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“極東での若き日々” [ニュース]

[ “極東での若き日々” 中里友香・著]が、
小説すばる 2014年4月号(2014年3月17日発売号)に掲載中です。


小説すばる 2014年 04月号 [雑誌]

小説すばる 2014年 04月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/03/17
  • メディア: 雑誌


読み切り作品です。

扉絵と挿絵は、2012年ミステリマガジン掲載の「人魚の肉」の扉絵や、
2013年小説現代掲載の「みがかヌかがみ」も描いてくださった、
小島文美さんです。

現物が手元に届いて、すぐさま私がやることといえば扉絵と挿絵を見る!であります。
雑誌の場合、原稿が書きあがり、装画を描いていただいて、掲載になるまで期間がすごく短い。
時間的に限られているので、著者と装画家とが絵の中身について、一切やりとりできません。
文字でつづった自分の世界観が、どのような絵として転写されるのか。
全幅の信頼をもって装画家さんに一任する。
今回、私は編集部から意向を尋ねられる前に、
「小島文美さんの装画が希望です」と、お願いをしてました。

で、仕上がった扉絵&挿絵は……。

すごい素敵です。
すごく好みです!

暗く抑圧された、頽廃的で秘めやかな空気の陰影が、目で見えて素晴らしい。
文字のみで原稿チェックをしたときより、作品の質と濃度が高まりました。
ヴァイオリンがね、描かれてあったらいいなあ……と、
そこはかとなく期待していたのである。
あとできれば灯○と、街○と、傷○の縫○と。
しかし全ては作品自体が語るのだから……と、要望は一切あらわさずにお願いをした。

しみじみ内心で得心のガッツ。……やったぁ!!

私は小島文美さんが描く植物がとても好きで、
いつもなんらかの形で植物を絡めて描いてくださっているのも、たまらなくうれしい。
今回も、とある意味深な植物が、効果的に配してあります。

話の内容は読み切りで、いちおう単体の物語として独立していますが、

・異形コレクション『Fの肖像――フランケンシュタインの肖像たち』に収録された「セイヤク」
・ミステリマガジンが初出で、のちに『リテラリーゴシック・ジャパン』に収録された「人魚の肉」

この流れをつぐ物語の3話目でもあります。

この日本の戦前を舞台にした、昭和ゴス的世界観の話、
毎度発表の間隔が一年以上あいている。
おまけに発表媒体、掲載してくださる出版社がその都度、ことごとく違うので、
別の話として認識している人も、ひょっとして、少なくないか。

「中里友香のこの話、既視感ありすぎ。いつも似たような世界観と登場人物! 以前も読んだ」
と思う人も出てきそうですが、
――似てるんじゃなく、それ同じ人物です!
似てるとかじゃなく、同じ物語です! 続いてるから、時系列だから!

今回はゴシック色はやや控えめ、文芸色が幾らか強めか。
今後もこういったかたちで、
独立読み切り形態で、この続きをぽつぽつあと3話くらい、書きたいなあ。
脳内で話は、ほぼできている。
こと結末に関しては、詳細綿密に……。

お手にとって読んでいただけると嬉しいです。