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キーウィ動画シェア [か行]



ちょっとくらいの嫌なことはこの動画を見れば吹っ飛ぶ。
少なくとも私には効いた。
私は鳥が好きで、大好きなのは小鳥(……なのは、再三、言ってますね)。
とはいえ小鳥じゃなくても鳥全般、好きです。

見た目が苦手な鳥も、中には居る。フラミンゴの顔は個人的には駄目です。目が怖い。
トキも顔が怖い……羽はめっちゃ美しいが。

『カンパニュラの銀翼』で、絶滅してしまったスティーヴン岩サザイについて書いています。
あの剝製はけっこう物語のキーポイントになってくるわけですが、飛ばない鳥だった。
南半球のあのへんは飛ばない鳥が多いですよね(同作中で言及するエミュもそう)。

十五年以上前にニューカレドニアに観光に行ったときに、カグーという飛ばない鳥を見に行ったりしましたが、保護区域で暮らしているんですよね。
南半球の飛ばない鳥というと豪州とニュージーランドのキーウィが有名だけど、キーウィだけじゃないんだな……と知ったのでした。その割にカグーが有名でないのは、むしろ喜ばしいのかも。
自然生物はあんまり人に知られないほうが良いケースが多々ある。

それにしてもキーウィ、めっちゃ可愛いな。申し訳ないがコケるところが天然すぎで。
手乗りでないかぎり、鳥は人間に見られているときは、たいてい取り澄ましてるか、さもなくば警戒している。誰も見ていないと、こんなにものびのびピョンピョンしているんだね……。

わかる [わ行]

オンラインミーティングとかって人見知りじゃなくても、こんな感じなりがちじゃない?
話すタイミングが被りがちになって、譲りあっているうちに時間が経つ。



ノリがネット黎明期っぽい雰囲気もあり、なんか好きな動画なのでシェア。

デスゲーム系の作品のはしりで、映画CUBEは見ましたが(面白かった)、あまりにも有名なSAWは私は見ていません。
デスゲーム系って悪趣味だよな……見るのどうしようかな……と思っている間に、殺人鬼ジグソウが有名になりすぎて見る気を失くしたのですが、じゃあなんでこんなに馴染みがあるのかと思い起こせば、『銀魂』だな……。
https://www.bn-pictures.co.jp/gintama/story/148.php
https://www.bn-pictures.co.jp/gintama/story/149.php

追記:あっ、続きが出てた。


連載第3回配信開始@note『隣の客はよく柿喰う客か?』書き下ろし長編小説 [黒十字療養所出版部]

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書き下ろし連載小説『隣の客はよく柿喰う客か?』
第3回目の配信を開始しました。
https://note.com/blackcrosssanat_/n/nf58db4365abf

第1回目→ https://note.com/blackcrosssanat_/n/n6f4cf32b6fc9
第2回目→https://note.com/blackcrosssanat_/n/n30a25319806e

隔週更新なのですが、隔週ってけっこうすぐだね、頻繁だね。思っていたより忙しいね。
日付が変わった時点での配信開始になってしまいました。

今回、作中で言及している日本戦災地図については、国立公文書館デジタルアーカイブ「全国主要都市戦災概況図」を参照しています。

■全国主要都市戦災概況図
https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/category/categoryArchives/0200000000/0203000000_3/00

■東京その1→https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/detail/detailArchives/0203000000_3/0000000113/00

■東京その2→https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/detail/detailArchives/0203000000_3/0000000114/00

■広島→https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/detail/detailArchives/0203000000_6/0000000177/00

■長崎→https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/detail/detailArchives/0203000000_8/0000000205/00

作中では、少なくとも現時点では掘り下げていく本題とちょっと違うので、淡白にさらっと触れています。が、見れば見るほど思うところが出てくる地図の数々です。

それと今回の作中で、凛矢君が戦時中に出くわす2種類の「つくね汁」のエピソードについて。
今は亡き母方の祖母と、私は留学中に文通をしていた時期があって、その手紙で教えてもらった内容を元に書いています。今すぐ手元にその手紙はなく、見つけ出すのが容易でない(大切にとっておいてあるんだが)。
思い起こして書いている。これについてはすごく克明に覚えているので。
脂の粒が汁の表面にきらきら……という表現は手紙にあったままかなと思う(蓋を開けたら全然違っていたりしそうだが)。
とにかく戦時中当時としては、脂がキラキラ浮いていて、それが珍しくて──
という内容だったんです。


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書き下ろし小説『隣の客はよく柿喰う客か?』連載第2回配信開始@note [黒十字療養所出版部]

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2023年1月29日、書き下ろし連載小説『隣の客はよく柿喰う客か?』
第2回目の配信を開始しました。
https://note.com/blackcrosssanat_/n/n30a25319806e

第1回目から読まれる方はこちら
https://note.com/blackcrosssanat_/n/n6f4cf32b6fc9

小説を画像で埋め込んでいるので、画像画面を拡大して右クリックで次ページへ。
もしくは、第2回連載分のPDFファイルを、今回配信開始したnoteの記事の一番下に添付していますので、PDFファイルで閲覧してください。

隔週更新予定です。

今回、出そろった面々でしばらくは話が進みます。
(あと2~3人の主要登場人物が居ます。登場は中盤以降かな。)

noteの目次の設定の仕方がいま一つ分かっていない。
今のところはただ記事を付け足している。
連載回数が重なってきたら、目次表示ができるようにしたい。

noteで長編書き下ろし新作小説2023年1月15日より連載開始 [黒十字療養所出版部]

2023年1月15日、書き下ろし小説をnoteで連載開始いたしました。

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■note
https://note.com/blackcrosssanat_/n/n6f4cf32b6fc9
タイトル『隣の客はよく柿喰う客か?』

■文章を縦書き画像で埋め込んでいます。
(ALTに全文を入力してあるので、読み上げ機能は問題なく使えます。)

画像をクリックすると読みやすいサイズになります。
続きのページは右の矢印をクリックしてください。
左の矢印をクリックしたくなるのですが、noteが横書きを想定した仕様になっているため、続きを読むには右側矢印のクリックとなります。
「この続き:164文字」と自動表示されますがこれは正しい文字数ではありません。画像で原稿を埋め込んでいるためで、実際はもっとあります。

■隔週更新予定です。

note未登録でも購読できます。
ぜひ読んでいただけますと嬉しいです。

noteを使って連載するのは初の試みですので、応援していただけますと嬉しいです。
noteにこだわりがあるわけではないので、他にもっと使い勝手の良いこの手のアプリが有ったら知りたい……。

■内容は商業出版に劣るものではないという自負がありますが、一点、不安があるとするなら校正を通していないことです。万一、誤字脱字変換ミス等がありましたら
https://blackcrosssanatoriummailform.jimdofree.com/
まで連絡をいただけますと嬉しいです。

──あ、表記ゆれは指摘してくれなくて大丈夫。概してわかってやっているので。

追記)ブログタイトルに2013年~より連載開始などと書いていたんですけど、2023年です。修正しました。2023という西暦が感覚的に近未来すぎで、まだ馴染んでないんで……。

追記2)小説文面の画像を拡大しても、なお文字サイズが小さくて読みにくい場合のために、連載の末尾に第一回連載分のPDFファイルを添付しました。必要に応じて、PDFファイルで閲覧してください。


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*予告*noteで書き下ろし小説の連載を開始します [黒十字療養所出版部]

400字詰め原稿用紙換算枚数500枚ちょいの長編を、noteで来週から連載開始の予定です。

この小説の前身となる話を、400字詰め原稿用紙換算で250枚くらいの小説に書き上げたのが十年くらい前になります。

『カンパニュラの銀翼』でアガサ・クリスティー賞を受賞する前に書き上げており、商業出版で出せないか模索しましたが、良い線まで行くけれども(文学賞の最終候補とかね)なかなか出版までこぎつけず、寝かしておいた題材です。

この題材や登場人物をもう少しきちんと書きこみたいな……と、暇を見つけては思い立って、書き足りないこと、書きたいことを入れて書き直し、いちど原稿用紙換算枚数450枚くらいで完成させました。
そこでまた商業出版で出せないか検討しました。

大体、良い線までいくのですが、担当編集者が「良いですね」と言ってくれ、編集長に回し、あるいは編集部の編集会議にかける。そこでも「良い」と言ってくれて、広報に話がまわります。
ここで「NO」を食らうんですよね。
過去に出した私の本の売れ行きを鑑みると、リスクは負えませんね……という回答を。

これはもう商業出版で出すのは諦めよう……。
作品の質が劣るとかの問題じゃないので、私には働きかけ方がわからない。

商業出版で出すのでないならば、ちょっと遠慮していた部分、作中で触れるのに躊躇したトピックも、この際、もう少しだけ……。

という感じで、現在のページ数にまで至った小説です。
私の既出の著作物で比較すると、『コンチェルト・ダスト』より長く、『みがかヌかがみ』よりは短いです。

舞台背景は昭和24年秋、GHQ占領下の日本です。
ジャンルはやや純文寄りの幻想小説になるか。

商業出版での書籍化を今少し模索したい気持ちもありましたが、なぜnoteで連載することに決めたかというと、一つに、ちょっとだけシベリア抑留の話に触れる部分があるんです。
登場人物の一人がシベリア抑留から生還した人間なので。
その「ちょっと」を書くために無論かなり調べもした。

今たしかシベリア抑留を題材にした映画が公開されています。
「付け焼刃で、その映画を見てちょっとお話に取り入れてみたんだな」と思われたりしたら、さみしいかなぁ……と。
シベリア抑留は作中のほんの一つの例で、
「この案件、この題材、私は10年以上も温めていた……」
と、いくら吠えても、引き出しにしまっているかぎりは、お話にならない。
もう発表するほうが得策では、と思える瞬間が少なからず有ったからです。


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追納完了 [黒十字療養所出版部]

その後、『黒猫ギムナジウム新装復刻版』については、トレペ帯特色白インク版と、フルカラー帯と、同数程度の売れ行きとなりました。なんだか安心しました。

今日のブログの内容は、先日送ったニューズレターと重複する部分が多いのだが、ニューズレター登録をなさっている方と、当ブログの読者が同じとは限らないよな……と思い立ったので、ブログにアップします。

ちなみに私はニュースレターと言ったりニューズレターと言ったり表記ゆれがありますが、その時の気分なので特に差異はない。英語の発音で言うならばニューズレターだし、でもnewsをニュースと呼ぶのも、ニュースレターも、日本では普通に使われている言葉だし?……という感じで、どちらも使います。

■『黒十字サナトリウム新装復刻版』の在庫がしばらく切れておりましたが、追納が完了して、さきほど在庫が復活いたしました。購入可能となっております。

既刊だし……と、当初『黒猫ギムナジウム新装復刻版』の1/8の冊数しか倉庫に納品していなかったのでした。

■注文後に、購入をやめて支払いをしない場合は、支払い猶予の期日がくるまで放置するのではなく、購入をやめると決めた時点でキャンセルをしていただけると、大変助かります。

というのも、支払い猶予期間中は在庫を消費したカウントになるからです。追納が必要かどうかの状況をかなり左右します。(BOOTHの倉庫は、一定量を超えてふさぐと、倉庫代金があらたに課せられてくるので、納品は在庫ぎりぎりなラインのせめぎあいをしている……という背景があります。)

■これまでご購入くださったかた、またBOOSTしてくださったかた、ありがとうございます。(BOOTHはただでさえ送料が高くつきがちなので、購入に加えてBOOSTまでしていただけるとは身に余る光栄です。)

黒十字療養所出版部(中里友香のBOOTH) https://bcsanatoriumpub.booth.pm/

新装版『黒猫ギムナジウム』のBOOTH通販開始 [黒十字療養所出版部]

BOOTHで新刊および既刊の全商品(私家版)、12/8(木曜)夕方に入荷済みで、購入可能となっております。

BOOTH → https://bcsanatoriumpub.booth.pm/

そして入荷通知とほぼ同時に、さっそく購入してくださった方々、ありがとうございます。

文学フリマ東京35では、新刊『黒猫ギムナジウム』のフルカラー帯版と、トレペ帯特色白インク版と、ほぼ同じお買い上げ率でした。
ちゃんと好みが半々に分かれるものだなあ、どちらもお気に入りで自分でも決めかねるから両方作ったくらいなので、両方刷った甲斐があったなあ……!
と思っていたところ、BOOTH通販においてはフルカラー帯が圧倒的な人気。

トレペ特色白インク帯は、現時点では一冊も出ていない。
これは……私のネット上でのプレゼンの仕方に偏りがあるのかも……?

