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*予告*noteで書き下ろし小説の連載を開始します [黒十字療養所出版部]

400字詰め原稿用紙換算枚数500枚ちょいの長編を、noteで来週から連載開始の予定です。

この小説の前身となる話を、400字詰め原稿用紙換算で250枚くらいの小説に書き上げたのが十年くらい前になります。

『カンパニュラの銀翼』でアガサ・クリスティー賞を受賞する前に書き上げており、商業出版で出せないか模索しましたが、良い線まで行くけれども(文学賞の最終候補とかね)なかなか出版までこぎつけず、寝かしておいた題材です。

この題材や登場人物をもう少しきちんと書きこみたいな……と、暇を見つけては思い立って、書き足りないこと、書きたいことを入れて書き直し、いちど原稿用紙換算枚数450枚くらいで完成させました。
そこでまた商業出版で出せないか検討しました。

大体、良い線までいくのですが、担当編集者が「良いですね」と言ってくれ、編集長に回し、あるいは編集部の編集会議にかける。そこでも「良い」と言ってくれて、広報に話がまわります。
ここで「NO」を食らうんですよね。
過去に出した私の本の売れ行きを鑑みると、リスクは負えませんね……という回答を。

これはもう商業出版で出すのは諦めよう……。
作品の質が劣るとかの問題じゃないので、私には働きかけ方がわからない。

商業出版で出すのでないならば、ちょっと遠慮していた部分、作中で触れるのに躊躇したトピックも、この際、もう少しだけ……。

という感じで、現在のページ数にまで至った小説です。
私の既出の著作物で比較すると、『コンチェルト・ダスト』より長く、『みがかヌかがみ』よりは短いです。

舞台背景は昭和24年秋、GHQ占領下の日本です。
ジャンルはやや純文寄りの幻想小説になるか。

商業出版での書籍化を今少し模索したい気持ちもありましたが、なぜnoteで連載することに決めたかというと、一つに、ちょっとだけシベリア抑留の話に触れる部分があるんです。
登場人物の一人がシベリア抑留から生還した人間なので。
その「ちょっと」を書くために無論かなり調べもした。

今たしかシベリア抑留を題材にした映画が公開されています。
「付け焼刃で、その映画を見てちょっとお話に取り入れてみたんだな」と思われたりしたら、さみしいかなぁ……と。
シベリア抑留は作中のほんの一つの例で、
「この案件、この題材、私は10年以上も温めていた……」
と、いくら吠えても、引き出しにしまっているかぎりは、お話にならない。
もう発表するほうが得策では、と思える瞬間が少なからず有ったからです。


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