SSブログ

クリームティー? [か行]

BSプレミアムでV6の岡田君がナビゲーターをしている『ザ・プロファイラー』という番組で、
アガサ・クリスティーを取り上げていたので見ました。

作品にはあまり触れず、アガサ・クリスティーの女性としてのありかたと作品とを結び付けていた。
さておき、番組内での、デボンシャークリームとジャムをのっけたスコーンが美味そうで、
頭から離れません。ほかの事はあんまり覚えてない。

スコーンにのっけて食べるのってクロテッドクリームじゃないの?
デボンシャークリームっていうんだっけ?
ググってみて、デボンシャークリームが、クロテッドクリームと同じものであると知った驚き。

んでもって、アメリカやカナダで私が食べたスコーン&クロテッドクリームのアフタヌーンティーは、
実はダブルクリームと呼ばれる、エセのクロテッドクリームらしいという屈辱!
(英国以外でのクロテッドクリームはダブルクリームという別物で、
本物のクロテッドクリームは本場英国でもめったに食せないと書かれていたのだよ。)

え、じゃあそのなに、ダブルクリームでも相当美味だったけど、いけませんか。え。

なんだろうこのかんじ、
「炙りトロが好き」と言ったら、
「きみがすし屋で食べてるそれは本物のまぐろじゃない、
本マグロってのは、そうそうここらの市場に出回っちゃいないんだ、
かわいそうに、本物を味わったことがないのだね。
まさかそれを、本マグロだと思っていたのじゃなかろうね?」
と言われるような屈辱ですよ。

このザ・プロファイラーという番組、
私が見たのはダヴィンチ、あと今回のクリスティーなのですが、
作品とか作者のバックグラウンドに出てくる食事の再現があって、
そのアプローチが興味深くて、おいしそう。
個人的には名作にちなんだグルメ番組的位置づけになりつつあります。


仮縫い [か行]

昨日、小説現代が手元に届いて、
小島文美さんの美しい扉絵と挿絵を拝見。

扉絵に人物が描かれなかったのって、私は初めてなのですが、
作中に出てくるキーワードだったり小道具だったりが
魅力的に格調高く配されていて、かっこいいです。
作中でいくつかの小道具がダブルミーニング仕立ての暗喩になっている。
世界観を二重構造にしてるんですが、
そこらへんを的確に再現してくださってあります。

ここは相当深読みしないとたんなる情景描写と見えるだろうなー、
と、そこはかとなく諦めていた部分とかも。
タイトルの回文が意味する、ぐるぐるめぐって終わりにたどり着けるか不安な感じも。

みがかヌかがみ、今回は150枚でいちおう話を締めくくっていますが、
最終章が『仮縫い』というタイトルであるように、
あくまで仮縫い、結んでいません。
おそらく単行本で続けます。



共通テーマ:

gai désespoir  [か行]

仕事が一段落ついて、
久しぶりにのんびりネット、うふふふ、
とか見て回っていたら、
Ali ProjectのオフィシャルHP(http://aliproject.jp/blog/index.html)で宝野アリカ(敬称略)が2013/1/9のブログにて『カンパニュラの銀翼』を言及している・・・・・・!

あの「アリカ様」が──アリプロの歌姫が『カンパニュラの銀翼』を今読んでいると?
あわわわわ。

東京で催された数年前のSF大会のとき、ステージ上のアリプロを見て、うぉおおおと思った、
その人が。

『コードギアス反逆のルルーシュ』のed『勇侠青春謳』と
『コードギアス反逆のルルーシュR2』のed『わが臈たし悪の華』をきっかけに知ってから、
その超絶ゴスな歌詞の語彙、世界観にノックアウトされて、
アルバムをごっそり大人買いしたアリプロが──あの歌詞を書いて歌っている宝野アリカ(敬称略)が!

わたしの本を読んでるのか!
う・・・・・・うれしい。
誰が読んでくれてもすごく嬉しいんだけど。
めぐり巡ってる感じがしてうれしい。

アリプロといえば、ごぞんじ歌姫の高い音域と、
秀逸な歌詞と世界観の、もろごっそりゴシックなのが特徴的なのだけれど、
そうでない曲も素敵です。

歌詞のない、インストロメンタルのgai désespoir という曲が『Psychedelic Insanity:サイケデリック・インサニティ』というアルバムの最後に入っている。
この曲を聴いて私は、
日没までつきあって』(SF Japan 2011 Spring初出)
という短編が即座にできたんです。

ファビアンが、日没までにおそらく死ぬであろう血だらけのアルトゥールを自転車の後ろに乗っけて、パリの陽だまりや裏通りの街並みを走るそのひととき、
不幸の間際にして擬似的な幸せであり、ぎりぎり瀬戸際のシーン──
gai désespoirという曲を聴いたとき、
その一連のシーンがよどみなく滾々と一挙手一投足まで脳内で自動再生されて、
感動してわたしは泣きそうになり(・・・・・・音楽の力ってばすごいのだ)
この曲をこのシーンに流して、なんならこの話で映画撮りたい!
と思いをこめて、ほぼ一気に書き上げたんだ。


ALI PROJECT - Gai Desespoir (instrument)
https://www.youtube.com/watch?v=TtYej7U0RT4

ちなみにgai désespoir とは、いたいけな喜び、
とか、
死守する歓喜、
痛々しい陽気、
捨て身の楽しみ、
とか、たぶんそんな感じ。

続きを読む



共通テーマ:音楽

脚色すると [か行]

SFマガジンのインタビューを目にした友人が、
《踏絵みたいだったね》
と、コメントをくれました。

踏絵ほど過酷でなかったけど、
両親のまん間で子供が、
「お父さんと、お母さん、君はどっちが好き? どっちかと末永く一緒に住むならどちらがいい?」
と詰問されるくらいの答えにくさはあった。

ちなみにこの場合、
お父さん=SF、お母さん=ミステリ、
(逆も可)です。

で、私は、ううう(泣)と、
おっとうの親族には、おっかあ似だと陰口を叩かれ、
おっかあの親族には、おっとうの血が出ていると煙たがれ、
そんなの仕方ないじゃん、両方の子なんだもん、

わたしは、わたしなのに、
ゴシックが恋人で、哲学が我が師で、(ついでに漫画と映画とアニメが親友で、純文学は幼馴染)
私は私なのにいいいい、

・・・・・・的なことをつまびらかに語っているという仕儀です。

「では、作中で一番思いいれの深い登場人物は」
という質問も、
「誰を一番手塩にかけて育てましたか。あなたにとって誰が一番かわいいですか」
と、同類項的なね・・・・・。

逆行性読書家 [か行]

すこし前に、『黒猫ギムナジウム』大好きです、とメッセをいただきました。
嬉しかった。

今、第2回アガサ・クリスティー賞受賞作『カンパニュラの銀翼』が刊行されたばかりで、
『カンパニュラの銀翼』絶賛売り出し中なのですが、
私は自分の作品に思い入れが深いのか、過去の作品がいつまでたっても過去にはならない。
作品はずっと自分の内で息づいたまま。とくに黒猫ギムナジウムは、続編があらかた脳内でしあがっているので(・・・・・・まだ文字には一文字もしていないのですが)
続きを読みたいとおっしゃってもらえるのは大変うれしい。
近々はむずかしいですが、いつか必ず実現させられたら、と思っています。
どうぞ気長にお待ちいただければ幸いです!

