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2017年の本命は [最近のお気に入り]


https://youtu.be/wq2yed0t0co
TVアニメ「活撃 刀剣乱舞」第2弾PV | 2017年7月放送開始

これは……楽しみだ……。
正式にタイトルも決まったんだな。
これは幕末組をやったあと、
戦国組とか平安組とか、ある程度いくらでも続けられるんでは?
やったじゃん……!

なお既にずいぶん前にTVCMでも流れた、おなじみの第一弾PVはこちら。
https://youtu.be/kCzgIORknv0
TVアニメ「刀剣乱舞(仮)」第1弾PV | 2017年放送

4月からは待望の進撃アニメの第二期も始まる。
(つかコミックもなんかもう大変な具合で、
これが胸を締めつけられる選択というやつだな……という衝撃を久しぶりに味わいましたよねえ……)

また、私の大好きな漫画『将国のアルタイル』もアニメ化されるらしい。
ワクワクが止まりません。

『将国のアルタイル』は、あの美麗な劇画を、アニメがどこまで再現できるのか。
当初はわりと軽くて甘めの勧善懲悪な路線だったのが、
どんどん過酷かつ面白くなって、読みごたえがある、
あの政治と歴史と地理と民俗と戦争との緩急、かけひきの痛快さ、ほろ苦さを、
アニメがどこまでやれるのか。
画集まで買って素敵な絵だなあと堪能している熱心なファンとしては、大丈夫かな……
と、若干、疑心暗鬼で待っています。
(アルタイルのアニメPVを見た感じだと、現時点では、漫画とイメージが何か違うんですよね。)
漫画が終わっていないし、アニメがやっつけ仕事で結末までやっちゃうことはなかろう。

アルタイル、魅力的な数々のキャラのキャスティングはイメージとかなりぴったりなので、
とりあえず今から視聴待機です。

2017年はアニメ視聴、待ち望んでいた本命が多くて、忙しくなりそう。


宗三左文字@江戸博 [さ行]

先週ですが、江戸東京博物館の「戦国時代展」にて、
友人と、宗三左文字を見にいってきました。
平素は京都の建勲神社に奉納されている宗三さんですが、二週間ほど東京に出張展示なので、
こいつを逃すわけには行くまい。

戦国時代展は全体的に大河ドラマの「真田丸」を意識した構成だったように思います。
といっても、わたしは真田丸をちゃんと視聴していないので、想像で言ってます……。
あの辺のイベントや小道具にスポットを当てていたような……まあ戦国時代展ですし。
花押とかもありましたよ。
展示物は、かなり文書中心だった気もする。

以前おなじ江戸博の「大関ケ原展」で、出張展示の蜻蛉切や骨喰藤四郎を拝んだ時には、
当時の文書もけっこう読めるもんだなあ……やはり日本語だから相当、見当がつく、
そう感じたものだったのに。
今回は皆目わからなかった。
現代文訳が添えてあっても、
どれが、どこの文のことをいってるのだ……と、じっくり解読する気も失せるほどに。

鎧甲冑は、いつ見ても見栄えが良く、存在感があって、渋いけれど華があります。
やっぱり戦場は武士の晴れ舞台だったんだなあというのが、ひしひしと。
梶の葉のモチーフが大きく兜に角状にあしらわれている甲冑が、
相当、恰好良かったです。

屏風絵巻なども金色が鈍光りしていて、雰囲気があるのですが、
全体的に会場が暗すぎた。いまひとつよく見えないのだった。
おそらくは焼け防止で仕方ないのだ……。

お目当ての宗三左文字こと義元左文字は、
木曜の三時過ぎ、わりとすいていて、きちんと見られました。

とにかく展示会場が仄暗いので、
なにもかもを目を凝らしてみる感じだったんですが、
遠くからでも、左端の茎のところに彫り込まれている金象嵌が、
ところどころ鈍光りして、瞬くように目について、ハッとするのであった。
これ、宗三さんじゃない……?

