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ぶっちゃける [は行]

さて気付けば私の「黒十字サナトリウム」が携帯ダウンロード版1600円まで値下げられてました。
今頃きづいたのか? 
はい。とくにそういう連絡って来ないのです。定期的に、印税おいくら振込みました、
と連絡が来る記載を詳しく見てみたら、1600円に価格設定が変更になってたと気付いたのだ。
本は2000円(税込み2100円)ですから、500円お徳ですよ。

しかも。
この携帯用電子媒体ってのは、紙代とか印刷とか流通代の手間ひまがかからないためか、
書籍よりも作家の懐に入ってくる印税率が高く設定されています。
だから500円も値引きされても、作家に入ってくる印税は、
むしろ書籍版より、高いです。
一見、両得な勘定。

だが!

おすすめしない。携帯ダウンロードは絶対おすすめできない。
以前も書いたが、まず絶対、携帯の小さい画面では読みきれないです。私の本の場合。

携帯で読むことを念頭に入れて書いてないからです。本でよむ字面を考えて書いているからです。
字のチョイスから、改行の仕方とか、句読点の打ち方とかが。
携帯で読んだら煮詰まるよ。疲れるよ。なんの苦行だよこれ、になって投げ出すよ。
本なら、さららーーって読めますが。

少しでも安く本を手に入れたいんであれば、
携帯ダウンロードするくらいなら、もういっそ古本を買ったほうが。
読まれないより、そのほうがまだいい。
いや、作家としては何のメリットもならない馬鹿親切な、究極のオススメをしているのです。
ほんとはイヤです。

つか、基本ただで流している地上波のアニメを、YoutubeにUpするだけで、
違法とかいって、逮捕されちゃう人がいるなら、
……Up主はそれでお金を儲けてるわけでもないのによ?
それで利権が妨害されたとかいうならばさ、古本市場とか図書館とかは、どうなのよ。
営業妨害となにがちがうんだ、なにがどう違法じゃないんだ、もう意味がわからないわ。

でも、それをいうなら私は子供の頃や、学生のとき、図書館の本を借りまくって読んでたし、
中古本だって買ったし、売りにも行った。
(ちなみに、いままで一番高く売れたのは、デスノのコミック全巻である。
新刊と同時に買って、全巻読み終えたとき早々に売りに行った。)

とまあ、だいたい作家なんてそうやって、本や漫画を読んできた連中に決まってるし、
(それでもお気に入りの本やら漫画やDVDで、置き場に思案中)
Youtubeの動画Upの検閲を、もっとゆるくしてもいいじゃないかしらね、と思いこそすれ、
図書館を敵にまわそうとは思わない。

ようは、古本屋なんて! 図書館なんて!
小説家は、なにひとつ守られちゃいないわ。
……であっても、携帯ダウンロードで読者にお金を払ってもらって、結局、
携帯じゃ読みにくい!
という事前にわかりきった理由で、
けっ!
と投げ出されるよりは、最低限、読んでもらえるほうが、まだましなんです。

……いやべつに、携帯版で投げ出しました、って連絡が来てはいないんだが、
ダウンロードする人の数が知らされると、いつも非常に不安になるので。

もしも古本も、図書館もダメ、誰かの読んだ本がきもちわるいんだ、という潔癖屋さんが、
でも予算は……1円でも安く読みたいのってのであれば、
あんまり大きくない図書館に行って、
(でも小さすぎない図書館に行って)
リクエストしたら、たぶん新規購入してもらえます。
大きい図書館では、既にたぶん置いてあって、誰かの手垢はついている。
そこらへんはHPの蔵書確認でチェックしてから出向く。
小さすぎる図書館だと、大きい図書館から本をまわしてもらうだけで、買ってはくれない恐れもある。

あるいは値段は関係ないんだ、ハードカバーの本を持ち歩く余裕が鞄にないんだ、
家に蔵書スペースが無い、携帯より重いものは持てない箱入りさんだ、
エンジンよわった飛行艇で移動中にてあと19 x 13.4 x 3 cm ハードカバー1冊分の荷を降ろし、
身軽になる必要がどうしてもあるのです、とかいう人は、今後こういうのをオススメします。

Amazon.com、「Kindle DX」を日本を含む世界各国で販売
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100106_340773.html

これだったら、あくまで本として読める。たぶん。
ただし、私の作品は、多分まだこの媒体にて流通できる形式になっていないかと。
太宰治が書いてたけど(以下ざっくり私の略)
一人でも多くの人に読まれたいか、
それとも一人に、何度でも読まれたいか。
そんなもん一人でも多くの人に、何度でも読まれたいに決まってる。
だがそれを口に出すと、
こいつ分かってねーな、という顔をされて、おまえの作品にそんな力があんのかよ、
と鼻でせせら笑われ、甘く軟弱な理想家みたいな奇人あつかいをされるのだ、と。

太宰でもそうだったなら、私なんかが言ったらチャンチャラ笑われちゃうわけだが、
自分の作品にそんな力があるのかないかはさておいて、
そういうつもりで書いているのかいないのか、ってのは大事だと思っている。

私は留学中、日本語作品のアクセスが限られていたせいで、
(当時はインターネットでも、米国から日本語アクセスがほぼ不可能だった)
一冊で何度も味わえる、読みこめる作品を大事にした。
……という刷りこみがあるせいか、
ひとつの作品を幾度か読めるように、少なくとも二度は読めるように想定して書く。
ゆえにまず携帯は、情報入手には適した媒体でも、二度以上の読書に不向きすぎる、ってのもあるのです。
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