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ボン [は行]

ふだんけっこう咀嚼って面倒くさくて、全部スープとジュースで済めばいいのに……としばしば感じる。一日中、水分補給に終始しては、すっごくおなかを空かせて食欲を焚きつけてからモリモリ食べるようにしているのだが、先日、仕事関係で東京會舘にて立食があった。そこで食した子羊の香草焼きと、一見なんの変哲も無いカレーと、飾り気のないシンプルすぎる苺のショートケーキが激ウマで、いまだに忘れられない。
 
ケーキは凝ったのがいくかあったけど、そこでは苺ショートが一番おいしく、しかも世の中の苺ショートの中でひょっとしたら一~二を競うほどおいしいのかも……? 苺ショートなんてつまらない、と思っていたのに、おやおや? という。しつこくないのよ。クリームなんか薄づきで、豪華じゃないんだけど、口に残る甘やかな優しさが消えかけるときに品を感じるのよ。 

カレーといえば、某ホテルのレストランに知人と入って、知人が一皿3500円だか4000円の、たっかーいカレーをオーダーしたことがある。アラジンの魔法のランプみたいな器に別盛りでルーが入ってるやつ。私がオーダーしたカサカサに乾いたアヴォカドのハンバーガーですらすごい値段で、キャンドルの灯る一級ホテルのレストランのカレー。(キャンドルの煙が味に邪魔なんで、雰囲気勝負なんだな、という店ではあった。)

「ボンの味がする」
「ボン? さすが違うね、ドイツ風味?」

しかし彼女はドイツに行ったことが無いんだ。

「ちがうっ、ちがうって、だからボンだよ」
「ドイツじゃないっけ」
「……ボンカレーの味がする」

うそだ! ということで私も一口もらったのだが、この味しってる。

「つか味だけじゃなくて、この具の小ささ、あたかも全部ルーに溶かしました的な演出だけど、乏しい感じもまぎれもなくボンだ。福神漬けが欲しい」

人気メニューは魚介スパだったので、あんまりカレーをオーダーする人がいないあまりに本当にボンなんじゃないのか、雰囲気でごまかせ的な。でもそれじゃ材料を安く仕入れて作りこむから店としての採算が。いやいや、そこはだからさ。

そんな、いま三な(いまいちどころじゃないってこと)なのと比較するのも失礼なんだけど、東京會舘のカレーは段違い、ほのかにビターなチョコレート風味がかぐわしく、あ、でもそのカレーにチョコレートが入ってるかは知らないよ(たぶん入ってない)。隠し味にほんのり焦げたカラメルっぽい風味が遠くして、たかがカレーが、こっくりと美味です。

子羊の香草焼きが一番おいしかったのだけれど、ラム肉って人気がないのか、あんまり売れ行きよくないみたいで、ほかの行列にあぶれた人が並んでたみたいだった。羊肉でもラムはマトンとちがって、美味いやつは臭みゼロのはずなんだけど、一度自分で調理して大変まずいのをこしらえ、食べられたもんじゃなかったので、料理の腕によって、相当、出来が左右するのだろう。

で、今回のは付けあわせのポテトとシンプルながら絶妙なマッチで、いい感じにやわらかくて、香草と塩加減のコラボがちょうどよくて、おいしかったなあ!

東京會舘ってちょっと地味(ごめんなさい)だけど、料理が堅実に美味だと知った。
仕事関係で行ったのに、食べてばっかであった。
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