなあというのは予期していた。その想定の範囲内なので、第三話以降も見ていきます。


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不滅のあなたへ・第一話 [は行]

2021年春アニメ、あれやこれやを楽しみにしつつ視聴をし始めたところである。

2021年冬アニメは『はたらく細胞BLACK』くらいしか見ていなかった気がするので、今期は視聴で忙しいよ、である。そろそろ色々と第一話が出そろってきたタイミング。
とりあえず現時点で一番猛烈に良いのが『不滅のあなたへ』です。
とても推したい。

●不滅のあなたへ(配信情報)
https://anime-fumetsunoanatae.com/vod/?l=ja

ちなみにエンディング曲は宇多田ヒカル。

私が「見てみるとすっか……」と思ったきっかけは主題歌が宇多田ヒカルだとだけは知っていたからなのだが、エンディング曲なんか些末なことかも、
と思えるほど、中身が良くて嬉しい誤算なのだった。
地上波放送はNHK Eテレ月曜夜10:50分から。

前情報を一切入れずに見たので、しょっぱな津田健次郎のナレーションが非常にゆっくりモードで始まる時点で心が萎えかけ、なかなか人間も出てこないし……。
1.3倍速に切り替えて見だした。
寒々しい風景に、いくらイケボの津田健でもあまりにゆっくりナレーションだから、しびれを切らした。
1.3倍速で「ごく普通の速度」と感じるので、本当にスローなナレーションで始まるのだが、そこで見るのをやめないでほしい。
……というかその数分で視聴をやめなくて本当に良かったよ、私自身。

見ていてリアルな冷たい風を感じる気がする描写。
いきいきして魅力的なキャラ(現時点では登場人物ほぼ一名+一匹)だけがおりなす第一話。
良質な短編映画を見たような内容の濃さで、ダークホースの圧勝です。
「原作よりもアニメのほうが良い作品なんてごくわずか一握り」
と先日ここに書いたばかりなのだし、事実そう思っているのは変わらないのだが、
この『不滅のあなたへ』は、そのごくわずかな一握りに入るんじゃないか、
と俄然、期待せずにはいられない。
別にすごいクオリティたっけー作画というわけでもないかもなんだが、人物が動くときの重心のかけかたが良くて、総じてアニメーション全般のつくりが誠実。その背後にちらちらと透ける、原作の良さ。
……多分だけど、このアニメ、原作に相当忠実に作っている。だからこその良さもあるよね?

とはいえ一切の前情報を入れていない、原作を知りもしない状態なので、今後どんなつまらぬ展開になるのかだってわからないのだが、たとえどんな展開になったとしても、この初回だけで既に名作の気配が。
ほんわり、かわいい絵柄で淡々と進むのに、着々と迫る悲劇的な予感。
──これぜったい……この少年が……んで……この狼が……だよね……?

狼がしょっぱな少年の家に入って「口がきけたならここにずっと居たいと言っただろう」的なことを思うんだが、(津田健がそうナレーションする)それは見ている私としても完全に同意で。
もうさ……この、サーミ民族がモデルになっているのかな?……と思わせる少年と、狼だけで、他のキャラとか要らないからさ……。このまま折々の苦難はありつつも、なんだかんだでうまくいってくれ……と祈るように見守るのだ。

派手な演出は一切ないけれど飽きさせないリアル寄りの描写が、美しくも過酷かつ素朴な世界で展開して、正直、続きを見て幻滅したくない、この一話で充分かも……
という気持ちにすらなった。


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バランス(検査数規模縮小と陽性率) [は行]

東京都の新型コロナ新規感染者数が12日ぶりに1000人を下回ったと、
ちょっと良いニュースが本日、報じられたばかり。
こちら→https://mainichi.jp/articles/20210124/k00/00m/040/074000c
『東京都内の新規感染者数は986人 12日ぶり1000人を下回る』
 毎日新聞2021年1月24日 15時26分

だが、東京都が保健所の負担を減らすために、積極的疫学調査を縮小していた。
https://this.kiji.is/725329388900417536
『東京都が積極的疫学調査の規模縮小』
 一般社団法人共同通信社2021/1/22 21:39

都内各保健所には18日あたりから既に縮小するよう通告がわたっていた、
という情報も見かけます。
保健所のキャパオーバーなんだろう。
従来の定義よりもさらに限定的な人を「濃厚接触者」としてPCR検査をするように。
状況は進展というより、方針転換、つまり転進という名の後退をしてるのだな……。

何を基準にして増減の判断をしたらよいのだろうか。

陽性率に関しては、忽那感染症専門医のこの記事が参考になります。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20201213-00211365/
『新型コロナの「検査陽性率」はどのように解釈すれば良いか』
 忽那賢志 | 感染症専門医2020/12/13(日) 10:45

数学以前に算数不出来の私は単純な数式が出てきただけで、
読むのが一気に苦痛と化すのではあるのだが。

とはいえ、ようは検査数を減らして「濃厚接触者」を重点的に検査し、
陽性率の数字が高く出る場合は、検査数不十分を意味するというのはわかる。
WHOは陽性率5%未満を維持することを推奨している。
感染流行中は5%未満を維持できるくらい検査をしろってことで、
陽性率が5%を超えていたら、検査不足という意味になるわけだ。

ちなみに昨今の東京の陽性率は10%前後です(検査不足ということです)。

・追記
こちら(https://twitter.com/ojimakohei/status/1353253127995068416)によると、
検査数が20%も減っているとのことなので、
実際のところ、新規感染者数は減っていないとみてよいのかもしれない。

──ところで。
話は全く変わりますが、刀剣乱舞の「最後の特命調査」
とうらぶ史上、初めて登場したゲームスタイル(タワーディフェンスとやら)と、
慶応甲府ステージでの加州清光と監査官(菊一文字)とのやりとりが面白い。
音楽も、のっぴきならない不穏な感じを加減良く搔き立ててくれますし、
個人的には、このくらいの掘り下げと仄めかしのバランスが心地良いです。
これより浅いと物足りなくて虚しくなるし、かといいこれ以上、示唆が多いと
「ゲームのテーマに反して歴史修正風味で、特定の印象を植えつけすぎでは……」
と感じてくるんですよね。

追記)菊一文字(則宗)と大和守安定の回想が、今まで刀剣乱舞で繰り広げられてきた回想の中で一番好きな会話かもしれない。……つうか、好き。

花火の景種 [は行]

気づけば一か月以上も更新していなかった……。
梅雨明けして、太陽の恐ろしさが度を超す季節に更新が滞っていたのって、
私も存外わかりやすいじゃないか。
(あと、仙骨関節捻挫を起こしてしばらく椅子に座れなくてですね……。)

刀剣乱舞の花火の景種が好きすぎる。
花火があがるパターン、二種類ありますよね。
初期刀の花火ボイスも二種類ありますが、
そもそも上がる花火のパターンが二種類あるよね?
2020年の夏の思い出といえば、
「刀剣乱舞の花火の景種がとても良かった」になりそう。
ささやかだけど嬉しいことなので、良いんだ。


ハイドリヒ暗殺作戦 [は行]

Anthropoid作戦というのがあります。

日本のウィキペディアだと、エンスラポイド作戦、というので出てくるんですが。
これアンスロポイド作戦でいいじゃん……なんでエンスラポイドとかちょっと英語それっぽく読めるんですよ表記なんだよイラッとするな……
となるんですけどね。

だってAnthologyはアンソロジーと表記するじゃないですか。
Appleはアップルと表記するじゃないか。
頭のAが、エーと読む語ならわかるが、これは違う。AppleとかAnthologyと同じæ なんだ。
エップルとかエンソロジーが、誤記なのはわかるだろう。
ならなぜエンスラポイドなら許されるんだ……?
なぜAnthropoidがエンスラポイドになるんだよ……アンスロポイドだろ……。
百歩譲って、アンスラポイドだ。頭のアは譲れない。

このAnthropoid作戦、日本では「類人猿作戦」などとも訳される。
Anthropoidという語が──類人猿の、という意味だからなのだが、
これもはっきりいって誤訳なのでは、と私は感じている。

Anthropoidには、類人猿という意味のほかに、もう一つ意味があるのだ。
Anthropoidのもう一つの意味というのは、anthropoid coffinの略。
anthropoid coffinというのはエジプトでファラオなどのミイラが納められる、
あの特有の人型の柩のこと。ミイラ用柩です。貴人の棺。

Anthropoid Coffinで画像検索をかけると一発で分かります。ズラッと出てきます。
こちら→Anthropoid Coffin

このAnthropoid計画というのは、
チェコを占領統治していたナチスの高官ハイドリヒ暗殺計画を表す、コードネーム。
実際に用いられたコードネームで、史実です。

だからそれを類人猿計画と訳そうとも、
もともとの用途が、本来の暗殺計画を誤魔化すための名称だから、大きな齟齬は生じない。
それで逆に、正されることもなく来てしまったのではないか……と私は思っています。

Anthropoid、つまりナチスの悪名高い高官ハイドリヒを暗殺した暁には、
その屍をミイラにして、柩におさめて、封じ込めてやる、
そんな強い思いがあったからこそ、暗殺計画の暗号として用いられた語だと思うんですよね。

Anthropoid Coffin、一般的に日本では人型棺というのが通称らしい。
Anthropoid作戦とはつまり、人型棺作戦。ファラオの棺作戦。
イギリス発のコードネームなので尚更。
(イギリスは、人型棺をせっせとエジプトで発掘しては、大英博物館に所蔵している。)
暗殺計画なのだから、少なくとも類人猿計画ってことはないんじゃないか……?
と、私は思っています。どうなんだろうか。

このAnthropoid作戦をガッツリテーマにした2016年の名作映画がありまして、
そのタイトルもまさに単刀直入、
ANTHROPOID

タイトルからして硬派で骨がある、史実をもとにしたカッコいい映画なのがわかる。
この日本のタイトルが、これまた類を見ないくらいダサい。
日本では2017年に公開された。


https://youtu.be/zer_yPaozJg
『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』映画オリジナル特報

タイトルの中に、「」がある時点で、なぜ考え直さなかったのだ。
しかもそれが「ナチの野獣」って……原作製作者が知ったら泣くでしょ。
Anthropoid作戦は、Operation Anthropoidなので、
オペレーション・アンスロポイド
で良かったんじゃないの……?
アンスロポイドが仮に何かわからなくとも、
シュタインズ・ゲートとか、オペレーション・スクルドとか、
一つの単語が分かれば、もう一つがわからなくとも、ついていけるし、むしろ興味をそそられる。

もっと言えば、現地のポスターは、ポスターだけで名作なのが伝わるし。
現地ポスター→https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/7/7a/Anthropoid_%28film%29.png

このタイトルで完全に損をしており、日本ではヒットはおろか、
下手をすると、ろくに知られていないくらいの映画です。タイトルは大事……。
私はといえば、このタイトルに対する嫌悪感がすごかったので、
当時アマゾンUKからANTHROPOIDのDVDを購入して英語で見ました。
(なにしろ日本語タイトルが原作映画への敬意があるように思えなかった。)

チェコ・イギリス・フランスの映画です。
役者陣も、カナダ出身や、アイルランド出身などのスター性の高い面々と、
物語の舞台となった現地チェコの役者で固められていて、バランスがとれている。

硬派だがドラマチックで(……なにしろ史実が硬質でドラマチックなのだ)、
史実に基づいてきちんとした作りになっており、
のっけから面白いが、
暗殺作戦決行から、想像以上にぐんぐん引きこまれて、手に汗を握る。
苛酷な展開が待ち受けているのだが、史実にもとづいて敬意をもってきちんとつくられているので、
徹頭徹尾、スリリングで見どころがある。
むろん創作部分や脚色部分も含んではいるでしょうが、過度ではない物語性。
……というかここは当然、脚色でしょ……と思っていたことまで史実だったのを、
あとでコメンタリーで知った……。

後半、聖堂に立てこもるシーンがある。
それも史実(教会がナチスへの抵抗運動組織に秘かに協力している)。
銃撃戦の舞台設定として、一般家屋よりも見ごたえが数倍上がります。
聖堂って要塞になりうるので、ナチスも聖堂を容易に制圧できない。

この史実に基づいた話の核になるANTHROPOIDが実行されたのが、
1942年5月27日。
そのハイドリヒの〇〇が6月9日(史実だからネタバレもへったくれもないが一応)。
暗殺作戦に携わった者への、ナチスの攻撃が始まったのが6月17日……
今から78年前、このくらいの季節の話。

人間ドラマとしても戦争ミステリー映画としてもすぐれているし、あと知ってほしい……
私はこの映画を見るまで、この史実を全く知らなかった。
だからこそ余計に面白かった部分もあります。
ナチスにとって、ある種のターニングポイントとなった事件です。

ネタバレ暗殺決行シーン



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ポスターというか看板みたいなつもりで [は行]

2020年11月の文学フリマに申しこんであるのだが、
今年は新型コロナの問題があり、
各地の文学フリマ等が軒並みキャンセルになっていることを考えれば、
開催はなんとも不確かだ……。

無事に開催されたとしても、もしかして私自身が何らかの事情で行けなくなることもありうる。
「来年のことを言うと鬼が笑う」ともいうし、
あまり先んじて手を打っても……。
けっして来年の予定ではないのだが。

そう考えながらも、ポスターをせっせとこしらえてみたりしています。
べつに今回の文学フリマが無理だったとしても、
いつか開催されるときに、きっと使えるんじゃない?
と。

画面上で制作したものを、紙に印刷すると、
極端に彩度が落ちる……というか色が沈むケースがある。
こと赤や青は色味がけっこう変わる。印刷会社の力量にも相当、左右される。

仕上がりの色味を想定して作った後、
気になる部分は意識的に彩度を上げて、
画面上で見るにはちょっと明るすぎるか、派手すぎるか……という色味で、
今回、印刷所に頼んでみました。
A3サイズ(297×420mm)をためしに1部だけお試し注文。

Yuka poster sizereduced.jpg

ちなみに今回、パブリックドメインにあるArthur Rackhamの絵
(James Stephen作『Irish Fairy Tales』に用いられた口絵)をベースに、
黒十字やらロゴやらを配置して、ポスターに仕立てました。
『黒十字療養所出版部』のポスターのテーマとして、なにしろ絵柄がぴったりだから!

