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もう秋ですが(2018年夏アニメの忘備録) [ま行]

夏アニメの忘備録をざっくり記しておこうと思っていたのに、
気付けば10月が終わっておりまして。
ひとつには、3期からNHKで日曜深夜に放送していた進撃アニメが、
10月のかなり中途半端な時期に、
……え、なにこのエンディング怖い……ここで切るんですか?
次回の#50は2019年4月ですって……?
と、面食らわせてきたせいもあって、いろいろとタイミングを逸したのだった。

2018年夏アニメ(わかってるよ今は秋だよ)で、個人的に大ヒットだったのは、
『シュタインズ・ゲート ゼロ』

もちろん『シュタインズ・ゲート』時代から見ていましたが(再放送ですら何年前だ)、
基本的にこのアニメ、スロースターターなんですよね。
当時も登場人物のオタク描写におけるアクが強すぎて、
これ本当に面白くなるんだろうな……!?
と、何度挫折しかけたか。

それでも原作ゲームの評判が良かったし(私は未プレイ)、
絵が常に必ず、きれいで、作画崩壊とか無縁。
また洋画好きやSF好きからしてみれば、
『ドニー・ダーコ』『バタフライ・エフェクト』『バックトゥーザフューチャー』『ターミネーター』など、
お馴染みタイムパラドックス系のエッセンスが、そこかしこに、こってこてなので、
ホームグラウンドだなこれ……と。

切るに切れずに、惰性で見ているうちに、
あ……今回はかなり良いわ。
あ、これは超いいわ……。

『シュタインズ・ゲート ゼロ』に関しても、前半は(これを見続けるの正直きつい……)
主人公の岡部倫太郎(akaオカリン・鳳凰院凶真)が誤った世界線を選んだ末の鬱展開を、
これでもか、これでもかと、見せられて、
もういいよ……となりかける。

それでも見続けていたのは、
親子描写がやたらと涙を誘うからでした。
親子描写と言っても、常識的にいってみれば無茶な親子描写で、
まずは、ダル君と鈴羽。
その仲良し具合の心温まること。

アスリート系美少女バイト戦士・鈴羽、
その父親にあたるダル君(ハイスペックおデブ系超オタク、成りもでかいが人間としての器もかなりでかい)、
この二人、つまりタイムトラベルしてきた娘・鈴羽と、父ダル君は、傍目には同年代ですからね。
だから表向き、兄妹っぽい振りをしつつ、
内輪ではがっつり親子の会話をしているのが、なんとも微笑ましかった。

ダル君は、未来においては鈴羽の母親となる美女に、現時点ではまだ告白もしていない。
付き合ってもない、どうせキモオタだもん、と僻んでいるのを、
鈴羽が、「父さん、うかうかしてると母さんに愛想つかされちゃうよ」等々、
なにかと背中を押す匙加減が、絶妙におもしろく。
とても優しい間柄なのだった。

あと又、まゆりとかがりの母娘関係。
未来のまゆりが、孤児のかがりを養女にするわけですが、
現在のまゆりと、未来からやって来たかがりは、母娘とはいえ、同年代なわけです。
でも友達関係には決してならずに、かがりはまゆりを「ママ、ママ」と、けなげに慕いまくり、
まゆりママは今はまだ少女なのに、
わけもわからず一生懸命「かがりちゃん」と応えようとする。
血もつながってないし、年齢的にも全然親子じゃないのに、
ちゃんと母娘なのが涙ぐましく凄かった。

記憶喪失な美少女のかがりが、未来のまゆりとの記憶を取り戻して
「まゆりママ……!」と泣くシーンは、
SFじゃないと絶対にできない秀逸な設定で、
目が離せない……。
そうこう思っているうちに、
PTSDの治療と称して、かがりがレスキネン教授に洗脳を受けていた研究所の所在が明らかに。

その施設を、オカリンと萌郁(もえか・ハイスペック眼鏡美女)が発見するシーンはゾクっときた。
壁一面に、おそらくはかがりの血で「ママ助けて助けてママ」といった文句が書きなぐってある。
荒れ果てた隠れ部屋が出てきて、エンディング……となった神回で、
(これは間違いなく神アニメだ、心して見なくては)と、
以降、私は襟を正して見るようになりました。