先週、第2回アガサ・クリスティー賞贈賞式がありました。
そこでも、中央○論新社のかたが
『カンパニュラの銀翼』は未読ですが『黒猫ギムナジウム』が大変面白かった、
とおっしゃってくださって、これまた意外で嬉しい驚きでした。

ですが『カンパニュラの銀翼』が受賞した贈賞式、『カンパニュラの銀翼』全面推しの空間で、
私は思わずあわてて「じゃあカンパニュラの銀翼も読んでください!」と、かぶせてしまった。
デビュー作で日本SF新人賞受賞作の『黒十字サナトリウム』は、『カンパニュラの銀翼』の引き合いに出されることは多くとも、みな『黒猫ギムナジウム』は素通りなので、実は、すごく有難かった。

デビュー作の『黒十字サナトリウム』のときから、無名な私の作品を読んでくださって、
『黒猫ギムナジウム』や、今回の受賞作『カンパニュラの銀翼』までついてきてくださった皆さんには、本当に支えられている気がします。

と同時に、今回『カンパニュラの銀翼』で私の作品にふれた方が、
『黒猫ギムナジウム』とか『黒十字サナトリウム』も読んでみよう、
と作品を遡って発掘してくださるのも、同じくらい嬉しいのを知った。
新しい作品を出すのは、むろん新作を皆さんに読んでもらいたい一心からなのですが、
既出の作品を埋もれさせないためにも実は必要だったのだな、と最近痛感しました。
トラックバック(0) 
共通テーマ:

『カンパニュラの銀翼』の見本到着 [か行]

第2回アガサ・クリスティー賞受賞作の『カンパニュラの銀翼』が来週10/24刊行されます。
見本が届きました。

51RS1Oy4NmL__SL500_AA300_.jpg

表紙絵は鈴木康士氏。
おずおずと・・・・・・いや実のところはかなりはっきり、
「かねてより八雲探偵の表紙絵がいつも書店で目に留まって忘れられなかったので!
あなたの絵をずっと見てました! 前から好きでした!」
・・・・・的なドキドキ告白をしてみたところ、
びっくり叶えられました。

もちろんお話を読んで描いてくださるのです。
(それは過去の『黒十字サナトリウム』の笠井あゆみ先生にしても、
『黒猫ギムナジウム』のmarucoさんにしても、全文読んだ上で絵にしてくださいます。
もうそれだけでテンション上がる、とてつもなく嬉しいものです。)

今回はさらに私が物語の世界観構築に使ったいろんなスクラップ的なイメージの断片を、
ああだのこうだの編集部を介してお伝えしたところ、
随所に取り入れてくださった形で、しみじみと嬉しいです。
シックで美麗、だが決して華美すぎず、端麗です!

12-10-18_001.jpg
(画素数が高いとSonetさんはアップロードできないので、
携帯で取っているせいもありなんかぼやけて反射しててすまぬ)

構図的に十字架っぽくしてくださっているのは私がお願いしたわけではなく、
鈴木康士氏のもともとの発想からで、ゴシックな空気感を再現してくださったのだ!

裏表紙にひるがえっている黒いマントっぽいものに埋もれるようにしてさり気なく見えるのは、
女性の裸体の背中です。ええあなたの見間違いではない。
よく見ないとわからない騙し絵ふうに上品に存在感があります。
(携帯写真だとわかりにくいが、実物の表紙絵はもっと艶めかしい陰影がクリアです。)

『黒十字サナトリウム』が出来たときも、なにしろ初めての本で興奮したし、
『黒猫ギムナジウム』が出たときも・・・・・黒猫は形にするまでに紆余曲折あり、3冊で出す予定が一冊になったり刊行日が大幅に幾度か変更になったりと、ヒヤヒヤ懸念材料が多かったので、本当に本になったんだー!と、感慨もひとしおでした。

今回は、とにかくなにもかも装丁のすみずみにいたるところまで、できるかぎり作品の世界観を反映した本になった満足感でいっぱい。
この完成度を皆さんにいち早く届けたい。澄みきったおもい。

今までの本は、レーベルが決まっており・・・・・・つまり本のテンプレートが既にあった。
その中でどれだけ私らしい色をだせるか。作品の世界観や空気感をわかりやすく提示できるか。
それだけでも充分に試行錯誤の余地があり、デザイナーさんや、絵師のかたの力量が発揮されてめざましかった。プレタポルテのセミオーダーみたいな感じです。

今回は、なにもかも一からできる。オートクチュール。
つまり、タイトルの色、タイトルの配置、帯のデザイン、表紙の色、レタリング、フォントサイズ、
なにもかも『カンパニュラの銀翼』のためだけに決められる。
それゆえに、私の意向もすみずみまでお伝えできるし、出来るかぎり叶えていただけた。

タイトル字の色にかぎっては、私と、それから大げさでなく早川書房の多くを巻きこんで迷って、
(早川書房の社長まで巻きこんでまで迷って)
そのなかで皆が納得できた一番良いものが形になったと思います。
本作りにおいて、物理的な本の装丁の部分までいろいろ関われたのは初めてでした。

そんな私も、表紙を外した本の本体には漠然としたイメージしか描いてなかった。
既にいろいろ満足していたので、ほぼ関与していなかったのですが、
今日、届いた見本をめくってみて、
鏡かしら窓なのかしら、このデザイン私の好みど真ん中、ド直球。
シックでエレガントだ!

12-10-18_003.jpg
カバーを取った表紙
本のタイトルが英語で入っています。
カンパニュラの花の色をそこはかとなく想起させます。

12-10-18_004.jpg
カバーを外した裏表紙
著者の名前がアルファベットで入っています。

背表紙もシルバーで、横字タイトル。完璧に美しい。
12-10-18_005.jpg
白熱灯を当てて撮ったからオレンジっぽい陰影が入ってますけど(笑)

表紙カバーと、カバーをとった本の装丁と、二度おいしい装丁って、前から夢だったんだよ。

それから本を開いた中の扉表紙(・・・・・・とよぶのか?)、
そのつや消しの光沢感とか、透け感とか、文字の配置、縁飾りとかも、
すみずみまでいきとどいて作品の世界観が反映されているのです。

☆文面は、二段組でなく、初の一段組みです!

