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小手先とは緻密な攻防だ [か行]

ロシア・ソチの冬季オリンピック、
フィギュアスケートやアイスダンスなど、
ちょくちょくテレビで見ています。

で、みんなロシアに寄せてきてる~。

上位選手は、選曲だったり衣装だったり、あるいは両方だったり、演出面において、
開催地ロシアを猛烈に意識して、ロシアに敬意を払っていますね。
端的にいえば、各国選手がロシアっぽい、です。すごく。

ざっくばらんにいえば、ロシア受けをものすごく意識してます。

(ロシア選手はいっぽうロシアっぽさをかなり全面に出してアピールしつつも、
お国芸っぽさがしつこくて辟易されぬよう、
海外ウケもする、ハリウッド映画とかに使われる題材を選んでる者が多いですね。)

ふだん猛烈にアメリカっぽ! ハリウッドっぽい演出がお得意の選手たちであろうと、
軒並み、ロシアっぽい味付けに寄せてきていて、
それが付け焼刃でみっともない露骨な媚び、といえばそうではなく、
ロシア人の遺伝子に組み込まれちゃってどうにも響かずにいられない曲調とか、衣装とかを、
的確に選んできているのかわかります。

うわー、このリズムはロシア的でロシア人好きだよぜったい、
かつ世界中のみんなもロシアの民族や伝統のこういうところは嫌いじゃないよね、
ついでに自分たちもこの手の美意識、好みなんだろうな、
というのを無理なくやっているので厭味がないです。

審査員はロシア人観衆じゃなく、各国のスケートの審査員がジャッジするわけだから、
んなもん点数に反映されないだろうと思われるかもしれないが、
関係があるんじゃないかと、私は思う。

オリンピックってやはり特殊で、
ふだんスケートを見ていない人も観客席にいるだろうし、
観客席が吸いこまれるように鑑賞して、
身を乗りだし、拍手喝采していて波打っていれば、審査員も人間です。
会場の大衆の雰囲気に、猛烈に呑まれます。
テレビで見ている私たちより、きっとずっと呑まれやすいかと。

コンポーネントスコア(演出)のポイントってのは、
観衆をいかに魅了できるかを点数にするようなもんだから、
観衆にプレゼンテーションされ、その反応が顕著に表れている雰囲気に、左右されないわけがない。

前回のカナダバンクーバー冬季五輪でキム・ヨナの点数がやけに高かった、
演目は欧米英語圏の会場でウケのいい『007』だった。
もう会場が沸いてましたもの。あの会場ウケに審査員がすごく左右されていたように見えた。

イタリア・トリノでの荒川静香のすんばらしいプッチーニの演目も、
開催地がイタリアのトリノで、オペラのプッチーニですもの!
イタリアの地元観客の、魂の遺伝子にジャストミートです。

んでもって内容はシノワズリのトゥーランドット! 
(黒髪のアジア人が演じたほうが内容にそぐう。)
いやでも魅了されるところに、あのすばらしい技術と表現力でハートを射抜く、と。

日本人選手嫌いなんだよとか、べつのひいきの選手がいるから気に食わねえんだよ、
というヘンテコなステレオタイプを抱いていたとしても、
かかる狭い料簡を、払拭するくらいの効果はあると思います。

(で、オリンピックというのは皆、国の威信だのなんだので、自国の選手をやみくもに応援して、
他の大会とくらべて、正しく選手の技量が判断できにくい土壌にあるかもしれない)

そういう表現方法を「小手先」とかいってバカにする類の人がいるが、
小手先の集大成が緻密な技巧につながる。

むろんそういうのを嫌って、自分らしさで挑むのも猛烈にカッコいいが、
そこはハードルの高い不利な挑戦を意識したうえで、
それでも有無を言わせぬ、余裕の力量を見せつけてやるんだという意気込みできっといる。

いずれにせよ、そこまで意識できる選手が上位メダルを取ってるんだなあ~

と、想像して見ています。