トレペ帯はなんといっても、厚手のトレーシングペーパーなので、紙へのフィット感が良い。儚げな透け感とサラリとした手触りからは想像もつかないくらいに、ピシッと丈夫でもあります。ちょっとやそっとじゃ破れません。

……とまあ、実際のところ、きっちり半々に売れるとはかぎらないので、どちらかが多い場合に備えて、どちらの帯も多めに作ってあります。トレペ帯数とフルカラー帯数とを足すと、刷った本より多くなる。

なので、安心してお好きな方をお選びください。
(両方、お買い上げいただくのも勿論嬉しいです。しかし何度も言っちゃうが本自体は同じです。)

新刊のBOOTH通販開始予定&既刊の通販再開予定 [黒十字療養所出版部]

このたび、中里友香の黒十字療養所出版部が文学フリマ東京35で取り扱った書籍やクリアファイルなどを、すべてBOOTH(通販)で展開いたします。

12月2日時点でBOOTHの倉庫に全商品が搬入済みです。
BOOTH側に準備期間が必要なので、BOOTHの各商品ページは現在「入荷待ち」状態ですが、「入荷お知らせメール設定」も可能です。

12月8日ごろから新刊の販売開始および既刊の販売再開予定です。

■黒十字療養所出版部BOOTH
https://bcsanatoriumpub.booth.pm/
いずれの商品も「BOOTHの倉庫からの発送」で、匿名性が保たれます。

■新刊『黒猫ギムナジウム』新装復刻版の商品ページは以下のとおりです。
帯を二種類、用意しました。お好きなほうをお選びください。

帯)白トレペ特所インク→https://bcsanatoriumpub.booth.pm/items/4346579
帯)フルカラー→https://bcsanatoriumpub.booth.pm/items/4338163

以前もここで言及しましたが、これまで私家版同人誌で小説本を3冊つくってきたなかで(本作含む)、今回の『黒猫ギムナジウム』の本が、紙選びや組版、印刷会社の技術の質など様々な点において、一番良い出来になっていると思います(当社比)。
また講談社BOXでの商業誌版よりも、紙質も組版もグンと向上しているはずです。

■同時に既刊3冊も、通販再開いたします。 『手腐レ風切り貴方まで』──中里友香短編集──は今回新装版で出しました新刊『黒猫ギムナジウム』の前日端的な番外編『葉コボレ手腐レ死人花』も収録されています。これを機に未読の方はぜひどうぞ。
『黒十字サナトリウム』新装復刻版や、『名刺代わりの小冊子』も在庫復活です。

これら書籍のほかにも、オリジナルA4クリアファイル3種(ヨーロッパの街並み花焔ステンドグラス)も、BOOTH倉庫からの発送ですので、あわせ買いにどうぞ。

文学フリマ東京35まで足を運ぶのが難しかったかた、あるいは文フリで買いそびれたかた、Booth(通販)を是非ご利用ください。

あとで本の動画をもうちょっときちんと撮ってアップしたい。


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文学フリマ東京35、ありがとうございました [黒十字療養所出版部]

文フリ東京35、昨日はありがとうございました。

新型コロナの感染状況が第八派に突入しつつあり、天気も雨もよいで(私としては紫外線ビシバシの晴天よりも怖くないのですが)、それでもはるばる足を運んで来てくれて、本当に嬉しかったです。

もちろん体調に懸念があって大事を取って、家で「文フリいいなあ」と思ってくれている人も、本当に、無理せず居てくれて良かったと思っています。文フリで体調が悪化したら辛いし悲しいし、嫌な思い出が付きまとうと怖くなっちゃうものだから、そういう時は用心するのも有り寄りのアリ。遠方すぎるとか、いろんな事情で来たくても来られない人だって勿論いるわけで、「行きたかったなあ」という気持ちを持ってくださるだけでも嬉しい。
12月からBOOTHで販売するので是非、利用してください。

私は今回は前回の誤算を鑑みて、11時40分に会場に着きました。11時50分からは出店者も一般客と同じ列に並んで入場しなければならない、しかもその時かなり並ぶ、ということを学んだので。なんとしても11時50分前に入りたかった。11時30分を目指していましたが、なんだかんだとカートの荷物が重い。道中、エレベーターに乗るために遠回りをしなくてはならない。浜松町あたりからは、いっぺんに乗り切れない人員が殺到するため、何度かエレベーターを見送らねばならなかったりで。路線情報を「ふつうよりゆっくり歩く」設定で検索しておくべきだったのかもしれない。

会場の建物内に入ってからの、会場すぐ手前の階段で、エスカレーターが動いているのに立ち入り禁止のテープが張られていた。階段を一段一段、重い手荷物カートを持ち上げて上がっていくのが、本当に厳しかった。なぜエスカレーターを使わせてもらえなかったのか……。

一段一段、進んでは荷物を置き……進んでは荷物を置き……。
踊り場のところで「持ちますよ」とスムーズに見知らぬ文フリ参加男性がカートを階段上まで上げてくれました。有難かった。

開場は12時。12時までに設営が間に合うだろうか……。

クロネコヤマトで送った荷物は無事に着いており、今回はその各エリアの荷物まとめ置き場から、一番離れたところに私のブースがあったので、小さい台車が役立ちました。こいつが無かったら今回の文フリを乗り切れなかった。
サンコープラスチック sanko plasticラクゴロ S [ベージュ]
台車自体が小さくて軽いからカートに難なく入ったし、付属の滑り止めを張り付けておくと安定感も抜群、相当の重量を乗せてもスムーズに動いて、使い勝手が良かったです。おススメ。私はヨドバシカメラの通販で買った。

12時ちょい過ぎくらいには今回は大体、本や商品を卓上に設置し終えました。

前回わたしが文フリに初参加した2020年11月秋は、開場とほぼ同時にずらっと混んだので、てんやわんや大パニックに陥ったんですが、今回は設営も済んでいたし、ぽつぽつとお客さんが見えて、時間的なゆとりがありました。以前よりは格段に落ち着いた対応をできたと思っています。それでも不慣れでありますが、短いながらも会話のキャッチボールを成立させられるだけの余裕があった。実りある体験ができて、楽しかったし嬉しかった。

(ちょい謎なのは、前回よりも文フリウェブページの「気になる」スイッチ数は倍以上押されていましたが、前回の半数くらいの人が来てくれた状況だったので、「気になる」スイッチ数は全然あてにはならんな……と。)

かえすがえすも、いらしてくれる読者の方々が本当に良い人ばかりで、いちいち例を挙げると或る種プライバシーに関わるのかなあとも思うから伏せますが、本当に私は恵まれているなあ……と。前回より数は多くはなかったけれど、そのへんは「どれくらい搬入したら妥当なのか読めないんだ」という別問題であって。本質的には一番実りある部分が得られたと感じています。

あとね、けっこう覚えているもので、私は人の顔と名前が一致しないことに定評があるが、顔と名前が一致しないだけであり、その人を良く覚えてはいる。あの時のこの方だ、というのは仮に10秒くらいのやり取りであっても、エピソードが付随すれば断然、心に残っています、いつまでも。
──この方は前回も真っ先にみえて、まだテーブルクロスもかけていないときに言葉少なにあっという間に買っていかれた?
──この方は前回、かくかくしかじかのコメントを手短に残していってくれたかたで? 
──この方は前回、私が長机を畳めなくて四苦八苦、右往左往しているときに、手を貸して、スムーズに机の脚を畳んでくれた人では……? 
等々。

手紙や葉書を渡してくれる方もおり、今この時代に手書きで文をしたためることの面倒くささをやってくれる、それも賀状のような定例句とは異なるのに、なんて得難いんだと。白雪と猫目坊のイラストを描いてきてくれた方も居て、封書を開けて二人の姿が目に飛び込んできたときに、ジン……と泣きかけた、感動して。

「好きです」という言葉は誰にとっても概して暴力的で、というのも相手に何かを要求する状況に多用されることが多いから、反射的に恐怖感や圧を覚える類の凶器になりかねない、下手をすると。すんなり咀嚼や吸収できる言葉とは限らない。それがために、用いるほうも受け止めるほうも緊張感を伴いがち。
これがひとたび「あなたの書く小説がとても好き」となると、たちまち生理食塩水の点滴並にすんなり抵抗なく、しみいる。怖くないどころか素直に「嬉しいです。有難うございます」とフランクに会話できちゃう、百パーセント励みになる魔法の言葉になるんだから、すごいですね。

3時過ぎに母親が来てくれました。
母親、2022年の年明けに肺腺癌と診断され、喫煙経験皆無なので青天の霹靂だったのですが、不幸中の幸いでステージ1のごく初期で、場所も取りやすい左下葉にあり、3月中旬に胸腔鏡手術を受け、無事に悪いところを取りました。
(その折に私は、母親の切除された下葉を実際に見せてもらいました……というか確認のために見せられたというか。もういっそ、と開き直って執刀医師の許可を取って写真に収めたら、「触りますよね?」と勧められたので、ラテックスフリーの手袋をはめて、けっこう大きい下葉を持ち上げ、その下葉の一部にある悪い部分を手で触り、切除した下葉に巣食っていた患部を確認した。)
母親、現在は普通に生活を送っています。術前は、検査につぐ検査で、ようやくステージの確定診断が下った時だったか、「……今年こそ文フリに行ってみたいと思ってたのに……」と。
「え? 私が本を並べて売ってるだけだけど……会場の雰囲気が文学に占められているという意味ではとても良い場所だし……じゃあ手術が済んで元気になったら来て」
と、約束していた。

最近では遠出を極力、避けたがる母親だし、最寄り駅へのアクセスが私の家よりやや悪いので、まず駅に出るまで疲れるのに、電車を乗り継いで1時間以上もかけて来られるのか……。モノレールなんて使い慣れてないし……本当に姿を現してくれる……?

「来てくれるなら、出店者側にきて隣に座って、一瞬でいいから、店番とかしてほしい。その間に私はトイレに行ったりとか、残部を自宅に送り返すための着払い伝票を、宅急便搬出受付まで取りに行ったりとかできる」と「出店者用カード」を渡してはいた。

母は「あんまりあてにしないで」と言っていたのですが、まったく平気の態で来てくれ、「通勤スイッチが入った。通勤していたときの」と。「モノレールは羽田から出張に行ったときに使ってるし」
「当時からモノレールってあったっけ?」
「あるよ。モノレールをなんだと思ってんの」
なんとなくモノレールとゆりかもめとを混同していた、私は。

私は鳥が大好きだけど……たぶんこれは閑古鳥……席を離れても差し支えのないタイミング。という頃合いで母親が来てくれたので、手荷物を見てくれているおかげで、あれやこれやの用事を前回よりは手際良くこなせて、搬出作業も困難を見ずに済み、5時過ぎに会場を後にしました。

この日が無事に済んで、本当に達成感がありました。
感謝です。

文フリ新刊『黒猫ギムナジウム』新装版動画 [黒十字療養所出版部]


中里友香による黒猫ギムナジウム新装版動画

どんな感じがわかるかなと思って動画に撮ってみたのですが、取り急ぎ、しかも初めての動画アップを試みているので、あとで消すかもしれない。

テーブルクロスにモアレが出ちゃってるし、おまけに縞々の手袋なので、なにやらやたらとモアレっている動画ですが。組版(行間とかフォントとかそういうの)や、本の厚さ、帯やカバー、見返し加工とかのイメージが写真よりはつかみやすいかなあと。

詳細は文フリ当日(明日ですね)、見本として現物を2冊置いておくので、そこで確認していただければ。

BOOTHで通販を開始するときには、もう少しきちんと丁寧に録画して、動画をアップしたいと思っています。ひとまず今回はあくまでざっくりとイメージを摑む一助になればと、貼っておきます。

【G35~36】文フリ東京・お品書き兼チラシ [黒十字療養所出版部]

いよいよ明後日に迫ってきました、文学フリマ東京35。
これからテーブルクロスのアイロンをかけて、当日持っていくものの荷造りをするところです。

2週間余り前にお品書をアップしましたが、いろんなタイプのSNSと違って、当ブログはトップに記事を固定することができない。同じものを再アップするのも能がないかなと思ったので、お品書き兼チラシっぽいものを用意しました。


中里友香による公開用2022年11月20日開催文フリ東京35チラシ
(右下コーナーをマウスオーバーすると拡大できます。)

黒十字療養所出版部のブースは第一展示場G35~36、GothicのGと覚えれば良いです!