回を重ねるごとに、怒涛の面白さに加速度的な拍車がかかり、
20話の『盟誓のリナシメント』が決定打。
未来の「ルカ兄さん」の中性的なカッコよさと成長ぶり、
戦闘の末の死に感動したのは、私だけではないはずだ。

おかりんが遅まきながら本領発揮しだしてからはもう、
また今回も神回だったな、ハラショー!
と、胸熱展開の連続で、
長い前半の伏線も、
シュタゲ時代からの伏線すらも、バンバン回収されて、
最終回は最高の大団円でしたね。

何層にもわたる面白さがある話を紡ぐには、
こみいった設定の地盤を確立するまで、
前半、ある程度の時間や容量を食うのは、いってみれば当然なのだよな……。

2018年夏アニメ、
ダークホース的に最高だったのは『天狼 Sirius the Jaeger』
しかしこのアニメを見ている人が身の回りに全然いない。
ネット上をググってみても、圧倒的に少ない感触があった。
AT-XやTOKYO MX、BS11、チューリップテレビ(富山の地方局らしい)でしか
放送していなかったからかと思われる。
私はTOKYO MXかBS11で見ていました。

あとはネットフリックスで見られるので、海外では人気だったのかもしれません。
日本ではこのアニメの存在を知っている人自体が少なかった……。
私自身も当初、全く見るつもりはなかった、それどころか知りませんで。
テレビをつけたとき、たたたま1話をやっていて、途中から見たのだったが、
なにしろアニメーションの良さを目の当たりにしたら、たちまち目を離せなくなったのだ。

『ジョーカーゲーム』と『WOLF'S RAIN』を掛け合わせたような世界観で、
時折、ハガレン味も感じたりしましたが、
全12話でギュッと面白さが凝縮されていた。
この手の舞台と設定は、下手すると目も当てられない使い古したバッタもんぶりが甚だしくなりがち。
そんな駄作をいくつ見てきたか分からないし、いつ切ろうかな、というつもりで見ていたのだったが、
『天狼』はキャラも世界観も設定も、すべてが際どいところでうまく機能していて、
素晴らしく疾走感があって、面白かったです。ほろ苦い最終回も良かった。
兄ミハイルが吸血鬼としてではなく、人間として〇〇〇を迎えるシーンにはしんみり来ました。

兄思いの狩人の弟ユーリィ(主人公)と、
幼かった弟ユーリィをかばって吸血鬼にされた弟思いの兄ミハイル(cv櫻井孝宏)の、
兄弟のいざこざ加減が、ああそうさ、好きだとも!

主人公の性格が(設定ではなくて性格・気性が)、
この手の世界観の作品には珍しいタイプで、
世間擦れしていない朴訥とした青年。
知的で寡黙で控え目で、内に熱さを秘めていて、一途。
戦闘時は野性味あふれて一直線でも、本質的に高潔な魂の持ち主なので、
はっちゃけすぎない感じが、良かったんだと思います。
その主人公をはじめ、主要キャラも敵役も脇役も、キャスティング全般が最高でもあった。

人狼の血を引くことに関しての解釈については、
私の観点とシンクロ率が一致です、
という感じでしたが、
対する吸血鬼については、
(私の信ずるところの吸血鬼とは、種族も宗派も徹底的に異なる……)感が強かったのは否めない。
でも第3話、主人公ユーリィの子供時代の話──兄ミハイルとのドッグヴィルの村での話──で、
完璧に心をわしづかみに持っていかれたので、些細な価値観の違いは仕方がない。
その別宗派ぶりを含めて楽しめた。

なんでこんな面白いオリジナルアニメを、ひっそり放送しているんだ……と感じていましたが、
今後、どこかの放送局で、じわじわとまた再放送したりしないのかなあ。


TVアニメ『天狼 Sirius the Jaeger』狩人編PV-Jaegers Ver.-
https://youtu.be/mAaQS0_9zao


TVアニメ『天狼 Sirius the Jaeger』本PV-Main Trailer-
https://youtu.be/SvUGTXUI9H0


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