近づいてみると、瞬くように見えたのは金象嵌の剝げ落ちている部分が欠落して映るために、
かえってキランと、気を引くように浮き上がって光っていたからのようで。
何月何日に義元を討ち捕ったり、といった旨が、
ばっちり刻みこまれていた。

暗いうえに、正面しか見えない展示方法になっていて、
裏はおろか、
切っ先側から、刀身の反りの美しさを確かめたりとか、
切っ先の鋭さをなめまわすように眺めたりとかできないので、
刀身とか刃よりも、とかく茎に彫られたその金象嵌が印象的でした。

たしかその金象嵌の刻印を入れる際に、磨り上げられたんでしたっけね?
そのせいだろうか、それとも明暦の大火で焼けたあとに打ち直されたからなのか、
刀身自体は、刃こぼれや使い込んだ感はまったくなかった。

横に大太刀が並んで展示されていて、
太郎太刀のようなえげつない大きさではないけれども、やはり相当に段違いで、でっかいので、
対比で、宗三左文字は端正に凝縮された、小振りの刀剣といった印象でした。
端っこにあったせいなのかもしれません、なんとなく、頑なな雰囲気と仏頂面な佇まいだった。

戦国時代展のあと、常設展も見ました。
かれこれ17年くらい前に人からいただいた、常設展の招待券がタンスの奥から出てきたので、
期限日が入っていないし、
「ひょっとしてこれ、もしかしたら、使えるかもしれないじゃない?」
ドキドキして試したみたら、呆気ないほど全くなんの問題もなく使えたのでした。
通貨並みだな!
すごいな江戸博。

しかも端をもぎらないで、スタンプを突いて招待券を返してくれるのだった。
あなたも、もしもタンスの奥から大昔の招待券が出てきたら、捨てる前に一考を!

で、中はがらがら。
内容はいろんな予算を惜しみなく、つぎ込んだ感がありありとしていて、贅沢で見ごたえが。
豪勢な展示が多く、羽田空港にあるような日本橋の再現とか。
吹き抜け構造が、趣向を凝らしてあるし、退屈しない緩急ある作りこみになっています。
ジオラマもちゃちくなくて、見るからに見栄えのする数々の縮小風景があれやこれやと。

実際のお姫様の駕籠などは、漆に金にと、これでもかという贅を至るところ上品に尽くしてある逸品で立派。
駕籠ってこんなに綺麗なのか。大名の姫様の駕籠だから?

復元されてある、もう少し質素な駕籠(姫様の駕籠がリムジンならば、軽自動車くらい?)には、
実際に乗りこんでみたりもできます。

解説もわかりやすく、かといい子供向けになりすぎたりしていないので、
見方によっては、かなり楽しめます。
夕方に行ったせいもありますが、閉館になってしまって、最後まで見きれなかったので、
広いのかもしれない。
穴場といった感じでした。

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竄透性(ざんとうせい) [さ行]

竄透性(ざんとうせい)という言葉があります。

旧字体の医学書などに頻出する用語です。
薬による特有の香気や臭気をあらわすときに、よく使われている。

いまは亡き祖父母の残り少ない蔵書に『藥種商全書・完・第五十四版』という薬の事典があって、
昭和13年9月15日第54版(初版は大正4年10月1日)、
私のお宝なのですが、
そこで見られる[竄透性]の語が用いられている箇所の、一例がこちら。
(旧字体は現仮名に直しています。)

[クレオソート] (中略)ぶなタールを乾溜(蒸し焼き)して製る。(中略)
形状 無色か或は微かに黄色のある澄明油状の液で、強く光線を屈折し、味は灼(や)かれる様、 竄透性の烟臭を有す。(後略)


この「竄透性の烟臭」ってどんなにおいなんだ、ですが、
端的に言って、正露丸のにおいです。
薬種全書に、烟臭とは煙臭いということで、火事場の跡のにおいである、と書かれていた。
当時の木造家屋の火事場の跡のにおいは、正露丸のにおいがするんですな。

ウィキペディアの、日局クレオソートを引くと、
上記のクレオソートとよく似た記述が出てくる。

抜粋:日局クレオソート
「ブナなどを乾留させる(通常では木炭を作る)際に水蒸気とともに留出する油層(木タール、水を主成分とする上澄み液がいわゆる木酢液)を蒸留して得られる、淡黄色透明で燻製のような臭いのある油状の液体で、代表的には止瀉薬である正露丸の有効成分として用いられている。]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E5%B1%80%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%88

よく似た文章なのに[竄透性]の記述だけが、すっかり抜けている。
この[竄透性]、ちゃんとした言葉ですが、昨今の文書で見かけない。
それどころか、広辞苑や大辞林など、
いかなる辞書や辞典などにも、言葉が全く載っていない。
(ブリタニカ百科事典は未確認です。)