トラックバック(0) 

香水風景 [か行]

いい香りは誰でも好きなものですが、
個人的に、食事をするとき邪魔になるたぐいの『香り』が苦手で、
私にとってはDiorとかのゴージャス系は、
ややもすると敬遠したくなる、香りに悪酔いするかんじ。
にもかかわらず、Diorの香水のCMがいろいろツボすぎて満腹感。


DIOR "Midnight Poison" Commercial - Eva Green

エヴァ・グリーンという女優は映画『キングダム・オヴ・ヘヴン』のときから、
私からすると「第二のイザベル・アジャーニだ!」という感じで印象深く、
007のヒロインを演じたときも「やっぱりこの女優さん好き」と思ったのだ。
くわえてこの青!    
Museの曲も好きでこのCD擦りきれないよね? ・・・・・・ってくらい聞いたもので、
それら私の「好物」を、ゴシックなテイストでひっくるめて仕上げてあるんだから、もう降参です。



Dior Homme - Un Rendez Vous (by Guy Ritchie starring Jude Law)

この音楽もMuseです。このCMでなにより美しいのは車・・・・・・。
一見すると車のコマーシャルかと・・・・・・。
ジュード・ロウはイケメン、女性モデルも美しく、
だから監督ガイ・リッチーは、
彼ら、もともと美しい人だからべつに美しく撮ろうとかへんな小細工しなくても美しいよね、
とばかり、それより車を綺麗に撮ろうっと! という目線が伝わってくる気がする。

『僕が何者かわかるかい、僕がどこにいたか知っているね、僕も君が何者か、どこにいたかを知っている』
という電話から始まります。
女性が、まるでジュード・ロウの傍らにいるかのような存在感で、
じつのところ電話越しに『二人の私に会わせてあげるわ』
ってなセリフをぬかす。
『もう一人は悪い子のわたしなのよ』
これは男女間におけるイケナイ女、というセクシーなニュアンスを意図しているようで、

『私はとてもこわいわ怯えているのよ』
『こんな電話に出たことを後悔させてあげよう』
だの、二人は意味深な会話をひたすら繰り広げます。
思わせぶりな腹の探りあい。男女の会話に聞こえなくもないが、内実はたぶん違うフィルム・ノワール風。

女のお膳立てにそそのかされて、
電話を切ったジュード・ロウは待ってましたとばかり、ばっちりとめかしこみ、
自分自身の男前ぶりに苦みばしったナルシズムで酔いしれるように、
浮かぬ顔をしながらも、足取りはホイホイと軽やかに出向いていくのだが、
美男美女のランデヴーにもかかわらず、なぜかロマンチックじゃない。セクシーでもない。
さすがガイ・リッチー作。

『あなたは私をわかるかしら、見つけられるかしら』
という女に対して、
ジュード・ロウが、
『あとほんの少しで見つけられるさ』
とこたえる関係性は、
・・・・・・君の本性などとっくにお見通し、嗅ぎつけている、
というニュアンスなのだが、
香水のCMなので『どんな変装をしていても香水で分かる』(それがDior)
ジュード・ロウは、女の罠に気づいて出向いている。
両者が香水でめかしこむのがまさに「武装」

アクセントのある英語で話す東側のこの女スパイ(?)も、
香水を手がかりにジュード・ロウが自分を見つけ出すことは、当然お見通し、
むしろ香水は撒き餌、待ち受ける女のほうがやっぱり一枚上手なのか・・・・・・。
女性が、かっこよくメンズの帽子を被って登場し、素肌に着込んだコートの襟元がはためくとき、
あ・・・・・この女、マジで勝負に来ているぞ。
つまりコートのポケットに突っこんだ女の手は、拳銃を握っているはずで、
この駆け引き一触即発。
どうなるんだジュード・ロウ!?
と深読みできるドラマがあります。続きが見たい。



Charlize Theron Dior Commercial 2011 New Sexy TV Ad J'Adore Dior Parfume - Rue Faubourg Music 2011

グレース・ケリー、マリーネ・デートリッヒ、マリリン・モンローと、
シャリーズ・セロンが共演です☆

トラックバック(0) 

(今日で21周年)・20周年ラルク追加公演@国立競技場5/26(土曜) [か行]

ラルク追加公演@国立競技場5/26はすごく楽しかった。
ひとつ前のブログを読んだ知人が、
「あなたは日産スタジアムのほうが良かったようですね」
とメールをくれて、焦る。
いや楽しかった、ただあまりラルクのライヴで舞い上がってて熱いことばかり書いてもね、
こいつラルクが絡むと痛い奴だな、となるので、クールを装ってみただけのこと。

ライヴの2~3日前に私は階段でかなり派手に転びました。
5人くらいでランチに行き、ランチが終わって、さ、戻りましょうというときに、
暑かったので日傘をさし、階段を降りかけてぐらっと踏み外す。
たぶん眩しくて、うわ……暑い……眩しい、と思った瞬間足元がおぼつかなくなったんですが、
正座?……お姉さんすわり?……膝小僧で5段落ち。

大丈夫!?
と驚かせ、あるいは白けさせかねないわけで、
大丈夫ですー! 行ってください恥ずかしいありえない……
と答える私だが、みんなも転がってる人をおいては立ち去れないよね。
私も、置き去りにされたら、それはそれで、たぶんショゲたであろうかと。
ただ、立ち上がりたくても、痛くてすぐには立てなかった。苦笑い。

怪我はなく、ぴんしゃんしてはいましたが、
翌日には、膝から足首まで両足に、階段に虐待された跡が赤黒く……あるいは黝く、
レールのように走っていて、これがちょくちょく、けっこう痛む。
ところがラルクのライヴ参戦中、3時間ちかくずっと立ちっぱなし、バウンシングしっぱなしなのに、
嘘のように痛くなかったです。

……あ、私、精神論は大嫌いです。
精神論って、どうしてか第二次世界大戦の日本の大和魂みたいな、逆行論なんだろう。
戦場なんて、寝食おぼつかないし、衛生状況最悪だし、
仕事内容だって穴掘ったり人殺したり死にかけたり死んだりで過酷すぎ、
モチベーションが上がるわけなかろう。
軍隊なんてパワハラがデフォルトだし、
たとえ母国愛とか大和魂とかで気合を高めていって100%の実力を出せる気概があっても、
相殺してモチベーション・マイナス-200%なわけで、
軍というのは、兵士のモチベーションがマイナス―200%のときに機能する戦略がなければ、
絶対に戦争に負けるのである。大本営は頭が悪すぎ。

……なんですが、楽しいこと、好きなことをしていると苦痛がすっ飛ぶ、
という精神論は個人的にアリです。

追加公演で、まったく別メニューを企画して、演出を作りこむなんて驚きなので、
この、いたずらまでに労力やら色々をつぎ込んでくれる感じが嬉しいかぎりでした。
たぶん、あれだけ大物になろうとも、そんなにやる意味ない、みたいな逆風もすごいだろうなあと思う。
そんだけ凝ってくれる職人気質だから、全然飽きがこないで、
20年続いてまだますます人が集まり、
往年のファンから新規の若いファンまでもついてくるんだなあ、としみじみ思いました。

ではざっとライヴ自体の感想を。

国立競技場は、味スタや日産スタジアムに比べるとやはり古くて、座席が狭い。
座席に背もたれがないのは驚いた。
階段とか通路とかがいちいち狭い。
というか、味スタや日産スタジアムの設備の使い勝手の良さ、新しさ、美しさは異常。
日産スタジアムのトイレなんて、ピッカピカでホテル並み。数も多いので行列もすぐに解消。
国立競技場のトイレは、入らなくて済むなら入らないほうがよさそうで、私は入らなかった。