本自体は10日に発送済み。現在、京浜島営業所(東京流通)に留め置かれており、文学フリマ側が受け取れる指定の日時まで、待機中のもよう。一冊が分厚いのでね、ほどほどの冊数でもどうしても嵩ばるんだ……。

なおクリアファイルは1枚350円で、3枚まとめると1000円。
これは4枚は1350円、5枚で1700円、6枚で2000円となります。3枚単位で1000円、6枚で2000円となる計算です(そんなにまとめて買われる方はまず居らっしゃらないと思いますが)。

中里友香は当日、黒マスクをしていく予定です。
お会計の折には、たぶん信じられないレベルでいちいち電卓を叩いていると思います。
少しでもリーズナブルに提供したいと努力しているから刻まざるをえないんだ、金額を。
(私に暗算を期待しないでくれ、間違えるより良いだろう……)

心にゆとりを持ってきてくださると、とても嬉しいです。


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『斬リ結ビ』は年明けに [黒十字療養所出版部]

『斬リ結ビ』は今回の文フリには間に合わないので、年明けにでも出せたらいいな、と思っています。8割がた書き上げ、あとはクライマックスを書くだけ、というところで表紙やクリアファイルを作っていたら、間に合わなくなったよ……。

二次創作は後にも先にも『刀剣乱舞』以外ではやる予定はなく、初めての試みでもあり、楽しみながら書いているので、今更あまり慌てて作るのも……という気持ちでいます。

なお主たる登場刀剣男士は──

源清麿
加州清光
山姥切長義
にっかり青江
肥前忠広
古今伝授の太刀
へし切長谷部
薬研藤四郎
毛利藤四郎
水心子正秀
一文字則宗

──という面々です。


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付録の紙製しおり [黒十字療養所出版部]

そうだ、栞を作ったんだ。

今までも小説本にはいずれも紙製のしおりを付録で添えています。
今回もまた作りました。

ブログに埋め込むと巨大になりますが、いわゆる標準的な栞のサイズ。
幅47mm×高さ143mmです。
またブログにCanvaで画像を埋め込むと、自動的に角が少し落ちた状態で映るんですけど、本体はふつうにかっちり直角です。


中里友香による公開用・黒猫ギムナジウム付録しおり大

マウスオーバーで矢印が出てきたら、クリックするとページが進みます。
表→裏です。

表面(おもてめん)にUV加工をしてあります。
ジェルネイルのようなつややかな質感になっています。
裏面は普通の印刷です。

表のほうが華やかですが、裏面のデザインを作り上げるほうが難しかった気がする。
その分、仕上がりを見た時にはテンションが上がりました。
いずれも明治時代の着物の柄をベースにして、モチーフを足しています。

なお、私は本もカバー表紙も帯もいずれもどこでプリントしたか、印刷会社を必ず商品自体に記していますが、栞だけは書きこむスペースが無い。
ですのでこの場で──栞はいずれも「グラフィック」で頼んでいます。
というか、ほかに紙製栞を扱っているところって、まず無いよね?
(そこしか取り扱ってなくない……?)

栞は本の最初のページに挟んでパッケージしています。

新装復刻版『黒猫ギムナジウム』帯デザイン [黒十字療養所出版部]

今回、帯を二種類作りました。こんな感じです。

中里友香さんによる公開用: 黒猫ギムナジウムカバー表紙・背表紙・裏表紙with帯

マウスオーバーで順に見られる矢印が出てきたら、クリックするとページが進みます。
(帯付きカバー表紙 → 帯付きカバー背表紙 → 帯付きカバー裏表紙 → トレペ帯付きカバー表紙 → トレペ帯背表紙 → トレペ帯つきカバー背表紙)

両方の帯に共通して、銀杏(イチョウ)の葉のモチーフを使っています。
『黒猫ギムナジウム』は明治時代の帝都が舞台で、帝都といえば銀杏。
現在でも『都の木』は銀杏ですし、ね(ちなみに『都の花』は桜)。
桜の花のモチーフは重ねて用いてきているので、帯には銀杏をと。

江戸時代から火事が多かったので、好んで銀杏が多く植えられてきたというのは有名な話。
東京五輪で樹齢百年を超える「いちょう並木伐採」という話が浮上した時には「正気か?」と思いましたよ、本当に。

トレーシングペーパー製の帯は、他の帯と比べてサイズ制限が厳しい。
前回、短編集でもトレペ帯を作ったのですが、その時にお願いした印刷会社と、今回は変えてみました。(何ら問題があったわけではない。)
前回、帯をお願いした印刷会社は、そこで本を刷った人がついでに帯をオーダーするというのが本来の注文の仕方らしかった。
お願いしたらトレペ帯だけ刷ってくれたのですが、例外的に都合をつけてくれた気が……。

その時も、トレペ帯はサイズに制限があって、本当はカラーカバーと横幅を揃えたかった。
既定のサイズがカバーより幅を長くとらないといけなくて、ちょい長めの帯となったのだ。

今回は四六判。もともとカラーカバーの幅を広めにとっていることもあり、トレペ帯がカラーカバーよりちょい短めに。規定の最大幅がその長さでいっぱいいっぱいなのだった。
そこが気になる人は、気になるかな……。


中里友香による公開用:黒猫ギムナジウムのカバー&帯

マウスオーバーすると、矢印が出てきて、クリックすると順番に見られます。
(フルカラー帯つきカバー → 帯デザイン → トレペ帯付きカバー → トレペ帯デザインの順)

なお、トレペ帯は透け感のある白い紙に、白い特色インクで刷るので、デザイン提示のときはシアン(青)で白い特色インク部分を示すことが多いです。

──カラーカバーのほうを短めの幅にしときゃよかったじゃない?──と思われるかもしれないが、今回、ソフトカバーの本で、見返し加工をしているので頑丈かつ美しくできていますが、ハードカバー本ではない。
カラーカバーはなるべくしっかりと、多めにたっぷり本体をカバーできると、安定感がより増すわけです。500頁越えの本ですから。

見返し加工の紙色は桜色にしました(正確を期すればコスモス色。桜色はかぎりなく白に近すぎる薄桃色なので)。
見返し加工の薄桃色と、カバーの江戸紫とのバランスが、ベストだなと思える幅にするのを優先した。
なので、カバーのほうをトレペ帯の最大幅に合わせることは考えませんでした。
(見返し加工とカバー、帯の折り返し部分も、のちほど当ブログでアップしたい。)

私個人としては、トレペ帯だと華やかさと儚さがあって、ガーリーめで可愛さが引き立ち、持っていたい本という感じが募るかなと。
フルカラーの帯は、夜の帝都感が出ていて、作品の世界観にマッチする。読書意欲をそそる感じで実にしっくりくる、物語の雰囲気を伝える納得の出来映えになっています。

デザインとしては、トレペ帯は素材の良さ(トレーシングペーパーの透け感と、特色白インク)を活かしたいので、デザインはごくごくシンプルに。

逆に、フルカラーの帯のほうがデザインを作る上では難しく、試行錯誤を重ねました。
帯の折り返しにキャッチフレーズの一部と、デザインを入れたかった。満足です。

前も書きましたが、本の中身は全く同じです。帯だけが違っています。

本の装幀全般においても、今まで商業出版と私家版とで本を作ってきたわけですが、私家版はこれで小説本は3冊目。私家版の中では、この『黒猫ギムナジウム』が現時点で一番良い出来だと思います。
印刷会社が期待通りに刷り上げてくれたし(これ重要)、紙の質とか(厚すぎず薄すぎず、しなやかで扱いやすい)、文字サイズとか、行間とか。とても読みやすくできたなと。
そのあたりも後程、このブログでもう少し詳しくアップしたいと思っています。


共通テーマ:

お品書き(2022年秋・文学フリマ東京) [黒十字療養所出版部]

新刊本の書籍本体、カラーカバー、帯、どれもきちんと問題なく刷り上がってきました。
帯は2種類つくりました。お好きな方を選んでいただこうと考えています。
あとで当ブログでアップします。

で、ちょっと気が早いかもしれないけれど、お品書きを作りました。
こちら

中里友香による公開用:2022年秋文フリ東京お品書き
右下コーナーをマウスオーバーすると拡大できます。

【文学フリマ東京35】ブース位置G35/36に確定しました [黒十字療養所出版部]

きたる11月20日に東京流通センターで開催予定の【文学フリマ東京35】
私(中里友香)がやっている『黒十字療養所出版部』のブース位置が確定しました。
第一展示場のG35~36です。

tokyo35_visitor_map_1黒十字療養所出版部sizemodified.jpg

クリックすると拡大します。↑

あれ……宅急便搬出受付の場所と、ゴミ集積所の場所が遠い……。ちょっと弱ったかも……。

わざわざ来てくれた人に「売り切れました」としたくない。
なるべくたくさん本を用意して、余りを持ち帰るのは当然、という考えでいる。
そのため2020年では、宅急便搬出受付の場所がかなり近くて、とても有難かった。
今回は2020年に私が出店した区画自体が無いですね。

2020年、私のもらえたブースは換気用出入口の向かいにあって、風が吹き込むと展示物や商品が軒並み倒れ、お隣のブースともども、かなりな被害に遭った。宅急便搬出受付は近く助かった反面、あのブースの区画自体が改められたのは妥当だな、とも思います。

とはいえ今回、宅急便搬出受付が遠いのは、ひそかに戦々恐々なのであって……これは売れないと困るやつだ……。
売れ残りが多いとカートを駆使しても自力で運ぶのが至難の業。
会場にどのくらいの冊数を用意すべきかが思案どころです。

黒猫ギムナジウム新装版カバー [黒十字療養所出版部]

こんな感じで印刷会社に本刷りをお願いしています。


中里友香による(公開用)黒猫ギムナジウム新装版カバー

右下コーナーをマウスオーバーして拡大できます。

画面上だとかなり鮮やかに見えると思います。
液晶画面は発光しているおかげでカラフルに見えるので。
印刷した状態はもう少し、落ち着いた色合いになるかな? 