なんということだ……。

たかだか数十年のうちに、言葉が消える。
流行語とか俗語ならばともかくも。
辞書とは、言葉の意味すなわち言葉の魂を正しく召喚する道具であるから、
辞書が意味を載せなくなったら、言葉の生存率は圧倒的に下がる。
魂を見失った言葉は、この世に存在できなくなるのと、ほぼ同義。

抹殺されてもやむを得なかった言葉——現代では概念自体が存在しない、
あるいは差別的な意味合いが濃厚だとか、もはや使われていない漢字を用いているとか、
そのいずれにも当てはまらない。
なのになぜ消えた……。

数十年足らずで、れっきとした素性の言魂が殺されてよいものか。

言葉狩りに遭ったというよりは、単純に、
「専門用語的に使われることがもっぱらで、
日常で頻繁に使う言葉ではないから、知らなくても困らない。辞書に載せる優先順位は低い」
というだけの理由で、後回しに、黙殺されているうちに、
ここ数十年間で、ほとんど存在の形骸しか残らない語と、化してしまったのではなかろうか。

超、かっこいい言葉なのに。
絶滅危惧種:レッドデータ用語を保護したい、
わたしの言葉に対する庇護欲とも憤りともつかぬ熱意が、沸きあがることしきりです。

[竄透性]は、ほかにもクレゾールなどのにおいを表すときにも使われています。
粘膜を刺激して涙が出そうになるような香気および臭気のときに頻出する。
ハッカ油(メンソール)なんかの香気の描写にも使われている模様。

においのたぐいだけでなく、
たとえば、
→保存齒科領域で專ら使用せられる各種藥物の竄透性に就て
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1780636?tocOpened=1
国立国会図書館デジタルコレクション - 臨牀歯科. 14(6)

→淋巴に於ける固形成分の増加の由來に就て竄透性大なる肝臓毛細管機能に着眼せりhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj1925/33/2/33_2_150/_pdf

等々。
意味は、ですから辞書を引用して説明できないので、
私が一から説明せねばならないのだが、類似の言葉として、
「滲出性」があるかと思う。

しんしゅつ【滲出】
( 名 ) スル
①液体などが外へしみ出ること。
②炎症などの際、血液成分が血管外に出ること。 〔同音語の「浸出」は液体につけた固体から成分が溶け出ることであるが、それに対して「滲出」は液体などが容器や血管の外へしみ出ることをいう〕
~大辞林 第三版~

滲出性というと、
しんしゅつせいたいしつ【滲出性体質】が、
→外部刺激に対して異常に過敏で、滲出性反応を起こす体質。(後略)~大辞林 第三版~

ですので、滲出性:外部刺激に対して異常に過敏で、滲出性反応を起こしやすい性質。
と言えるかと思います。

[竄透性(ざんとうせい)]は限りなく、この[滲出性]に近いか。
ただ滲出性は、おもに液体が外に滲み出ることをいうわけです。
いっぽう[竄透性(ざんとうせい)]は、
液体も気体もどちらでも使えます。
むしろ気体の時に使うのが一般的とすらいえる。

竄透性の竄は改竄(かいざん)とかの竄です。
「竄」は改めかえる意である。
「改竄」と辞書を引くと、そう説明が載っています。

漢字の様子からしても、
[竄透性]=[滲出性]+α(濾出と揮発と浸透と遊走の性質を掛けあわせ、割ったようなニュアンス)
ではないかと。

総じていろいろを鑑みた結果、
[竄透性]=exude(動詞)の兆候が強いこと, effusiveたりうる。
こんな感じが意味として妥当だと思います。
(当初、横文字の薬理系論文の直訳語として使われていたのかなと、思えたりもしたもので。)
effusiveは、ほとばしる状態、
exudeはhttp://eow.alc.co.jp/search?q=exude(英辞郎・日本語)
exude:https://en.oxforddictionaries.com/definition/exude(Oxford Dictionary・英語)

ざっくり言うと、滲み出る+染み出る+発散する+発露、という意味合いになりますが、
言葉の性質上、
[竄透性]は、やや不穏な感じがつきまとう場面で、用いられがちな気がする。

――ここは竄透性と使ったほうが、
時代性や信憑性や説得力、特有の空気感がより色濃く醸しだされる――
そんな場合において、積極的に使っていきたい。
それが絶滅に瀕した言葉に対する救済措置であると、
意気込んでいます。


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