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Harry Brown [最近のお気に入り]

ちょっとカナダに行ってきました。
カナダには、三ヶ月くらい、BC州の州都ヴィクトリアに住んでいたことがあります。十年以上前に。
米国留学時代、夏休みとか、冬休みとかにちょくちょく行きました。カリフォルニアから近いし。
ヴィクトリアはとても綺麗で、気候も良く、住みよい町です。

しかしBC州はバンクーバーのほうが(……少なくとも日本ではずっと)有名です。国際空港もバンクーバーにあるし。さぞやバンクーバーは立派な街だと思っていたのですよ。バンクーバーは乗り継ぎで使ったことくらいしかありませんでした。ふたをあけたら、予想より地味で雑多な街でした。ヴィクトリアのほうが華やかで小奇麗です。

カナディアンはそうだな、アメリカンよりはせっかちでなく、やっぱりのどかで、概ね人当たりがやわらかめ。あと観光で食べてる国だけあって、観光客に慣れてます。(アメリカは観光客がもうちょっと邪険に扱われ、あるいは餌食にされやすい気がする。)むろん人によりけりですが。結局どこにいても人によります、アメリカンでも、のどかで親切な人も勿論いますから。日本人はみんな~とか言われても、そんなの人によるわい!……って思うのと同じです。

あとまあ、カナディアンが、「わりとあぶない」という場所は、アメリカのLAに居た感覚にいると「まず安全」です。これもまあ、むろんケース・バイ・ケースです。いつだって気は抜くべからず、所詮は自分の感覚が頼りです。とくに旅行の場合は。

さて、そんな滞在中に、映画情報番組をチラッと見たおり、「Harry Brown」というイギリス映画が取り上げられていました。公開されたばかりらしい。(イギリスではもうちょっと前に公開されてるらしい。)

マイケル・ケイン主演。
とにかくマイケル・ケインが史上最高の演技を見せているので、見なきゃならない作品らしいのです。

マイケル・ケインって別段好きじゃないんだよな、なにしろじーさんだし、じーさん俳優のなかでもべつに好きじゃないけど、本当に魅せる人なのはたしか。この人がでると軽妙なくせに画面が成熟します。で、なにやら史上最高の演技を見せている、と。

「またですか? 彼はいつも史上最高の演技かと思わせますけど」
「ええ、またなんです。まぎれもなく、当面これが史上最高で間違いないでしょう」
というやりとりが番組内で展開。

うんざりするほど複雑なキャラを、さらっと、現実のものに変えてしまう力量、とか評される。
「マイケル・ケインがいい演技してるなんていうと、年寄りむけのヒューマンドラマかなにかと思われるかもしれないが、とんでもなく暴力的な映画です。(若かりしマイケル・ケインを素敵だと思った同年代の人が見に行ける映画でないことを、何度も言い含める若き批評家。)でも、いいんです! 他の役者がやったら間違いなく駄作になったであろう主役を、とてもリアルに演じているのです」

こりゃ見なきゃなるまい。マイケル・ケインは好きじゃなくとも見なきゃなるまい。

マイケル・ケインの目って、ちょっと変質的なアブナイ感じが、じじいの円熟した雰囲気にチラチラ覗くんだよね。んでもって、アンソニー・ホプキンスとか、クリント・イーストウッド、ロバート・レッドフォード、エド・ハリスとかの、おなじ御高齢ベテラン俳優のなかでも、あ、こいつヤバイ……っていう、ひときわ粘着気質の屈折した光がひそんでるんだよな。

はたしてこの映画が日本に来るのかが、気がかり。ひっそりDVDリリースとかでも、なってくれれば御の字だけれど。
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