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リテラリーゴシック・イン・ジャパン [ニュース]



日本の文学的ゴシック作品選、「不穏の文学」作品集とも呼ぶべき、
高原英理氏編の文庫本『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』が、
このたび新年1月8日ごろ、刊行されて書店にならびます。
その中に、わたし(中里友香)作の短編『人魚の肉』が収録されております。

最初、筑摩書房から高原英理氏編の本に収録されるというお話をいただいたときに、

Ⅰ、黎明
Ⅱ、戦前ミステリの達成
Ⅲ、「血と薔薇」の時代
Ⅳ、幻想文学の領土から
Ⅴ、文学的ゴシックの現在

こういう流れで、ゴシック文学作品の変遷を感じさせる作品集となり、
私の短編は、Ⅴ「文学的ゴシックの現在」に収録される。
全部で40弱ほどのゴシック作品を文庫にする、というお話だったために、
5冊編成になるの……か?

と、全貌がいまいち見えてなかった。

見本が手元に届いてみて、わかったのですが、
一冊の文庫に集約されていています!
この一冊、ゴシックを抽出したエッセンスがずっしり凝縮されて、できています。

泉鏡花、江戸川乱歩、横溝正史、小栗虫太郎、中井英夫、渋澤龍彦……
まさに日本ゴシック文学先駆けってな顔ぶれが勢ぞろい……!
――かと思うと、
あなたの好きなあんな作家も、こんな作家も!
さまざまな作家の色とりどりなゴシック作品を私自身、これから読めるのが楽しみです。

わたしの『人魚の肉』は、ミステリマガジン2012年12月号~ゴシックの銀翼~という特集の時に、
掲載された短編です。

ちくま文庫に収録にしていただくにあたって、誤字脱字等、修正しました。
また、言い回しをほんの少しだけ、ごくごく若干、いじって直している部分があります。
こうしてヴァリアント(variant)ってやつは生まれるのか!

雑誌掲載は、ふだん私の作品を読まない人の目に触れえる絶好の機会なのですが、
時間のうつろいに流されて、あッつうまに入手困難、
あとあとになると、ちゃんとした状態で手に取るのは不可能になってしまう。
今回、ちくま文庫で、紙の本に定着していただけたのが、本当にありがたいです。

で、近々「リテラリーゴシック・フェア」というものを書店で展開するにあたり、
リテラリーゴシック的な自著を二冊以内で選んでね、と連絡をいただきまして。
私の本は言ってみれば全てがっつりゴシック小説。
それでも強烈にゴシック色、異端の色が濃いのはやはり、
『黒十字サナトリウム』*かなあ、
それからそれから……あれかな、これかなと考えだした時に、
「現在一般書店で手に入る本」
という注釈を見つけ、
崩れ落ちたのだった。

どの本を選んだのかは、年明けに書店で。

*(『黒十字サナトリウム』、紙の本では相変わらず絶版中。
いったん見切りをつけられ絶版になった書籍を復刊するのは本当に難しい……。)

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