 そういえば以前私は、ネットプリント無料配布用にと、
 ブックカバーをせっせとこしらえていた時期がありました。
 最近うんともすんとも話題に出さなくなったのは、
 ネットプリントにアップロードできるファイルの重さには制限があり、
 こしらえたブックカバーデザインの大半を、思うようにアップロードできないことがわかったためです。
 どうりで……いろんな人がネットプリントでアクセス可能にしている配布物は、
 いずれも、シンプルですっきりしたデザインだったり、モノトーンだったりしたわけだ。
 事情があったのだ。
 企業はまた使える容量が違うんでしょうけど。

印刷所に頼むとなれば、どんなにファイルサイズが重くなろうが、
心置きなく気にせずに作れる点が、頼もしくありまして、仕上がったのがこちら。
私の写真が下手すぎるのは置いといて。

IMG_0002posterimagesmall.jpg

まずまず想定していた通りにいったかな……
フォト感熱紙だからか、思っていたほど赤色は沈まなかった。青は濁った。
(この印刷会社は青色を出すのが若干、苦手な感じもする……。)
こういうことは試行錯誤で実際にやってみて、勉強しておくに越したことはあるまい。

ラミネート加工したほうが良さそうだな……Kinko’s でやるか……。
Kinko'sはアメリカの会社で、カリフォルニアに居たときやたら見かけたもので、
日本でのクリーニング店くらいの感じで徒歩圏内にあったのだが、
いま身の回りで、近くにあるかな……。

このたび、ああでもない、こうでもないと色々と格闘中ですが、楽しくもあります。
今後のために製作過程全般を気楽に進められる方法も、模索中です。


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始まりました2020年春アニメ全般 [は行]

2020年春アニメ、第一話、ものによっては第二話までほぼ出そろった。
今期視聴中のアニメできちんと毎回、襟を正して見ることに決めたのは、
次の3作です。 

『無限の住人』
アマゾンプライムでネット配信オンリーだった作品が、ついにテレビ放送開始。
サムライチャンプルーが好きだった人は、おそらく高確率で、そそられるやつ。
サムチャよりもギャグとノリは抑え目。内容がゲテモノ寄りで、青年漫画風味臭が強い。
正直わたしは時々、食傷気味になりもする。
キャスティングのはまり具合と、テーマソングの清春のはまり具合と、クオリティーたっけーなァおい、という作画に後押しされて見ている。

1話時点では、アニメとしての完成度は素晴らしく高いのに、内容は正直好きになれない……
どちらかといえばかなり嫌い……
と、折々で辛抱しつつ見ていましたが、2話時点では
「これ、おもしれー」
今後も一喜一憂しながら見る予定です。

https://mugen-immortal.com/special/


『啄木鳥探偵處』
文豪の作品ではなく、文豪自体を消費コンテンツとして扱っている昨今の作品全般、私はかなり抵抗感を覚える。
この作品はまさに文豪自体を消費アイテムの一つとして扱っているし、
その点からすると、正直に言って作風や題材はかなり、いけすかない。
文豪ネタをちりばめつつも、
文豪自体の人生を正面から深く振り下げるのがテーマの作品では全くなさそうであるし。
(原作は1996年らしいので、昨今の文豪消費コンテンツのブームに乗ってアニメ化されたと見るべきでしょう。)

誰もが知っている、よく知れた文豪の名を借りてメインに据え、
文豪のよく知られたエピソードを気の利いた感じにちりばめてみた、探偵もの。
(あらたに一から魅力的なキャラや、魅力的な人間関係をこしらえて読者に働きかけるより、
名の知れて関係性もよく知れている既存のキャラ……ここでは実在の文豪をアレンジするほうが、
ずっと簡単ですし、受け手もとっつきやすくて楽だもんね。)
そんな文豪が殺人事件を解決していく。

いいタイミングで主役の石川君がこぼすのが、この作品ではいちいち石川啄木の一首なわけです。
……あんな推敲もなしに、ふと口からこぼれ出てきた作品だったのかしら、あれ……。
とはいえ、そのタイミングが絶妙で、独特の情緒を醸し出してくる。
なにしろ名作の詩歌句なわけだから、そりゃあ良いわけですよ。しみる。

下宿先の間取りや、百年余前の東京の街並の描き方が丁寧で、つい見入りまして、視聴確定。
キャスティングも良いです。

https://kimikoe.com/kitsutsuki/


『かくしごと』
漫画家自虐ネタはもういいかな……と、初回で切る気満々でしたが、
第2回目でうっかり軽く気に入ってしまったのと、
ほほう……そういう事情が隠れているわけですね……というのがわかってきたので、もう見ます。

神谷浩史の演じる主人公の漫画家が、まんま『さよなら絶望先生』のトーンとテンポで、
原作者も同じだし、キャラ造形とか声の演技がほぼなんら変わらない。
絶望先生への懐かしさ半分で見ている部分がなくはない……。

https://kakushigoto-anime.com/movie/


上記3作品に加えて、『文豪とアルケミスト』も流しつつだが見ています。
なにしろ制作予算がおそらくかなり少ないが、
少ない予算でも頑張っているに違いないぞ、これ!
と伝わってくるOPの作画なので。
OPの作画はいつもきっちり見ている。
(アニメOP曲が、ゲームOP曲と違うのは、誤算だったが……。)

なお館長代理役の猫の造形や仕草がもれなく気持ち悪いのには、驚いた。
猫という生物をきちんと見たことがない人が描いてるよ、あれ……。
或いは猫嫌いな人が描いてるよ、きっと。
どうしたらあんなに気持ち悪く、樹脂をかためたみたいな猫になるんだろうか……
(軽くトラウマになりそうなほどである)。

内容は、歴史ワープアニメのテイストです。
歴史ではなくて、今作では文豪の作品にその都度ワープ(潜書)するんだな。

再放送では、花丸1期をまたしても見ている。
花丸3期を楽しみに待ちつつ、ぬかりなく復習。

1期は初回と、
にっかり青江と粟田口の怪談回、
最終回の一つ前、
この3話が大好きだったなあ。
うどんミュージカル回や、粟田口ミュージカル回も出色でした。

回によっては完成度や面白さに、かなりのばらつきがある本作でしたが、
ほぼ毎度異なるエンディングは全部好きだった。

このたび再視聴の初回、やはり好き。
この花丸本丸の微妙な隔世具合が、
そこはかとなく刀剣にとっての「あの世感」がただよってもいて、安心できるといいましょうか。

また再放送では、サンダーボルトファンタジー1期も再視聴しています。
(サンファンはアニメではないが……制作会社がアニメ枠ということで。)
1期時点ではいくつか見逃したエピソードもあるのだった……。

2期と、映画2本を見たあとの現時点で見ると、
1期当初は煩雑に思えた多数のキャラもすんなり呑みこめる。

凜雪鴉(りんせつあ)と殤不患(ショウフカン)が押しも押されぬメインキャラなのは自明なのですが、
それ以外のキャラについては当初は誰が重要人物で、誰が雑魚なのか、
判別つけがたくて、途中で面倒くさくなった時期があったのだよ……。

や、美形や強者(つわもの)ぞろいで、中の人も有名だし、
キャラ造形が煩雑なわけでは決してないのだが。
名前がそもそも耳慣れない・見慣れない。
難読漢字も多数で、一発変換はいまだに困難、
おまけに通り名とか、真名とか、一人が複数の呼び名を使いわけている世界なので、
はぃ?
と、なったんだ当時は……。

もともと在宅業務なので自宅にこもりがちなのは普段からなのですが、
こんな世情ですので、いつもより余計に自宅にいる。
常より気持ち視聴多めのラインナップです。


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本丸博に行ってきた@池袋サンシャインシティ [は行]

2020-01-16 14.29.13trimming.jpg

先週ですが、本丸博に行ってきました。

とりあえず刀剣男士の跪坐を、通常と極版とそろえて、
軽装と5周年記念の集合絵もいれた画集としてね、
(イラストレーターさんの非公式5周年祝画もできれば込みで)出してください。
……というか出るよね?
出ないわけないよね?
そう、ぼやきながら掛け軸絵を見ていました。

印刷がとてもきれいで、目の色とかまでじっくりゆっくり確かめたいのが本音なのだが、
圧倒的に小柄な女性客が多い中、
わりとのっぽで、ことによったらそれだけで威圧感も少なからず有るんじゃなかろうかという自分が、
絵の前を長く塞ぐわけにもゆかぬ。

小柄な女性がカメラを構えて張りついていてもうるさく感じないけど、
私は、さらっと流し見する程度にとどめるように心がけねば、と。
画集……画集がほしいよ……
念仏のように友人に零して終始、やり過ごした気がする。

誘導係の人が「慌てずにお進みください、推しは逃げません」
と呼び掛けて、小さな笑いを誘っていたけど、
私は特定の推しを目指していっているというよりは、むしろ箱推しに近い。
いや……あの……全員が自分の推し目当てに押しかけているとも限らないんです……。
苦笑いを禁じ得なかった。

おそらくは印刷がとてもきれいであるがゆえに、
存在としての影を紙面に定着させられ、封じられた付喪神の姿をズラッと晒している構図にも感じ、
あれ、これどちらかというと痛々しい展示仕様じゃないの……?
あまり気持ちよく見ていられずに、
はやく解き放ってやりたい気持ちがうっすら芽生えて、まじまじと正視する気がおこらなかった。

昔話にあるじゃないですか、夜な夜な掛け軸から出てきて歌う鳥が、
昼には掛け軸に戻っているという噂で、
ためしに掛け軸に矢を射ったら、その晩から二度と出てこなくなった……という。
(そのくらい跪坐の掛け軸の印刷が綺麗だったという事ですけどね……。)

「とある本丸」のジオラマに、バラ園や神社や聖堂があるのが興味深かったです。
付喪神って信仰の対象になりうる以前に、彼ら自身がなんらかの信仰をもちうるんですね。
持ち主の……あるいは作り手の影響も受けつつ。
刀剣男士(付喪神)は自分に託された歴史や物語を、己の人生(刃生)として受け止めつつ、
その存在は現象的なのだな。

刀剣男士の居場所も色アイコンで誰なのか分かるようになっていて面白かった。

欲を言えば、『活撃/刀剣乱舞』『花丸1期』『花丸2期』のジオラマもあわせて展示してあったら、
より内容が充実しただろうかと。

活撃の、社食完備、薬研藤四郎が厩の近くの清水で顔を流したり、
三日月の部屋には御簾があって、やたら豪華で風通しが良さそうだったりする、
そのわりにひょっとしたら大浴場がないのかもしれない謎本丸。
骨喰が薬研に食事を運んだ廊下や、蜻蛉切が寝込んだ一室や、
兼さんが陸奥守に当たり散らした庭先なんかは、
俯瞰でどういう立地になるのか、ミニチュア3次元で把握したかった。

花丸では近くに洞窟があるっぽいし、海も近そう。
作中で本丸替え……刀剣男士の増員にともない引っ越しをするエピソードもある。
そのあたりも踏まえた、引っ越し前・引っ越し後のジオラマがあったら、
個人的には、より各本丸の多様性と可能性を味わえて、楽しめたかな。
ジオラマ周辺の混雑具合も分散しただろうし……。

刀剣はもっといろいろ飾ってあるのかなと思っていたのですが、
三日月宗近の復元(写し)と、蛍丸の影打ちの展示にとどめてあった。

三日月宗近の復元は、噂には聞いていた。
刀の時代でもなく、本物が東博にあるのに、なぜ復元する意味があるんだ、
と、当初私は快く思っていなかったくちである。
が、一見して即座に、「あ、こいつは三日月宗近……その写しだ」
素人にも一発で分かる出来栄えなのがすごかった。
三日月が時代を越えてとがれて、すり減った部分を補完するかたちで、
うぶの三日月宗近(の写し)にお初にお目にかかるのにもかかわらず、
あ、こいつ三日月じゃん……!
煮ても焼いてもこいつは三日月。
パッと見だけで、そう感じさせるあの出来栄えは、何が肝だったんだろう。
(間近で張りついて鑑賞できるタイプの展示ではなかったので、言い当てられない。)

蛍丸の影打ちは正直ピンとこなかった。
影打ちというのは、厳選した最後の一振となる真打ちの、その控え。
いうなれば最終選考落ち・控え選手の立ち位置だから、
一見して心を奪うまでの出来映えとは言い難いのか。
(蛍丸復元プロジェクトには、蛍丸が現在行方不明ななこともあって、
私はものすごく肩入れしていたんです……。)
そういえば蛍丸は刀剣乱舞で当初から初登場時に、
《じゃーん、真打ち登場ってね!》と言うんですから、
いまとなっては本当に意味深に感じられる、感慨深い。

ちなみに、池袋サンシャインシティ。
私が小学生の時はサンシャインが日本で一番高いビルだった時代もあったくらいで、
小学3年の時、親が入院していた新宿界隈の病室からでさえ、
ひときわくっきり浮かび上がってみえる高い建物だった。
華やかで最先端の建物なのだろうという期待と先入観があったし、
サンシャインの水族館と言うと、日本で数少ないマンボウがいた水族館だったかと思うし、
プラネタリウムがあったり、おしゃれスポット代表格的なランドマーク……。