簡易色校正で、いつも自分が想定していたより「うわ……くすんで見える……暗い」
となって修正・再入稿するのが、私のお決まりのパターン。
小舟の脇に描かれている青い波が、ほぼ真っ黒に近く、背景と波との区別が目をこらさないと全然わからないくらい印刷に出ていなかったり……。
色校正は絶対やったほうがいいと、毎度、実感します。
色校正をして、いろいろ修正し、再入稿したのがこちらなわけです。

色味は印刷会社の癖とかにもよるかなと。
紫系は、印刷会社によって相当の差があって難しい気がする。
紫色はそもそもどぎつくすると下品になるし、控えめにしすぎると、どす黒く映る。

たとえば「名刺代わりの小冊子」を刷ってくれた印刷会社は、しょっぱなから私の想定通りの色味で刷り上げてくれるのですが、しかしそこはこの手のカバー印刷は、やっていない。

『黒十字サナトリウム(新装版)』や『手腐レ風切り貴方まで(中里友香短編集)』のカバーをお願いした印刷会社に今回も頼んでいます。
どちらのカバーの仕上がりも気に入っているので。
どちらも色校正のあと再入稿をして、カバーが納得のいく出来栄えになったのだった。
今回もイメージ通りに刷り上がってくると良いなあ。

前回は「黒十字~」も「手腐レ~」どちらもグロスPP加工をしたのですが、今回はマットPP加工でお願いしています。

マットPP加工というと、私の場合は早川書房で出してもらったハードカバーの本が、いずれもマットPPのはずです。
──ちなみに当時はマットPPという言葉を私は知らなくて、
「さわると指紋がくっきり残るタイプのフィルムではなくて、つや消しっぽい透明のフィルムを使ってもらえると」
という、お願いの仕方をしたおぼえがあります。

『黒猫ギムナジウム』新装版の進捗状況 [黒十字療養所出版部]

こんな感じで、まずは試し刷りを印刷会社にお願いしている段階です。


中里友香による公開用・黒猫本体表紙・化粧扉・目次・章扉

https://www.canva.com/design/DAEn3NdhlKo/view?utm_content=DAEn3NdhlKo&utm_campaign=designshare&utm_medium=link&utm_source=publishsharelink

本体表紙→背表紙→化粧扉→目次→各章扉→本体裏表紙
(画像左下をマウスオーバーすると>が出てくるので、>をクリックすると見られます。)

この本体の上にカラーのカバーを巻きます。
まずは本体の印刷を。

当ブログで「こんな感じで進めています」と紹介した段階から、更にけっこう手を入れました。上書き更新しているので、途中経過・変更後の比較をお見せできないのだが……。

目次にページ数が入っているのだとか、背表紙も作ったのとかは、お分かりになるかなと思います。500頁を超えるのも目次を見ればお分かりになるだろう。
現在絶版状態の講談社の初版単行本(468頁)は二段組で刷られており、やはり一段組のほうが圧倒的に読みやすい。
せっかく私家版で刷るのだから、どうせなら読みやすい一段組で出したいですし、新装版あとがき分を入れると、おのずと500頁をちょい超えてきます。

表紙等で繰り返し用いている花は、桜を想定しています。
しかし桜の花びらは先端に切り込みがあるのが一般的ですよね。
とはいえ、原種の桜とか、花びらに切り込みがないタイプの桜の木もあります。
だからこの表紙の桜は切り込みがないタイプの桜の花なんだな……と思っていただけると幸いです。
バラ科の木であることは間違いないのだが……。
花びらに切り込みのあるモチーフだと、いくら探しても、この表紙に使いたい感じのが無かったんです……。

商品本はオフセット印刷で刷ります。

その前にまずは見本としてオンデマンド印刷で1冊刷ってもらい、これで行けそうかどうかを確認します。今その見本刷りをお願いしている段階というわけです。

2020年に短編集を刷ってもらった印刷会社と同じところに頼んでいます。
前回も見本刷りを頼んで確認したのでした。その際には、見本を確認した段階で、フォントサイズやら章扉の位置やらを変更する必要が生じました……。(試し刷り段階ではフォントサイズがやや小さすぎ、また章扉の位置を全部左側にしたほうが、より体裁が整うので、白紙ページを入れたりした。)
又、ノドのスペースを多めに取ることにして、その分、なるべくページの端まで行をずらしたり。分厚くて良い紙を使うほどに、本が閉じやすく開きにくくなるという難点も生ずるので、やっぱり物理的に手に取らないと、感覚的に今一つ、加減がわかりにくいんですよね。

今回は多少勝手がわかってきているので、スムーズに運べば良いなあ。
さっそく「これとこれに塗り足しがないので再入稿をお願いします」とか「モノクロ印刷のページはグレースケールで作ってください。再入稿をお願いします」とかの連絡をいただき再入稿しており、すでに地味にやらかしてはいます。

「文学フリマ東京35」無事に出店確定です [黒十字療養所出版部]

文フリ東京の事務局から当確メールが届きました。

〔今回は抽選を実施せず、すべてのお申込を当選といたしました。
したがいまして、「文学フリマ東京35」へご出店いただけることとなりました。〕

第一展示場と第二展示場Eホールを使って、昨年の文フリ東京の1.5倍の面積でやることになったそうです。

出店料を支払い終えたので、これで出店は確定。
2022年11月20日開催の第35回文学フリマ東京に出店予定です。
どうぞよろしくお願いします。

文フリ東京開催までには新型コロナ、収束に向かってほしい。
文フリ東京まで待たずにいくら早く収束してくれても構わないんで頼む。
このところ、ずっと高止まりですよね……。

感染者数が増えているだけの時はさほど心配していなかった。
「今はワクチン接種済みで軽症で済む人が大半で、病床ひっ迫も起きていないのならば、死亡者数も少ないし」と思っていたから。
結果的に第七波の現在、東京都内の感染者数は毎日大体2~3万の間であり、死亡者数も第七波が一番多く、最悪の状況になっている。

私が2020年の文フリ東京に初出店した11月、当時過去最高の感染者数で、感染対策に万全を期しての出店でした。
都内の感染者数が多くて300人から500人台に届く、という状況だったのをよく覚えています。
桁が2けたも違うんだよ。2桁だよ。
当時も既にワクチン接種は始まっていた。

第七波のウィルスは会食しても伝染しないとか、喫煙室でも伝染しないとか、そういうタイプのウィルスになったわけでは全然ないのに。
「経済優先」という名の下に国が行動規制をしないので、呼吸器疾患持ちの自分としては「ますます生きずらい」と感じています。

ちなみに「生きにくい」「生きずらい」というと「死にたい」と同意だと思っている人が居ますが、私の場合、正反対です。
生きようとしてる人間の邪魔をしてくれるなよ、という意で言っています。

喫煙室とか今、全部封鎖したらいいのに(喫煙室での感染が後を絶たないと聞いた)。
個人的には、時限立法で喫煙ルームを全部封鎖してほしいです。
それが難しいなら、電話ボックスタイプの一人しか入れない喫煙BOXをずらっと設置したらよいのでは? こっちのほうが現実的ですよね。喫煙BOX会社が潤うし。喫煙BOXはコインパーキングスタイルで展開したら経済もまわる。

それも無理なら、もうみんな大昔の不良みたいに屋上に行って吸ったら良いじゃん。 
昨今『東京卍リベンジャーズ』の登場人物ですら、メインを張る面々は誰一人として喫煙していないから、不良と喫煙を結びつけるのも時代遅れな喩えだし、こんな時でも吸わずにいられない喫煙は依存症だから、ほんと、病院に行ったほうがいい案件なのだが。
ライアビリティの関係で、飛び降りとかをされると面倒なので、たいていの屋上は封鎖になっていると思いますけど(つまり吸うなと言っているのか? このブログを読まれる方は読解力が高いからお分かりのはず)。

ヤニの煙を心底憎んでいる割に、私の小説内に喫煙描写が結構あるのはなぜなのか、
と思われる方もいるかもしれないが、時代性を鑑みてのことです。
嫌いだからと言って描写しなかったら、嫌なものは何も無かったことになりますし、物語として作りこむ部分と、嘘があってはいけない部分がある。
その線引きをどのあたりに設定するかは作風もあるでしょうが、私は喫煙の描写は入れます。
私が描く世界観の当時としては、とくに男性は当たり前に吸っていたからです。
喫煙を過度に貶めて書くこともしないです。当時は悪いものだと知られていなかったから。
経験値として喫煙による健康被害があることは皆、把握していて、その集合知が医療雑誌等々で科学的研究成果として明らかにされた上で、取り上げられるようになったのが第二次大戦後です。もっといえば朝鮮戦争の後くらいです。
それもせいぜい喫煙者のみが体に悪いことをしているという扱いです。
1980年代までは、副流煙の有害性は知られていなかった。受動喫煙だなんて概念自体が存在しない。

受動喫煙が知られるまでは、喫煙は「カッコいい」「ダンディ」「すかしてる」色合いが強かったわけで、作者の視点を投影させようとして、当時の登場人物が「喫煙習慣なんて最悪、マジで滅べ」と思っているのは、いくらなんでも不自然がすぎる。

作中に喫煙者が居る場合は、うっすら「迷惑だな」と思っている喫煙しない人間も必ず登場しています。
当時としては、迷惑がっている人物のほうがどちらかというと特異で、なんらかの喫煙しない理由があるとか、喫煙できない不都合があるという状況で。

話が逸れましたが『文フリ東京35』に出店する予定ですので、楽しみにしていてくださると嬉しいです。既刊3冊と、『黒猫ギムナジウム新装版』を新刊として持っていく予定です。あとクリアファイルも。

プラスもう一冊、遊び心のある書き下ろし新作が間に合ったらいいな……。
遊び心というのはこの場合、必ずしもコメディタッチとかギャグ色が強いという意味ではなく、私なりの遊び心の概念で、四六判で400頁くらいで納まると良いなあ、という感じで進めています。長編です。

この書き下ろしについては、のちほどまた進捗状況をアップしたいです。

今更かもしれません [あ行]

最近のアクセス解析を見ると、信じられないくらいアクセス数が減っており、それはまあ良いのだが(良いのか?)全国的に雷で、パソコンをつけていられなかったんだろう──
等々、勝手な解釈をしている。
その一方で、どなたか知らねど、過去ログをかなり遡ってチェックしておられる方がいる。

ブラウザの変遷とともに、改行位置が変わって、今となっては信じられないくらい、読みづらくなっている記事もあります。
貼りつけた動画やURLが機能しなかったり消えていたりで、なんのこっちゃわからなくなっている記事もあります。
そういうのもひっくるめて歴史……という感じで置いてあります。

小説や本づくりにまつわる内容、姿勢、言葉や翻訳に関するあれこれ、核をなす私自身は変わっていませんし、ラルク、刀剣、太宰治、萩尾望都の『ポーの一族』や『トーマの心臓』などの好みも、本質的に変わっていません。好き。最近あんまり口にはしませんが、どこまでいってもゴシックです。

またアナフィラキシーやアレルギー関係について、こちらも真剣に、かなりあけすけに書いている、これはある種の記録、誰かの一助になるかもしれないとも思っているので、消す予定はありません。

ですが中には(もう消してもいいけど……消した方がいいのかも……)という記事も少なからずあります。

ただ一応、一度アップした記事は基本的には、よほどの間違いや訂正などがないかぎりは削除しないつもりで、忘備録としても、また時には自戒をこめる意味でも、くだらなくとも置いておこう、と現時点では思っています。そんな感じなので、ご了承くだされば幸い。

また当然のことながらブログよりも小説本のほうが遥かに桁違いに、丁寧に真剣に粋(すい)を凝らして、いつまでたっても恥ずかしくなく読んでもらえるクオリティを目指して書いており、絶対におすすめなので、そこんとこよろしくね、です。

東京のダフ屋が歴史をさかのぼること百三十年前に結成されていたとは [た行]

先日、5月21日ラニバ30th@東京ドームのライヴについて書いたときにも言及したが、電子チケットと本人確認の徹底で、ダフ屋が一掃され、全く姿を見なくなった。

ダフ屋は2017年4月のライヴの時にはまだバリバリに居ました。
→ラニバ25th@東京ドーム4/9
https://blackcrosssanatorium.blog.ss-blog.jp/2017-04-11

……と思っていたら、こんなLivedoor Newsの記事が。

関東の古参“ダフ屋”暴力団が解散へ 電子チケット普及で仕事なくなり、コロナ禍も影響
https://news.livedoor.com/article/detail/22580472/

