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便利と負担の境界線 [は行]

昨年あたりから「最近、映画がつまんないんだよね」モードに突入し、
購入したまま放置している積みDVDが20本を超えて、
めっきり映画を見なくなっていた。

先日の『ダンケルク』でスイッチが切り替わったらしく、着々と消化しつつある。
良い映画もあれば、今一つなのもある。

映画を見なくなっていた理由はいくつかあって、
その一つには、2箇月前にデーブ・スペクターがこの記事*の中でも言及していたが、
最近、ハリウッド映画が「海外でもウケやすい大味なアクションや、コミック原作ばかり」で。
おまけにリメイクが続くので、娯楽作としては楽しめなくもないのだが、
今一つ、斬新な衝撃とか、地味にしみじみ味わえる良さのある作品に、
巡り合いにくくなってきた気がしていたからです。

日本でも、歴史ドラマなど、本能寺とか関ヶ原とか忠臣蔵とか新選組とか、
あの手この手で幾度となく作り変えては、やっていて、
アニメのリメイクも続いているし、そのクラスタのファンとしてはリメイクは嬉しいのだ。

ただ純粋に、新しいストーリーに出あってみたい!
と思っている場合、アメコミのリメイク等は、続くとさすがに大味で飽きてくる。
技術は磨かれて、目には楽しいけれども、世界観は目新しくないし、話の大筋も知っている。
作品の世界観に馴染みがあるという点は、
大衆の集客には多分、手っ取り早いプラスになるんだろう。だからやるのだ。

かつては映画館で眠っちゃうなど考えられなく、
寝不足で見に行っても、見終えた後は目がギンギンに冴えて映画館を出る感じでしたが、
昨今では、わりと寝落ちしがちです。
中盤の派手なアクションシーンで、5分程度だけスリープ……からのログアウト……。

また私には吉祥寺のバウスシアターが閉まったのが存外、大きかった。
吉祥寺の映画館は、誕生月だと男女問わず誰でも割引価格で映画が見られる(身分証提示)。
かつては誕生月など、通い詰めていました。
しかしここ数年、誕生月に映画を見にいく習慣がぱったり途絶えた。
見たい映画がやっていないんだもの。
たった一つの映画館が閉まっただけで、
こんなに自分の行動パターンに影響が出るのか……と痛感せざるをえない。

でもまあ、私が映画を見なくなっていた地味に最大な原因は、
利用していたDVD宅配レンタルシステムの所為だろうなあと、自己分析しています。
毎月、毎月、4本分の映画が送られてくるタイプに8年くらい契約していました。

見たい映画を30本くらい予約しておいて、
その中でレンタル可能なものが、毎月2回にわけて2本ずつ送られてくるシステムで、
延長料金が取られない。かわりに、DVDを返却しないと次の2本分が送られてこない。
繰り越しできる枚数は限られています。

で、そのとき自分が見たい映画が必ずしも送られてこないのだった。
自分が予約した映画ではあるんですが。

馬鹿っぽいノリの映画を気楽に見たいと思っているときに、
死ぬほど重いタイプの実話映画が届いたり、
じっくり文芸映画を楽しみたいと思っているときに、
アクション大作が届いたり……。
おしゃれな恋愛映画を見たい気分のときに、
戦場で泥水を啜る系の映画が届く。逆もまたしかりだ。

いずれも自分自身が見たいと思って予約していた作品であろうとも、
さすがにちょっと辟易(へきえき)してくる。
殺伐としたマフィア映画を見たいときに、
夢いっぱいのファンタジー大作が届いたりすると、正直、うんざりする。

名作や大作は、作品のパワーに引っ張られて、
私個人の気分など良くも悪くもお構いなし、
圧倒的な力技で感動させてくれるんですが、
そういった名作は、年にそうそう出くわせるもんではない。

そのうちに、レンタルDVDが届くのが、
子供の頃、毎月の通信教育が届いたときのあれ、
「うぇ~来ちゃったよ」という微妙なストレス、負担にしか感じられなくなって、
楽しみのはずの映画が、ひたすらこなしていく仕事と化してくるんです。

ゲームだったら日課やマンスリーの任務をこなすと、それなりに報酬をくれるし、
やらなければやらないで問題ないが、
DVDは見終えて送り返したら、また次がすぐ届くわけで、
便利なのを通りこして、DMみたいに鬱陶しくなってくるんです。
そして見ようが見まいが毎月定額、引き落とされる。
ノルマの持ち帰りをしているみたいに、もう勘弁してほしくなり……。
今では、この手のレンタルを利用するのは止めにしていますが、
おかげで、めっきり見なくなっていた。

思えば、アメリカで足しげく映画館に通って、週に3本ペースで見ていた時も、
面白い作品もあれば、つまんない作品もあった。
100本のうち、10本良ければ、上々だった。
うち3本が私好みの映画だったらラッキーだった。
それでも映画を見ること自体が気分転換で楽しかったんですよね。
英語の勉強になるという、言い訳にもできた(笑)

それが昨今では2時間のタスクと化して、
ディスクをプレーヤーに入れる作業がすでに面倒くさい、
と思うくらいになっていたのである。

そこで何本かネットレンタルを利用してPCで映画を見もしたが、
これもまたメリットとデメリットがある。
ちょうど、紙の本と、電子書籍と、どちらが扱いやすいかといった争点と、似ているかも。
実際のところは、紙の本と電子書籍の違いは、
映画館での映画鑑賞と、自宅PCでの映画鑑賞、という差が相応の比較対象だと思います。

*前述のデーブ・スペクターの記事のURLはこちら。
http://news.livedoor.com/article/detail/13498826/



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