現実の池袋サンシャインシティは、天井がかなり低いんだな……という印象だった。
(もとをただせば巣鴨プリズンの跡地で、東條ら戦犯が死刑執行された現地。
おしゃれ施設として名をはせるより、負の歴史で見せるほうが魅力が深い気がする。)

池袋の街自体が、
「池袋ウェストゲートパーク」「デュラララ」「輪るピングドラム」とかの舞台になるのも納得の、
いわゆる雑多で、ごった煮風味で、なのに新宿とも渋谷とも上野とも違っている。
立川と中野の一部分に似てもいるのだが、ハリボテ感がとても強い。

タバコの吸い殻は道端に結構おちてるし、
通り過ぎる喫煙者が少なくないし、
駅の西武と東武デパートくらいしかまともに行ったことが無かった、
池袋ほぼ初心者の私にとっては、
元気をもらえるというよりは、消耗する街並みでした。

文系SF脳的思考実験(あるいは与太) [は行]

割としょうもない、というか手前一人で手に負えないんだから考えるだけあるいは無駄、
と思われそうなことを結構真剣に根を詰めて考える、という事は誰しもやったことがあるかと思う。

15年くらい前だったか、例えばある友人は転職するときに面接で、
「最後に、では、今あなたが一番気になることはなんですか」
と聞かれ、(ちなみに彼女はハワイアンファッション業界のグラフィック系の仕事に応募)
「戦争です」
と答えたら、引かれた……と言っていたのを思い出す。そりゃそうだ……。

ちなみに当時はアフガニスタン紛争からのイラク戦争開戦で、そのちょっと前までアメリカに留学していた私たちにとっては、たしかに他人事ではなかった。
  ──しかも私に至っては、911のとき大学院留学でアメリカに居て、テロを知って呆気にとられ、それまでのアメリカとは打って変わって厳戒態勢、空港はマシンガンを装備した軍が警備巡回、手荷物検査は想像を絶し、いちいち靴を脱いでの身辺チェック。不自由を身にしみて体験してきて、リアルにそれ系のニュースを捉えてもいた──

それでも、
「言いたいことは分かるけど、相手側の質問の意図としては、そういう答えが欲しかったんじゃないよね……」

真面目に考えている問題が桁違いに壮大だと、ちょっとズレて見えるもの。
「自分の身におきている問題を直視したくないから、社会問題に目を向けて、ごまかしている」
はたまた或いは
「自分の問題がないから、社会問題に目が向くんだね。幸せ者だよ、ごくろうさま」
事実そういう側面も全くないとは言い切れぬ。

「地球上の二酸化炭素をなんとかしなきゃ」

……ええ、地球上の……二酸化炭素を……なんとか……壮大。我ながら。
私が最近気になっているのは温室効果ガスを減らせないかなあ、なのである。
こう書くと実にアホっぽい……。

何かしている途中でふと「気になる……」
一つの現実から逃避するためにググりだして、結局解決に至らず面倒くさくなって思考を放棄。
また思い出してググって……
と繰り返しがちになるのは、実際、温暖化によってもたらされる酷暑がこたえているからです。

梅雨明けしてからの暑さが尋常でなく、日中まともに外出ができなくなっていて、日が暮れてからも自転車で1分先の郵便局と銀行のATMとクリーニング屋に行くのがやっと。
そんな生活にほとほと困り果てている。
温室効果ガス(二酸化炭素)をなんとかしないと、温暖化は本当に深刻だぞ……
もはや絵空事でも何でもないですから。

ついでにヒートアイランドについても現在の住環境からいって私個人かなり影響を受けていて、悩んでいる。ただ、それとこれはちょっと別に論じないと長くなるから。

とりあえず今は二酸化炭素……温室効果ガスを……
わりと真剣に気に病んでいるけれども、だからといって暑いんだからエアコンはつけっぱなしにしなきゃ無理で、電力を消費しないと生命維持ができないのだ……。
二酸化炭素を減らしたいのも、地球を憂いて、意識高く環境問題に取り組む気があるからでは正直言って全くない。
自分が夏、生きにくくて困っているからにつきる。
でもこれ、全人類が多かれ少なかれ現在進行形で直面している。
実際に熱中症で、人が日々、亡くなっている。

もっとまじめに事に当たってくれ、京都議定書の批准をもっと……と思うけれども、
じゃあ実際問題、どうやって温室効果ガスを減らすのか。
京都議定書が働きかけているのは、これ以上、温室効果ガスを増やさないようにする取り組みが第一であろうし(無論大事だ)。
今ある二酸化炭素を減らすには、どうしたら……。

日本がどんどん暮らしにくくなってきているのは、震災から始まって福島原発というデバフがかけられている上に、温暖化によってもたらされる台風と熱中症で被害が出るのが引きも切らない。
天災と人災が絡み合って、憔悴しているせいも多分にあるかと。
健常者ですら暮らしにくければ、より弱者にしわ寄せがいく。

日本は関東大震災(1923年)の16年後、1939年に第二次大戦に突入している。
大東亜戦争でいうならば関東大震災の14年後の1937年。
これはやはり、震災復興が社会に大きな負荷をもたらしてきていて、
戦争でもおっぱじめるしかない、
という風潮の下地の一つとなっていた点は、否めないかと。

(この戦争が第二次大戦になってしまったのは、
世界大恐慌に陥っていたからですが、仮に世界が恐慌に陥っていなくとも、
当時の日本は震災の影響を解消するために、アジアで戦争をしていた可能性……。)

人は暑さと怒りを混同する、と読んだことがあるし……
人体のたんぱく質は40度を超えると凝固しだす。
気温が36度という時は、直射日光やアスファルトの照り返しなどで、実際は40度をゆうに超えますから。常識的に死ぬんです。

ナイル川の氾濫が肥沃な土壌をもたらし、黄河の氾濫がこれまた肥沃な土壌をもたらし、チグリスユーフラテス川が……(以下略)という古代文明の発祥しかり、日本では天地をひっくり返す一発逆転・一撃必殺アイテムみたいに、台風を神風と呼んで、有難がるきらいがあるけれど。
台風なんて来てよい事、今では一つもないんだし!

かつてはグアムあたりがメッカだったのが、温暖化によって海水温が上がってのなんやかんやでグアムを直撃する台風が減っていて、その分が北上して日本縦断しまくるというのだ。
北上してくる間に、かつてなく巨大に育ってきているので、従来とは異なるメガトン台風で、被害も規模も読みにくい。

「……よくよくとなったら海外に移住を……」
最近、地球上のどこもかしこも異常気象なので、必ずしも逃げる場所があるわけじゃない。
別に引きこもりたくなくたって、体調と相談してると、引きこもるしかなくなってくる……。
いろいろな悪循環も、二酸化炭素問題を軽減したら少しはなんとかなるまいか……(遠い目)、
と思い詰める仕儀に、至ってきているのだ。

とりあえず文系の自分が考えつくのは、
二酸化炭素を消費してかわりに酸素を生み出している森林・熱帯雨林の保全なわけですが、
森林といっても、光合成で二酸化炭素を消費し、酸素を生み出しているわけである。
当然、日光が当たっていないときは酸素を消費し、二酸化炭素を出している。

おまけに熱帯雨林は、名前のごとく、雨がしょっちゅう降っている。
必ずしも日照時間が長くはない。
常日頃から日光を浴び、二酸化炭素を効率よく量産しているわけではない。

だったら!
LED照明で曇天でも日中12時間、照らす仕様にしたらどう?
確実に光合成してくれるのでは!
大々的に熱帯雨林を地球規模で。
LED照明にて日照時間をつくりだし、光合成を常時、計画的に促すのは?

かつては、太陽光と同じだけ照らせる電力を生み出すのに、
その電力による光合成で相殺できるより多い二酸化炭素を発生させるおそれがあった。
しかしLEDは少量の電力で明るくなる、だからこそノーベル賞ものだったわけですよね?
使えないかな。

しかしだ、電灯を大々的に設置して、LED照明用の電力を、太陽光や風力発電でまかなおうとすると、結局、大規模森林伐採など、環境破壊につながる。
熱帯雨林に住む天然記念物レベルの鳥たちが被害に遭いかねない。
風力発電のプロペラは鳥殺しとして悪名高く、天然記念物の鳥がばっさばっさと殺されているし*。

電池で動く、照明弾的なドローンってないのかなあ……。

ググったら出てきました。

→強力LED照明で暗闇を昼間のように照らし、ドローンの夜間飛行をサポート
 「スカイサーチライト」
 ~夜間の捜索や、災害時などに現場を明るく照らす~
 https://drone-net.co.jp/news-media/sky-search-light/

価格も、びっくりするほど高くはない。
まあこちらは点灯時間最大13分、飛翔時間13分ですし、プロペラもありますが。
プロペラなしで静かにとぶドローンも各所で開発されている。
アドバルーンみたいなLED照明ドローンを大量に設置するなら、環境にそこまで負荷をかけず、12時間の日照時間を約束してくれるのでは?
それで二酸化炭素をじわじわとでも着実に消費し、酸素を作ってくれるのでは?

このサーチライトドローンの企業のお問い合わせ・ご意見ページに、
私の与太話をメールできるほど、私のメンタルは強くはない。
「ヤバい人から変な思い付きまかせのメールが来た」
と扱われるのがオチだとし、事実その通りなので、ここでひっそり書きつけておくことにする。

自分なりの解決法の糸口(?)をつかみかけた気がしたので、
「二酸化炭素を減らさなくては」
と、素人の分際でむなしく模索するのを一段落。

*(参考)
衝突死した「オジロワシ」山積み写真 風力発電とバードストライク2017/11/15
https://www.j-cast.com/2017/11/15313994.html?p=all

風力発電が野鳥に与える影響のまとめ (財)日本野鳥の会自然保護室
https://www.wbsj.org/nature/hogo/others/fuuryoku/shiryo100927_08.pdf

(せめてダイソンの扇風機みたいな、プロペラなしの形で風力発電機を普及させることはできないのかなあ。)

*追記(2019/8/23)*



共通テーマ:日記・雑感

† Hyde黒ミサBIRTHDAY1/29 † ライヴ・ヴューイング@新宿TOHOシネマ [は行]

“HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY”
ハイドの誕生日に、ハイドの出身地である和歌山のビッグホールで行われるコンサート。
そのライヴ・ヴューイング@新宿TOHOシネマに行ってきました。

年末のラルクリスマス・ライヴの感想レポ的なものを書こう書こうと、思っている間に、
Hyde黒ミサBirthdayのライヴ・ヴューイングの日がやってきちゃったわけなのだった。
今回の黒ミサも、MCを含めた詳細はあとで書く予定ですが、
いまこの熱の冷めやらぬ時に、短く書いておきたい。

とにかく昨年よりスケールも、完成度も、アレンジも、何もかもが桁違いに、とてつもなく良かった。

昨年の黒ミサは「……んん、オーケストラというか室内音楽みたいな感じ……」
と、少々、私は出鼻をくじかれたし、
「黒ミサとは名ばかりで、実際は冬のクリスマスムードの音楽ばっかりだな……」
とも感じたのでしたが、
今回はこれら(私にとっての懸念)を払拭する陶酔感がすごかったんだ。

もう出だしから、好きな曲のオンパレード……。
黒ミサという看板にたがわず、ガッツリとゴシックな曲で占められていて、
かといい飽きないようにゴシックの色々な面を映し出す、多層な曲調のナンバーで構成されている。
そうでなくとも、アレンジの仕方がもう、いちいち最高です。
そうかこれがハイドの世界観を煮詰めたり昇華させたりした、結晶なんだな……。
そういう結晶の数珠つなぎ。

新鮮なアレンジというよりは、曲の良さを掘り下げて、深みを出していくアレンジであって、
新規開拓というより、もう実家に井戸掘っちゃう感じだ。
かと思うと新曲披露もありました。曲も歌詞も美しいナンバーで、
そうか時には掘った井戸から温泉も出ちゃうのか、おお滾々と湧きいずるよ。

何層にも深みと驚きとがたたなわっていて、
ハイドの声は張りと光沢と声量があって、最高でしたし。
MCもソロならではの、胸中をファンにだけ素直に吐露してくれるような、
本当に言いたいこと、言うべきことを、
時には言葉を探し探ししつつ、きちんとみっちり伝えてくれようとする心意気を感じる。

そして最後の最後に、ゴシックとはかけ離れた、驚きの展開が……!
いくらBirthdayのサプライズにしたって、ちょっと、どうなんだよ……!

