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『カンパニュラの銀翼』の見本到着 [か行]

第2回アガサ・クリスティー賞受賞作の『カンパニュラの銀翼』が来週10/24刊行されます。
見本が届きました。

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表紙絵は鈴木康士氏。
おずおずと・・・・・・いや実のところはかなりはっきり、
「かねてより八雲探偵の表紙絵がいつも書店で目に留まって忘れられなかったので!
あなたの絵をずっと見てました! 前から好きでした!」
・・・・・的なドキドキ告白をしてみたところ、
びっくり叶えられました。

もちろんお話を読んで描いてくださるのです。
(それは過去の『黒十字サナトリウム』の笠井あゆみ先生にしても、
『黒猫ギムナジウム』のmarucoさんにしても、全文読んだ上で絵にしてくださいます。
もうそれだけでテンション上がる、とてつもなく嬉しいものです。)

今回はさらに私が物語の世界観構築に使ったいろんなスクラップ的なイメージの断片を、
ああだのこうだの編集部を介してお伝えしたところ、
随所に取り入れてくださった形で、しみじみと嬉しいです。
シックで美麗、だが決して華美すぎず、端麗です!

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(画素数が高いとSonetさんはアップロードできないので、
携帯で取っているせいもありなんかぼやけて反射しててすまぬ)

構図的に十字架っぽくしてくださっているのは私がお願いしたわけではなく、
鈴木康士氏のもともとの発想からで、ゴシックな空気感を再現してくださったのだ!

裏表紙にひるがえっている黒いマントっぽいものに埋もれるようにしてさり気なく見えるのは、
女性の裸体の背中です。ええあなたの見間違いではない。
よく見ないとわからない騙し絵ふうに上品に存在感があります。
(携帯写真だとわかりにくいが、実物の表紙絵はもっと艶めかしい陰影がクリアです。)

『黒十字サナトリウム』が出来たときも、なにしろ初めての本で興奮したし、
『黒猫ギムナジウム』が出たときも・・・・・黒猫は形にするまでに紆余曲折あり、3冊で出す予定が一冊になったり刊行日が大幅に幾度か変更になったりと、ヒヤヒヤ懸念材料が多かったので、本当に本になったんだー!と、感慨もひとしおでした。

今回は、とにかくなにもかも装丁のすみずみにいたるところまで、できるかぎり作品の世界観を反映した本になった満足感でいっぱい。
この完成度を皆さんにいち早く届けたい。澄みきったおもい。

今までの本は、レーベルが決まっており・・・・・・つまり本のテンプレートが既にあった。
その中でどれだけ私らしい色をだせるか。作品の世界観や空気感をわかりやすく提示できるか。
それだけでも充分に試行錯誤の余地があり、デザイナーさんや、絵師のかたの力量が発揮されてめざましかった。プレタポルテのセミオーダーみたいな感じです。

今回は、なにもかも一からできる。オートクチュール。
つまり、タイトルの色、タイトルの配置、帯のデザイン、表紙の色、レタリング、フォントサイズ、
なにもかも『カンパニュラの銀翼』のためだけに決められる。
それゆえに、私の意向もすみずみまでお伝えできるし、出来るかぎり叶えていただけた。

タイトル字の色にかぎっては、私と、それから大げさでなく早川書房の多くを巻きこんで迷って、
(早川書房の社長まで巻きこんでまで迷って)
そのなかで皆が納得できた一番良いものが形になったと思います。
本作りにおいて、物理的な本の装丁の部分までいろいろ関われたのは初めてでした。

そんな私も、表紙を外した本の本体には漠然としたイメージしか描いてなかった。
既にいろいろ満足していたので、ほぼ関与していなかったのですが、
今日、届いた見本をめくってみて、
鏡かしら窓なのかしら、このデザイン私の好みど真ん中、ド直球。
シックでエレガントだ!

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カバーを取った表紙
本のタイトルが英語で入っています。
カンパニュラの花の色をそこはかとなく想起させます。

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カバーを外した裏表紙
著者の名前がアルファベットで入っています。

背表紙もシルバーで、横字タイトル。完璧に美しい。
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白熱灯を当てて撮ったからオレンジっぽい陰影が入ってますけど(笑)

表紙カバーと、カバーをとった本の装丁と、二度おいしい装丁って、前から夢だったんだよ。

それから本を開いた中の扉表紙(・・・・・・とよぶのか?)、
そのつや消しの光沢感とか、透け感とか、文字の配置、縁飾りとかも、
すみずみまでいきとどいて作品の世界観が反映されているのです。

☆文面は、二段組でなく、初の一段組みです!

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