NHKスペシャル「被曝の森2018~見えてきた“汚染循環”~」*
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586019/index.html

2018年3月10日(土) 午前0時55分(50分)金曜深夜に地上波で再放送しますね。
オンディマンド*でも見られる(有料216円)。
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018086459SA000/
(*上記リンク2件が切れていたので、張りかえました。2019/2/5)

もっと淡々と中身の濃い、科学番組に特化してほしい気もしたし、
より詳細に問題点に切りこんでほしい気もしたが。
福島第一原発周辺の森や宅地の野生動物・植物で、いったい何が起きているか?

『黒十字サナトリウム』の最終章あたりで私が書いていた状況が、
実際に日本の土壌で起きているという、
その汚染の実情の片鱗が、わかります。

『黒十字サナトリウム』を書いたときは、
こういう事態が日本で事実、起きるとは思っていなかった。
また『黒十字サナトリウム』の紙書籍は絶版中なので、
だからどうという訳でもないんだが。

時間や精神にちょっと余裕があるならば、
さらっと上辺をなぞる感じの報道番組ではあったものの、
それでもある程度の情報は入っていますので、未見で興味があるかたは見てもよいかも。

見られない人の為にざっくりと要約すると──
・セシウムは半減期が長く、地中にとどまる。

・硬い岩盤に吸着するため、水には溶けださず、湧水の汚染は低い。

・汚染されているのは水ではなくて、土。

・木々が汚染されているのも、森の土が汚染されているからである。
汚染された木々を間伐すれば、効果があるというのは誤りである。
間伐による除染効果は限りなく薄い。

・セシウムは、植物が成長に必要とするカリウムと似ているため、
植物の成長の過程でグングン吸収されていく。
そうして蓄積されたセシウムは、野生植物の花や実に凝縮されているとわかった。

・スズメバチは森林の樹皮を巣作りの材料とする。そのため巣の汚染度が尋常でない。
国の指定放射性廃棄物が、一キロ当たり8000ベクレルを基準にしているのに対して、
スズメバチの巣の汚染は桁違いであり、一キロあたり110000ベクレル(平均値)。

・小鳥は、放射線量の高い果実や種子を食するので、内部被爆し、
高濃度のセシウムを体内に吸収してしまう。
死んだシジュウカラの遺体はセシウムに汚染されており、汚染が顕著なのは脳。
また汚染は親鳥から子(卵)に亘っていた(孵らない卵を集めて計測すると、高い汚染が。)

・汚染地域のアライグマには、放射性被爆に特有な染色体異常(二動原体)が多くみられる。

あと日本猿についても、やっていました。
猿に起こっている染色体の異常具合から、なにやら急にややこしくなってきて、
状況が現在進行形、未知の領域に入ってきているため、これという答えが出ていない。
追跡調査中という感じです。