私、自分は勿論のこと、
人がサプライズで当惑したり面食らっていたりするのを目の当たりにするのが、わりと苦手です。
いくら悪戯心からではなく、100%まごころ善意サプライズであれ。

サプライズの「裏をかく」という性質上、
余程でなければ、諸手(もろて)を上げて、喜べないんだな……。
カミュの『異邦人』に、
立身出世した男のまあ善意によるサプライズが最悪な結果を招いた事件について、
その新聞記事を、主人公が刑務所で読む場面があります。
あれ、ほかのどのシーンよりも強烈に覚えている。
あの心境、すごい的確。すんごくわかるですよ。

今回、
え、サプライズの度合いというものがあるだろうによう……と思いました。
最高の歓喜溢れるサプライズではあるんだけど、タイミングってのがさ……と。

いくら私がラルクファンであろうとも。
ラルクの中で好きな曲がほぼKen曲な気がするほどで、
ハイドとKenが仲良くしゃべったり、セッションしたりするのを見たり聞いたりするだけで、
嬉しく楽しく、しおれた心も活気に満ちだして、元気がわいてくるにしたってよ。

本来ならば超絶嬉しいはずなんですが、
ハイドがガチで面食らっているのを目の当たりにして、
(度が過ぎんだろ……!) 
と、一瞬、かなり苦々しく感じてしまった。

アリーナじゅうは超・大盛り上がりで、全員が立ち上がっての大歓声。

これって……ケネディ大統領の誕生パーティに、
マリア・カラスが圧倒的歌唱力でトスカだかカルメンだかを歌って、観衆をノックアウトしたあと、
いきなり遅れてマリリン・モンローが登場した状況と、よく似てないか?
モンローのコケティッシュなHappy Birthdayが、
その場のすべてをさらってしまったという。

これまでハイドが、インターミッションもなく、みっちり2時間以上をかけて積み上げてきた、
涙がこみあげるほどの感動渦巻く、魂のこもった錬成陣をだよ。
ゴシックの陶酔感に満ちた霧が立ちこめていたような、空気感をだよ。
家に帰ってもどっぷり余韻に浸ろうと思っていた宝物のようなひとときをだよ。
Kenが現れたとたんに、一気に薙ぎ払って、場をさらってしまったじゃんか。
ハイドのコンサートなのに……。

Ken、ラルクリの時も思いましたが、確実にスリムになりました。
一時期は、ちょっと葉加瀬太郎に似てきて、なんだか心配だったんだけど、
ずいぶんとシュッとした。
トークも面白かったけどさ。
ラルクの時よりトークが良かったんだけどね。ハイドへの愛と気遣いに満ちてもいた。

で、状況を呑みこんだハイド、たちまちソロのHYDEの顔から、ラルクのHydeの顔になり、
その豹変ぶりを映すスクリーンを目にしながら私は、
ラルクのハイドが大好きなんだけどね、たしかにラルクのハイドの笑い方が大好きなんだけどさ。

今回ばかりはソロのHYDEのままでも良かったのに……。

昨シーズンは、ハイドとKenのMC、二人で笑いあっている状況に、
クスリともニコリともしていなかったアコースティック&クラシックの楽団メンバー。
今回はつられたように一緒に笑ったり、無言で相槌のように頷いたりしていた。
メンバーの面子がすこし変わったのか? それとも進化したのか。

Kenがギターを弾きだします。
え、待って、なんの曲やるんすか? 
とか慌て気味に笑っていたハイドも、
結局、よく温まった咽で、慣れた調子で歌いあげていきます。
“White Feather”
本来、ノリの良いロックな曲なのが、
今回バックのアコースティック&クラシックの楽団が、
ラルクでは聞けないアレンジと音色で、リズミカルに美しく盛り上げていく。
さなかに白い羽毛がステージに、かつまた和歌山の会場じゅうにたくさん振ってくる。

HydeもKenも、ファンへのサービスとばかりに仲良しで、
もう何なんだよこれ……ちっくしょう、心憎いぜ、超良いんだもの……。

この最高具合、なんかずるい気が!
色々とやられたな……想定外の密度の濃さ……。
漫然とではなく、一喜一憂しながら楽しみましたよ、ええ。

(Kenを登場させるタイミング、登場方法の演出方法には、
改善の余地があるとは大いに思ったけどもね。
サプライズする瞬間を、音……音楽でつくりだすというのは、
サプライズされるミュージシャンにとっては厳しいと思う。
すべてを背負って、全身全霊をこめて、地元の和歌山ビッグホールでの初コンサート、
魂を投入してやっている最中に。
締めの一番大事な場面で、いきなり突然、想定にない音楽が、
自分の知らない間合いで演奏されだす……そんな恐怖があっていいのか。
一生懸命打ちこんできた人ほど、ものすごく当惑するに決まっている。
それをサプライズ大成功って、喜べるかなあ……。サプライズじゃなくてドッキリじゃないか。
あの瞬間、本当に私はむちゃくちゃ興が覚めかけた。
Kenがドッキリに利用されている気がして居たたまれなかったし。
せめて暗転からのライトアップとか、なんかやり方があるだろうに。
サプライズ内容自体は素敵だったんだから。)

まあ、よくよく考えてみれば、
Kenの登場ですべてがしぼんでしまうような程度の黒ミサBirthdayではなかった。
濃厚と書いてリッチとルビをふる感じの充足感に満ちていた。
あとHydeはファンが大喜びしているのであれば、結局自分も喜んでしまうんですよね。

ほぼ大寒の寒さの中を帰宅しても、熱が冷めやらないので、
とりあえずここに書いておくことにしました。

追記(2019/3/31)



共通テーマ:音楽

陽だまりが向こうにあってやや肌寒い感じの曲調 [は行]

この間たまたま深夜のテレビをつけたら、とある映画の宣伝番組をやっていて、
その時にテーマソングとしてバックに流れていた曲が大層ツボ。
画面の片隅にクレジットが出ていた、
斉藤和義「カラー」
というのをググって買おうとしたところ、予約注文受付中。
オッケー……と、欲しいものリストに入れたままタイミングを逸していたのだが、
ようやく聴いた。

ちなみに私は斉藤和義は殆どと言ってよいほど、知らない。
えと、ほらあの「セロリのひとだよね」……ちがう、それは山崎まさよしだ……。
あ、じゃあSMAPに楽曲を提供してた人……ちがう、それも山崎まさよしだ……。

斉藤和義は、ええとじゃあ、ちょっと雰囲気のあるモブって感じのルックスの人だ……?
吉本芸人(明石家さんまだったかダウン・タウンだったか忘れた)のトーク番組に出たときに、
「コンサート会場ではみんな自分のことを好きで、みんな自分のことを一心に見ているのに。
そのファンの誰ともつきあうことが、まあ実際、ぶっちゃけ手を出すとか無理じゃないですか。
ホテルに帰って一人で猛烈に空しくなるんですよね……」
しみじみ零して、呆れられていた人だったかしらね……?
記憶がおぼつかないぞ。

というレベルなんで、今回初めて、きちんと聴いたのだったが、
私の大好きだった英アーティスト(つか今も好きだ……)のTravis味が物凄く喚起される。
私は、来日した海外アーティストの単独ライヴに行ったことがあるのは、Travisだけです。
だがTravis、最近あんまりガンガン活動している気配が感じられない。

私がTravis味と感じるのは、
それっぽく言えば、おそらくUKサウンドの、
ポスト・ブリットポップテイストの強い、
オルタナティヴ・ロックとか、そういう音調や世界観なのだろう。
それ系の音楽が好きな人は、斉藤和義、通ずるところがありますよね!
……共感と同調をそこはかとなく求めている。

日本では、Travisよりも斉藤和義のほうが圧倒的に認知されているから、
「斉藤和義が好きな人はおそらくTravisも好きだと思う。
もしも聴いたことがないならTravisはお勧めだよ!」
という文法のほうが、正しく伝わるのやもしれない……。


斉藤和義 - カラー [MUSIC VIDEO Short]
https://youtu.be/WPHMYFpgzNo

1:04~からTravis味を感じます。
フルヴァージョンだと、くわえて2:24~もそうですし、
3:04~からは、もうずっとそんな感じで、特に3:42-43あたりの音がとても好きなんだ。

以下に私の好きなTravisの曲、
私が勝手に代表曲だと思いこんでいるものを貼っておきましょう。

Travis - Side (Official Video)

https://youtu.be/VK3Q4SLVkAU

トラヴィスで一番好きな曲はこの「Side」
曲も好きだし、歌詞もとても良い。
……And when time is running out you wanna stay alive……
あたりから、いつもちょっと泣きそうに。

TravisのオフィシャルミュージックビデオがまるまるYoutubeでシェアされているほど、
Travisのこの曲は昔なのか……。
というか海外ではちょっと古くなると、オフィシャル側が惜しみなくYoutubeにのっけますよね。

Travis - Re-Offender (Official Video)

https://youtu.be/0v5TMgimk6U

バラ科の反撃(アナフィラキシーで救急車) [は行]

はからずも、救急車デビューをしてしまった。

5月26日土曜日の午後から体調悪化、
夕方に救急車で武蔵野赤十字病院に運ばれた。

理由は食物アレルギーで呼吸困難に陥ったからでした。
アナフィラキシーショック*の原因とおぼしき食材は、ローズヒップティーです。
(空きっ腹に、濃く出したのを飲んだので、吸収量が多かったのかと。)

数年前から私はカフェインに重度なアレルギー体質となり、
カフェインゼロのハーブティーは必需品といった感じで、
このローズヒップティーもよく飲んでいました。
今回、3箱目くらい、最後の1~2ティーバッグを残すのみ、
といった状態でした。

アレルギー症状は、じわじわとなんか体調不良になるな、と自覚して、
病院でチェックしてたらアレルギー持ちだった、というタイプと、
ある日、突然出るタイプがあります。

今回、ローズヒップティーは突然のタイプだった。
5月26日の午後3時くらいに飲んでから30分くらいして、息が苦しく具合が悪くなるまで、
私にとってローズヒップティーは安全な食材だったのだ。
一気にこいつが、私にとっての毒薬になる。

症状が出てきて、これはアレルギー症状だと気づいたときに、
まず急いでセレスタミンを飲みました。
セレスタミンは、激しいアレルギー症状が出たとき頓服用に、
アレルギー専門のお医者さんからもらっています。
ステロイド系の飲み薬。
じんましんや喘息系、鼻などのアレルギー症状の多岐にわたって効きます。

長期にわたっての服用は慎重にする薬で、
わたしは長期にわたって飲んだことはない。
頓服時、これは私にはかなり効果を発揮します。

食物アレルギーの症状の一つとして吐くのですが、
今回は、吐く前に気づいて飲んだ。
(吐く前に呼吸が苦しく、息が吸えなくなってきたので、アレルギーだと気づいた。)

飲んだ薬を吐くと意味がないので、しばらく吐くのをこらえようとしていたのが、
功を奏したのか否かは、わかりません。
原因となる食材は、はやく体から出さないと、どんどん悪化するわけだし。

ただ、今回の場合、飲料だったので、
食道や胃が感知して吐くより先に、吸収が早かった、という実感があります。

セレスタミン服薬のおかげで、全身症状はかなり落ち着いて、ゆるやかなものだった。
(といっても症状出てから、計5~6回トイレに行った。)
通常は、エイリアンが内臓を突き破ろうとするような異常な痛み。
これは死ぬな……と自覚する苦痛で、とにかく臓器という臓器が痛み出します。
一昔前に、はやった「完全自殺マニュアル」において、おすすめしない服毒自殺に、
農薬で死ぬ、というケーススタディが載っていた。
ずいぶん前に読んだので細かいところは覚えていないが、
まさにああいう感じになります。物凄い苦痛。
今まで安全な食材や薬に対して、
にわかに自分の身体が「こいつは毒薬」反応を起こす。

それが、セレスタミンを飲んだおかげで、
その手の苦痛に関しては今回まったく免れていた。
ただとにかく、息がまともに吸えない。

感覚的には、水泳の息継ぎがうまくいかなくて、
空気と水を沢山飲んでしまうとき、ありませんでしたか?
(私は小中学時代は、よくそうなった……。)
そのあと、空気を呑みこみ過ぎて、ゲップが出るまで苦しいんだよな、
という経験、ありませんでしたか? 

ああいう、ゲップが出れば楽になるのに、という感じがするのが徴候です。
むろん、ゲップなぞ出ません。
気管と食道がアレルギー症状で腫れてふさがってくるのを、
ゲップが詰まっているような感覚に誤認識するのが最初です。

自宅だったので、猫の「ごめん寝」みたいな恰好したり、
上半身だけ腕立て伏せ状態にしてみたり、身を捩ったりして、
文字通り、右往左往していたんですが、
砂にじわじわ埋められていく感じが(肺が縮まってくるのか)……で、
まともに息が吸えない。
そのうち吐く。

ちなみに私は、よく言われる呼吸困難の目立つ症状としての、喘鳴音とかはありませんでした。
これは喘鳴音が出ないから軽症なのではなくて、
喘鳴音で出る人と、
そうでないタイプの人が居るという事です。
目立った他覚症状として出ないだけで、呼吸困難は同じです。

心臓の裏側も痛くなってきて、
それで思いつき、ステロイド粉末の吸入器(アドエア)から、ステロイド粉末を一回吸いました。

ステロイド粉末の吸入は1年半前に処方されていて、
あと3回吸入できる状態で余っていた。
まだ消費期限まで猶予が有ったので、念のためにとっておいた。
これのおかげで命拾いしたと思います。
ステロイドを吸って、苦しさの段階が10だとすると、5くらいにはなった。

その時点で、迷いましたが、やはり救急車を呼ぼうと思いました。
そのとき自宅で、一人で居たので、
近くに住んでいる身内に携帯メールで連絡したあと、電話も鳴らした。
声を出すと異常に疲れるので、メールで内容を伝えたうえで、
ベルを鳴らし、先方が出たら直ぐ切った。

身内が来るまでの15分から20分間、
救急車を呼ぶか否か迷っていたときに、ネット上でこの記事を参考にして、結局呼びました。
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/50153.pdf
(食物アレルギー緊急対応時マニュアル)
一つでも当てはまれば救急車を呼べとあり、
私の場合、アレルギーの薬を飲んだり吸ったりしても、
呼吸がしにくく、胸が時おりギリギリ締め付けられていた。

苦痛というのはいろいろ感情を喚起するけど、
たとえば私は腹痛系は、自分の身体全部を呪いたくなる気持ちになるし、
腰痛系は、世界の不可抗力すべてが私にとって凶器なんだ、おのれ~! という気持ちになるし、
他にも、いっそ殺せみたいな気持ちになったりする苦痛もありますが、
息が吸えないというのは、痛むわけじゃないのに、とかく猛烈に不安に取りつかれる。
こわい。

救急車を自分のために呼ぶのは初めてなので、
かなり抵抗がありましたが、これ以上、迷っていてはいけないとも思った。
マンションなので、自宅ドアだけでなく、
マンションのメインロックをインタフォン経由で解錠しなくてはならない。
下手して、これができなくなったら、救急車を呼んでも手遅れになりかねないと思った。

そのころ身内が到着したので、身内に電話で救急車を呼んでもらいました。

で、ソフトバンクの携帯では救急車、呼べないですね。
呼べる、と言われている携帯電話です。
正確にいうと、すぐつながらないんです。
たぶん待っていれば、つながる。
外出先などで公衆電話がないときには、役立つのかとも思う。
私の家は、電波が通じにくいこともないんですが。

一刻を争うかもしれないとき、20秒とてもまんじりと待ってられないんですよ。
自宅の固定電話からかけたら、速攻すぐつながりました。

119にかけると、第一声「救急ですか消防ですか」と尋ねられるわけで、
「救急です」
「食物アレルギーで呼吸が」
「住所、電話番号」
「年齢、性別」
「マンションです」
お電話しているのは本人か、ときかれているらしく、
「いえ、本人ではありません。駆けつけた身内のもので」
等々、伝えているのが聞こえていた。

直ぐ向かいますといわれて切ったようですが、
その後、しばらくして電話がかかってきて、
「ゴム、ラテックスにアレルギーがありますか」と聞かれたらしい。
「あります」
「ではその旨、救急隊員に伝えてください」

ゴムのアレルギーは、
私の場合、ゴムが触れると蚊に刺されたみたいに、
その部分がじんましんになる程度しか自覚してないですが、
医療機関では頻繁に尋ねられますね。

そんなこんなしているうちに、マンションのインタフォンが鳴り、解錠しました。
ドアを開けたら、
「救急隊員はあとからくるので、我々はポンプ隊です」
そのときは意味がよく解らなかった。
ポンプ隊……?

