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新装復刻版『黒猫ギムナジウム』帯デザイン [黒十字療養所出版部]

今回、帯を二種類作りました。こんな感じです。

中里友香さんによる公開用: 黒猫ギムナジウムカバー表紙・背表紙・裏表紙with帯

マウスオーバーで順に見られる矢印が出てきたら、クリックするとページが進みます。
(帯付きカバー表紙 → 帯付きカバー背表紙 → 帯付きカバー裏表紙 → トレペ帯付きカバー表紙 → トレペ帯背表紙 → トレペ帯つきカバー背表紙)

両方の帯に共通して、銀杏(イチョウ)の葉のモチーフを使っています。
『黒猫ギムナジウム』は明治時代の帝都が舞台で、帝都といえば銀杏。
現在でも『都の木』は銀杏ですし、ね(ちなみに『都の花』は桜)。
桜の花のモチーフは重ねて用いてきているので、帯には銀杏をと。

江戸時代から火事が多かったので、好んで銀杏が多く植えられてきたというのは有名な話。
東京五輪で樹齢百年を超える「いちょう並木伐採」という話が浮上した時には「正気か?」と思いましたよ、本当に。

トレーシングペーパー製の帯は、他の帯と比べてサイズ制限が厳しい。
前回、短編集でもトレペ帯を作ったのですが、その時にお願いした印刷会社と、今回は変えてみました。(何ら問題があったわけではない。)
前回、帯をお願いした印刷会社は、そこで本を刷った人がついでに帯をオーダーするというのが本来の注文の仕方らしかった。
お願いしたらトレペ帯だけ刷ってくれたのですが、例外的に都合をつけてくれた気が……。

その時も、トレペ帯はサイズに制限があって、本当はカラーカバーと横幅を揃えたかった。
既定のサイズがカバーより幅を長くとらないといけなくて、ちょい長めの帯となったのだ。

今回は四六判。もともとカラーカバーの幅を広めにとっていることもあり、トレペ帯がカラーカバーよりちょい短めに。規定の最大幅がその長さでいっぱいいっぱいなのだった。
そこが気になる人は、気になるかな……。


中里友香による公開用:黒猫ギムナジウムのカバー&帯

マウスオーバーすると、矢印が出てきて、クリックすると順番に見られます。
(フルカラー帯つきカバー → 帯デザイン → トレペ帯付きカバー → トレペ帯デザインの順)

なお、トレペ帯は透け感のある白い紙に、白い特色インクで刷るので、デザイン提示のときはシアン(青)で白い特色インク部分を示すことが多いです。

──カラーカバーのほうを短めの幅にしときゃよかったじゃない?──と思われるかもしれないが、今回、ソフトカバーの本で、見返し加工をしているので頑丈かつ美しくできていますが、ハードカバー本ではない。
カラーカバーはなるべくしっかりと、多めにたっぷり本体をカバーできると、安定感がより増すわけです。500頁越えの本ですから。

見返し加工の紙色は桜色にしました(正確を期すればコスモス色。桜色はかぎりなく白に近すぎる薄桃色なので)。
見返し加工の薄桃色と、カバーの江戸紫とのバランスが、ベストだなと思える幅にするのを優先した。
なので、カバーのほうをトレペ帯の最大幅に合わせることは考えませんでした。
(見返し加工とカバー、帯の折り返し部分も、のちほど当ブログでアップしたい。)

私個人としては、トレペ帯だと華やかさと儚さがあって、ガーリーめで可愛さが引き立ち、持っていたい本という感じが募るかなと。
フルカラーの帯は、夜の帝都感が出ていて、作品の世界観にマッチする。読書意欲をそそる感じで実にしっくりくる、物語の雰囲気を伝える納得の出来映えになっています。

デザインとしては、トレペ帯は素材の良さ(トレーシングペーパーの透け感と、特色白インク)を活かしたいので、デザインはごくごくシンプルに。

逆に、フルカラーの帯のほうがデザインを作る上では難しく、試行錯誤を重ねました。
帯の折り返しにキャッチフレーズの一部と、デザインを入れたかった。満足です。

前も書きましたが、本の中身は全く同じです。帯だけが違っています。

本の装幀全般においても、今まで商業出版と私家版とで本を作ってきたわけですが、私家版はこれで小説本は3冊目。私家版の中では、この『黒猫ギムナジウム』が現時点で一番良い出来だと思います。
印刷会社が期待通りに刷り上げてくれたし(これ重要)、紙の質とか(厚すぎず薄すぎず、しなやかで扱いやすい)、文字サイズとか、行間とか。とても読みやすくできたなと。
そのあたりも後程、このブログでもう少し詳しくアップしたいと思っています。


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