聖火台はやはり素晴らしい。
それと5万人強の収容人数なので、かなり近い。
最初、始まる前にメンバーがパレード風にぐるっと車でアリーナをゆっくり一周。

私はアリーナではなく、スタンド席でしたが、
まだ明るいし、各人とアイコンタクトがきちんと取れます。それくらい近いんで、一体感があります。
これは観客にとっては、きゃぁあああ、という感動ものなのだが、
後半、個人的には、ダレてきて、
いいからもう少しスピードあげて、早く演奏をはじめてください……という気分でした。
ライヴへの期待値の高さのあまりにですよ。

yukki-(ドラム)がものすごく淡々とパレード車に乗っていて、
別にクサクサと苛立った雰囲気は見せない、
こういうの苦手、っていう露骨な表情も見せずに、涼しい顔をしていましたが、
内心で、はやくドラムにさわらせてくれまじでドラムドラムドラムという感じが見受けられました。
パレードが終わるといち早く車から駆け降りて、
ステージ上のドラムに足早に駆けより、メンバーを待つか待たずかして、ズンズン叩き出した。
それなりに愛想良く愛嬌をふりまいていたhydeをはじめとするメンバーも、
ドラムが鳴り出すと俄然、スイッチが入るのが、見ていて気分が良かったです。

1. READY STEADY GO
2. GOOD LUCK MY WAY

最初、乗りのいいのをガツンとやって、一気に競技場が盛り上がりました。
どっちもハガレンの曲。
曲調も、曲のイメージも、世界観も当然重なるので、私はいつもちょっと混同し、
あれ、またハガレン?……さっきもやらなかった?
となるので、2曲続けてやってくれて良かったです。

GOOD LUCK MY WAYでhydeが間違えました(笑)

hydeが作詞してhydeが歌う、曲によってはhydeが作曲もしてるので、
ふだんhydeが歌詞違ってたとかいうのを見かけても、
私はまったく気がつかないし、というか、それは歌詞カードのほうが間違ってる。
ライヴ会場での曲は生ものだ。が、今回は、
遙かな虹を超えて~♪
グッドラックマイウェイ信じる道へー♪

この「遙かな」のところで、「グッド……」と歌いかけ、
そのまま突っ走って歌っちゃうと、曲が早く終わっちまう、と、明らかに修正したんで気づきました。
グッド……(うっわ)……かな虹を超えて―♪
攻める調子でうたってたhydeが、やっべ!という顔をしてメンバーの顔をちら見し確認、
メンバーは全くの平常運転で、いいからそのままついてきちゃえよhyde、
というのを、はじめて生で目撃した。

パフォーマーの意地と素顔がチラッと垣間見れて、かえって感動的であった。

3. REVELATION
4. HEAVEN'S DRIVE

このへんはノリノリのロックでガンガンいきました。

5. Vivid Colors

たしかこの曲だった、演出の花の映像がすごくきれいで、拍手が巻き起こる。
個人的には、この花の演出を、日産スタジアムのwild flowerでやってほしかった。

6. In the Air
昨年演奏した味スタで雨だったから、リベンジ、ということで。
(快晴の空を飛翔する疾走感――がある曲なので)

7. 風の行方

この曲、かなり古いので私はほとんどなじみがなかった。
私はhoney・花葬・浸食の3曲が出てきたときに、たまたま留学から帰国していてラルクを知り、
それ以前は存在すら知らなかったので、以前の曲はアルバムをちまちま遡って聞いてはいるが、
わりとさらりと流しているらしい。
いい曲だった、とてもよかった、もっと聞きこもうと心に誓ったのだが、
翌日夜に日曜のセトリを見て、若干落ち込んだ。

日曜日は、ここで『夏の憂鬱』をやったんですね……。
聞きたかった……生で、夏の憂鬱を聞きたかった。
ラルクが夏という言葉を唯一出して……それが憂鬱ってところがたまらなくはまったのだ。
夏といったら憂鬱。眠りを忘れて翼をなくして僕に憂鬱がふりつもる、という中身を、
メランコリックに、懐メロ的曲調で(語幣があるけど後期のチェッカーズっぽい曲調で)
歌いあげてくれるのが好きだった。

hydeは子供のころ、これ以上夏が暑くなったら死のうと思ってたらしいですが、
私は夏に死のうとは思いませんでしたが、
これ以上夏が続いたらもう生きていられないとは毎年毎日思っていました。
おまけに身近に夏大好き夏生まれがいてこれが非常に……夏になると100倍元気=無茶苦茶。
私は当時、全身全霊を傾けて、夏の絶滅を願っていた。
夏に向けたこの時期に、憂鬱だと歌ってくれるなんて、非常に聞き逃した感が募りました。
(ちなみに『夏の憂鬱』のPVは個人的にちょっと……。
当時の時代のせいなんでしょう三文昼ドラ仕立てというか……。)

8. MY HEART DRAWS A DREAM

演出の映像がすごくきれいで、空をめぐる爽快感があった。
PVの映像をもとにしているのかな?
競技場全体でコーラスです。
フランス公演のときに、この曲で会場とコーラスしててえらい盛り上がっているのをテレビで見て、
そんなもんかしらねえ、と思っていたけど、実際にやると感動大会。

(そういえばTravisのCloserのときもそうでした。
コーラスは傍から見るとアホっぽいかもしれないが、やると一体感がすごく出ます。)

9. Driver's High
ノリノリ
たしか火焔演出がすごかったのはこれ。(どうしてこんなにも具体的に思い出せないんだ。)
荒れ狂う楽しい気分に。

10. Caress of Venus

この曲じゃなかったかもしれませんが、どれか一曲、ものすごくなにかバックの音が欠落している、
あるいはなにかの音が(ドラム?)やたら大きくて、
機材の不調なのか曲のバランスが偏って、違和感がありました。
hydeがきれいに歌っていたので、惜しいな、と思ったような。

11. SEVENTH HEAVEN
12. いばらの涙

いばらの涙はライヴだと本当にかっこいい。
ステージ上に、小さなかがり火を半円状に6か所くらい焚いて、
その内側でhydeが歌ったんですが、
魂を悪魔に今まさに持っていかれる感じの曲なんで、火が合う。
この歌詞はなんとなく、オスカーワイルドの『ナイチンゲールと薔薇』の話を彷彿とさせます。
小鳥(ナイチンゲール)が愛する相手に赤い薔薇を届けるために、
白薔薇の棘に心臓をつきさして、薔薇を真紅に咲かせる話。