救急車に乗りこむときに、縦列に消防車が停まっているのが見えて、
ポンプ車、つまり消防車が先に着いてたってことなのが、呑みこめてきたんですが。
後から冷静に思うに、これはやはり鍵が開けられない状態の時に、
ドアを壊して開けるためかと。

かつまた呼吸困難で通報したので、消防車は煙に対しての酸素吸入等を積んでいる。
緊急な状態に対応するための、第一陣の3名だったのだと思う。
(アレルギーで呼吸器官がふさがって意識を失った場合には、
のどを切開して、そこに酸素の管を直接入れて息を吸わせるようになります。
私はそこまでになったことはない。)

そのうちに救急隊員の方(女性1人を含む、3名)がついた。
問診と診断、血圧、脈拍、体温、
酸素を指で測って90でした。
酸素吸入は必要なほどではなかった。
一番つらかった時から今は治まってきているが、
という旨を伝えて、内心では(酸素吸入も必要ないし、大げさだったかも)と思っていましたが、
武蔵野日赤に運ばれ、ステロイドの点滴を受けたら、すごく楽になりました。

緊急に病院に連れていく必要がないと判断がついたときには、
救急車の人が病院に連れて行かないし、
連れて行くにしても、サイレンも鳴らさないのかもしれないので、
私みたいに自分のために救急車を呼んだことがない、
呼ぶのにすごい抵抗がある、
(救急車なんて意識が無い場合か、出血多量みたいに放置したら確実に死ぬ場合以外、
呼ぶべきではないと思いこんでいる)そういうタイプは、
基本、極度に恐れずに呼んだほうが良いんだと、学びました。

サイレン鳴らして、搬送されたので、はぁ……と思った。

というか、知らない人(救急隊員)がドッときて対応していると、
意識的にも無自覚的にも気張る。
自動的にアドレナリンとか出て、頑張るみたいで、
(体温が37.4度ありました。一時的にクアッと微量に発熱したらしい)
担架に乗ってくれと言われたときに、
「大丈夫です、歩けます」とか強く言ってしまうんだが、
促されて乗って、結果的には担架に乗ってよかった。

どっか骨折してるわけでも、出血してるわけでもないんだし、すっくり立てるから!
……と思っていても、歩くとなると足がもつれて、しゃがみこみたくなる。

病院ではリンゲル液(生理食塩水)と、ステロイド剤の点滴で症状を抑えてもらい、
2時間くらいで復活しました。
役に立ったのは、持参したお薬手帳です。
ちゃんと薬が処方されている経過が見られるので、
わたしを初めて診る、救急医には客観視できる材料になる。

血液検査もしました。
アレルギーで呼吸困難というのはあくまで私の自己申告であって、
似たような症状は、心不全や心筋炎などの発作でも起きるし、
ほかにも劇症肝炎、緊急性の高い感染症など、
そのへんの緊急に適切な処置を要する可能性を除外するために、調べるわけですね。

血液検査がオールクリアで、
ステロイドが効いて、呼吸もだいぶ楽になり、
酸素も安静状態で100(MAX値)吸えるようになっていたので、
帰りはタクシーで帰れました。

後で調べたのですが、
血中酸素濃度は、健康の人が95~100くらいで、
90を切りだすと、
急性呼吸不全を起こしだす。
具体的には、チアノーゼ、70~80あたりで多臓器不全、そのままだと死、となるらしいので、
90は閾値なようです。
かなり良くなって90だったので、
やはりあのときステロイド吸入して助かったなと思いました。偉いぞ私。

ブログで個人的な体調についてあれこれ記すことは、
基本的に控えているんですが、
食物アレルギーに関しては私はわりと最先端の症状をいっている(かなり深刻)っぽいのと、
昨今、食物アレルギーは患者数が増えているらしいので、
症状の一例として、誰かの参考になればと思って書くことにしました。

むろん、これはあくまでも私個人のアレルギー反応の出方と、見解です。
アレルギーは種々様々な出方をするので、
「自分には参考にならないかも」という判断部分も含めて、
参考にしてもらえればな、と。

もう少し正確に、詳細に書き加えたい部分もあるので、
それはまた折を見て書こうと思います。

ちなみに私は、
桃、梨、洋ナシ、リンゴ、さくらんぼ、プラム等々に、
重度のアレルギーがあることが、わかっています。
重度というのは「生で食べたら次は死ぬよ」というレベルの危険域のアレルギーです。
急性アレルギー反応(IgE)を調べる棒グラフが、
危険域に、のきなみMaxな状態で、並んでいる感じ。
(他にもあるが、今回はこれらバラ科について言及したい。)

バラ科の食物アレルギーは、シラカバとハンノキの花粉症とリンクしています。
わたしはシラカバやハンノキで実際にアレルギー症状を自覚したことはない。
シラカバ・ハンノキのアレルギーがあることは、血液検査で知っています。

シラカバ・ハンノキにアレルギーがある人は、バラ科のアレルギーを持っているリスクが高い。
これは医学的に明らかになってきてますよね。

で、これらの食材は私には厳禁なわけですが、
煮れば問題なく食べられます。生食が駄目なだけです。
濃縮還元ジュースなどは、ほぼ問題なく飲めることが多い。
人にもよると思いますが、私の場合はそうです。
火を通すことによって、急性アレルギーを起こす成分が破壊されて、
問題なく摂取できるようになるらしい。

バラ科というとイチゴもそう。
イチゴはアレルギーの検査で、陽性のギリギリ手前だった時期が長かった。
好物ですので、しばらくはずっと生食で食べていました。
重篤な症状が出たこともないです。
最近では、血液検査で陽性に差しかかったので、
ハチミツとラム酒でコンポートにして食べます。美味です。

アーモンドもバラ科で、こいつも数値上は陽性ギリギリ手前なのだが、
アレルギーの専門医に、
「アーモンドは少量でも症状が出る場合があって、出ると重篤化するから、避けるが無難」
と言われて、
実感としてもアーモンドは(あ、やばいな)という経験に貢献してくれやがったので、
やめています。

ほかにも、もっと重篤な症状を出した、食材や飲料は多々あるが、
今回はこのバラ科が悪さした。

バラ科が概して駄目なのはわかっていたが、
果物でも、バラ科すべてにおいて一斉にアレルギー持ちになったわけではない。
果物の場合は火を通せばイケる、つまり生じゃなければ良い。

だからローズヒップティーもバラの実だけれど、
生じゃないし、ビタミンが豊富だというし、これまでも症状は起こさなかったし、
私はまったく意識していなかった。
ローズヒップという項目を調べてはいませんでした。
(一般的なアレルギー検査の項目にローズヒップはありません。)

救急病棟を去るときに、看護婦さんから、
「ハーブティーはアレルギー、起こすこと多い食材ですよ。気を付けてくださいね」
と注意を受けました。

考えてみれば乾燥させて成分を凝縮させてそれを飲むんだから、そうか……。

あと液体(飲料)や薬剤で起こるアレルギーは、
吸収が一般の食品と比して、段違いで早い。
私の経験上、劇症化、やばい状態に陥ることが多いです。

飲料ではなく、食物で起こすアレルギーも多々、経験していますが、
食物は大抵、吸収される前に危険信号が順を追って出るので、
途中でやめられるだけの猶予がある。
対症療法が間に合うケースが多い。

今回の私の経験上からいうと、
バラ科にアレルギーがあるなら、バラ科においては、
今は大丈夫でも、いつか必ず発症する、と用心しておくべきだと思いました。

しかし一般にお医者さんは、このように主張する。
http://allelab.jp/know/latest/3765
「血液検査のみで「食物アレルギー」と思って除去しているあなたへ」

この記事などによると、
数値がでていても、異常なく食べられるなら、食べていて大丈夫と明記してあるんです。
これは子供向けの記事ですが、大人に対しても同様に主張する医者は多い。

上記の主張は、私の実体験から言わせてもらうと、鵜呑みにしてはいけない。
ある日、突然発症する。
そのとき身近にすぐ対応できる薬が無いと、死にます。
なぜ血液検査の数値で把握できていたのに、食べたんだ……となりかねない。

摂取するなら、用心しておいたうえでないと、重篤な事態になりかねない。
頭のすみっこでもいいから、きちんと認識しておかないと駄目だ。

私の場合、これまでに言及したアレルギーの薬のほかにも、
シングレア(抗ロイコトリエン)という、幼児から老人まで幅広く処方される、
軽微なアレルギー薬を、予防も含め、
ここ3年くらい欠かさず毎日(一日一回就寝時に服薬)錠剤で飲んでいます。
シングレアは私には、かなり効果があるのを実感しており、副作用も今のところ皆無。
アレルギーはコントロール下においているつもりでいた。
それでも出るときは劇症化して出るんです。

……というわけでした。

日曜日はまだ不安要素が残っていて、
おっかなびっくり生活していましたが、
今はすっかり元どおりに立ち直り、
自宅でこのブログをカタカタ打っています。

バラ科の花は好きな花で、私が書く小説でも幾度も繰り返し描写してきた。
良い場面で結構、熱心に使っています。

バラの花や桜の花を観賞していて、アレルギーを起こすことは今迄ないので、
体内に取りこんでしまわないかぎりは、今後も大丈夫なはずだと祈っています。
よくよくとなればハーバリウム鑑賞という手段もあるしな……。

⋆私の症状はアナフィラキシーであり、アナフィラキシーショックではなかった。
アナフィラキシーショックはアナフィラキシーの更に重篤なものです。
そうなるとステロイドだけでは手に負えず、
ひとまずエピペンを打ちつつとにかく生理食塩水をガンガンいれないと、
体からすべての水分が出て助からないようです。
この記事を書いた当時は、両者の違いをきちんと理解していませんでした。
(ちなみにローズヒップのアナフィラキシーにより、私はエピペン持参必須の身の上になりました。)

追記


Hyde黒ミサ♪ライヴ・ヴューイング@TOHOシネマズ新宿 [は行]

行ってきました。
尚、わたしが最初からライヴ・ヴュで甘んじたと思わないでいただきたい!
全ての先行発売に落選しました。ええそうです。
こんなことってあるのか……と思いました。
で、先行ではなく一般発売ともなれば、開始と同時に回線混雑中……アクセスができない。
発売後8分後に通じたときには、いずれも、すべて売り切れだったのだ。
SS席もS席もA席も、23日だろうと24日だろうと、
ぴあも、ローソンチケットも、ヤフーチケットも、(以下略)もう、どこも全部が!