私はチケットをダフ屋から買ったことはないし、ダフ屋に売ったこともないけれど、
「買っても偽装チケットで座席は無いらしいよ」という噂と、
「本来の価格よりものすごく高い値段なら入手できるらしい」という話、
「重複チケットは安くとも買い取ってもらえる」等々。
ダフ屋にまつわる情報……常識?……はいつだってそこらへんにありました。
ネットがない時代から。

ちょっと前まではそう、チケットぴあと、ローソンチケットと……と複数に申し込まないと入手できないのが常識だった。で、当たるときは概して、複数チケットが当たる。
結局、余った分は使い道もなく、譲渡先もうまく見つけられず、お金も席も無駄にせざるをえないことが珍しくなかった。その分があればグッズ購入等に使えたし、その座席で来たい人も入れたのに……アーティスト的には同じ実入りかもしれないけど、意味が違うではないか……。
昨今はチケットの再分配ができるようになってきたから、本当に便利になったのだ。

ダフ屋の、人を見る目には本当に鋭くて、
──なんで私がこのコンサートに行くってわかるの……!
という、ピンポイントで声をかけてくるあれ、あの人間観察、何をポイントに見極めていたのだろうか。知りたかった。

結局のところ私はチケットを持っており、ライヴ会場を目指しているという部分は見抜かれているけれども、ダフ屋を必要とはしていない、という点では、彼らは外してはいた。
それでもいつも、かなりいい線は行っていた。

2か月前のラルクのライヴについて今頃アップ&文フリ東京抽選待ち [な行]

5月21日(土曜)30th L'Anniversary LIVE@東京ドーム

今頃になりましたが書きました。
さすがにそろそろ書いておかないと、いつか書くもん詐欺になりかけている節があった。
けっこう長文。仮アップしておいたスペースに追記しています。

こちら
https://blackcrosssanatorium.blog.ss-blog.jp/2022-05-26

ところで『文学フリマ東京35』(2022年11月20日開催)に申しこみました。
先着800ブースまでは抽選無しで即決定。
既に800の応募数は埋まっており、私は8月下旬の抽選の結果しだいで、抽選漏れがなければ晴れて申しこみ終了──
という段取りになっています。

6月の段階で既に先着800ブースは埋まっていたらしく。
出店申しこみの期限は8月23日までなので、みんな素早い。
一時期、新型コロナの感染者数がものすごく少なくなっていて、このままもう大丈夫なのでは、と思わせる空気感がありましたもんね。

はやく伝染病蔓延が鎮静化してほしい。
感染したくないです。切実に。

鏡合わせの双子メーカー [か行]

気分転換にPicrewの画像メーカーで遊んだりします。
一時期、やたら気分転換と称してやっていた。
もちろん私は「Picrewで遊ぶ」側です。
「Picrewでつくる」側ではない。
流行りましたよね。今もコンスタントに需要がある感じなのかな。

いろんな絵柄で、ちょっとお絵描きをしたかのような気分が即興で味わえる。
パーツや服装、髪型などを選んでいくだけなのに。
けっこう目指している完成度に近づけられるから、楽しいです。

今回「鏡合わせの双子メーカー」というのを発見。
《一つになりたい双子ちゃんや向かい合わせのペアキャラが作れます》
……え、やる!

download20220705003109.png
『コンチェルト・ダスト』のエミールとエミリヤをイメージしてみた。

エミリヤが目を閉じているヴァージョンはこちら。
download20220705003209.png
作中のメインイメージより幼いので、回想シーンという感じか。
本当はややロゼワインのような色味のかかった明るい金茶の髪色なのですが、さすがにその色は指定範囲内になくてですね。
出来る範囲でなるべくイメージに寄せてみた。

「鏡合わせの双子メーカー」
《一つになりたい双子ちゃん》
というテーマなら『黒十字サナトリウム』のミシィカとレイナもいけるんでは?

download20220705002134.png

レイナが病の床に臥せりだした頃。
ミシィカが寄宿舎に入れられる前。
二人の将来を予見させる感じで。あくまでもイメージだけれども。

ミシィカとレイナは双子だけれど瞳の色が微妙に違う。
ミシィカのほうが中心部が緑色がかっている。
そこを作中で庭師の息子のソーレンに指摘されます。

「太宰治氏 情死か?」1948年NHKアーカイブス [た行]

42秒の中に情報量がすごい。
思うところがたくさんありすぎる……。
玉川上水がなじみ深いこともあり、味が無くなるほど咀嚼したネタなのに、当時の空気感がかなり生々しくて結構衝撃です。当然のことながら当人の没後に知った作家だから、ああこの日までちゃんと生きてたんだなあと。



音楽が邪魔なんだが、当時としては、こういう劇場的に取り扱われるニュースだったんだなというのも同時にすごく伝わる。まだ遺体が見つかる前だから、切迫感もあります。
太宰と関係があった女性は今ではほぼ全員写真が見られるんだが、山崎富栄さんは、ずば抜けてキリっと垢抜けてて、同性からすると、かなり洗練された美人に映る。
当時の写真って、今ならもっと綺麗に映せたのでは? ……みたいな映りが常なのに。

山崎富栄は新婚10日余で夫が兵隊に取られて亡くなった戦争未亡人で、たしか美容院と美容学校の経営に携わっていたんじゃなかったか。その時にモデルとして日本髪を結って着物を着つけたときの写真が、ニュースで公開されたせいで、芸妓だという印象を世間が受けて、遺族があらぬ中傷にさらされたと何かで読んだことがあります。

なんだかんだ作家仲間が詰めかけて太宰の安否を心配していて、太宰はいじられキャラを率先して演じていたし、みんなそれに乗っかって太宰をいじりまくったけど、愛してたんだよね……太宰は愛されてたんだよな、良しにつけ悪しきにつけ、太宰が好むと好まざるとにかかわらず……と思わずにいられない。
惜しい。

仮up的な・ラニバ30周年東京ドーム最終日:L'Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary LIVE [最近のお気に入り]

行ってきた、両日参戦。
二日目(最終日)5/22日。

身近な人間に「ラルクとか刀剣になると異様にブログを長く書くのちょっと控えたら」的なことを言われるのだが、私のブログを読みに来る人は、長く読むのは苦じゃない人なんだよ! 
そうじゃなければ私の小説を読めていないんだ。
別にブログなんだから、読み飛ばすことも全然ありだし……。
と思いつつも、或る程度はまとめなければ……
こんなに感想やらエピソードやら、書きたいこと言いたいことが盛りだくさんなのに……。
等々、逡巡して時間をくっている。

そうこうしている間に時は過ぎるので、とりあえずこの状況でアップしておくのだった。

ラルク関係は当ブログ内でページが多くなってきたので、近いうちに当ブログのカテゴリー項目ラルクを新設したいと思っています。索引からすぐ見つけやすく。

ダウンロードチケット記念用写真


ラニバ30周年東京ドーム初日:L'Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary LIVE [最近のお気に入り]

行ってきたのでした。
今回生まれてはじめて、土日両日のチケットが取れたので、初両日参戦。
その初日(5/21)です。

良かったというのと嬉しかったというのは言うに及ばずなのだが、その詳細について書きたい感想ありすぎで、まとめるのに時間がかかるから、とりあえずアップしておく。
この状況でアップするんだったら、もっと早くやればよかった。

=============7月22日に追記=============

ラルクのライヴ、行ってきました。

何度も、本当に行ける日が来るのかな、と。
……大変なことも色々あって、それまで体調も万全とは言い難く(さいわい新型コロナには罹っていませんが)、だからライヴ会場東京ドームへの道すがら、感慨深さと同時に慎重な気持ちで向かいました。
初日。土曜日。
雨模様の日で肌寒く、私としては動きやすい天候だった。

ライヴ参戦の時の服装として留意しているのは、3時間立っていられる履物と、街なかを歩いていても浮かない格好、けれどもひとたびライヴ会場に入ってみれば、ちゃんとしっくりくるライヴ参戦という感じの身支度です。ライヴグッズなどは今回一切、身に着けてはいかなかった(浮かれて出向いて大丈夫か自分自身、と心配なのもあった)。

それでも今回は黒マスクという便利アイテムが!
ライヴ会場に黒マスクを着用していけば半分は合格だと思うよ、という個人的な甘々基準で、それにしても不織布マスクが今では普通に入手できるようになり、色展開も豊富になったのは実にありがたいことです。

私は3MのN95黒マスクの上に、黒の立体型不織布マスクと二枚重ね。
ブルーライトカットの眼鏡……色なしサングラスですね……も装着。
武装をして出向きました。
(ちなみに眼鏡はこのライヴ会場で失くしてきました。落とし物の申告もしたけれども出てきていません。一瞬、外してポケットに入れたときに滑り落ちたのかなあ……)

今回初めての両日参戦。
それゆえにわかった。土曜日と日曜日は客層が違うのか、ノリが全然、違うんですね。
みんな初日は様子見なのか。土曜日の観客の擬態力は非常に高い。
ライヴのグッズを身に着けている人はほぼ皆無なレベルで、みんな同じ方向に行くけど、まさか……あなたもラルクのライヴ参戦だったりなさる……?

東京ドームの入口でバッグの中身のチェック、それからQRコードチケットを身分証と共に提示して入場する。駅ですれ違った、この人もあの人も本当にラルクのライヴに来てる、間違いないんだ……という、ステルスの高さです。

何年か前からラルクはスマホかタブレットで提示するQRコードチケットになったおかげで、ダフ屋が一人も居なくなったのは本当に良かった。ただでさえ混みあうライヴ会場への道のりが、ダフ屋等々でむやみやたらと混雑するのは治安も悪いしストレスだったので、環境が格段に良くなった。
反面、タブレットのバッテリーが切れたら入場できない。容量を使いすぎて通信制限になっても、そのときライヴQRコードのチケットを提示できないかぎり、どうしようもない、入場できない。そういう意味では紙のチケットよりもヒヤヒヤする。
紙のチケットより毎度、個人的には神経を使う。だいぶ慣れたけど。

6時開始予定で、ライヴが始まったのは6時20分ごろ。これは大体いつもの流れのとおり。
東京ドームの屋根は半透明で、晴れていると日光が透けるのだが、運良く(私にとっては運よく)その日は薄曇り。

開始時刻が6時過ぎだったこともあり、会場内の照明が消えると一気に夜モード炸裂です。

暗いドームの演出スクリーンに、スタイリッシュなラルクの映像がサイケなライティングとともに映し出され、バーンとステージに明かりがついて、突如、演奏が始まったのが、いきなり宴もたけなわ、佳境、ライヴ会場になぐりこみをかける勢いで、曲への没入感が一気に来てゾクゾクしました。

ステージ上の檻の中に囲われた向こう側に、ラルクのメンバーが居る状態で始まりました。
背景スクリーンの映像演出と一体化したその檻に、演出効果が光でもたらされている。

アンダーグラウンドっぽさが際立っていて、非常に尖った舞台設定。しびれる。
アングラという意味だけでなく、実際に地下でやっているようなライティングです。
プロペラ型に回転するライティングがドームの天井に照らし出されている。
これって地下で、地上の空気を取り入れる空気孔のプロペラが回って、地上の光線がちらちらと入ってくる……という演出ですよね。SF的でもあり、すごく好み。

でも、これだと檻の向こう側のL'Arc-en-Cielのメンバーがちゃんとは見えないじゃん……?

2曲目にその檻の囲いが、舞台のカーテンが上がるような感じで、ぐぁ~ッと上がっていき、本来ならここでわぁあああ! きゃぁあぁあ!
歓声が沸いて、拍手喝采の嵐になるタイミングですよ!
むろん今回は発声は御法度です。

持っている人はせいぜいマラカスライトを振る。
このマラカスライト、いくら強く振っても拍手のように音の強弱をつけることはかなわないし、LEDで色を変えられるが音はマラカス、それがシャカシャカ言ってるだけなので、盛り上がりに欠けるうえに、むしろ雑音として耳に入る。

私はけっこう背丈があるので、背が高い人間が立ち上がって棒を持って、ライヴに夢中になりながら、時にはライトの色を変えることに気を取られつつ、一生懸命シャカシャカ振るだなんて。
絶対危険だし視野をふさぐし害にしかならん……
と、買っていきませんでした。それで正解だったと思っています。
光らないから、ラルクのメンバーから私が見えることはなかっただろう、それはかなりさびしいが。

拍手歓声なればこそ、ライヴ会場においてライヴパフォーマンスを盛り上げる最高の効果音となりうるのだが、マラカスってライヴパフォーマンスには正直、かなりあってもなくても良い音……。
むしろ無いほうがいい音のたぐいで、拍手と、光るだけのLEDライトじゃダメだったの?