13. C'est La Vie
14. Shout at the Devil
皮肉屋のノリが好き。

15. Pieces
アリーナ内の正方形の特設ステージで。
大きいステージのほうにはミラーボール演出で、
競技場内キラキラした破片が、水中の灰のようにめぐります。きれい。

国立競技場はスクリーンが正面にしかないので、特設ステージに目をやると、
バックスタンドにいる人以外は、スクリーンが見れない……。
スクリーンを見てると、特設ステージのメンバーの演奏が見えない……。
日産スタジアムはバックにも大きなスクリーンが設置されていたので、親切でした。
国立競技場は聖火を焚くから、背後にスクリーンを設置できなかったのだろう。

16. HONEY
アリーナ内の正方形の特設ステージで。

17. NEO UNIVERSE
18. CHASE
19. XXX
20. Link
21. 虹

第二部?……アンコール……?が、
私としては、ラルクらしい! ラルクの真骨頂と感じる硬派な演出のラインナップ。

比較すると、背景演出の映像は、
日産スタジアムでは、ロックなテイスト全面押しだったので、
今回のほうが私は好み。
PVのイメージをわりとそのまま活用している感もあり、
(Heven's Driveなんて、ところどころ、もろミュージッククリップ)
良くも悪くも曲のイメージが崩れない。

照明は日産スタジアムが断然よかった。これはおそらく施設の設備的な関係もある。

特設ステージに移る前だったか、yukki-のドラムがすごかった。
yukki-のドラムソロが凄いのはまあ有名といいますか、
すごいよねーだよねーといった感じで日産スタジアムのときは流してたんですが、
今回は気迫といい。終わった後、競技場内、すげぇ……すごい……と、どよめきが。

観客の進化度も、めざましい。
Chaseで、日産スタジアムの時は普通に聞いていたのに、国立では、
“I' m chasing you!”
と……コーラス? 掛け声?
を入れる仕様にいつの間に変化してました。
hydeがマイクを傾けるでもなく、ここ数週間のうちによ。

MC
kenの毎度恒例の、ほのぼのした下ネタが封印でした。
月曜日にめざましテレビでラルクのライヴを3分ほどやっていた。
土曜日の公演だったように見えた。
テレビが入っていたから、その点は、おしとやかめに、ふるまったんだろうか?
あるいは、あ、そうだメンバーの親族が来てたからだ。

hyde
「20周年っていっているけど、本当はもう21周年だって……気づいてた?」

……気づいてた。

「まあ、自由気ままなバンドなんでね、勢いのあるうちにやっとかな……」

会場全体、大失笑です。……あはははは……。

「あ、でもここまで来れたんでね、このやり方が一番あってるんだと思います」

yukki-がhydeを指差したのがスクリーンに映し出されて、観客が歓声をあげますと、
hydeが気づいて振り向いて、「なんだこれ、こういうの漫画の1シーンみたいな?」
と笑ってました。

あとまあTシャツネタをめぐるささやかなメンバーのやりとりで、
tetsuyaがわりときれいに落ちをさらっていきました。
「え、だって俺が落ちでしょ、むっずかしいな……」
「なんかすみませんね、流れで、ちょっと(オチを)お願いしていいですか」
というオチに至るまでの些細なやりとりが愉快であった。

全体を通していうと、
チャラい飾り(チアもろもろ)は特にいらない、
ステージ上では本物のアーティストだけで勝負できるんだからそうして、
あと――短い!
21曲が本当はかなり多いのはわかっている。
MCなんて極力なくて、歌いっぱなし演奏しっぱなし、密度が高い。
これ以上やると、ぶっ倒れるかもしれない(……観客も)というのもわかる。
緩急があるので、非常に楽しくノリがいいのだが、その分、あっつう間。
どっぷり浸れる猶予が少なく、贅沢を言うならば、短いですあと3曲やってください……。

トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

計画停電が計画的に行われない件について [か行]

状況が状況なので停電するなだなんて思ってやしない、
むしろ「ヤシマ作戦」に賛同・協力をはばからない。
原発に関してかねてより私が漠然と募らせていた不満を、
いま誰かやどこかにぶつけたってはじまらないし、
だけど計画的に、せめてどこが何時から停電になるのかは的確に事前に予告してくれないと。
地震という不測の事態にくわえて、人為的に不測の事態が引き起こされると身動きがとれない。
トラックバック(0) 

「この世の果て」ってあったよね [か行]

豊悦演ずるの信長(兄)と、鈴木保奈美のお市(妹)が、妙にしっくりくるんだが、
これは……単に大河ドラマで数回顔を合わせ、じゃ、
戦国時代の兄と妹これからやってくださいね、はーい、
という演技以上のものがある気がする。

いや、それがプロの役者さんの仕事であり、腕なのだが、なんか視聴者(私)の受ける印象として、
それ以上の人間関係みたいな旧知のイメージがよぎるんだが、なぜなんだろう……。
と思いながら、大河ドラマの初回だけは、いつも一応チェックするので、
なーんとなく見てたのだ。で、思い出した!

『この世の果て』だ!

すっきりした。
野島伸司のドラマですよ。15年以上くらい前の。当時見てたときは10代だったし、
今見て良いと思うかは、全くわからないけど。
三上博史がスーパーピアニストなんだけど事情でピアノを弾けなくなってて、
鈴木保奈美は、桜井幸子(妹)を盲目にしてしまった姉さんで、
豊川悦司は金持ちの一見厭味な男なんだが実は見所のある人物で。
横山めぐみが、どビッチのすさまじく嫌な女の役で、
対する秋元奈緒美がクールだが弱さもある美女で、
鈴木保奈美と秋元奈緒美の友情が、かっこよかった、ってな記憶がある。

覚えているシーンは、三上博史がピアニストたる大事な手に、
ワイングラスをグサッと自分で刺す場面と、
鈴木保奈美が、豊悦のヘリコプターから、ウェディングドレス姿で飛び降りるシーンか。
尾崎豊のOh My Little Girlが主題歌で。

その作中で、鈴木保奈美と、豊悦の人間関係……きわどくも理解しあい、敵でもあるような、
こいつのためにあっちにつくとか、あいつのためにこっちにつくとか、そんな感じのやりとりが、
根強く眠ってしみこんでいたので、
今回の信長と、お市が、やけに懐かしくもあったわけだ。
トラックバック(0) 

カイロギャングと十二使徒 [か行]

ちょっと調べものをしていて、
「マイケル・コリンズ (映画)」について、ウィキペディア(日本版)を読んでいた。
これ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BA_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

すると、
「コリンズはカイロギャングを組織し、イギリス側の主要人物を殺害するが」
という文章が……!

ちがう! 間違ってます!

正しくは、
カイロギャング=イギリス側の主要人物
コリンズは、カイロギャング暗殺の指揮をとり、
暗殺執行部隊として「十二使徒」を組織。

……なのです。
ウィキペディア情報では、暗殺する側と、暗殺される側が、しっちゃかめっちゃかになってます。
日本でいうなら、新撰組と奇兵隊を、とりちがえたような感じですよ!