はっきりいってライヴ・ヴューイングのチケットすら当選するか、あやうかった。

大抵わたしは最終日を第一希望にするのが常ですが、
(初日は内容のネタバレを配慮せねばならないし)
今回、ライヴ・ビューイングは23日・一日だけしかやらないようで、
本日の初日に行ってきました。

ということもあり、もろもろ感想は後ほどアップする予定です。
内容と関係のないところでいうと、
午後5時開始予定ですが、実際は午後5時25分から始まりました。
これは、いつものお約束な感じですね。
全席指定だから、私は5時ぴったりに映画館に着いた感じで、ちょうど良かった。

終わったのは、午後7時半過ぎだったかと。
今回、腕時計をはめていかなかったのみならず、携帯を忘れていったので、
終わった時間は、駅に着いて、駅の時計で逆算してなんとなく推し量った。
こういうお楽しみイベントには必ず些細なミスをするなあ、わたしは……。

以前、ナダルが来日し、
テニスの試合を観戦するおり、観戦チケットを忘れて電車にかなり乗ってから気がついた。
家に取りに戻ったことがあります。
(身内に持ってきてくれるように頼む手立てもなくはなかったが、
多分一生、あとあとまで言われると思った……)
そんな失態で、試合の1セットをまるっと逃したことがある。

それと比べれば、コンサート中はいずれにしても携帯の電源を切るので、
ちょっと忘れたくらいは良しとせねばなるまい。
(タブレット端末は持ってたんですが、起動するのが面倒くさかった。)

はやい話が、浮かれてたということだ。

便利と負担の境界線 [は行]

昨年あたりから「最近、映画がつまんないんだよね」モードに突入し、
購入したまま放置している積みDVDが20本を超えて、
めっきり映画を見なくなっていた。

先日の『ダンケルク』でスイッチが切り替わったらしく、着々と消化しつつある。
良い映画もあれば、今一つなのもある。

映画を見なくなっていた理由はいくつかあって、
その一つには、2箇月前にデーブ・スペクターがこの記事*の中でも言及していたが、
最近、ハリウッド映画が「海外でもウケやすい大味なアクションや、コミック原作ばかり」で。
おまけにリメイクが続くので、娯楽作としては楽しめなくもないのだが、
今一つ、斬新な衝撃とか、地味にしみじみ味わえる良さのある作品に、
巡り合いにくくなってきた気がしていたからです。

日本でも、歴史ドラマなど、本能寺とか関ヶ原とか忠臣蔵とか新選組とか、
あの手この手で幾度となく作り変えては、やっていて、
アニメのリメイクも続いているし、そのクラスタのファンとしてはリメイクは嬉しいのだ。

ただ純粋に、新しいストーリーに出あってみたい!
と思っている場合、アメコミのリメイク等は、続くとさすがに大味で飽きてくる。
技術は磨かれて、目には楽しいけれども、世界観は目新しくないし、話の大筋も知っている。
作品の世界観に馴染みがあるという点は、
大衆の集客には多分、手っ取り早いプラスになるんだろう。だからやるのだ。

かつては映画館で眠っちゃうなど考えられなく、
寝不足で見に行っても、見終えた後は目がギンギンに冴えて映画館を出る感じでしたが、
昨今では、わりと寝落ちしがちです。
中盤の派手なアクションシーンで、5分程度だけスリープ……からのログアウト……。

また私には吉祥寺のバウスシアターが閉まったのが存外、大きかった。
吉祥寺の映画館は、誕生月だと男女問わず誰でも割引価格で映画が見られる(身分証提示)。
かつては誕生月など、通い詰めていました。
しかしここ数年、誕生月に映画を見にいく習慣がぱったり途絶えた。
見たい映画がやっていないんだもの。
たった一つの映画館が閉まっただけで、
こんなに自分の行動パターンに影響が出るのか……と痛感せざるをえない。

でもまあ、私が映画を見なくなっていた地味に最大な原因は、
利用していたDVD宅配レンタルシステムの所為だろうなあと、自己分析しています。
毎月、毎月、4本分の映画が送られてくるタイプに8年くらい契約していました。

見たい映画を30本くらい予約しておいて、
その中でレンタル可能なものが、毎月2回にわけて2本ずつ送られてくるシステムで、
延長料金が取られない。かわりに、DVDを返却しないと次の2本分が送られてこない。
繰り越しできる枚数は限られています。

で、そのとき自分が見たい映画が必ずしも送られてこないのだった。
自分が予約した映画ではあるんですが。

馬鹿っぽいノリの映画を気楽に見たいと思っているときに、
死ぬほど重いタイプの実話映画が届いたり、
じっくり文芸映画を楽しみたいと思っているときに、
アクション大作が届いたり……。
おしゃれな恋愛映画を見たい気分のときに、
戦場で泥水を啜る系の映画が届く。逆もまたしかりだ。

いずれも自分自身が見たいと思って予約していた作品であろうとも、
さすがにちょっと辟易(へきえき)してくる。
殺伐としたマフィア映画を見たいときに、
夢いっぱいのファンタジー大作が届いたりすると、正直、うんざりする。

名作や大作は、作品のパワーに引っ張られて、
私個人の気分など良くも悪くもお構いなし、
圧倒的な力技で感動させてくれるんですが、
そういった名作は、年にそうそう出くわせるもんではない。

そのうちに、レンタルDVDが届くのが、
子供の頃、毎月の通信教育が届いたときのあれ、
「うぇ~来ちゃったよ」という微妙なストレス、負担にしか感じられなくなって、
楽しみのはずの映画が、ひたすらこなしていく仕事と化してくるんです。

ゲームだったら日課やマンスリーの任務をこなすと、それなりに報酬をくれるし、
やらなければやらないで問題ないが、
DVDは見終えて送り返したら、また次がすぐ届くわけで、
便利なのを通りこして、DMみたいに鬱陶しくなってくるんです。
そして見ようが見まいが毎月定額、引き落とされる。
ノルマの持ち帰りをしているみたいに、もう勘弁してほしくなり……。
今では、この手のレンタルを利用するのは止めにしていますが、
おかげで、めっきり見なくなっていた。

思えば、アメリカで足しげく映画館に通って、週に3本ペースで見ていた時も、
面白い作品もあれば、つまんない作品もあった。
100本のうち、10本良ければ、上々だった。
うち3本が私好みの映画だったらラッキーだった。
それでも映画を見ること自体が気分転換で楽しかったんですよね。
英語の勉強になるという、言い訳にもできた(笑)

それが昨今では2時間のタスクと化して、
ディスクをプレーヤーに入れる作業がすでに面倒くさい、
と思うくらいになっていたのである。

そこで何本かネットレンタルを利用してPCで映画を見もしたが、
これもまたメリットとデメリットがある。
ちょうど、紙の本と、電子書籍と、どちらが扱いやすいかといった争点と、似ているかも。
実際のところは、紙の本と電子書籍の違いは、
映画館での映画鑑賞と、自宅PCでの映画鑑賞、という差が相応の比較対象だと思います。

*



共通テーマ:映画

リンクするめぐりあわせ [は行]

あの、ずっと思ってはいたんだけど、
いや最近ちゃんと気づいたんだけど、
改めて初めて言及すると、
うちの父親の誕生日って、太宰治の命日だよね?

え、6月13日?
そう6月13日。
じゃあそうだ。

ということが判明しました。
いや、ふわっと多分そうだよなあと把握してはいたんだが、
はっきり両者を意識的に繋げて考えてみたことが無かった。
さすがに西暦(昭和でも同じことですが)までは、かぶっていなかったが、
それも割と近めです。

ところで昨日、テレビをつけたら民法BSで映画『濹東綺譚』をやっていて、
誰だこの……たとえるなら『みがかヌかがみ』の叔父様役を演じてもらいたくなる感じの、
雰囲気のある、ときにニヒルな翳りを見せる、しかし笑顔も素敵な二枚目は。
顔とかうんぬんよりも、たたずまいの良さよ!

……と思ったら、芥川比呂志(芥川龍之介の長男)でした。
映画自体は時間の都合上、見ませんでしたが、
リモコンボタンを連打していた手が自然とハッと止まって、
だれこの二枚目? 何者?
見入らずにはいられぬオーラ。

芥川比呂志というと、私の記憶では時代劇などのナレーションをやる、ひたすら声が良いおじさん、
というイメージが定着していて、名優だったと知ってはいたけど、
この二枚目がそうなのだと一目見てわかるほどリンクしていませんでした。

ただとにかく、芥川比呂志が亡くなってから、どんなナレーションでもしっくりこなくて、
時代劇がすごく軽薄につまらなく感じられるようになった(いまだにそう思っています)。
イケボなだけではなくて、風格があり、
当時、映画や時代劇などのナレーションは誰もがこの芥川比呂志っぽさを、
ある種、真似していた気がします。

たぶん私は再放送とかでいろいろ見て知っていたのだ。
「ナレーションがあくたがわひろしさんの声じゃないと作品に合わない。もう見るかちない」
と、小学生ながら生意気にも家族に愚痴った思い出がよみがえる……。

尚、わたしの中で「声が良い往年の演者」というカテゴリーに入っている人は、
芥川比呂志をはじめとして、丹波哲郎、三國連太郎、細川俊之です。

Bluetoothのロゴが北欧のルーン文字からきているって今日知った [は行]

リボン結びを縦にしているデザインなんだと思っていた……。

ところで電子レンジで半熟卵を作る方法って成功率・五分五分くらいなのは良いとして、
失敗すると、殻が爆発するのみならず、
オーブンレンジのフラットテーブルが割れるんですね……。
今、眠いからコンロで火を使うのは危ないな……と、
3分の手間を惜しんだ結果、買い替える羽目になるとは。してやられた感が凄い。

先日、すごく久しぶりに身内が家(兼仕事場)に来た。
「以前、来た時よりはるかに片付いてきれいになっているが、でもまだ物でごったがえしている」
といったたぐいのコメントを。
本とCD・DVD、服と靴を整理すればある程度、スペースが確保できると思い込んでいたのだが、
要するに押しなべて物が多目なんですよ。

内側が緋色のベルベット張りで、人型、棺桶サイズ程のケースが床に陣取っている。
「せめて、このチェロを寝かして置いとくのやめたらどう?」
「いや、チェロの健康のためにはケースを寝かして置くほうが安全だし安心。地震も多いし」と私。

『棺担ぎのクロ(ひつぎかつぎのクロ)』という漫画があって、
一巻しか読んだことないが、棺桶を背負って旅をする話だったかと思う。

わたしのチェロケース、ちょっと古いタイプ(軽くて頑丈だが嵩張る、布張りセミハードケース)なので、
チェロケースを担いで歩くと、ほぼまんま「棺担ぎのクロ」状態になります。

『棺担ぎのクロ』って、
旧式のチェロケースを担いで歩いている人を見て、着想を得たのじゃなかろうか?
……そうわたしは勝手に思っているのだが、
実際のところ、どうなんだろ。


飛行機乗りは絶対白シルクのスカーフを巻く [は行]

軽さ重視で丈夫かつ防寒具として最適で、着用している人に負担をかけない、
とすると、飛行機乗りが身に着ける襟巻は当時シルク以外に無かったらしい。

たとえバーバリーのCMであっても、
そこんとこはゆるぎない。
お決まりのバーバリーチェックにしないで、
飛行機乗りお約束のシルクの白いスカーフを巻いているのだ。

フェスティブフィルム・バーバリー
https://youtu.be/6D5IZtDCS5c

バーバリー最盛期は、好みの時代性です。

当時は落下傘も全部、シルクなんですよね。
イタリアの白黒映画『ブーベの恋人』で、
しょっぱなに「落下傘のシルクの余り布が手に入った」と、
ブーベからシルクをもらって、クラウディア・カルディナ―レ演ずる主人公が、
そのシルクでノースリーブのブラウスを縫い、次にブーベと会う時に、着て見せる。

https://youtu.be/WQVIILIZE5M
La Ragazza Di Bube 부베의 연인 1963 OST
英語字幕でも日本語字幕でもほとんど出てこないのだが、ハングル語で出てきました。
当方、ハングル語字幕がまったくわからないのが悔しい……。

日本が絹の原産地だったのと、
おそらくは必要とされる落下傘の数が桁違いだったためもあると思うが、
連合軍側はシルクで賄えなくなって、ナイロン製パラシュートに移行していくらしいのですが……。

イタリアは枢軸国側だったから、シルクの落下傘だったのかな。

ヒラリー独走だとつまらないからマスコミがトランプをすったてて大統領選を盛り上げたツケ [は行]

政治のことは語らないようにしていますが、日本の政治じゃないので、ちょっと。
もちろん私は、
次期アメリカ大統領はヒラリー・クリントンになってもらいたかったです。
(日本人はまあ大抵そうでしょう。)

私が留学していたのは2000年前後ですが、
その時に「アメリカ大統領になれない」ガラスの天井、
たとえどれほど有能であろうと、才覚に恵まれていようとも、
低く設定されたほかの人には見えないガラスの天井に頭がつかえて、
絶対に上に行けないと言われているのが、次の二つのマイノリティでした。
・黒人をはじめとする有色人種
・女性

上記のガラスの天井がある、二種のマイノリティについては、
大学の講義などでも、当然のように語られていたし、
アメリカの一般常識でした。
(併せてフランクリン・ルーズベルトが生涯、車椅子だったことも必ず引き合いに出されるものだった。
……身体的なハンディキャップを持っていても、アメリカ大統領になるにあたって、
半人前扱いされたりはしないのだ。白人男性であるかぎりは、と。)

で、私は、
「いやいや……いくら同じマイノリティといえども、黒人をはじめとする有色人種と比べれば、
女性のほうがまだチャンスあるでしょ。白人女性に限るだろうけど」
と思っていました。
私はカリフォルニア州に住んでいたので、
リベラルな州だし、古くから日本人街のリトルトーキョーがあったりしたお土地柄だから、
差別らしき差別を感じたことはありません。
(というか日本よりも圧倒的に、女性というジェンダーでいるからといって不利益を被らない。)

そんなカリフォルニアでも、黒人はやはり差別されがちなのを知っていた。
低所得者層のかなりが黒人で占められていて、
犯罪者の大半が黒人あるいはヒスパニック系。
これはアメリカで生活していると歴然とわかる事実です。
多くは貧困だから犯罪を犯すのであり、貧困は差別に起因する部分も大きい。

私の通っていた大学(大学院ではなく大学のほう)は、
異常なほど安全でしたが(キャンパスは日本より安全だった)
黒人が極端に少なく(日本人留学生よりも断然少ない)、中産階級の白人が圧倒的過半数でした。
黒人=治安が悪い、犯罪と近い、という印象はぬぐえなかった。