ライヴは爆音ですし、目の前でラルクが生演奏しているんですから、まぁマラカスライトのストレスなど些事ではありましたが……。
(このマラカスライトについては個人的に一言あるので、日曜日ライヴについて記すときに後述したい。)

本当に終始良いライヴで、一つ一つ列挙していくとあまりにも長文になる。
特筆すべき点だけかいつまむとして、まず背景の演出。
今回どれも抽象的で、曲の世界観を邪魔せず、とても良かった。
地下でライヴをやっているような良い意味での閉塞感が作用していて、曲の世界観への入りやすさが圧倒的でした。

東京ドームは5万~55000人ほど入るとか。
私は今回S席一階一塁側です。
今までラルクのライヴは、お値段一律、アリーナ席だろうが二階席だろうが同額。
ファンクラブの人は概して良い席をゲットできるが、基本的には抽選です。
多少は早い者勝ちと日頃のファンクラブへのサブスクがモノを言う面は多々あれども、良席か否かはひたすら運。

それがコロナ関連対策がきっかけだろうと思う、SS席S席A席と区分けがなされ価格に差がつくようになった。
当初は隣が居ない状況で座席展開をしていた時期もあったからこその、価格設定だったのだと思う。

今回はそういった密を回避する対策の規制は解除となっており(5月下旬は本当にこのまま新型コロナが沈静化するのではないかと思われるほど、感染者数も減っていた)、SS・S・Aというランクはそのままに、空席なしの座席展開。

今まではいつも何度トライしても、両日は取れなかったラルクのライヴ。
新型コロナでラルクはライヴが、これまでに何度か中止になっています。
その中止直前のライヴ、さいたまスーパーアリーナでのライヴでは、わたしは何度トライしてもチケットが一日分も一枚たりとても取れなくて。
チケットをキャンセルした人の再分配チケット販売のときに、ようやくありつけたんです。
かぎりなく最後尾での参戦でした……。

その後の実質、チケット値上げのおかげで二の足を踏んだ人も多かったのかどうかわかりませんが、今回私は初めて両日チケットが取れて、しかもある程度良い席を、自分の意志で押さえることができるので、実際に参戦した感想としては、値上がりしたという感覚はなかったです。
まあそれもこれもライヴ内容がとてつもなく良かったからに尽きるのだが……。
(6月に東京国際フォーラムであった、とある海外チェリストのライヴに行ったときは、全額を返してほしいと思いました……全曲が音の悪いサイレントチェロつまり電子チェロでの演奏だったし。)

で、なにがそれほど、今回とてつもなく良かったか。
枚挙に暇はないけれど、とにかく嬉しかったのがセットリスト。
Finale(フィナーレ)とSell my Soul(セルマイソウル)。

今回ラルクは事前に「ライヴでやって欲しい曲の投票」がありました。
今回でなくても今までも幾度もそういった感じの投票はあった。
投票が反映されていると感じたことはなかったが。
少なくとも、私は投票した曲がライヴで演奏されたことは一度もなかった。
別にいいんだが。

ラルクのライヴはセットリストがマンネリだと言われたりすることもあったようで。
私はアレンジの仕方が違ったり、曲順が違ったりで定番曲を今か今かとワクワクしながら聴くのも大好きなので、マンネリと思ったことは一度もないが。
もっとこの曲もその曲もやってほしいなあ……と思うことは多々あったかも。

で、実際にライヴのセットリストに反映されるかどうかは知らないけれども、投票とコメントを一日一回分だけ書き込めるという時に、日参して投票してコメントも書いた。
その中の一曲、finaleがかなり前半に登場したんです。

私はここ15年くらい、ラルクのライヴに通い続けていますが、それでも1度も実際に目の前でライヴ演奏してもらっているのを見ていない。finale。

finaleもSell my Soulもたしか20年ぶりとかのライヴ演奏だった。
ライヴDVDでしか視聴できていない曲をやってくれた時には、ああ本当にライヴに来られて良かった、という思いもひとしおですよね。

少なくともfinaleに関しては投票が反映されたわけではないんだと思う。
……翌日の日曜日のライヴでのHydeの発言から、読み取れるに。
投票に影響されずにメンバー自らが選んだのなら、むしろ余計に嬉しい気もする。
とにかく目の前で演奏しているの見て聞いて、曲への没入感がすごかった。

finaleは再び檻の向こう側での演奏という演出だった。
その届かない隔絶した感じが非常に曲にあってもいた。
(もっとちゃんとむき出しで見たいという気持ちも募ったが。)

次の曲で、檻が緞帳のように上がっていくにつれて、ドライアイスの煙が檻の外側へと滝のように流れおちる演出だったので、そのためかな。

finaleの曲の最初、アナログレコードの針がプツ……プツ……と鳴るような、あれが鳴ったときに、
本当に良かった……ここに来られただけで既に本当に幸せなのに……良かった……
すでに演奏9曲目とかにして、来た甲斐があった……。

finale→×××→叙情詩、このあたりの曲の並びは完璧で、最高で、曲の陶酔感が静かに充満してくる感じです。
真っ暗な会場を、サイケデリックなライティングが全体を支配していて、55000人だか入る東京ドームが、箱ライヴのように狭く小さく感じました。
一体感がすごい。

今までも東京ドームでのラルクライヴに幾度も参戦していますが、ものすごくコンパクトに感じたのは初めてだった。
幸い今回は1階席だったというのもあったかなとは思うが、会場が小さい箱に思えるほど凝縮したエネルギーが曲の世界観に染まっていくのが、たまらなかった。

ステージ移動があって、後ろ側の小さい特設ステージに。

Hyde がマラカスライトの音を「なんか悲しい音がするね、寂しい音がする、ひぐらしみたいな音だね」と表現したのが、やっぱりHydeは詩人でもあるんだな……と。
私はわりとネガティブな印象を受けていたマラカスライト(この時はまだちょっとネガティブな印象くらいで済んでいたマラカスライトへの恨み言を吐くのは、いまは避ける)。
私からすると、良い喩えかたをするならば、潮騒が抜けて松籟が湧きあがる感じ──
に似て聞こえていました。

Hydeが「ひぐらし」と表現したことで、一時的にマラカスライトのマラカスの音に対する情緒がアップしました。

メンバーが特設ステージにみんな腰かけて、Sell my Soulを!
私がSell my Soulを視聴したのは DVD98年、あれは正面ステージで船の形の舞台装置、船出をイメージしたステージ上でやはりメンバーが腰掛けて歌う形でした。

今回は船の装置ではなかったけれども、やはり腰掛けて同じように歌い、演奏してくれた時に…
来た! これだよ! ライヴで見たかったんだ……聞きたかったんだ……!
Sell my Soulが始まった時に、本来ならみんなきゃぁあっと言いたかったか、あるいどよめきたかったのでは。
少なくとも私は心の中では、最も拍手喝采歓喜の声をあげつつ、押し殺して聞いていました。

98年のSell my Soulは最後のフレーズの「あの日のように~」
の「に~」がものすごく長い。え、ブレスがどこまで続くんですか……? 
今回は、割とさらっと歌いあげられていた。
そのさらっと軽やかな具合が、98年の熱唱という感じとは違って、ある種の呆気なさがあり、それもまたこの曲に合っていて、ちょっと追いすがりたくなる雰囲気をもたらしました。
どちらも好きです。

ラルクのメンバー全員が正面ステージに戻るまでの時間、ウェーブの指示が。
その間にトイレ休憩に行く人は、行ったりします。
正面のスクリーンに出る指示通りに、みんな熱心にウェーブやらをやっていた。
私は思いっきり遠慮しました。
自然発生した感じのウェーブならば私もついつい乗ってしまい、わーい、
と手を上げては、喜びがちなのだが。

ラルクが曲で良い感じに盛り上げてくれた挙句に「じゃあウェーブ!」とでも言われたら、超ノリノリになりもしたでしょうが。
運営の映し出すスクリーンの指示ひとつで脈絡もなくウェーブなんかやれるかよ。

静かに座って、きたる演奏に備えていました。
幼稚園の頃から無闇矢鱈と無意味だと思えるタイミングで、北朝鮮の喜び組みたいなお遊戯とかをさせられるのが屈辱的だった。(当時は喜び組なんて言葉は勿論知りませんが、TVで喜び組が流れたときに、こんなのやらされてたじゃん子供の時って日本でみんな……と。)
全員で同じマスゲーム的な行動を取らされる行為が死ぬほど嫌いだったんだから、仕方がない。
幼稚園や小学生の時は、先生に注意されない程度に足並みを揃えて本当にいやいや従っており、そのさまを運動会の時に親に目撃され、「あんな不真面目なやり方があるか!」と、あとで猛烈に怒られたりしたのだった(知るか)。

今回、私は誰の邪魔をするわけでもありませんから、ひっそりおとなしく座っていました。
私の他にも大人しく座っている人は、ちらほらといました。そりゃそうだ……。

正面ステージに移って、宴もたけなわ、佳境に。
打ち上げ花火でいうところの最後の短時間に物凄い勢いでバンバン打ち上げていくあの勢いが、今回割と既に前半にあった。
後半は新曲が多くて、もうひと盛り上がりあるかな?
と思っているうちに、もう最後の曲。『虹』は最高です。
でも(もう終わりか……なんか短いな……2時間ぐらいだった?)
と、時計を見たら、3時間みっちりやっていた。え、短いよ!
(帰宅後にセットリストを確認したら24曲もやってくれていました。)
楽しい時間は本当にすぐすぎる……あと楽しいと本当に疲れを感じない……ウェーブの時以外ずっと立ちっぱなしでリズムに乗りっぱなしなのに、疲れisどこ?