さっきの一文は、
→コリンズは「十二使徒」を組織して、イギリス側の主要人物「カイロギャング」を殺害するが、
と、正すべきよ。

だれか、ウィキペディアの「編集」に詳しい人、なんとかしてやってくださいませ。

他力本願でなくてお前やれ、って感じなのではあるのですが、
正直、ウィキペディアの「編集」にサインアップするのは、びびってしまって……
私は出来ません。ごめん降参。

ちなみに「カイロギャング」ってのは、敵対するIRA側が名づけた呼び名らしい。
その英国人連中、ダブリンの「カイロ」という名前のカフェで、
しょっちゅう会合していたから(英語版Wikipediaによれば)。

カイロで功績をあげた軍人上がりの諜報員が居たからだって説もあるようですが、
カイロというカフェで会合していた連中、という見方のほうが現在では有力なもよう。

いっぽうIRA側が、身内の暗殺者先鋭を「十二使徒」って呼んだのもすごい。
「十二使徒」をたたえるのって、基本的にプロテスタントは、やらない。
アイルランドはカトリック国家です、
ざっくりプロテスタントなイギリスと一緒にするな、
という、敵対心丸出し&天誅なネーミング。

この両者を、
ウィキペディアの「マイケル・コリンズ (映画)」のページが、ごっちゃにしちゃったのは、
英国側「カイロギャング」が、12名暗殺されたせいかもしれません。
(日本語情報だと15人って出てきたりもするが、英語情報だと12名が一般的。)

アイルランドの暗殺部隊「十二使徒」が12人構成だったかは定かじゃない。
むしろイギリス側の12名に「天誅」を下した「使徒」。ゆえに、「十二使徒」なのかとも想像できます。

トラックバック(0) 

子狐のぼうし(夏目友人帳) [か行]

『夏目友人帳』の「子狐のぼうし」のエピソードが好きだ!

いいじゃん好きなんだよ仕方ないじゃん子狐がかわいすぎるんだ、うっかり癒されちゃうんだよ。
子狐が、夏目に会いにいくため町に下りて、途中で踏み切りをわたるときなんか、交通事故に遭ったりするんじゃないかってもうハラハラしっぱなしよ。
子狐が、幸せそうな夏目、一家団欒の図をのぞき見るにいたり、内心ではショックを受けつつも、
……良かった夏目。楽しそうだった。
って、とぼとぼ引き返すところなんか、うぉー気づいて夏目、はやく追いかけなさいって! 
気が気でなくなるわけなんだ。

そのエピソードが今日(正確にはもう昨日)午後5時半から再放送のはずだった。
わたしはちゃんとタイマー録画をセットしていったのだ。

ところがだ、帰宅して楽しみに再生したら、舛添さんが新型インフルエンザの会見しているニュース番組やってるのよ。おーのー。

あーきっと30分遅れで放送したんだ。なんてこと。ささやかな楽しみをー!
DVDを購入しろという、製作側の思し召しか、あ?

と、ひがんでいたのですが、今やってる番組、テレビ番組どおりです。
ということはあれ? 来週に持ち越されたんですね?
わかってらっしゃる!
テレビ東京わかってらっしゃる!

と、一喜一憂したのでありました。
トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

ガシックでサナトーリアム [か行]

そういえば先日、友人の結婚式でカリフォルニア(LAエリア)に行ったとき、リハーサルディナーで結構いろんな人と話す機会がありました。

どんな小説を書いているの? と聞かれてまずサイ・ファイ(Sci Fi)と答えると、
ゴジラ? もすら? ジャパニーズのSFとくれば巨大モンスター!
という陽気なリアクションをされがちなので
「ゴシック小説です」
と答えると一瞬、……?
という間があいたのち、オォー! ガシック!
そうです、ゴシックじゃなくてガシックと読むのでしたね。ゴッドをガッドと発音するのと同じっすね。
「黒いレインコート着たひとが出てくるような話のことでしょ?」
「そうです」
「で、出てくる? 黒いコートを着た人よ」
「はい。出ます」

まだまだ聞かれます。
「どんなタイトルなの」
「えぇと、英訳するとブラック・クロス・サナトリウムでー」
ぬ?
という軽い混乱がよぎるので、サナトリウムという語があんまり馴染みじゃないのかなと(実際あんまり馴染みじゃない)「Sanatoriumというか、まあAsylumというか」
サナトリウムより、もうちょっとすさんだイメージの語に言い換えると、あ、わかった、とみんなの顔が一瞬曇ったあと、
「オォ、それってサナトーリアムね」 
あ、はい。サナトーリアムです。サナトリウムとかいってごめんなさい。

んで、ここからアメリカ人のリアクションが良すぎです。
ワーオ。不気味。不気味ー、不気味ー、ひょっとして、もしかすると宗教的でしょ。うわー。
タイトルを言っただけで、Creepy! という言葉を多発されます。んでこれ、リアクションとして大いにあっていて、感触が良すぎなためにむしろ面食らう私。ちなみにそこは教会です。友人が教会員で、周囲の人もまあもれなくそうなんです。黒き十字架……黒十字と言うだけでためらいがちだった私は、いや……あのいくらか哲学的かもしれないですが。

こわーい、
と、ウキウキされたり、やばそうって顔を露骨にされたりするので、「いや、でも待って! 美しい話なんです」
と、自分で言う羽目に。
「そうよね、そうでしょうとも、ガシックだから美しいでしょう。英語に翻訳されてるの?」
「いえ、今の所そんな話は全くありません」
「されたらいいのに」
「I hope so!」 ……だといいんだけど! と、やけっぱちに答える私。

「何ページあるの?」
「382p!」

力強く答えたのですが、あとで帰国して念のために確かめたら『黒十字サナトリウム
364pでした。
トラックバック(0) 
共通テーマ:

吸血鬼の頭蓋骨発掘事件 [か行]

こういうニュースを見ると、まあ当然ちょびっとテンション上がります。
ニュースはこちら。
=================
イタリアで「吸血鬼」の頭蓋骨、見つかる

 [ローマ  12日 ロイター] イタリアの研究グループが、ベネチアで女性の「吸血鬼」の頭蓋(ずがい)骨を発見したことが明らかになった。骨が見つかったのは16世紀に流行した疫病の犠牲者らを埋めたラッザレット・ヌオーボ島の集団墓地。
 この頭蓋骨の口の部分にはれんがが挟まれており、当時「吸血鬼」と疑われた遺体に対して施される行為と考えられている。

拡大写真
http://ca.c.yimg.jp/news/20090313145432/img.news.yahoo.co.jp/images/20090313/reu/20090313-00000730-reu-int-view-000.jpg

 発掘調査をしたフィレンツェ大学の法医考古学者マッテオ・ボリニ氏は、この発見により、中世では疫病流行の背後には吸血鬼がいると信じられていたことが裏付けられたとしている。
 ボリニ氏は、ロイターの電話インタビューで「考古学の発掘調査で吸血鬼に対する悪魔払いの儀式が明らかになったのは、今回が初めてだ。吸血鬼伝説がどのように生まれたのか知る手がかりにもなるのではないか」と話した。
=================

このニュースはまずタイトル勝ち、ですね。
吸血鬼と認識された頭蓋骨、というところを「吸血鬼」の頭蓋骨!!と銘打ったところがキャッチー。
「吸血鬼」とカッコ付けにしてあるところが、心憎いではないの。