でもオバマ大統領になったときに、
アメリカはガラス天井を一つ突き破ったんだなと思いました。
……と同時に、
あの時点では、民主党内でヒラリー・クリントンが大統領候補に選ばれなかったわけで。
有能な白人女性と、有能な黒人男性ならば、有能な黒人男性のほうがチャンスがあるのか……と、
ちょっと愕然としたりもしたものでした。

でもそれから数年。
今度こそ、きっと! と思いました。
ヒラリー以外に適任な女性候補がそうそう出てくるとも限らない。
女性なら良いという訳でもありませんからね。お飾りじゃないんだから。
大統領の器を持つ経歴と実績がないといけません。

アメリカは王族や皇族がいないので、首相ではなく大統領――この大統領制というのは、
国家の王様を投票で決める民主政治と考えるとわかりやすい。
大統領は、ものすごい権限を持っていて、
数日間なら独断で軍隊を派遣したり、外国を爆撃とか余裕で出来ます。
党や議会や裁判所などの賛同や承認を得られなくともです。

もちろん、すぐ退陣要求をされたりするだろうけど、
退陣を覚悟してなら、政治的にできないことはない。
大統領命令は~絶対!
(よく映画とかで「これは大統領命令です!」という台詞を聞きますが、そういうことです。
 問答無用で、逮捕も恩赦も意のままに、なんだってできるんですよ。勅令なんです。)

ドナルド・トランプはぶっちゃけわりと犯罪者……すくなくとも犯罪者予備軍なので、
きたる1月20日の大統領就任式までに、
たとえばこんな裁判も控えているはず。
→トランプ氏、不動産スクールの詐欺訴える集団訴訟阻止できず
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-31/OCR4QW6JIJVH01

こんなのは序の口で、叩けばもっと埃が出るはず。

なので1月20日に就任式が行われるまでは、
本当に大統領になれるのかどうか、私は疑問視したいところです。
(ものすごく私個人の希望的観測の織りこまれたフィルターを通した、しかし曇りなき目で主張)。
トランプが暗殺されるかだってわからないですしね。
べつに、暗殺されればいいなあと思っているわけではありませんよ。

大統領になったとしても、ニクソンのウォーターゲート事件的なスキャンダルがすぐ起きて、
任期を全うせずに、退陣を余儀なくされるのではないか。
としたら、アメリカの大衆が一度は通らなくてはならない、通過儀礼だったんだね。
ヘーゲルの弁証法でも、世情や世論はアップダウンを繰り返すといわれているから、
民主党の大統領が立ったあとは、共和党が大統領になるっていうのが大体の世情の流れで、
こればっかりは避けられない時の運。
そのアップダウンを繰り返すうちに、是正されていくのだから、
もうひと手間掛かるってことなんだろう。
そうだそうだ、きっとそうだね。

べつにアメリカの政治なんて、お前には関係なかろうと思われるかもしれないが、
アメリカがそんな政情不安定で、ユーロもBrexitで不安定なので、
日本円を買う動きが出るのは当然。で、円高に。
円高になるとTOYOTAなどのアメリカ市場を席捲している大企業の株が暴落しやすい。
トヨタをはじめとする大企業の株価が下がると、連動して日本株が全体的に無茶苦茶さがる傾向が。
株価が下がって不景気になると、小説業界はまっさきに苦しくなるんですよ。この桶屋エフェクト。
切実です。

円安になりすぎても、外国旅行や留学などがきびしくなるので、
1$=110円~115円くらいだと、良いバランスで正常に経済が回る、
というのが個人的な見解なのですが……。
(現在1$=105円。)

ポーの『大鴉』に関する考察的な① [は行]

エドガー・アラン・ポーについて思うところを後で補足アップします、
と、2016年6月19日付のブログに書いてから、はや4ヶ月。
夏が来て、夏が去っていったね。

小説について後で解説するのは、ネタバレを避けられない部分も多いし、
物語を楽しみたいのであって、作家を知りたいわけじゃない! という場合、非常に耳障りかと思う。
よほど伝えねばならないことが浮上してこないかぎり、
なるべく避けたほうが無難かな、というスタンスでいます。
が、翻訳については、ちょっと違う。

特に、今回のエドガー・アラン・ポー作品のように、
古式ゆかしい、すでに和訳された作品が、世の中にあまた発表されて読まれてきている、
年季のいった――言い換えれば、いろんな人の手垢もまたついている――作品の場合は。

一次創作の小説の場合(ノベライズとかじゃなくてです)、
作家は作品の世界観を構築し、登場人物をうみだし、物語を展開する。
その小説のいわゆる唯一の創造神なので、
作家同士が同じ作品の共同作業にあたるということは、まず有り得ない。
(少なくとも私は今までに一度もない)
万一、一次創作の小説において(役割分担をするにしろ)
共同作業をしなければならない事態に至るとしたら、
これはかなり不幸な状況なのだと思う。

唯一創造神がいるかぎり、仮に編集部や批評家などが変な意味をこじつけて、
本来の作品を歪曲させようとしたとしても(顕著な例だと、政治的プロパガンダに使うとかね)、
作家が「違います、正しくはこうです!」といえば、
それが絶対的な答えで、別解釈の余地はありえません。

むろん作家が「ここは読者の皆さん一人ひとりの解釈にゆだねます」といえば、
ゆだねられた読者の分だけ、答えが生ずることにもなる。

「作品としては読者の解釈にゆだねるけど、作者である自分としてはこういう意図で書いた」
と作者が白状すれば、「裏設定」になる。

作者が死んだ後に、
編集や批評家やらが「こういう意味だ」「ああいう意味だ」と、
こぞっておかしな教祖さながら的外れな解釈で売りこんだり、叩いたりした場合は、
「神を穢す」「冒涜(ぼうとく)する」という暴挙にもなるわけです。
やたらと称賛しまくるのも「下手な神輿(みこし)を担ぐ」ことに、ほかなりませんが。
で、熱心な読者やファンは、経典のようにその作品を繰り返し読んで、
あれやこれやと考えたり、思いにふけったり、浸ったりする。

いっぽう翻訳の場合は、訳者は、ふつう自分の作品を訳すわけではありません。
概して別国の、別言語を使う他人の作品を訳す。
訳者の性質は、いかに自分が、その原文の作品の理解者になれるか。
その作品を書いたときの作者(今回だったらポー)の精神を咀嚼できるか。
ポーのこだわりを一言一句に至るまで読み取れるか、とそんな能力や心構えが肝になる。
もちろん語学力が必要ですが、語学力はツールです。

で、ちょっと話がそれますが、作者が死んでいるわけではなく、超健在で、
ばっちり生きて目を光らせているにもかかわらず、
そして「すごく間違ってる、全然ちがっています。
こういう感じではないから。的外れな文章を付け加えて解釈を曲げたり、
重要な部分を大幅に削除したりしないでください」と伝えているのに、
「自分はこう訳したいから訂正は基本、受け入れたくない」というスタンスがもろ見えの、
英訳者・担当者・および英訳会社の態度は、一体どうなんだ。

日本人の作家である私が、『カンパニュラの銀翼(中里友香著)』の英訳文を
きちんと読めっこないと見くびって舐めていた、
(つか舐めている)としか考えられない……。

おかげで徒労感やら腹立たしさやらで、英訳チェック(2度目)に、ものすごく気骨が折れて、
ストレスホルモンのコルチゾールが大量分泌されそうになるので、つい後回しになる。

で、ポーの翻訳です。
ポーが生きていたらポーに訊けるが、1849年10月7日に亡くなっています。
(アメリカは1849年当時すでにグレゴリオ暦だから、当時のちょうど今くらいの季節に死亡です。)
これは訳者によって当然、解釈に、ある程度の差異が出る。
言語の誤差や間違いは簡単に正せようとも、
解釈の誤差は、もはや簡単に正せる云々できなくなっている。
ポーに関しては純粋に楽しむだけでなく、研究している人などもいるので、
訳者・中里友香はこういう視点から、このように解し、このように訳した、
と、ある程度クリアにしておくべきか、と思った次第です。
特に詩「大鴉」は――。

短編「告げ口心臓」は、原文自体がシンプルだから、
さほど、訳者の視点や特色に大きな差は生じない、と楽観視している。
……いや、その『告げ口心臓』ですら、かなり見解の相違があった。
わたしは「やみのいろ」というエッセーで書いたように解釈しています。
つまり「自分を正常だと盲信している狂人の詳細な自供」と。
(ポーはこのほか例えば「ウィリアム・ウィルソン」という短編などでも、
信用できない語り手である主人公が自縄自縛に陥るブーメラン的オチをよく使っていますよね。)

その「告げ口心臓」が『ポケットマスターピース E・A・ポー』の巻末にある池末陽子さんの解説だと、
「超自然的方法での犯罪の暴露」
正反対ともいえる解釈の仕方で、
へーえ……あれを魔訶不思議系な事象として解釈するのか……と驚いた。
(無論どっちにも読み取れるように訳しています。)

『大鴉』の詩に関しては、ポー自体が机上に10年以上、ずーっと置いておいて、
その間、長らく放置していたり、
かと思えば、ああでもない、こうでもないと、こねくりまわしたりした挙句、
書き上げた代物なので(……と、ポー自身があとで語っているのが残っていたかと)、
さらっと読んで内容を訳せば済むという詩ではない。

行間に何があるかを感じ取っていくわけです。
だからこそ訳者によって差異もあろう。ポー自身、行間になにがあるかを感じ取らせたいと思って、
書いた部分も多々あろう、と。

なお昨今、
「英語は本来、文章にして書かれていることを、真っ直ぐそのままに受け取る文化でなりたっている。
日本人は行間を読もうとするからこじれる。曲解して、意味が順当に通じなくなる。よろしくない」
という見解と、
「何を言ってる、read between the lines:行間を読むという表現の語源は、もともと英語だぞ。
英文こそ行間を読んでなんぼ」
という主張とが、飛び交っていますね。

私からすると「どっちも正しいよねー、ケースバイケースだよねー」という感じです。

学術論文や新聞記事、ビジネスレターやレポート(報告書)などは、
書いてあることをまず吟味するのが大前提であり大切です。
書いてある内容を精査もしないで行間を読もうとするのは、
筋違いだし、怠慢だし、ほとんど無意味か、悪影響すらある。

いっぽう、詩とか手紙文とか創作物に関しては行間を読むことは大切だし、必要でもある。
詩に関しては逆に、
大げさに言えば、行間を読ませるために原文が構築されていたりもするくらいだ。

ちなみに日本人がよくやりたがるのは行間を読む、ではなくて、
正確に言えば「裏を読む」だと思う。

古来、日本語の表現に「行間を読む」という言い方は、もともと無かったのでは……? 通じますが。

かわりに、表層的な文面にばかり気を取られていないで、裏まで読む!
という「眼光紙背に徹す」なる表現が古くからありますよね。
(ちなみに私は、この眼光紙背という語が大好きでな。)

この「眼光紙背に徹す」を英文に訳せよといわれたら、
read between the linesを使うのが妥当かと思うし、
逆もまたしかり。
なのだが、厳密にいうと「行間を読む≒裏を読む」であって。
似てるけど違いますよね。
ただ文化的な習慣も考慮すると、この双方が匹敵する。

……長くなったので~続きます~

尚、参考までに


Friendsでチャンドラーが名前を間違って覚えられてて訂正できない話があったけど [は行]

毎年、きちんとした年賀状をくれる友人が、
ここ数年、私の名前・中里友香の宛名部分を、
「中里由香様」とくれる。
高校時代からの友人なので、けっこう長いこと友達やってるし、
このブログにも登場の(大沢たかおファンの)友人である。

すごく字がきれいで、硬筆も筆もいずれも高い位の段持ちで、清楚な達筆。
……なのだが、宛名と住所部分が印刷になって、
賀状部分に一筆、直筆で気の利いたメッセが添えてある感じのスタイルになってからだったろうか。
私の名前が、
(すごい左右対称だな……)
という体裁で届くのだ。

「これって会った時にでも機会があったら訂正してみてよいものかなあ。
揚げ足取るようだし、私は賀状メール派で、年賀葉書で出してないから、そんな奴がおこがましいかな。最初に放置しちゃったから言うタイミング的にも……」
当初は、今まで正しかったし、今年だけのミスだろう、と思っていたのである。
数年続いて、これはどうしたもんだろうか、と思い始めたのだが、
「今更どうかなあ……」

そう、共通の友人で、人形作家のたまきさんに軽く相談してみたところ、
「私ならサラッと言っちゃうかも。字が違ってたよー、今度は直しといてね~って」
「そっかー。でもなんか言いにくい。私も彼女も同じ血液型で、この血液型はこの件は訂正されたら何か傷つく」
「そうなんだ(笑)」
「仕事関係の事務的なミスなら間違いなく躊躇なく指摘するよ。友達だから、ここは有耶無耶に」
「でも社会人なんだし。そこは友達だから間違われると余計に……」
「そう、気になるのよ~」
 ……はぁ。

「ポッと出の知り合いじゃないし、私の本を買ってくれてるわけだから、私の名前をわかってるとは思うのよ。メールでやりとりするときも、私はわりとローマ字表記で書くことが多いけど、彼女にはわざわざ日本語表記フルネームで中里友香って書くようにしてるのね」

汲み取ってね的なジェスチャーなのだが、汲み取ってくれる気配は見られないまま、毎年……。
「あれかな、宛名プリントだけ業者に頼んでて、業者が勝手に間違ってデータ化して、それを毎年更新しているととかかな。自分で簡単に直せないんじゃないのかな。だとしたら見て見ぬ振りを……」
「いや友香さん、いずれにしても、そのくらい簡単に訂正できることだよ」
「だよねえ……」

直接、切り出せないからブログに書いているわけではなく。
なにしろ彼女はこのブログを読んでいない。
些末な事だからこそ、わざわざ切り出しにくいんです。
わりとなんでもはっきり言えるんだが、こればっかりは(笑)
気にしすぎか。


ブラウザ環境 [は行]

このサイトはSafari推奨です、
と以前、書きましたが、
Firefoxでも大丈夫です。

私自身、ここ1年くらいFirefoxをメインに使って、
当サイトのあれこれを確認しています。

アクセス解析を久しぶりにチェックしたところ、
しかし圧倒的に多いGoogle Chrome勢……
ぶっちゃけ閲覧ブラウザがIEでないかぎり、もうなんでもよろしいかと思われ。

このサイトはIEでの閲覧は推奨しません。
すごく読みづらいから!