二日連続参戦ということは、明日もこの楽しみが待っているのか……!
ライヴが終わった寂しさはあれども、明日もライヴの楽しみが約束されている!
まっすぐ家に帰って明日に備えるぞ!
という気持ちの持ちようが初めてで、新鮮でした。

帰りにS席用のグッズを受け渡し会場でゲットして、帰宅。

洗面所でマスクを外して鏡を見たときに、我ながらびっくりするくらい良い表情で目がキラキラしており「本当に嬉しくて楽しかったんだね、自分……」と、しみじみしました。

写真(記念用ダウンロードチケット写真)



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山姥切国広と足利学校@足利市政100周年記念特別展 [や行]

「武と美」戦国武将足利長尾の武と美──その命脈は永遠に──

けっこう前……かなり前、3月頭になるが、栃木県足利まで見に行ったんだった。

すぐにブログに書きたかったのだが、その後、色々と立てこんでいたのである。
私が生きてきた中で、五本の指に入るレベルの心労が絶えない日々が続いて──しばらくはとてもブログを書く余裕が無かった。
人の生死に関わる出来事が重なっていた。
(なお仕事関連や、新型コロナ、ウクライナ情勢などとは無関係の心労です。)

今となっては、片道2時間半、往復5時間弱かけて栃木の足利まで日帰りで、足利学校と重要文化財の山姥切国広を一人で見に行った、この弾丸小旅行的な一日に養った英気のおかげで、精神が片時も休まらないしんどい日々を、辛うじてしのげた気もしている。

國廣再臨
足利市の市政100周年記念特別展として、年末年始に足利市が予約の受付を開始。
その頃はデルタ株が沈静化して、もしかしたら、このまま一気に新型コロナが収束&終息するのでは、ともみえた。私は気軽に申し込み、運よく予約が取れていたのである。

今回、私がどうしても行きたかったのは、一つにジンクス的な意味合いもあって。
私はあまりジンクスにこだわる質ではないのだけれど、5年前の山姥切国広公開の時に、病み上がりで行けなかった。
今回のタイトルが再臨なのは、5年前が國廣降臨にあたるわけだろう。
5年前の当時も、2月~3月の寒空の下、足利市立美術館では待機用のテントが用意されたりと、かなり待ち時間の苦痛を和らげる工夫がされていたようではあった。が、関東といえども北関東。雨が降れば必ずみぞれまじり……みたいな天気が普通の季節に、屋外で長時間、待機するなんて私には無理だった。

その際に「次の機会には絶対に行くんだ、必ず行きたい」と強く心に誓っていたので、なんとしても相見えたい気持ちが、今回かなり強かった。
たぶん人より強かったんじゃないかな。
いや、わかんないけども。

この山姥切国広(重要文化財)、刀剣乱舞に親しんでいる人には周知の事実なのだが、個人所有の刀剣。
美術館や博物館が所蔵していて定期的な公開を期待できる、という代物ではない。
「おっきいこんのすけの刀剣散歩」でも、テレビ放映はされたが、たしか所有者の希望でDVDに収録されてはいないはず。
つまり滅多にお目にかかれない秘蔵の刀剣なわけで。

刀剣好きにとってはそう、お披露目の機会を逃したくないってのが心情。

2022年2月11日~3月27日に足利市と刀剣乱舞がコラボして開催された、この「國廣再臨」
今回は新型コロナ感染対策のため、事前に予約を取れた人のみが美術館に入館できるシステム。
つまり遠くから赴いた上に、長蛇の列に並んで、館内で押し合いへし合いする必要がない。
私にとっては、かなり有難いお膳立てである。
これはもう行くしかない。一人でサッと行って、パッと帰ってこよう──と。

私の予約は3月の頭、午後3時半~の枠でした。
観覧時間は1時間程度との決まりです。

当日、足利に到着するまでに、小さい様々なハプニングを経て、現地に。
小さなハプニングの数々は、いちいち列挙するのは野暮だから割愛するが、ひとつだけ言うなら……家を出て、アスファルト舗道を歩き出したとたんに、肩からかけたバッグのショルダーストラップが切れた。

えいっ
と、ずりおちかけたバッグを肩にかけなおした途端に、正確に言えばストラップと鞄を止めている金具が割れて、バッグが地面に落ちた。
長年、愛用して重宝している鞄なのである。
先日もファスナーが壊れて修理に出して、直ったばかりなんだぞ……。

これが気乗りしないイベントだったら、この時点で私はお出かけを取りやめてましたね。
単独での外出ならではで、行くも行かぬも、自分の胸三寸。

常備薬やら、外出先で小腹を満たすための健康補水液やら、アレルギーが多い私でも食べられる自前のおやつ、アルコール除菌のウェットティッシュや、予備のマスク……あれやこれや詰めてある。
鞄の中身を別の鞄へと詰め替えている時間的余裕はない。
とりあえず屋内に戻り、別の鞄のショルダーストラップに付け替えた。
ちょっと細くて頼りないけど、まあ行ける。
いざ足利へ。

いったん家に戻ったせいで、予定していた東武鉄道の特急(1時間に約1本の)に、間に合わなくなった。急遽、電車の中でタブレットで調べつつ、鈍行を乗り継ぐ。

私の最寄り駅だと、御茶ノ水から秋葉原を経由して都心を抜ける行きかたと、西国分寺から南浦和を経由していく比較的すいている行きかたと、かかる時間も料金も同じ。

オミクロン株の感染者数が減少傾向に転じて、1週間くらいたった頃合いだったとはいえ、感染者数が東京都より圧倒的に少ない足利市に行くのである。
わざわざ感染者数の多い都会を通っていくことは望ましくないし、私自身も感染リスクが少ない行きかたをしたかった。

中央線の西国分寺駅から、武蔵野線に乗り換えて、南浦和へ。この間、移動時間約30分。
南浦和駅から京浜東北線で、浦和駅まで。1駅移動。
ここで12分くらい電車を待って、浦和駅から宇都宮線で久喜駅まで。この間、移動時間約30分。
久喜駅から東武伊勢崎線館林行きで、館林まで。この間、移動時間約30分。
──そっか、ここが真夏の最高気温ランキングで有名な館林かあ~。
館林駅から東武伊勢崎線太田行きで、足利市まで。この間、移動時間約15分。
足利市駅からタクシーで足利学校まで。移動時間、約5分。

足利学校には午後2時50分に到着。

足利学校は、私が訪れた時期、午後4時には閉まるのでした。
足利学校には絶対に行きたかったし、また足利学校の入場チケットを見せると、美術館のチケットが2割引きになるという、コラボ企画。
美術館とセットで観覧することが推奨されていた。

実際、行ってみて、かなり良かったです。


中里友香による2022年初春足利学校&國廣再臨

なるべく人物を避けて撮ったつもりなのだが、どなたかが写りこんでしまっている部分は、無骨だが加工をしています。右下コーナーの矢印をクリックすると拡大します。

足利学校は入ってまず遺蹟図書館があり(写真では赤い三角コーンが並んでいるところが入口)、小さな図書館に刀剣六振り程が展示されていた。
源清麿(環名義)作の脇差、大和守安定作の刀剣、加州清光作の刀剣など。
これだけでもかなり満足。

史跡足利学校のTwitter

源清麿は青年期「環」と銘打っており、青年期の傑作の脇差があった。
この時ばかりは、いつも刀剣を一緒に見に行くならこの友人、という高校時代からの友人で人形作家のたまきさんと、一緒にここに来られたらよかったのになあ、と思わずにはいられなかった。
環(たまき)だもの。

東郷平八郎が手ずから植えたという月桂樹が植わっていたり。
東郷平八郎と言うと、日露戦争海戦の「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」の三笠の指揮官だった人ですよね、くらいしか知らないが……。

松と竹と梅の取り合わせが美しかった。
松竹梅というと、格付けランクや日本酒の名前といった、あまりにも世俗的な使われ方をしすぎで、太宰治が富士山を「風呂屋のペンキ絵だ、芝居の書割だ」俗っぽくてみっともない云々と言ったように、松竹梅と文字で書きならべると、なんかダサいイメージがあったのだが。
実際に松と竹と満開の梅が、お互いを引き立てあっているのを目の当たりにすると、これは目に嬉しい、みずみずしい風景なんだなあ……と。

足利学校は全体の趣、とくに方丈エリア(学校の母屋部分)の雰囲気がかなりアニメ『鬼滅の刃』の産屋敷邸を思わす造りでした。親方様のお屋敷。

特筆すべきは茅葺き屋根。感動的であった。
なにしろ私は一番好きな屋根が、茅葺き屋根なのだ。二番目が銅葺き。三番目が本瓦葺き。
本瓦葺きと茅葺き屋根が融合した建物が存分に見られて、満足だった。

こういう茅葺き屋根から、鳥が巣材を啄んで持ち去っていく光景が、日常的に見られたんだろうなあ。

「長時間の縁側使用はご遠慮ください」という貼紙があるとおり、みんなこの縁側で長時間くつろぎたくなるような場所で、大きく深い軒下に、高床の縁側が広々と伸びていて、眩しすぎず暗すぎず、風通しも最高の空間。
私の小説を読んでいる人は分かると思うが、たとえば『みがかヌかがみ』で、紗葵子さんと叔父様がたびたび語らう場面も、古びた寺社系の縁側だし、こういう縁側はかなり好きな場所で、本当に素敵だった。

ちなみにこの縁側、高さは地面から1 メートル10㎝ほど。
ざっくり体で測った。私が地面に立った時に、肘の位置にあたる。
ちなみに我が家のキッチンカウンターが大体この位置にある。

馬上の景色と同じで、現代社会においてあまりなじみのない目線を楽しめる高さにあり、見晴らしが適度で素晴らしい。
また茅葺き屋根ならでは、雨が降った時に軒先から、しとしとと、おそらく雫が垂れつづけるその下に石造りの用水路みたいなのがあって、風情満点。
現代だとかわりに屋根には樋がかけられていて、地面には雨水枡が埋められているわけだが。

茅葺き屋根とか、漆喰の壁とか……いずれも施せる熟練の職人がどんどん減っているわけで、もう情緒に欠けはするが、住宅メーカーが漆喰パネルとかをどんどんこさえて、もっと新築マンションやら新築戸建てやらリフォームとかで、手軽に扱えるようにしてくれたらいいのに……。

茅葺き屋根も、住宅メーカーが萱の束と、屋根の型紙みたいなのをこさえて、熟練職人でなくとも、ここに萱の束を据えれば茅葺きができあがる、というプレハブ的な住宅キットを作ってくれるのでも構わないから、もっと当たり前に普及していてほしい……。

午後3時15分。
やや駆け足気味でも十分満喫しつつの観覧を終え、タクシー会社に携帯で電話を入れる。
足利市駅からタクシーに乗った時のレシートを利用して電話をかけ、5分ほどでタクシーが来てくれた。
足利市立美術館へ。

秒で到着。

荷物も重かったし、道に迷うと面倒なのでタクシーを利用して良かったと思っているが、まさかここまで近いとは思わなんだ。
駅からの道筋で足利市立美術館を脇に見ながらタクシーで来たので、位置を把握していたつもりだったが、同じ道筋を使わなかった。どうやら一方通行の都合かと。
足利学校から美術館は、ショートカットで一気に来られた。

足利市立美術館は想像していたよりも、ずっと大きく立派な建物であった。
予約のQR コード見せて、足利学校のチケットも合わせて提示し、入場券を購入。

荷物を受付であずけることができたのが、とてもありがたかった。
なにしろ荷物が重くて、かさばるので。
ホテルのクロークのように、引き換えに番号札をもらうシステムで、サービスが完璧でした。

中は基本的に撮影禁止。
ただ刀剣乱舞とコラボのパネルと、足利市立美術館に山姥切国広が2017年に展示されたときの、特別記念イラストを写真に撮ることはできるとのこと。
で、カメラと貴重品だけ持って、ちょっと並んで3時半まで待って、中に入りました。

まず重要美術品で國廣作の脇差がしょっぱなに展示されていた。
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/image/66541.jpg
これが状態も良いし、きらびやかでとても美しく、いやがうえにも期待が高まる。
正直、この脇差(ほぼ短刀サイズ)が相当綺麗だったので、期待値が上がりすぎていた気がしないでもない……。

お目当ての山姥切国広は、大振りの打刀で、丹精だった。
大振りでのびやかなのに、なぜか非常に頑なな印象を与える刀で、刀剣乱舞における付喪神の姿と性格設定は、かなりイメージ通り。
この刀剣を人間の姿に顕現させたら、かくあらんという状態で、すごい再現率だなあと。

刀剣乱舞は実際の刀と、人の姿をして描かれる付喪神のルックスとかなり乖離しているものも多く、そのギャップ設定が魅力である場合も少なくないので、こうも現物とマッチしているとは意外ですらあった。

一見して華やかで、人目を惹く魅力にあふれる──という感じは、私は全くしなかった。
離れたところから呼ばれた気がするほど魅力にあふれる刀剣というのにも結構、相まみえてきているが、山姥切国広は、もっと寡黙な佇まい。地味なわけではないのにだ。

目線を刀剣に合わせてしゃがみこみ、地肌を舐めるように眺めていくと、光の加減で刃文がより浮きあがって映る。その加減が貝殻の裏側のような真珠めいた光沢を放っていて、ひめやかに美しくて、だからちょうど、ぱっと見は目が合わない、合わせようとすると目を逸らされる感じ。
臆さず顔を覗きこんで瞳をじっくり見ると「あ……超きれい」
みたいな印象でした。
かなり刀剣乱舞の山姥切国広とマッチする。

