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短編集(キンドル版)鋭意制作中 [黒十字療養所出版部]

Amazon キンドル版の短編集を自己出版するために現在、鋭意制作中です。
紙の本で出したいのはやまやまなのですが、まずは電子書籍リーダー版・Kindleから。
タイトルは 《手腐レ風切り貴方まで》

収録予定作品は、
タイトルから想像がつく方もおられるだろうか。

-風切り羽の安息 (初出:2012年ミステリマガジン12月号)
-日没までつきあって (初出:2011年SFJapan春号)
-貴方綴り (初出:2004年『三田文学』第77号)
-葉コボレ手腐レ死人花 (初出:2009年SFJapan秋号)

掲載順はおそらくはこの並びに。
洋もの~和もの
という流れにしようかと。

短編集のタイトル 《手腐レ風切り貴方まで》 は、
各短編のタイトルの一部を抜粋しています。
短編集って、概してどの作品が入っているのか気になるところだと思うので、
タイトルだけでも把握できるようにしたかった。
4作品のいずれもが、現在入手不可なので、キンドル版であっても提供したいと。

『風切り羽の安息』 は、アガサ・クリスティー賞受賞作 『カンパニュラの銀翼』 のスピンオフ作品。
『葉コボレ手腐レ死人花』は、『黒猫ギムナジウム』 の後書きでもふれている、番外編です。
またデビュー前の幻の短編(!)三田文学新人賞最終候補作の 『貴方綴り』 も、
今回、誤字脱字等を加筆修正して出します。

*表紙縮小版.jpg
表紙
(実際はもっとくっきりはっきり大きく見えますが、
このブログは高密度の大きい画像がアップロードできないの……。)

本づくりの何もかもを自分がやっているので、試行錯誤する部分も多いですが、
言い換えれば、何もかも自分一人でできる。
勝手がきいて、利便性が高い、都合の良い部分も多いです。
実際に自分でやってみて、そうと初めて気が付きました。
表紙などもすべて自分で作っています。重宝したのがCanva!
■Canva
https://www.canva.com/

ネット上でデザイン作成ができるデザインツール。
必要最低限のことしかできないけれど、
小難しいことを知らなくとも感覚的に使いこなせます。
紙の本とちがって、キンドル版は背表紙の厚みや、紙質、帯などを気にする必要が皆無ですので。

AdobeやIllustratorなどを快適に使うには、相当PCが健康でいてくれないと、
すごく重くて、すぐフリーズ……。
画質の高い画像を駆使して、たくさんのレイヤーをつくって、あれこれ試すのに相当不安が。
私のような素人は、使いこなせるまでに四苦八苦。
この機能は多分一生使わない……みたいな高度便利ツールが多数備わっているおかげで、
パッと開いてすぐどうにかできる感じがしない。お値段も張るし。

Canvaは予備知識がなくとも、いきなりすぐ使えます。
ネット上で使えるので、ネット回線だけきちんと確立していれば、
容量等を気にしないで、レイヤーをガンガンわけて、いくつもコピーして、
いろんなヴァージョンを沢山試して、ズラッと比べられるので便利です。

あえて難点を挙げれば、
もとオーストラリア発のデザインツールなので、現時点では日本語フォントが少なめ。
反面、英語フォントが豊富です。
アルファベットフォントがとにかくバラエティに富んでいる。有難い。
これにグラデーション効果を加える機能が備われば、ほとんど言うことなしなんだが……。

無料素材もそこそこ良いのが揃っています。有料の素材も、リーズナブル。
(日本語で検索をかけるとヒットしないことも多々あるので、
素材検索は英語で入力したほうが良いかも。)

これが日本発のデザインツールだったなら、まず当然有るだろう、
桜の花びらが舞う素材などは、一切、見当たらない気がする。

小説に関しては、作者が自ら、ああだのこうだの気安く語るべきではない。
語るべきことは、なるべく作中で、もしくは本のあとがきで語るべきだろう、と考えているのですが、
表紙とかデザインとか、門外漢のことだと、
気構えずに元ネタ的なことを平気で開示できる。

自分で作る、かつまた電子版だからこそ、できることは……?
と表紙だけでなく、各短編の章扉もせっせと作ることにしました。
現時点で、かなり気に入っているのは、
『日没までつきあって』 の章扉。

*6縮小版.jpg

(荒っぽく縮小しているので濃さが増して見えますが、実際はもう少し明るめ)

物語の冒頭、パイプオルガンのある教会で、
アルトゥールが標的の男をバルコンからひっそり見下ろして、狙いを定めるシーン。
その時の脳内イメージにあったパイプオルガンは、このパイプオルガン。
あの冒頭の場面は、以前、何気なく撮ってきたこの写真からイメージを練って、
場面展開を起こしていった部分が、多分にあります。

文字とケンカしないように、
背景のパイプオルガンをややぼかし気味に加工しているのですが、
この出来上がりが、
『日没までつきあって』の冒頭シーンにおいて、
私が脳内で描いていた情景とぴったり重なるのだ。

このオルガンに行き当たったのは、西欧の町をひとりで弾丸旅行中で、
ホテルに戻りたいのだが道に迷い、脚がガックガクになるまで歩き回り、
とにかく座りたい……
入りこんだら誰もいない教会だったのでした。
観光スポットになる別の教会が、すぐ近くにあったからか。
観光地の中心部近くに在って、治安は良かった。
この教会内の礼拝ベンチにとにかく腰をかけて、一息ついて、
背後のパイプオルガンに気が付いて、ひっそり一枚だけ写真を撮らせてもらった。

加工前の写真はこちら。
*DSCN0274縮小版.jpg
撮影日2007年8月25日/クリックすると拡大します
(デジカメが日本時間で記録しているため、時差分の誤差あり)

私が短編作品においてイメージ作りに役立てた風景や一隅を、
表紙や章扉として見せたい……と思いたったことも、
今回、恥ずかしながら素人でも自らCanvaで表紙デザインに踏み切った、きっかけの一つ。
表紙デザインの素人なら素人なりに、作家の情熱と思い入れで勝負しようと。

表紙には、すべての短編の要素をそれぞれに盛りこんだ。
桟橋や、木の写真(レイヤーをうっすら重ねて脳内血管を髣髴とさせるようにも見せたかった)
これらはCanva提供の素材を加工していますが、
下半分にある家並みの写真は、私が欧州の町をひとりで散策しているときに、
気に入った一隅を撮った、この写真を加工したものです。

*DSCN0284縮小版.jpg
撮影日2007年8月25日/クリックすると拡大します
(デジカメが日本時間で記録しているため、時差分の誤差あり)
今から十年前になりますね。

*All right reserved.