府中基地跡に行ってきた [は行]

『残響のテロル』の聖地巡礼ってわけでもないけど、でも明らかにあのアニメに触発され、
廃墟好きとしましても放っておけない物件でしたので、
府中基地跡を訪れました。

昨日の日曜日、昼下がり、天気も良く、日中はまずまず温かくて、良い日和。

JR中央線の武蔵小金井駅南口に出て、
バス停1番(一番駅に近いバス停)から府中方面に向かう「一本木経由」のバスに乗り、
途中で、残響のテロルの作中にも出てきた、野川を越えます。
20分くらいバスに乗っていたか、「一本木」という停留所で下車。
府中の森美術館の超近くです。

「一本木」という停留所で降りた金網の向こうがまさに府中基地跡。
停留所=府中基地跡と思って差し支えない。
肝腎のアンテナが全く見えないので、
バスで来た道を、金網沿いに戻っていきます。

府中の森美術館方面へ、右側に折れる道が出てくるので、右に入ると、思いっきり住宅地。
なんとなく雰囲気こっち側かな、という方面に、散歩気分で、
友人と、おしゃべりをしつつ、てくてく気ままに歩いていくと、
金網越しに例のアンテナがよく見える場所が。
おおお。

ちなみに府中基地跡地内には入れません。
物理的に入れない。
『財務省国有地』という看板が立っていて、立ち入りできないわけなんだが、
気軽な感じの金網や、低いチェーンがゆるーく張ってあるくらいの閾(しきい)であったならば、
ちょっと入って見てもまあ、
私有地じゃないし、国有地だしね、OKでしょうくらいな心持で、わたしはいたんですが、
背の高い金網と鉄条網が抜け目なく、ぐるっとめぐっている。
周囲は住宅地で人目も思いっきりありますし、(よじのぼったりしてたら、すぐさま通報されそう)
かなりな猛者か、特殊なテクに長けていないかぎり、入れないです。

むしろ入っていいよ、と言われても軽く躊躇うレベルで荒廃している。
金網のすぐ向こうは荒れ放題で、朽ち、錆びて、別世界。
鉄条網を隔てただけで、向こう側はもう日本じゃないみたい。

立ち入り可能な廃墟だと、落書きだの、空き缶だの、毀れたビニール傘だのが散見され、
ただのゴミ溜めみたいになっちゃいかねない。
立ち入り禁止がゆえに、当時の原形が汚染されず純粋に朽ちています。
そこが、じわる。
その抑圧的なところがゴス。

廃墟マニアと名乗れるほどではない、
廃墟好き、くらいな、ぬるいわたしとしては相当に満喫。味わえました。

府中跡地周辺をぐるっと360度歩いたわけではなく、
全貌を把握しきれていないのですが、多分すごくかなり広い。

写真(クリックで拡大できます.……一部除く)


府中基地跡 [は行]

残響のテロルのアテネ計画の施設、わたしが「電波研究所」と前述したところは、
具体的にはここ、府中基地跡がモデルだった。
(友人が教えてくれました。)

府中基地跡
http://www.funkygoods.com/hai/ft/ft.html

思いっきりここじゃん……
すごい絶妙なロケーションのモデル……。

府中基地の存在理由とか、役割とかをかんがみると、
なるほどなあ……ってしみじみ来る感が強いお話でしたが、
かえすがえすも、ならば尚更もうちょっと掘り下げてほしかった。
やはりリアルな場所すぎて、
フィクションの舞台としては云々と、自主規制せざるをえなかったのかな。

このくらいの時代の建物の廃墟って、
猛烈に東ベルリンとか旧ソヴィエト、冷戦時代の東側っぽさを喚起しませんか。
(米軍関連施設跡ではあるのだが。)
映画とかの影響かしら。

ほかには、個人的に、
え……ここ、ベルリン?
と思ったのは、
東京大学の先端研。
数年非常勤で研究補助をしてたときで、
キャンパスといえども校舎でないので学生がいない敷地内。
当時は今ほど、最先端のおしゃれビルが立ち並んでなくて、
地下に秘密のトンネルと、軍司令部がありそうなんだが……と、慣れるまでは慄いていたもんです。


ブーツ [は行]

さきほどNHK・BSプレミアムの『岩合光昭の世界ネコ歩き・ハワイ』を見ていたら、
足先の白い、その名も「ブーツ」というネコさん登場。

「“ブーツ”……日本語で言うと、“靴下”ちゃんって意味」
とかナレーションが語っていて、ぶったまげました。

ブーツはブーツだよ!
靴下ならば「ソックス」だろうがっ!!!

いや、しかもですよ、ドキュメンタリー風・世界猫・旅番組なので、
撮っている渦中でそんな喋りが入ってるなら、
ま、そんなニュアンスよね、で流せもしますが。
わざわざナレーションで間違って、どうするんです。
ネコ好きは、にゃんこがごろごろしてる映像みせときゃ癒されてるから大丈夫とお思いか。
いまどきブーツとソックスなんて小学校一年生でも知ってるでしょうに。

実際、足が白くて「ソックス」という名前の猫や犬は英語圏では珍しくないし、
その場合どうすんですか。
「ソックス」と呼ばれてるネコっちならば、靴下ちゃんでしょう。
「ブーツ」だったら、どうしても日本語で呼びたきゃ、長靴ちゃん、とかだよなあ。

「長靴をはいた猫」って物語も、たぶん足の白い猫がいて、
ブーツ履いてるみたいだなあ……ってところから発想を得て、物語になったんだと想像できますし。

学生時代、カナダに数か月、ホームステイをしていた時期があり、
そのときホストファミリーに猫が二匹いるうちの一匹が、足先の白い猫、
その名も「ブーツ」でした。
(もう一匹はスモーキー・Smokyという名の錆猫だった。)

この「ブーツ」をモデルにわたしは
『黒十字サナトリウム』の第五章「通りの瓦斯灯に青い灯が入ったとき」
に出てくる猫のブーツを書いたので、
ブーツという名前の猫には、思い入れがありますよ。
ブーツを長靴でなくて靴下ちゃんとか呼ばれた時には、穏やかじゃあおられません。

っぽくない? [は行]



CLEAN DIESEL +POWER

このBMWのCMをTVで見たときに、
あっ『ガタカ(映画)』っぽくない? エッセンスが、シーンのエッセンスが!

……と良い意味で感じたので、
ちょっとだけ、ガタカっぽくない?
そう言いたいがためだけに、ここに動画を貼っておきます。
高画質がおすすめです。

続きを読む


薔薇と、百年の眠り [は行]

駐屯兵団の紋章ってなんで薔薇なの?

「まるで地に転げ落ちるように(本人談)」友人が進撃にはまって、
今では本誌の別マガ購読にまで至っているので、
私はといえば用心しながら、じわじわと現在コミック8巻までゲットして読み終えた。
最新刊まで読み終えるのは時間の問題なのだけど。
アニメもこのまま続けて2期に突入してくれるらしいので楽しみにしているのだが、
ずっと気にかかっていたのだった。
いや、べつに寝ても覚めても、駐屯兵団の薔薇の紋章のことを考えていたわけじゃないですよ。

……しっかし調査兵団の「自由の翼」の紋章が、素敵すぎるではないか!
憲兵団の一角獣
駐屯兵団の薔薇
調査兵団の自由の翼
……このゴス魂がくすぐられる紋章は、どういうこった!
と、思ってはいたのだが。

憲兵団が一角獣なのはわかります。
憲兵といえば騎馬隊を容易に連想するし、ただの馬じゃなく一角獣といえば神聖な獣。
王のそばに仕える者の印としてふさわしいだろう。
たとえ腐敗とスパイの温床になってるとしても。

調査兵団の「自由の翼」は、
壁外で立体起動装置を駆使して、宙を翔る、
異端児の切れ者ぞろい、白と黒(紺碧か)の交叉する翼がぴったりですよ。

でも駐屯兵団の薔薇って、なんでバラ?
名脇役の駐屯兵団が、バラ?
ウォール・ローゼって、そもそも薔薇の壁って意味だしねえ、と納得しかけるのもつかの間、
ウォール・シーナとか、ウォール・マリアもあるわけで、
駐屯兵団が薔薇の紋章である説明にはならないよなー。

と。

……ひょっとして『眠れる森の美女』とか『イバラ姫』の茨!?

ようやくそう気づいてスッキリしました。

『眠れる森の美女』の場合、呪いをかけられた王女の百年の眠りを守るのが、城壁にはびこった大量のイバラで、
『進撃の巨人』の場合、壁が守ってきた「百年の家畜の安寧」が大型巨人に破壊され、街が壊滅。
高々とそびえる壁の内はいわば百年の安穏とした眠りが保証されてきた城塞都市。
だから壁を死守する駐屯兵は、棘のある薔薇の紋章!

眠り姫の薔薇になぞらえているのかー。そう勝手に解釈し、えらく腑に落ちました。


別腹 [は行]

忙しくとも寒くともエヴァは別腹だよ

と言い合って、新劇場版ヱヴァンゲリヲン・Qを友人と月曜日に見に行きました。
留学時代、夏休みに帰国したとき、その友人からエヴァを深く熱く布教してもらったのが、
もう14年ほども前になるんだなあ。
さすがに土日の混みようは厳しいので平日に時間を工面。
のど飴なめた上にマスクして、放映観覧中、絶対に咳きこまぬよう装備して参戦。

都内で、整理券がないと入れない状態とはいえ、朝から並ばなくとも平気です。
上映がはじまって10分過ぎくらいのとき、チケットを購入すると、
次回の上映が、30番内ほどで入れる整理券をゲットできました。

ちなみに今回、ヱヴァの前売りってどこで売ってたんだか私は下調べ不足。
劇場でも、チケットぴあでも、取り扱っていなかった。
流通展開が特殊で、とだけ説明された。

ヱヴァ本編上映前に、『巨神兵東京に現わる』をやったんですが、
特撮博物館で見たときよりも映像がクリアで美しい気がした。
これは、映像に手を入れたのか、
それともスクリーンの質等によるものなのかは、私にはわからない。

反面、巨神兵はさほどパワフルに思えなかった。
これは2度目でインパクトを感じられなくなったのか、
映画館の広さとか構造上のさまざまな要因なのか。
べつに、こいつら、思ってたほど凄くないかも、という気に。

ヱヴァ本編の内容は、
そもそも私はネタバレに関して本当にうかつだし、
とくにエヴァはそのあたり、非常に気を使うので、感想すら困難......。
私自身、情報をとにかくシャットアウトして出向いたつもりでも、
既にここ2~3日の間に、いろいろ見聞きしちゃってたしな。

一点だけ。
シンジ君とカヲル君のやりとりのシーンになると、
(べつにTV版ほど【?】っていう唐突で違和感のある展開ではなく、
カヲルがシンジのことを心配してみせるわけなのだが)

今まで微動だにしなかった周囲の男性観客陣が、
にわかに足を組み替えたり、そこはかとなく頭を動かしたりと、
――もしもこのままこのテイストでいくなら、だ・りぃよ
的なジェスチャーをするのが、
おおお、ちったあ我慢しておくれではないか(苦笑)ってなりました。

追記


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共通テーマ:映画

バイアス [は行]

ある人から「クリスティー賞を受賞してから態度が変わった」と言われて、
あああ、来たよ、って思ってます。

私は昔から○○気だし○固だし○○○○した物言いをするし、基本○○のことしか考えていないのだが、
また、時間のやりくりが決してうまいほうではないので、
なんかいつでも忙しいわりに大した事をしてないのだが、
前は、「忙しいんだー」とかいっても、
先方が、
「なにが忙しいんだ実にもならないことに時間を費やすなら最初からやらなけりゃいいのに、全くごくろうさまですよね、本当はちょっと都合つくでしょう」
とか決めつけていただけで。
今は「ちょい忙しいかも」とか言おうものなら、
「ああそうですかそうですよねどうせお忙しいですよね」的なリアクションを取られたりするのである。

私でなく、あなたが私を捉える見方が変わったのでは、
そんなあなた自身に気づいていないで、
安易に変わったとか言われちゃうと、
(ああ、私のことどんなふうに見てたのかとかむしろ全部わかっちゃうよ)
だったりする。

かつて拉致被害者の家族(現地に残されていた子供たち)が、
ようやく日本で、日本に帰国した家族と会える、
という映像が流れたとき、
「(日本の土を踏んだばかりの子供は周囲とくらべて)やっぱり厳しい表情で雰囲気がちがう」
そうその人は言っていたっけ。
同じ映像が、しばらくたって思い出映像として流れたとき、
「ほら、今のこの映像のほうが表情がやわらいでずっと日本人らしい」
そう、わかったふうに、のたまった。

――いやそれ当時の映像だよ、あなたのバイアスを通してそんなふうに見えているだけだよ、

と説明したら、バツの悪そうな顔を。
まあその手の先入観なんだと思いますがね!

『カンパニュラの銀翼』でもわりと人のおちいりやすい色眼鏡についてIII:V章で指摘してるんだけどなあああ。
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