SSブログ

不滅のあなたへ・第一話 [は行]

2021年春アニメ、あれやこれやを楽しみにしつつ視聴をし始めたところである。

2021年冬アニメは『はたらく細胞BLACK』くらいしか見ていなかった気がするので、今期は視聴で忙しいよ、である。そろそろ色々と第一話が出そろってきたタイミング。
とりあえず現時点で一番猛烈に良いのが『不滅のあなたへ』です。
とても推したい。

●不滅のあなたへ(配信情報)
https://anime-fumetsunoanatae.com/vod/?l=ja

ちなみにエンディング曲は宇多田ヒカル。

私が「見てみるとすっか……」と思ったきっかけは主題歌が宇多田ヒカルだとだけは知っていたからなのだが、エンディング曲なんか些末なことかも、
と思えるほど、中身が良くて嬉しい誤算なのだった。
地上波放送はNHK Eテレ月曜夜10:50分から。

前情報を一切入れずに見たので、しょっぱな津田健次郎のナレーションが非常にゆっくりモードで始まる時点で心が萎えかけ、なかなか人間も出てこないし……。
1.3倍速に切り替えて見だした。
寒々しい風景に、いくらイケボの津田健でもあまりにゆっくりナレーションだから、しびれを切らした。
1.3倍速で「ごく普通の速度」と感じるので、本当にスローなナレーションで始まるのだが、そこで見るのをやめないでほしい。
……というかその数分で視聴をやめなくて本当に良かったよ、私自身。

見ていてリアルな冷たい風を感じる気がする描写。
いきいきして魅力的なキャラ(現時点では登場人物ほぼ一名+一匹)だけがおりなす第一話。
良質な短編映画を見たような内容の濃さで、ダークホースの圧勝です。
「原作よりもアニメのほうが良い作品なんてごくわずか一握り」
と先日ここに書いたばかりなのだし、事実そう思っているのは変わらないのだが、
この『不滅のあなたへ』は、そのごくわずかな一握りに入るんじゃないか、
と俄然、期待せずにはいられない。
別にすごいクオリティたっけー作画というわけでもないかもなんだが、人物が動くときの重心のかけかたが良くて、総じてアニメーション全般のつくりが誠実。その背後にちらちらと透ける、原作の良さ。
……多分だけど、このアニメ、原作に相当忠実に作っている。だからこその良さもあるよね?

とはいえ一切の前情報を入れていない、原作を知りもしない状態なので、今後どんなつまらぬ展開になるのかだってわからないのだが、たとえどんな展開になったとしても、この初回だけで既に名作の気配が。
ほんわり、かわいい絵柄で淡々と進むのに、着々と迫る悲劇的な予感。
──これぜったい……この少年が……んで……この狼が……だよね……?

狼がしょっぱな少年の家に入って「口がきけたならここにずっと居たいと言っただろう」的なことを思うんだが、(津田健がそうナレーションする)それは見ている私としても完全に同意で。
もうさ……この、サーミ民族がモデルになっているのかな?……と思わせる少年と、狼だけで、他のキャラとか要らないからさ……。このまま折々の苦難はありつつも、なんだかんだでうまくいってくれ……と祈るように見守るのだ。

派手な演出は一切ないけれど飽きさせないリアル寄りの描写が、美しくも過酷かつ素朴な世界で展開して、正直、続きを見て幻滅したくない、この一話で充分かも……
という気持ちにすらなった。


共通テーマ:アニメ