ヴェネチアは北イタリアで、同じお国のローマよりも、オーストリアやスロベニアのほうが近い。やはり発想が東欧がかっています。「ヘタリア」でもベネチアーノとロマーノの性格が全然違って、ベネチアーノはオーストリアさんの召使・小姓をやってハンガリーさんと暮らしてたりしていましたね。

さて、集団墓地と記されているラッザレット・ヌオーボ島ですが、このちっさい島は、もとは伝染病の隔離地域。疫病患者を船で運んで、死んだらそこで埋めた。ゆえに疫病犠牲者の集団墓地という、口をぬぐったような言い振りをされるわけだ(……「黒十字サナトリウム」の四章と六章を読んだ方はお見通しかと思うけど……笑)。

ロイターの英語の原文を読んでみると、はっきりと、「黒死病患者のサナトリウムであったラッザレット・ヌオーボ島はベニスから北東3キロ(2マイル)に位置する」と記されています。

日本語訳のニュースだと、写真が一枚しか載っていないのだが、ロイター原文にはこの写真もついていて、集団墓地発掘現場をよくあらわしています。

http://www.reuters.com/resources/r/?m=02&d=20090312&t=2&i=8616547&w

さてここで混同しがちなのが「吸血鬼=黒死病を具現化した、疫病の象徴」みたいな認識だが、疫病とくにペストは、白い服に白髪で骸骨顔の老婆の仕業、とかいうのがもっぱら。白い悪魔のもたらした黒死病の犠牲者は、吸血鬼になるのではと、んでその吸血鬼により被害が広がるのではと恐れられたりしたわけなので、「黒死病≠吸血鬼」です。

トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

Canone Inverso [か行]

『カノン・インベルソ』2000年イタリア映画。*1
音楽はエンニオ・モリコーネ。
原作はイタリア生まれの作家が書いた小説らしい。未読。*2
物語の舞台は、チェコのプラハ。*3
役者はほとんどイギリス人。ガブリエル・バーン、ハンス・マセソンなど。ヒロインはフランス人らしい。
言語は英語。英語タイトルはMaking Loveっていう陳腐なのになっている。

イタリアの賞を数々獲っているみたいだけど、国際ぶりが激しいので、誰が見るんだ、ということになったのかおそらく興業的には失敗だったのだ。なにしろ日本に映画が来るはおろか、アメリカをはじめどこのアマゾンでも、アマゾンUKでもとにかくDVDが手に入らない。無い! 公開当時はいざしらず、少なくとも今は無い。

私は「チューブ・テイルス」でハンス・マセソンを見て、おっ!となってから、この映画をずっともうやみくもに探し回っていた。で、アメリカのamazon.comのマーケットプレイスに、一枚DVDが出たのだ。ロシア版の。

即購入。

海賊版とかでない、ロシア市場にきちんと出回っていたれっきとしたリージョン5のDVD。(ボーナストラックに入っている予告も全部ロシア映画)。売り手は在米ロシア人を見込んで売り出したみたいだった。それを日本から私が即ゲットしたわけだが、当然パッケージも全部ロシア語。再生メニューもロシア語。「PLAY」がNPOCMOTP……かそれに限りなくちかいアルファベットで、ああもうわかりっこねーや、となり、メニューで言語設定を選ぶまでに至らず。もともと英語の映画なので、始まればわかるはず。

と思ってとにかく再生したら、吹き替えの階層だったらしく、ロシア語で始まりました。
始まっちゃったのでとりあえず見始めた。

そしたら驚きなのが、ロシアの吹き替えというのは、弁士なのです。
一人の人がずーっといろんな人の台詞を吹き替えて喋りまくるのです。
女性すらも、モブとかだと男の声でやっちゃいます。一緒くたがすぎる。
会話を延々一人の男が途切れなしでしゃべるわけで、もう誰が話してるかわからないや。

と、ならないためにこれまた驚きなのが、オリジナルの台詞が消されていない。吹き替えなのに。映画なのに。
ちょうど、世界びっくりニュースみたいな番組で、もとのオリジナル言語のインタビューに日本語をかぶせる、あれです。映画なのにですよ。二度言いますが。
でも、そうしてくれないと、一人の人が喋り続けるので、キャラ分けもへったくれも無い。青年も老人も貴族も貧乏音楽学生も教師もパトロンも、みんなひとりのおっさんが喋るのですから。

女性も一人です。憧れのヒロインも、貧しく美しく若くして死んだ愛すべき母親も、親友の母君……金持ちでプライドの高そうな貴婦人も、その使用人も、全部ひとりの女性がふきかえています。

日本昔話状態ですよ!
市原悦子と常田富士男が全部やっちゃうあれ。

これはこれでありだな、と思えなくもない。英語の階層を無事探し当てて、見終えた今だから言えるけど、けっこういいかも。なまじへたくそな吹き替えよりは、オリジナルの台詞がちらっと聞こえるとなんか安心。でもこれでは、ちゃんとした声優は育たなかろうと、余計な心配をしちゃいます。

アメリカでポケモンを見たときも思ったが、あれはひどい(へたくそ)。
でも、アメリカのピクサーアニメや、ディズニーは素晴らしい。全部役者がやっていますものね。
いっぽう日本の声優はすごい。
声優技術に特化したプロがいるんだから、役者をアニメのアテレコに起用する意味は無いよね、と私は常々思っています。その役者が、すっごいこの声を演じたいんだ、というのなら判るけれど、そうでなくズラっと役者を起用するのって、私は常々、解せません。

一昔前のジブリアニメ……ナウシカとかラピュタとかトトロとか魔女の宅急便とかのほうが、最近のより、すんなり話に入っていけたと思うのは、私の年齢云々を差し引いても、宮崎アニメが声優を使っていたからだと。

役者声って、アニメだとすごーく聞き取りにくい。いくら口と動きがあっていても、ちゃんと読唇できるわけじゃない、なにしろ絵が喋ってるわけだから。日常から聞き間違いが半端ないわたしとしては。ん? いまなんて言った? ……の連続。
私だけかなあ、と思っていたら、友人も曰く、なーんかいまいち素人くさくて聞き取りづらくなかった?