あとこれは私の勝手な見方だが、長義の写しを打とうとこだわるあまりに、長義の型にはめようとしすぎていて、これ、写しでなければ國廣はもっと良いのびのびとした刀剣を打てたんじゃないか。
傑作・山姥切国広は、写しでなければ國廣の最高傑作になりえたんじゃないか……
という気すらチラとした。
とはいえ、そもそも國廣が本作長義にインスパイアされていなければ、この刀を打とうとは思わなかったのだから、本作長義あっての山姥切国広なのは間違いないのだ……。

他にも、高倉健が収集していて寄贈した刀などがありました。

途中、展示室を移動する際に、学芸員さんだろうか、紙を見せられ、小声で説明を。
「ただいまテレビ局が取材に来ています(と番組名の書かれた紙を見せられた。NHKの所さんの番組だった)。今ちょうど休憩中ですが、ちょっと前まで撮影をしていました。またすぐに撮影が再開されます。それでもし、お客様に不都合やご迷惑がかかるようなことがありましたら、こちらまで遠慮せずに言ってください」
なるほど。わかりました。ありがとうございます。

確かにNHKのカメラクルーが隅っこで円陣を組むように、たむろっていて、そこだけ違う空気が流れていた。

刀剣以外の展示物で興味深かったのは、やはり足利学校絡みのもの。
中でも私が棒立ちになって見入ったのは、江戸時代の「活字」

https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/image/66539.jpg
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/image/66540.jpg

慶長木活字とか、伏見版木活字とか、駿河版銅活字とかが、箱に入っている。
熱心に見ていたら、監視員さんに声をかけられる。
「あの……お客様、お召し物が……」
「はい? あ、ありがとうございます!」
館内は温かいので、ショールを首から外して、腕に絡めて持っていたつもりなのだが。
展示物に見入りすぎて、ショールの片側が床について、ずって歩いていたのである。
我ながら熱心に見すぎ……だってとても興味深くて……。

展示室を出るとNHKの所さんの番組のクルーが、女性の学芸員?……を、カツアゲレベルに取り囲んで取材と撮影をしているところであった。
もう一度あそこに行って、見ておきたいなあ……と思っていた展示室だったけれど、おのずと遠慮せずにはいられなかった。

最後に階下におりて、刀剣乱舞の山姥切国広のパネル&記念祝賀を撮影。
記念祝賀はとても綺麗で、もっとじっくり見たかったかな。
写真ではその良さが半分も映っていないかも……。

受付に戻って、ネット予約をしておいた図録を購入。
クロークから荷物を受け取り、帰路へ。

本当は「蝶や」というお店で、ローストビーフの冷凍をお土産に買って帰りたかった。
図録が重く(良い紙を使っているし内容も濃いから満足なのだが、重いことには違いない)冷凍のお土産はこれ以上重くなるから無理だな……と断念。

帰りはタクシーを使わず、美術館から歩きました。
足利市駅まで徒歩10分。
──渡良瀬川だ……。

足利学校の母屋(復元)が茅葺き屋根ということは、当時近くで素材が容易に入手できたはず。一体どこから集めてきたんだろうか……と思っていたのだが、渡良瀬川か。
萱やら葦やら、材料には困らなかったはずだ。

ところで都内の信号機は私の知る限り、すべてLEDになっており、青信号とは黒地に青(緑)の人物が立っている標識に変わっている。
LEDはコストの面では優秀だけれど、時と場所によっては視認性が劣る局面もある。
足利で昔ながらの青信号が横断歩道に灯っているのを見て、知らない初めての土地なのに、安心感がすごかった。

足利市駅で東武鉄道の特急チケットを購入。
帰りは東部特急りょうもうを利用。
昼間はダウンコートが場違いな天候だったのに、ホームで特急を待っている間、日没間際の河川敷近くで、一挙に猛烈に冷えこんだ。ダウンにショールに手袋に……良かった、カイロを持ってきて……。
さすがの河川敷、空気が全く違いました。

特急(全席指定)に乗りこみ、いざ帰路へ。
空いていました。
日がほぼ落ちて、眩しくはない。外はまだ薄明るい。
車窓の景色を眺めていたら、外は本当に何もないような景色が延々と続いて……たまにバラックのような建物があって……あ……中に何かいる。
牛だ。あのフォルムは肉牛だな。
栃木和牛と看板が。ブランド牛肉なのか……。
蝶やでお土産を買ってこなかったのは、惜しかったかもなあ。

……などと気ままに思いながら、滞在時間は2時間程度ではあったけれど、ああ良い小旅行だったなあという感慨がひしひしと。この手の遠出は実に3年ぶりでした。

A4オリジナルクリアファイル第3弾 [黒十字療養所出版部]

4月4日~4月10日の期間、黒十字療養所出版部はメンテナンスのためBoothを一時的に閉めていました(暫定的に在庫ゼロ設定とし、購入不可状態にしていた)。

メンテ明け後も、メンテ中の文面が商品画面に残っていたページがありました。
御不便をおかけしました。

不調法のお詫びかねがね、新たにまたクリアファイルを作りました。
BOOTH→https://bcsanatoriumpub.booth.pm/items/3813657
よろしければ御覧になってみてください。

今まで作ってきたクリアファイルの色味や透け感具合が、どれも私のイメージした通りに出来上がって気を良くしまして、また違うのを作ってみたくなったというのもあります。
今回もイメージ通りに出来上がってきました。
今までのクリアファイルはA4縦型でしたが、今回はA4横型です。

こちらのクリアファイルも、2022年の秋開催の文学フリマ東京に持っていくつもりでおります。(5月開催の文フリには出ません。)

秋はまだまだ結構先。
先行お披露目として、BOOTHに置いておくことにします。
中里友香短編集「手腐レ風切り貴方まで」に使った写真を、よりオリジナルに近い状態でクリアファイルにしました。
写真は2007年にヨーロッパで私が撮ったもの。
今から思えば信じられないくらい、のどかで平和なヨーロッパだったな……。

写真を撮った当時は近年のヨーロッパ史上、ひょっとしたら一番平和で治安が良い時代だったのかもしれない……という気すらしてくる。誇張でなく。

BOOTHに商品登録はしたものの、商品写真よりも文フリで実物を確認してくれたら一番嬉しい。気が向いたら見てみてねというスタンスで置いておきます。
もちろん全ての人が文フリに来られるわけではないわけで、光源バックに写真を撮ってみたり、スキャンしてみたりと試行錯誤をしてはいます……。

大きいサイズもスキャンできるスキャナーを買おうかチラっと思いもする。
が、大きい上に画質もちゃんとしたスキャナーって、びっくりするほど、お高いのだ。
A4サイズが5万弱くらいなのに、A3サイズになると価格が最低でも5倍に跳ね上がるんですよね。
置き場の問題もあるし……。
A4より大きいサイズで平らかに高画質でスキャンをしたいのって、当面クリアファイルくらいだし……。
だったらその予算で、別の本を刷ることを考えたいかなあ。

ご購入の場合は、安心BOOTHパックの送料になります。
薄いですが、サイズ的には送料が商品と比して割高になるので、合わせ買いが推奨です。


中里友香によるA4横クリアファイル・ヨーロッパ220×310公開用

画像1:デザイン
画像2:クリアファイルの実物写真オモテ
画像3:クリアファイル実物スキャン画像オモテ(スキャナーがファイルより若干小さいため、画像の端が少し見切れてしまっています)

pikomaroさんに白雪と猫目坊を描いてもらった! [黒十字療養所出版部]


『黒猫ギムナジウム(中里友香著)』 pikomaroさんの絵

1枚目は私が帯をつけてみたもの。
2枚目にちゃんと原画のままで出てきますので、慌てないで「>」マークをクリックしてページをめくってくださいね。
右下に対角線上に描かれているマークをクリックすると、全画面表示にできます。

Skeb──スケブ。

スケブというのは本来イベント会場などで、イラストレーターさんや漫画家さんなどにスケッチブックを渡して、その場で希望の絵を描いてほしいと依頼する、
というある種、ゲリラ依頼みたい習俗文化。
なんだそのハラハラするやりとりは……と思いながら噂に聞いてはいた。

このスケブ文化を活かしつつ、そのある種、あぶなっかしいゲリラ性を回避して、気楽にかつ安全にネット上でやりとりできるシステムがSkebというものなんですね。
最近知りました。

坂口安吾の「明治開化 安吾捕物帖」「南京虫殺人事件」を原案にした、
東京開化事件譚』という漫画がヤングエースで載っていて、ちょっと注目しています。

  坂口安吾の原作本をアレンジして、まさかの新選組と絡めている。
  結城新十郎と、花廼屋(はなのや)因果が、新選組の生き残りの……あの人なの!?
  これはありうる改変というか。面白いぞ、私が好きなやつかもしれないぞ……と。
  新選組の生き残りは皆、素性を隠して生きないとならなかったわけですし。

読み始めたきっかけは絵でした。絵が好き。
明治時代っぽさが、ちゃんと出ている。

明治時代らしさって、文明開化の洋かぶれ具合&思いのほか江戸時代なんですよね。
わりとよく見かけがちな明治時代のイメージ描写というのは、実はけっこう大正ロマンだったり昭和レトロだったり。
この作品の絵は、幕末の名残と文明開化が折衷した、ちゃんと明治っぽい空気が流れている。
明治の再現率が程よい頃合いで、素敵だなと(いや……私も明治時代を知らんがな)。

これからどんどん面白くなりそうな予感がしていて、その漫画の絵を描いているのがpikomaroさんという漫画家・イラストレーター。東京開化事件譚で存在を知りました。
このpikomaroさんが、まさかのSkeb募集をしていたのです。
「東京開化事件譚、最終的にどうするか決まるのにまだあと1か月くらいかかるらしく……
めちゃくちゃスケジュール空いてるので」と2月の中ごろに。

頼むでしょ。そりゃ。迷わないでしょ。
スケジュールが空いているという書き込みを見つけて、すぐにSkebの依頼をしました。

Skebというシステムを使うのも、Skebをお願いするのも、私はなにぶんはじめてのこと。
わたわたとSkebの利用者として登録をしました。
今となっては意味不明な突撃メッセージみたいなのを送って、pikomaroさんなのにpicomaroさんと綴りミスで連呼しちゃったりと、本当によくすんなり引き受けてくださった……。

『黒猫ギムナジウム』の白雪と猫目坊をお願いしました。
明治時代が舞台です!

今年中に刊行予定の新装復刻版の紙の本『黒猫ギムナジウム』に、こちらのpikomaroさんの絵を収録する予定はありません。
紙の本のデザインはもう出来上がっている。

それでも描いてほしかったんです。
描いていただいた絵を、このブログで紹介できたら嬉しいなと思って依頼しました。

……いつごろ仕上がるのかなあ……。
納品締め切り日数が60日とある。
平均納品日数が2週間程度ともある。
そろそろかなあ。

と、思って本日、見に行ったら、2月27日に納品されていた。
はやい! 

お願いしたのは白雪と猫目坊で、背景から明治時代だなとわかる感じにしてほしいというのが、私の依頼内容でした。

──九鬼白雪が故郷を離れ、僻陬の地から帝都東京に上京してきたのは一八九三年、弥生の暮で、春特有の風のある昼下がりだ。開きかけた三分咲きの桜が、そわそわとした期待感を募らせた。──
という、まさに『黒猫ギムナジウム』の第一章の光景を描いていただけたと思っている。

『黒猫ギムナジウム』の話はその後、圧倒的に夜の描写が増えてくる。
さもなくば日暮れ時。
この一章のシーンは作中において数少ない、澄みわたった昼下がりの描写といえる。

講談社BOXで刊行時に描いていただいた絵と、当然イラストレーターさんが違いますし、タッチもかなり異なっており、今までのイメージとまたちょっと違う、猫目坊と白雪の二人の表情が見られて、とても新鮮です。嬉しい。

素敵な絵を有難うございました。


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