かといい、聞き取りやすくても声に抑揚が無くて飽きる。
たぶん、アニメの脱オタク化を図るがゆえなんだろうけど、そういうマーケティング戦略は、まず作品の質が整ってからにしてほしいわけです。

実写は、むしろ私はまず役者にふきかえてもらいたいです。声優だとわざとらしすぎやしませんか。ひどいぞ、このオーバーアクション的アテレコは。そんなふうに派手に息切れしてないぞ。江守徹つれてきてよ、あのひとのレッド・バトラーはすごいんだから。
で、アニメは、やっぱり声優に演じてもらいたい。
それが一番素敵で妥当じゃなかろうか、と。

ちなみに映画Canone Inversoは、ヒロインが妖精のように美しく可憐で見とれちゃうのだが、演技がびっくりするほどへたっぴで、彼女と居るとまわり全部が茶番に見えちゃうこととか、役者のヴァイオリン演奏の真似がちょっと気になる、ってことを除けば「〇」
オリジナルタイトル『Canone Inverso=反行カノン・逆行カノン』は、頭から弾いても逆さから弾いても同じ曲になる回文みたいなカノンの意(BパートがAパートの逆さで、連弾して一つの曲になる、とかだったかな)。*4

家に伝わる独自の子守唄だと思っていたら、腹ちがいの兄弟が一緒に弾いて完全な一曲に仕上がるのだ。作中では。

貧しい主人公の出生とその好みの音調、音楽学校で出会った金持ち親友David(実は半分兄弟)とのやりとりとか、ユダヤ人がらみのエピソードが、佐藤亜紀(敬称略)作『天使』のジェルジュとダーフィットを彷彿とさせます。

=====
追記
*1:カノーネ・インベルソって読むのかも。

*2:日本語訳『狂った旋律』で出ているらしい。アマゾンよ、Canone Inversoで調べたら『狂った旋律』も提示してくれると便利なのに。いつもピントのずれた類似商品ばっかりで――。

*3:原作小説とは舞台設定が微妙に違うっぽい。

*4:カノンに関するリンク貼りました。このサイトの説明わかりやすい。

下記はYoutube。Youtubeってほんとになんでもあるなあ。




トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

小谷真理氏 [か行]

評論家の小谷真理氏が、わたくしの「黒十字サナトリウム」を新聞で“目利きが選ぶ今週の3冊”の最後の一冊に挙げてくださいました。
基本はピーター・ラストスというオーストラリアの作家の長編について取り上げていて、私の作品に関しては最後の数行ですが、嬉しいです。日付は10月22日の日経新聞夕刊です。

さて、こういうのって作者はどう知るかというと、偶然で、です。
たまたま見っけた、のです。
あの小谷真理が! (←驚きのあまり呼び捨て。)私の話、読んだの!!
と、しみじみする反面、気付かなけりゃ一生知らなかったのか……とちょっとびっくり。
まあだから一週間以上前の新聞記事について今頃書いているわけなのです。
身内も日経新聞とってるのに気付いてない。そんなもんです。

小谷真理氏について私が知っていることというと、NHKアニメ夜話のガンダム特集で、じゃあ貴方はどのキャラが好きなのさ、と迫られ、うーんそうですねえーとずいぶん言い渋った挙句「シャア」と答えられた。その後の饒舌たるやシャア・アズナブルがすごい好きなのがありありと伝わり、今考えたんじゃなく、もうずっとシャアが好きだったのがわかるので、なんで即答しなかったんだろうか、かわいらしい方だ、と。そういう記憶がございます。

わたしはケロロ軍曹からガンダムを知ってるレベル。ですが、シャア・アズナブルが超絶貴公子で、愚民どもとか言いつつ、黒髪のララァに、紳士的にやさしい。妹のセイラとは立場上敵対してるけど思いやりは双方にちゃんとあることとかは常識として踏まえております。そのシャアたる人物設定とキャラ造形について、たしか小谷氏は(もううるおぼえなんだけど)「彼は一種の様式美だ。吸血鬼とかと同様の」という発言をされていたのが印象的だったのでした。

日本SF新人賞授賞式の二次会パーティでお見受けしたのですが、テレビ等の媒体で見知ってる人って、一瞬、頭が(あ、会ったことある!)と、勘違いしちゃうのです。私は遠くからまるで知人のように小谷氏に会釈しちまったのでした。なにやってんの。

で、小谷氏はおののいたように私を遠目で怪訝そうに流し見て、周囲の方々との談話を続けられるのでありました(笑)



トラックバック(0) 
共通テーマ:

鬼来迎 [か行]

山岸涼子の漫画。

すっごい怖い話を読みたいんだよ、と友人にお願いしたことがある。
たいてい怖いとかグロいとか言われていても、私は全然こたえず「なるほどね~」って感じなのだ。
すると友人が持ってきてくれた山岸涼子の漫画は「もうーいいかげんにしてってば!」と怒りたくなるくらい怖かった。
『汐の声』という短編で、『私の人形は良い人形』という文庫サイズの漫画に入っていて、前半はたいしたことない。
ベルトのシーンも「あーみえみえ。わかってたし。この程度か」って感じだったのだけど……。

同様のテーマの短編で『鬼来迎』も骨髄まで恐ろしいのだが、
「娘を8年監禁19歳で保護」の札幌の事件で、思い出したのでした。

(事件の記事)
http://mainichi.jp/select/today/archive/news/2008/10/30/20081030k0000m040140000c.html






トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

かもしれない運転 [か行]

運転免許の更新に行ってきた。
初回運転免許の更新は2時間講習必須なのですね。最近はー。
いいことだと思いますよ。めんどうだけどね!
わたくし、アメリカで運転免許をとって、日本で書き換えたので、(筆記試験とドライビングの試験を、試験場で受ける。書き換え用試験なので簡易試験だけど、けっこう煩雑)
初回運転免許っつうのにあてはまり、行ってまいりました。
日本で教習を受けていないので、実はけっこうためになる教習ではありました。

が、なんかあの、交通事故を起こすと一生重荷になる罪を背負う、というエピソードのビデオをみっちり見させられるのはいただけない。
旦那が人身事故を起こし、その場の状況と恐怖でひき逃げしてしまい、人が死に、自首して、交通刑務所服役中に、奥さんは民事訴訟の借金返済に負われ、疲れ果て、自殺する。残された子供はかろうじて力強く生きてはいくというやつなんだけど、そのためにだからみなさん保険に入っておきなさいね、みたいな大事なことは言わないし(アメリカではそこんとこものすごく叩き込まれる。誰彼となく。)
それならもっともっと、こういうケースのこういう不注意でこういう事故につながった、という恐ろしい事故例の映像をいくつも見させられるほうが、こたえるし、いいと思ったのですが。そういうのも確かに見るんですが、ドラマ仕立てよりそっちだけでいい。でもそういうのってやりすぎるとデリケートな人は気持ち悪くなっちゃったりするのかしら。
里見浩太郎その他ちゃんとした俳優がやってはいるんだけど、それでもきびしい中途半端なドラマ仕立てとか、遺族の人の手紙とか(ミカはこれから就職して、恋をして、結婚して、子供を産んで、すばらしい人生を送ったはずなのに……)
リアルな事故映像や悲惨な結果より、そっちのが私にはずぅっと気分が悪かったです。いろんな意味で。

で、二時間教習でカバーできなかった分は自分で読んでね、ってしおりとか冊子とかいろいろもらうんだけど、そこに「かもしれない運転」を発見! 「かもしれない運転でいけ」という『銀魂』のタイトルを見たときは、この教習所ネタ、妙にリアル感あっておまけに良くできたタイトルだわーとは思ったんだけど、まさか本当に「かもしれない運転」とか「だろう運転」とかいう用語が載っているとは知らなかったー。





トラックバック(2)